時代とともに、仕事の内容や文化が目まぐるしく変化していくこの時代。
趣味として投稿していたSNSも気づいたらバズり、収益がでているなんてことも!!
最初は貴重な経験を動画や写真で記録用として撮影し、SNS上へ投稿し、楽しみ、記録をしていただけかもしれません。
しかし、最近では、プライバシー意識が高まっていることもあり、
UPされている動画に自分が写っている!しかもあんな姿で…。
投稿された画像に私が写っている!勝手に撮影して許せない!訴えてやる!
・・・なんてこともあるかもしれません。
もしも、肖像権の侵害と訴えられたりしたら、素敵な思い出も台無しですよね。
そして、そのような投稿が拡散され、アンチコメントにとどまらず外に出るのが怖くなり、町や職場に行くことができなくなってしまったらと思うと…。
本記事では、肖像権の基本的な概念から最新の問題までを解説し、肖像権の重要性と現代社会における意義について考察します。
この記事を読んでいただき、SNSへ投稿する際に細心の注意を払うことの大切さを知っていただけると幸いです。
罪を犯さない為にも、正しい知識でSNSを楽しんでいただきその日の思い出が、より永遠に素敵な思い出になると思いますので、参考にしてみてください。
「弁護士に相談なんて大げさな・・・」という時代は終わりました!
経営者・個人事業主の方へ
肖像権の概要
そもそも肖像権ってどんな権利なんでしょうか?
肖像権は、現代を生きる私たちにとって非常に大事な権利の一つです。
肖像権とは
無断で顔写真を撮影する行為や、撮影したものをネット上で公開する行為は肖像権の侵害行為になります。
また、肖像権には人格権と財産権の2種類に分かれています。
人格権としての肖像権(プライバシー権)について
人格権は、人間として誰にでも認められる権利です。
写真や動画が無断で掲載された場合も、人格権侵害や名誉毀損等で訴えることもできます。
また、人の身体的及び精神的利益を保護する目的もあり、他人に見られたくない私生活上の事情をあからさまにされてしまうことを守る為にあります。
財産権としての肖像権(パブリシティ権)について
有名人の肖像や名前が商品を販売する際に、経済的利益や価値をもたらすことに着目した権利です。
有名人の肖像や名前が商品を販売する際に「顧客吸引力」をもたらすことが明らかになった為、出来た権利です。
どんな状態だと肖像権侵害となるのか
写真がぼやけている、後ろ姿や体の一部だけといった場合には、肖像権の侵害とはなりません。
以下のように、撮影された動画等から、個人を特定できる場合は、肖像権の侵害と認められます。
- その人の顔にピントが合っており、はっきりとわかる
- 自分や家族がメインで撮影されている
- SNSなど拡散性の高いところに投稿したこと
- 撮影の許可の有無
- 肖像の利用に対する本人の財産的利益目的でないか
人物名のみの場合、肖像権侵害になるのか
肖像権はあくまでも個人の姿や肖像について守るためのものであるため、人物名のみの場合には肖像権侵害には当たりません。
また、人物名に関しては、人格権の一つで、自分の名前を他人から侵害されることを防ぐための「氏名権」という権利があります。
SNSのアイコンでの使用は肖像権侵害に該当するのか
他人の写真をアイコンで利用するのは、肖像権の侵害にはなりません。
しかし、著作権侵害になる可能性があるので、ご注意ください。
肖像権は誰にでもあるのか?
肖像権は私たち一般人にもありますか?
肖像権が適用にならない場合はあるんですか?
基本的に、生きている人間すべてに肖像権があります。
未成年者の肖像権
未成年者にも肖像権はあります。
また、撮影や投稿等をする際には親権者の許可を得る必要がございます。
亡くなった方の肖像権
すでに亡くなっている方の肖像権は基本的に認められていません。
なぜなら、亡くなった人は精神的苦痛を受けることができないためです。
ただし、一部の国や地域では異なる法律が適用され、肖像権が消滅しない場合もあります。
なお、日本では、遺族の感情を保護するための「遺族の敬愛追慕の情」を考慮することがあります。
芸能人の肖像権
タレントや芸能人、スポーツ選手などの有名人にももちろん肖像権は適用されます。
また、財産権としての肖像権(パブリシティ権)にも該当します。
人間以外(ペットや建物)に肖像権はあるのか
例えば、特徴的な建物や、タレント犬等のペットに肖像権はあるのでしょうか?
実はペットや建物には肖像権はありません。
ペットは法律上では「物」として扱われてしまう為です。
建物についても、著作権に該当する場合はありますが、肖像権には該当しません。
肖像権に関する裁判例
実際に肖像権に関する裁判が起こったことはありますか?
2件の裁判事例を見てみましょう。
おニャン子クラブ事件
<事件概要>
カレンダー販売業者が、人気アイドルグループのメンバー5名の氏名や肖像を使用したカレンダーを無断で発売した。
このことに対し、販売業者を相手方として、当該メンバーが損害賠償、カレンダーの販売の差止めおよび廃棄を求めた。
<結果>
訴訟において、顧客吸引力を持つ経済的な利益ないし価値を排他的に支配する権利に基づく侵害行為の差止請求を肯定。
この判決は、今日のパブリシティ権を確立することとなった。
Instagramのストーリー動画事件
<事件概要>
Instagramストーリー動画事件(東京地判令和2年9月24日)
夫Aが蕎麦屋で撮影した妻Bの動画を、Instagramのストーリー機能で投稿したところ、氏名不詳の第三者が当該動画の一部を保存し、夫妻に無断でインターネット上のウェブサイト[ホストラブ]に投稿した。
この無断投稿について、夫婦は肖像権侵害を理由にプロバイダに発信者情報開示請求をした。
<結果>
- 夫婦によって投稿された動画は、24時間のみ公開される予定であり、その後は非公開になることが想定されていた
- 第三者が、夫婦に無断でウェブサイトに動画投稿した
この2点を鑑みた結果、第三者の行動は許容範囲を超えるものであり妻Bの権利を侵害していると判断され、発信者情報開示と訴訟費用を被告負担とする判決となった。
肖像権侵害の判断基準と罰則
肖像権侵害の判断基準が知りたいです。
基本的に、人物特定ができるかどうか、本人に許可を取っているかが重要になります。
肖像権侵害の判断基準
判断基準は、大きく3つあげられます。
- 被写体の容貌がはっきりと確認できる写真
- 被写体本人から公開の許可を得ていない画像・動画をあげている
- SNSなど、拡散することが容易なところへ公開している
肖像権侵害した場合の罰則について
罰則について、法律では刑事罰が明記されていません。
しかし、民事上の責任は問うことができます。
具体的には、民法の第709条に基づき、加害者へ損害賠償請求を求めたり、問題のある投稿の差し止めを求めたりすることができます。
肖像権侵害になるケースとならないケースについての判断基準とは
以下の内容をもとに判断します。
- 被撮影者の社会的地位
- 被撮影者の活動内容
- 撮影の場所
- 撮影の目的
- 撮影・公表の態様
- 撮影・公表の必要性等を総合考慮して、撮影によって被撮影者の権利侵害が社会生活上受任の限度を超えるか否か
<肖像権侵害になるケース>
- 自分や家族の顔が特定できる
- 自分や家族が被写体のメインとなって撮影されている
- 画像や動画の内容が拡散性の高いもの
- 撮影者が被写体本人から、撮影や公開の許可をもらっていない
<例>自宅や宿泊施設・病院など、他人の目にさらされないプライベート空間での姿を、本人の許可なく撮影・公開された。
この場合には肖像権侵害に該当します。
<肖像権侵害にならないケース>
- 自分や家族の顔をはっきりと特定できない
- 撮影者が被写体本人から、肖像権の同意(撮影や公開許可)をもらっている
- 撮影されていることが予測できる場所
<例>多人数で、特定の人物に焦点を当てずに撮影。複数の人が映り込んだ写真で、一人一人の顔も小さく写っている。
拡大しても誰であるかを判別できない状態の場合には、肖像権の侵害には当たりません。
肖像権を侵害しない為の取り組み
今まで意識せずに肖像権を侵害していたかもしれません…。
例えば、SNS等にアップした写真を削除するだけでもリスクを下げられます。
肖像権を侵害しない為にはどうしたらよいのか
上記の<肖像権侵害にならないケース>を参考に、以下4点に注意しましょう。
- 被写体から許可をもらう
- 被写体へ、撮影物を何に使用するかも伝えその範囲の同意を得る
- 被写体が誰であるかわからないように加工する
- 肖像権の同意書(被写体本人に限らず、撮影場所の許可)をもらう
各種SNS等についての注意点
世の中の情報を、あらゆる手で知ることができるこの時代。
特にSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は拡散スピードが速く、瞬く間に不特定多数の人に見られてしまい、また投稿内容やコメントで被写体の精神を擦り減らしてしまう可能性があります。
そのため、拡散される可能性が高い場所に投稿された場合は、肖像権の侵害が認められやすいです。
例えば、X(旧Twitter)やFacebook、Instagramといった各種SNS・インターネット上への投稿は、拡散性が高いので、今後も気を付けていくべきでしょう。
肖像権侵害の対処法について
もしも自分が肖像権の侵害を受けていた場合、どうしたらいいでしょうか?
まずは該当画像(動画)を削除することが大事です。
肖像権を侵害された場合の対処法について
自身の画像や動画が無断で使用されている場合、放置しておくとまた別の場所で拡散されてしまう危険性もあります。
発見した場合には、早めにサイトやSNSの運営会社に削除依頼をすることが大切です。
また、被害者は、肖像権侵害をした人に対し、民法709条に定められている「不法行為に基づく損害賠償請求」ができる可能性もございます。
今後についてどうしていったらよいか、詳しい専門家に聞いてみるのもよいでしょう。
まとめ
肖像権とは、本人の許可なく自分の顔や容姿がみだりに撮影や公表などされない権利です。
もし、肖像権を侵害された場合は、加害者やサイトの管理者に削除を依頼できるほか、加害者に対して損害賠償(慰謝料)を請求できる可能性があります。
放置すると、拡散や悪用されて被害が拡大するおそれがあるので、弁護士へのご相談等早めに対処していただくことをおすすめいたします。
なお、この記事を読んでいただいた皆様には、各種SNS等の投稿に関して、肖像権の注意事項をご理解いただいたと思います。
ぜひ今後も素敵な思い出をたくさん残していただき、各種SNS等へ投稿をより楽しんでください。
ひとりひとりに真摯に向き合い、事件解決に向け取り組んでます。気軽にご相談が聞けて、迅速に対応できる弁護士であり続けたいと考えております。
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