【せどりも対象】転売が違法になる7つのパターンと実際の逮捕事例

「副業で転売を始めたけど、これって違法じゃないの?」
「人気商品を転売したら逮捕されるって本当?」
「メルカリで古着を売っているだけなのに、なぜ許可が必要なの?」

このように、転売の違法性について不安を抱えている方は少なくありません。

近年、転売ヤーによる買い占めが社会問題となり、実際に逮捕されるケースも相次いでいるため、「転売は違法だ」と考える人も多いでしょう。

結論から言うと、転売行為自体は違法ではありませんが、扱う商品や販売方法によっては重い刑事罰を受ける可能性があります。

チケットの高額転売は最大1年の懲役、医薬品の無許可販売は最大3年の懲役、古物商許可なしの継続的転売も最大3年の懲役が科されることがあります。

本記事では、転売が違法となる具体的なケース、実際の逮捕事例、合法的に転売を行うための防衛策について、弁護士監修のもと、詳しく解説していきます。

「弁護士に相談なんて大げさな・・・」という時代は終わりました!

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目次

【前提確認】「転売=違法」は誤解?それとも本当?

転売行為に対する社会的な批判は強く、多くの人が「転売は全て違法」と認識しています。

弁護士

実際のところ、転売自体を包括的に禁止する法律は存在しないため、多くの転売行為は合法となります。

そうなんですか?では、どういった場合が違法になるのでしょうか?

「転売」という言葉の定義と現在の使われ方

転売の本来の意味は「購入した商品を第三者に販売すること」という、単純な行為のことです。

たとえば、自動車を買い替える際の下取りや、家庭の不用品をフリマアプリで売却する行為も、厳密には転売に該当します。

小売店が卸売業者から商品を仕入れて消費者に販売することも、商流の観点では転売と言えるでしょう。

現在では転売という言葉が「悪質な高額転売」を指すネガティブな意味で使われることが増えています。

インターネットの普及により個人でも容易に商品売買ができるようになった今、転売という行為自体が問題視されるようになりました。

本来は中性的な商行為を表す言葉でしたが、メディアや世論の影響で悪い印象が定着してしまったのが現状です。

せどり/物販/転売ヤーの違いについて

せどり・物販・転売。これらの用語は似ているようで、実際の行為や社会的印象に大きな違いがあります。

せどりは古書業界に由来する用語で、価値のある商品を適正価格で仕入れ、手数料を上乗せして販売するという、健全なビジネスモデルです。

消費者に商品の入手機会を提供し、流通の効率化に貢献する側面があります。

物販は商品の仕入れから販売まで行う事業活動全般を指す広義の概念です。

一般的な小売業から個人のオンライン販売まで含まれ、特に問題視はされていません。

転売ヤーという用語は、買い占めや不当な高額販売を行う者に対する蔑称として使われることが一般的です。

適正な利益を超えた暴利を追求し、消費者の利便性を損なう行為が、批判の対象となっています。

同じ商品を扱っても、その手法と価格設定によって評価は正反対になります。

なぜ「転売ヤー=悪」の印象が強いのか?

転売ヤーへの強い批判には、いくつかの具体的な問題行動が背景にあります。

人気商品の大量買い占めにより、一般消費者が適正価格で購入する機会を奪われることが最大の問題です。

ゲーム機や限定グッズ、人気アーティストのチケットなどが発売直後に買い占められ、定価の何倍もの価格で転売される事例が相次いでいます。

新型コロナウイルス感染拡大時には、マスクや消毒液といった生活必需品までが転売の対象となり、社会的な批判が一層高まりました。

また、転売目的であることを隠して「転売禁止」の商品を購入する詐欺的行為や、偽物を正規品として販売する悪質なケースも問題となっています。

こうした一部の悪質な行為が転売全体のイメージを悪化させ、「転売ヤー=悪」という印象を社会に定着させる要因となったのです。

あなたの転売は合法?違法?5ステップでチェック

私もフリマアプリを利用することがあるのですが、転売に当たらないかどうか不安です…。

弁護士

転売活動を始める前に、自分の行為が法的に問題ないかを確認することが重要です。

以下の5つのポイントをチェックして、違法行為に該当しないよう、注意しましょう。

何を売っているか?(チケット・医薬品・偽ブランド等)

転売の違法性を判断する最初のポイントは、取り扱う商品の種類です。

法律で特別に規制されている商品群があり、これらを無許可で販売すると重い刑事罰の対象となります。

チケット関連では、特定興行入場券の不正転売の禁止等による興行入場券の適正な流通の確保に関する法律(略称:チケット不正転売禁止法。2019年6月施行)により、特定の条件を満たすチケットの高額転売が禁止されています。

興行主の同意なく定価を超える価格での転売は「1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方」という刑罰が科されます。

医薬品については医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称:薬機法)により厳格に規制されており、無許可での販売は「3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金」という重い処罰を受けます。

2024年には群馬県と大阪府の女性2名が糖尿病治療薬「リベルサス」を転売したとして書類送検される事案も発生しました。

酒類の販売には酒税法上の免許が必要です。

違反した場合「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」が科されます。

また、偽ブランド品の販売は商標法違反として「10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金」という極めて重い刑罰の対象となります。

何度も繰り返していないか?(営利性・継続性)

転売の合法性を判断する重要な要素として、営利性と継続性があります。

家庭の不用品をたまに売却する程度であれば問題ありませんが、利益を目的として反復継続的に転売を行う場合「古物営業」に該当します。

古物営業には古物商許可が必要なため、許可を得ない場合には違法となります。

営利性の判断では、転売による利益獲得を主目的としているかが重視されます。

単発的な不用品売却と異なり、商品を安く仕入れて高く売ることを繰り返している場合は営利性が認められやすくなります。

継続性については「反復継続の意思」がポイントです。

一度だけの転売であっても、今後も続ける意思があれば継続性が認められる可能性があります。

実際の摘発事例では、フリマアプリで大量の商品を継続的に販売していた個人が古物営業法違反で処罰されるケースも発生しています。

弁護士

判断が困難な場合は、事前に所轄の公安委員会や弁護士へ相談することがおすすめです。

無許可営業に該当すると「3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」という重い処罰を受ける可能性があります。

販売元に「転売禁止」と書かれていないか?

販売元が明確に「転売禁止」を表示している商品を転売目的で購入し、実際に転売する行為は、詐欺罪に該当する可能性があります。

この場合、転売目的を隠して購入したことが、人をだまして誤信させ、意思決定を誤らせる目的で行う「欺罔行為(ぎもうこうい)」とみなされ、商品を騙し取ったとして処罰される危険があります。

詐欺罪の成立には、販売者を騙す意思と行為が必要です。

転売禁止と明記されている商品について、転売目的がないと嘘をついて購入した場合や、転売しない旨の誓約書を提出したにもかかわらず転売した場合は、明確な詐欺行為となります。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の拘禁刑」と非常に重く、決して軽視できるものではありません。

転売禁止の表示がある商品でも、購入時に転売目的がなく、後から不要になって売却する場合は問題ありません。

しかし、購入直後の転売や大量購入などがあると、当初から転売目的があったと推認される可能性が高くなります。

近年では、人気ゲーム機や限定商品で転売禁止を明記する販売者が増えています。

こうした商品を扱う際は、販売条件を十分確認し、違反しないよう注意しましょう。

古物商許可は取得しているか?

継続的に中古品を転売する場合、古物商許可の取得が法的に義務付けられています。

古物営業法では「古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業」を行う者は、都道府県公安委員会の許可を受けなければならないと定められています。

なお、一度でも消費者の手に渡った物品は、たとえ未使用であっても古物(いわゆる未使用品・新古品)に該当します。

つまり、新品を購入して転売する場合でも、購入時点でその商品は古物となるため、継続的に転売を行う場合は許可が必要です。

無許可での古物営業は「3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」という重い刑罰の対象となります。

実際に2020年以降も、メルカリなどのフリマアプリで古物商許可なしに継続的な転売を行っていた個人が摘発される事例が複数報告されています。

古物商許可の取得には約1万9,000円の手数料がかかりますが、継続的な転売を考えている場合は必須の投資といえるでしょう。

許可を取得することによって、適法に事業を行えるだけでなく、社会的信用も得られます。

販売チャネルごとのルール(フリマ/ECモール)

販売プラットフォームごとに独自の利用規約があり、違反するとアカウント停止や法的トラブルに発展する可能性があります。

主要なフリマアプリやECモールでは、転売を規制する厳格なルールが設けられています。

「メルカリ」や「ヤフオク」などのフリマアプリにおいて禁止されているのは、医薬品酒類チケットなどの出品です。

また、同一商品の大量出品短期間での大量取引は転売業者とみなされ、アカウント制限の対象となります。

特に人気商品の発売直後に同じ商品を複数出品することは避けるべきです。

「Amazon」などのマーケットプレイスでは、ブランド規制や出品制限が厳しく設定されており、正規代理店以外からの仕入れ品や並行輸入品の出品には特別な手続きが必要な場合があります。

また、知的財産権を侵害する商品の出品は即座にアカウント停止につながるため注意が必要です。

なお、各プラットフォームの規約は頻繁に更新されるため、定期的な確認が欠かせません。

規約違反により突然アカウントが停止されると、売上金の凍結や取引停止など深刻な被害を受ける可能性があります。

転売活動を行う前に、利用するプラットフォームの最新規約を必ず確認しましょう。

実際に違法になる転売のケースと罰則

弁護士

転売行為の中でも、特定の商品や方法については明確に法律で禁止されており、違反すると重い刑事罰が科せられます。

どのような商品が対象なのでしょうか?

医薬品→薬機法違反(3年以下の拘禁刑・300万円以下の罰金)

医薬品の無許可販売は薬機法(医薬品医療機器等法)によって厳格に禁止されており、違反者には「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、またはその両方」という重い刑罰が科せられます。

この規制は処方薬だけでなく、市販薬や健康食品の一部も対象となります。

海外から個人輸入した化粧品をフリマアプリで販売する行為も、たとえ1回だけであっても薬機法違反に該当する可能性があります。

海外製化粧品の個人輸入は自己使用目的に限って認められており、転売は禁止されているのです。

2021年には京都市の通信販売会社役員らが、国未承認の中国製コロナ検査キットを「現在の感染有無が確認できる」と宣伝して販売し、薬機法違反で逮捕されています。

未承認医療機器の販売は、特に重大な違反行為とみなされます。

酒類→酒税法違反(1年以下の拘禁刑・50万円以下の罰金)

酒類を販売するには、酒税法に基づく免許が必要です。

そのため、無免許で販売すると「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」の処罰対象となります。

ただし、免許が必要となるのは継続的な販売業を行う場合に限られるため、家庭の不要な酒類を単発的にネットオークションに出品する程度であれば問題ありません。

酒税法上の免許が必要となる基準は「継続的取引」にあります。

定期的に酒類を仕入れて販売を繰り返す場合や、大量の酒類を扱う場合は営業とみなされ、所轄税務署長の免許取得が義務付けられます。

近年では、プレミアムウイスキーや限定日本酒などの高額転売が問題となっており、継続的に行う場合、免許なしの販売は違法です。

フリマアプリの中には、酒類の通信販売に必要な許認可を取得し、許可証の画像提出を条件として酒類出品を認めているところもあります。

酒類転売を検討する場合は、まず自分の行為が単発的な不用品処分なのか、継続的な販売業なのかを判断し、必要に応じて適切な免許を取得することが重要です。

チケット→チケット不正転売禁止法

2019年6月に施行されたチケット不正転売禁止法により、特定興行入場券の高額転売は明確に犯罪行為となりました。

違反者には「1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方」が科されます。

この法律は転売だけでなく、転売目的での購入も処罰の対象となります。

特定興行入場券とは、国内で開催される芸術・芸能・スポーツイベントのチケットのことです。

具体的には、以下の3つの条件を満たすものを指します。

  • 転売禁止の明示
  • 座席指定
  • 購入者の本人確認

不正転売
興行主の事前同意なく、定価を超える価格での転売を業として行うこと

ただし、急病や急用で行けなくなった場合、興行主認定の公式リセールサイトを利用すれば定価で転売できるケースもあります。

こうした正規ルートを活用することで、適法にチケットを譲渡できるでしょう。

偽ブランド品→商標法違反or詐欺罪

偽ブランド品の販売は商標法違反として「10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方」という極めて重い刑罰の対象となります。

さらに、偽物を本物と偽って販売した場合は詐欺罪も成立し、「10年以下の拘禁刑」が科される可能性があります。

商標権侵害は、偽物と知らずに販売した場合でも成立する可能性があるため、注意が必要です。

「知らなかった」という弁解は法的に通用しないため、商品の真贋をしっかり確認しましょう。

また、偽ブランド品の流通経路は多様化しているため、海外からの個人輸入品や中古品市場で入手したものが、偽物である可能性も高くなっています。

特にインターネット上では、一見本物のように見える精巧な偽物が大量に流通しているため、注意が必要です。

ブランド品を転売する際は、正規代理店からの購入証明書や保証書の確認、専門機関による真贋鑑定を受けるなど、確実に本物であることを証明できる商品のみを扱うべきです。

不確実な商品の転売は高いリスクを伴います。

古物営業法違反→無許可せどり(継続性あり)

古物商許可を取得せずに継続的な中古品転売を行う行為は古物営業法違反として「3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」の処罰対象となります。

古物営業法は盗品の流通防止と速やかな発見を目的としており、営利を目的とした反復継続的な古物売買には必ず許可が必要です。

過去の摘発事例では、メルカリなどのフリマアプリで大量の商品を継続的に販売していた個人が、古物営業法違反で処罰されるケースが報告されています。

特に同じ種類の商品を大量に出品したり、短期間で多数の取引を繰り返したりする行為は、営業性が高いとみなされやすくなります。

感染症対策品→国民生活安定緊急措置法(マスク・消毒液等)

新型コロナウイルス感染拡大時には、国民生活安定緊急措置法に基づきマスクやアルコール消毒液の高額転売が禁止されました。

違反者には「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」が科され、実際に複数の逮捕者が出ています。

2020年5月 には、三重県の衣料品店経営者がインターネットで購入した使い捨てマスク約1,000枚を高額転売したとして、同法違反で全国初の書類送検となりました。

仕入れ価格約80円のマスクを154円で販売していたことが問題視されました。

同年には、京都府の通信販売会社役員が東京ディズニーリゾート限定のエタノール入りハンドソープを1,300~2,428円で入手し、3,000~3,980円で転売したとして逮捕されています。

これはアルコール消毒製品転売での全国初の逮捕事例でした。

現在はマスクと消毒用アルコールに関する譲渡制限措置は解除されていますが、今後も感染症の流行や天災地変などにより、生活関連物資について同様の規制が設けられる可能性があります。

緊急時における、転売規制には十分な注意が必要です。

悪質な転売ヤーによる転売行為→実態次第で詐欺・脱税・違法販売に発展することも

悪質な転売行為は単体の法令違反にとどまらず、複数の犯罪が組み合わさった複合的な違法行為に発展することがあります。

  • 転売目的を隠した商品購入:詐欺罪
  • 大量の利益を隠した場合:脱税
  • 無許可での継続販売:古物営業法違反

2025年には、準暴力団関係者らが学生割引を悪用し約700台(総額約1億3千万円相当)のノートパソコンを不正購入・転売した事件が発生しました。

学割の不正利用による商品詐取として、厳しく処罰されたケースです。

なお、転売で得た多額の利益を申告せずに隠匿した場合、所得税法や消費税法違反による脱税として、追徴課税や刑事罰の対象となることがあります。

継続的に大きな利益を上げている場合は、適切な税務申告が不可欠です。

悪質な転売行為は刑事処罰のみならず、社会的信用の失墜や民事上の損害賠償責任も伴う高リスクな行為といえます。

【逮捕例あり】実際に転売で逮捕された人たちのパターン

転売が原因で実際に逮捕・起訴された事例を分析すると、特定のパターンが見えてきます。

逮捕される傾向等が見えてくるということですね。

弁護士

以下に代表的な逮捕事例を紹介し、どのような行為が刑事処罰につながるかを具体的に解説します。

アイドルチケット転売→チケット不正転売禁止法

2020年9月に大阪地方裁判所で言い渡された判決では、アイドルグループの公演チケットを組織的に転売していた被告に対し「懲役1年6ケ月及び罰金30万円」という有罪判決が下されました。

この事件では、転売だけでなく偽造身分証明書を作成・行使したことで、有印私文書偽造罪と偽造有印私文書行使罪も同時に成立しています。

被告は良い席で公演を見たいという動機から、転売されているチケットを複数入手し、偽造身分証明書を利用して公演に入場していました。

残ったチケットを不正転売し、得た利益を新たなチケット購入代金に充てるという悪質な手口を繰り返していたことが判明しています。

また、2021年2月には、新型コロナで観客数制限されていたプロ野球広島戦のチケットを高額転売した東京都内の男女2名がチケット不正転売禁止法違反で逮捕されています。

容疑者らは年間指定席を確保し、定価計約1万3千円のチケット8枚を計6万6千円で転売していました。

チケット転売事案では、単発的な転売ではなく組織的・継続的に行っていた点が重く処罰される要因となっています。

2015年から2020年にかけて約1億円を売り上げ、業として行っていたことが明確に認定されたケースもあります。

フリマアプリで古着転売→古物商許可なしで摘発

古物商許可を取得せずにフリマアプリで継続的な転売を行い、古物営業法違反で摘発される事例が増加しています。

2020年5月には、ブランド服を無許可で転売したとして男性社員が書類送検されています。

古物営業法違反の成立要件は「営利を目的として反復継続的に古物の売買を行うこと」です。

そのため、家庭の不用品を時折売却する程度であれば問題ありません。

しかし、商品を安く仕入れて高く売ることを繰り返している場合、明確に営業性が認められます。

摘発される典型的なパターンとしては、次のようなケースが挙げられます。

  • 同じ種類の商品を大量に出品している
  • 短期間で多数の取引を繰り返している
  • 明らかに仕入れて転売している商品がある

無許可営業の場合「3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」という重い処罰を受ける可能性があります。

古物営業法は、盗品の流通防止ならびに盗品の速やかな発見を目的としており、継続的な転売を行う者には、許可取得が義務付けられています。

軽微な行為と考えて無許可で続けることは、重大な法的リスクを伴うと言えるでしょう。

【勘違い注意】違法ではないが”グレー”な転売例

明確に違法とは言えないものの、法的リスクを含む「グレーゾーン」の転売行為があります。

明確に「OK」と言えないけれど、「NG」とも言えないのですね。

弁護士

これらの行為は状況次第で違法になる可能性があるため、十分な注意が必要です。

フリマアプリで毎日売っている→継続性・営利性の有無がカギ

フリマアプリで頻繁に商品を販売している行為は、営利性と継続性の判断によってグレーゾーンとなります。

家庭の不用品を整理して売却するのか、それとも利益目的で商品を仕入れて転売しているのかが重要な分岐点です。

古物営業法では「営利を目的として反復継続的に古物の売買を行う」場合に許可が必要とされており、毎日のように出品している行為は継続性が認められやすくなります。

特に同じ種類の商品を大量に出品したり、明らかに仕入れ値より高く設定した価格で販売したりしている場合は、営利性も認定される可能性が高いでしょう。

判断の境界線は曖昧で、以下のポイントが総合的に考慮されます。

  • 出品頻度
  • 取引金額
  • 商品の種類
  • 利益率 など

たとえば、年末年始の大掃除や引っ越し等をきっかけに、反復継続的に物を転売していたとしても違法性は高くないとされます。

しかし、入手困難な商品を大量に仕入れて高値で転売しているというようなケースは、明らかに営利目的と判断されます。

安全策として、継続的に転売を行う予定がある場合は事前に古物商許可を取得しておくとよいでしょう。

海外から仕入れて個人で売る→偽物リスク・通関リスクあり

個人が海外から商品を仕入れて国内で販売する行為は、複数のリスクを含むグレーゾーンです。

偽物をつかまされるリスクがあり、知らずに偽ブランド品を販売した場合でも商標法違反や詐欺罪に問われる危険があります。

海外では日本国内で流通しない精巧な偽物が大量に製造・販売されており、個人では真贋判定が困難な商品も多数存在します。

特に人気ブランドの商品や電子機器については、外見上は本物と見分けがつかない偽物が横行しているため、十分な注意が必要です。

また、海外製化粧品の個人輸入については、薬機法により自己使用目的に限って認められており、たとえ1回のみの転売であっても違法となる可能性があります。

化粧品が医薬部外品に該当する場合は、無許可販売として重い処罰を受ける危険もあるのです。

通関手続きにおいても、商用目的での輸入と個人使用目的での輸入では取り扱いが異なります。

継続的に同種商品を輸入している場合は、税関から商用輸入とみなされ、適切な手続きを求められる可能性があります。

海外仕入れを検討する場合は、これらのリスクを十分理解した上で、慎重に判断すべきです。

「転売禁止」と書かれた商品→販売者への虚偽申告で詐欺罪も

販売元が明確に「転売禁止」を表示している商品の転売は、民事上の契約違反となるだけでなく、刑事上の詐欺罪に発展するリスクを含みます。

転売目的を隠して購入した場合、販売者を欺罔して商品を騙し取ったとして詐欺罪が成立する可能性があります。

詐欺罪の成立には欺罔行為が必要ですが、単に転売目的を隠していたというだけでは詐欺罪に問われる可能性は低いでしょう。

ただし、販売員から再三の確認を受けたにもかかわらず「転売目的はない」と嘘をついた場合や、転売目的がない旨の誓約書を偽って作成した場合は、明確な詐欺行為として処罰される危険があります。

購入時において転売目的があったかどうかは、その前後の行動を総合的に考慮して認定されます。

当初から転売目的があったと推認されやすくなる例として、同じ商品を大量購入している場合や、購入から間もなくフリマサイトへ出品している場合などが挙げられます。

近年では、人気ゲーム機や限定商品で転売禁止を明記する販売者が増えています。

そのため、こうした商品を扱う際は販売条件を十分確認し、違反行為に該当しないよう細心の注意が必要です。

詐欺罪の法定刑は「10年以下の懲役」と非常に重く、このリスクは決して軽視できません。

無在庫転売→信用毀損・返品トラブルの温床に

商品を事前に仕入れず注文を受けてから調達・発送する無在庫転売は、法的には直ちに違法とはいえないものの、多くのリスクを含む、いわゆる「グレーゾーン」です。

大手フリマアプリやECモールでは、利用規約で無在庫販売を禁止していることが一般的で、発覚するとアカウント停止などの処分を受ける可能性があります。

無在庫転売の最大の問題は、実際に商品を確保できずに購入者への引き渡しができなくなることです。

仕入れ先で在庫切れが発生したり、想定より高い価格でしか調達できなかったりする場合、契約不履行として民事上の損害賠償責任を負う可能性があります。

また、実物を確認せずに販売するため、商品の品質や状態について正確な情報を提供できず、購入者とのトラブルが頻発しやすくなることも少なくありません。

商品に不具合があった場合の返品・交換対応も困難で、購入者保護の観点から問題視されています。

また、前述のとおり、新品を扱っていても購入時点でその商品は古物に該当するため、営利目的での反復継続的な売買には許可が必要です。

無許可での継続的な無在庫転売は古物営業法違反として「3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金」の処罰対象となる危険もあります。

【防衛策】転売を合法的に行うには?最低限知っておくべき5つのこと

転売で法的トラブルを避けるためには、事前の準備と正しい知識が不可欠です。

具体的には、どのような点に注意すればいいでしょうか?

弁護士

以下の5つのポイントを押さえることで、安全かつ合法的な転売活動を行いましょう。

古物商許可の取得方法と費用

継続的な転売を予定している場合、古物商許可の取得は必須です。

許可申請は住所地を管轄する都道府県公安委員会に対して行い、手数料として約1万9,000円が必要となります。

申請から許可までは通常40日程度かかるため、転売開始前に余裕を持って手続きを進めましょう。

申請には住民票、身分証明書、略歴書などの書類が必要で、欠格事由(破産者や一定の犯罪歴がある者など)に該当しないことが条件となります。

営業所の使用権限を証明する書類も必要で、自宅を営業所とする場合は賃貸借契約書などが求められます。

許可取得後は営業所への標識掲示、帳簿の作成・保存、年次報告書の提出などの義務が発生しますが、これらは適法な事業運営のために必要な手続きです。

違法転売(チケット・医薬品など)には絶対に手を出さない

法律で転売が明確に禁止されている商品には、絶対に手を出してはいけません。

前述したとおり、チケット不正転売禁止法により特定興行入場券の高額転売は「1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金」、薬機法により医薬品の無許可販売は「3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金」という重い刑罰が科されます。

酒類の継続的な販売には酒税法上の免許が必要で、違反すると「1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金」となります。

偽ブランド品の販売は商標法違反として「10年以下の拘禁刑もしくは1000万円以下の罰金」が科される可能性があります。

これらの規制商品は利益率が高いため転売の対象として狙われがちですが、リスクが極めて高く、安易に手を出すべきではありません。

「出品NG商品」ポリシーをモール・プラットフォームで確認

各販売プラットフォームは独自の利用規約を設けており、これらに違反するとアカウント停止や売上金凍結などの重大な処分を受ける可能性があります。

メルカリやヤフオクなどの主要フリマアプリでは、以下の出品は禁止されています。

  • 医薬品
  • 酒類
  • チケット
  • 動物 など

大手フリマアプリでは無在庫販売も規約違反とされており、発覚すると即座にアカウント停止となる場合があります。

プラットフォームの規約は頻繁に更新されるため、定期的な確認が欠かせません。

規約違反により突然アカウントが停止されると、継続中の取引にも影響し、購入者とのトラブルに発展する危険もあります。

転売活動を始める前に、利用予定のプラットフォームの最新規約を必ず確認しましょう。

取引ログや領収書を一定期間保存する

転売活動では、仕入れから販売まで全ての取引記録を適切に保存することが重要です。

古物営業法では古物商に対して帳簿の作成・保存義務があり、以下の記録が必要です。

  • 取引年月日
  • 品目
  • 数量
  • 特徴
  • 相手方の住所・氏名 など

これらの記録は、3年間の保存が義務付けられています。

税務上も、転売で継続的に利益を上げている場合は確定申告が必要です。

そのため、仕入れ費用や販売収入を正確に把握しなければならず、詳細な記録が欠かせません。

領収書やレシート、銀行振込の記録、プラットフォームの取引履歴などをもれなく保存し、いつでも確認できる状態にしておきましょう。

適切な記録保存は法的義務の履行だけでなく、トラブル発生時の証拠としても重要な役割を果たします。

不安なら弁護士or税理士に早期相談

転売の法的リスクや税務処理について不安がある場合は、専門家への早期相談がおすすめです。

弁護士は古物営業法、薬機法、チケット不正転売禁止法などの各種規制法令について詳しく、個別の事案における違法性の判断や適切な対応策をアドバイスできます。

税理士は、転売収益の適切な申告方法、必要経費の計上、消費税の取り扱いなどについての専門的な指導が可能です。

継続的に大きな利益を上げている場合は、個人事業主として開業届を提出すべきか、法人化を検討すべきかといった事業形態の選択についてもアドバイスを求められます。

専門家への相談費用は必要な投資と考え、重大な法的トラブルや税務調査を避けるために活用しましょう。

まとめ

転売は決して「全て違法」ではありませんが、扱う商品や方法によっては重い刑事罰を受ける危険があります。

チケットや医薬品などの規制商品、古物商許可が必要な継続的転売、転売禁止商品の詐欺的購入など、違法となるケースは明確に定められています。

過去5年間で実際に逮捕・起訴された事例も多数報告されており、「知らなかった」では済まされません。

安全に転売を行うためには、古物商許可の取得、規制商品の回避、プラットフォーム規約の遵守、適切な記録保存が不可欠です。

不安な場合は弁護士や税理士への早期相談をご検討ください。

弁護士

足立高志 弁護士

大本総合法律事務所
〒100-0004
東京都千代田区大手町1-1-1
大手町パークビルディング8階
tel 03-5224-4555
fax 03-5224-4556
mail adachi@omoto.top

【経歴】
中央大学法学部卒
2007年弁護士登録

中小企業から個人の方まで幅広く対応しております。過去は変えられませんが、より良い未来となるよう、手助けができればと思っています。

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