通販ではいくら注意していたとしても、クレームを受けてしまう場合があります。
ショップ側の原因のケースもありますが、第三者に原因があるケースや、そもそもお客様の勘違いというケースもあるでしょう。
だからといってクレーム対応を誤ると、お客様は通販サイトから離れてしまいます。
他のサイトに移っていきますので、クレーム対応には真摯に取り組まなければいけません。
今回は、通販でよくあるクレームの内容と事前にできる対策、実際にクレームを受けてしまった場合の対処法などをご紹介しますので参考にしてください。
「弁護士に相談なんて大げさな・・・」という時代は終わりました!
経営者・個人事業主の方へ
通販運営でよくある4つのクレームとその対策
最近ニュース等で話題になっている悪質クレームについて、どのような対応をすべきか悩んでいます…。
通販運営に対してよくあるクレームの種類4つと、事前にできる対策やその場でできる対応方法について、まずはご紹介します。
参考にして、できるだけクレームの数を減らしていきましょう。
①商品が指定した配達日に届かない
まず通販でよくあるクレームは、商品が指定した日付までに届かないというもの。
日付指定なら、指定日よりも早く届いてしまってもクレームにつながるでしょう。
たとえば、友人の誕生日にプレゼントを送りたかったにもかかわらず、誕生日よりも早く届いてしまってもクレームになりますし、母の日のプレゼントが指定した当日に届かなければ、クレームになってしまっても不思議はありません。
配達が指定の日時よりも遅れる・早まる原因は、配送伝票の記載ミス、自然災害による遅延、または、配送業者のミスなどが考えられます。
指定した配達日に届かないという事態を避けるためには、以下のことを行うように心掛けましょう。
- 配達日時指定の記載が漏れていないかダブルチェックする
- 天候や自然災害などの影響によっては、配送に遅延が起きることを通販サイトに明記しておく
- 契約している配送業者に定期的に配達指定について間違えないように注意を促す
単純なことに感じても、日々注意を促していかなければ、ミスが連発してしまうかもしれません。
そして、本当に運営側のミスならば、真摯に謝罪し、すぐに発送の手配をして迅速にお客様の元に商品が届くようにしてください。
配送業者のミスの場合でもすぐに連絡し、連携してできるだけ早い配達ができるようにしましょう。
②商品の写真と実物が違った
商品の写真と実物が違ったというクレームもよくあるクレームです。
確かに、通販サイト上では思っていた色味と違った、などはよくあることかもしれません。
中には、悪質なサイトもあり、明らかに画像加工した色味の商品を掲載しているケースもあります。
画像と実物が違うというクレームの主な原因は、商品がリニューアルしたことや、ピッキングや発送作業にミスがあった、ロットが違って微妙に商品の色味が違う、画像加工などです。
このようなクレームにならないためには、以下の点に留意していかなければいけません。
- 「商品パッケージは予告なく変更されることがあります」と注意文言を商品ページに記載しておく
- ピッキングミスや発送作業ミスが起こらないように日々注意を促す
- ロットが違って色味などに違いがある場合は、発送前に顧客に確認を取る
- 過度な画像加工などで商品画像を掲載しない
発送ミスなどは故意によるミスではありませんので、どうしても起こり得る可能性はあります。
しかし、最初から少し画像と違う商品になってしまうような場合は、事前に顧客に確認を取ることが重要です。
また、画像加工などの悪質な画像掲載はやらないようにしましょう。
画像加工技術が優れてきているため、商品を少しでもよく見せようと、加工してしまう気持ちもわかります。
ですが、写真と違う商品が届けば確実にクレームにつながりますので、控えるようにしましょう。
もしもクレームに発展してしまった場合は、原因を究明し、画像と同じものを手配するようにしてください。
画像加工などによるクレームの場合は、事実を認識し、顧客に真実を打ち明け、返品の申し出があれば返品に応じましょう。
どうしても画像と同じ商品の手配ができない場合は、事情を説明し、返品対応できるようにしなければいけません。
③届いた商品に破損・汚損があった
届いた商品に破損や汚損があるというのも、ありがちなクレームです。
通販サイト側には責任がないケースもありますが、きちんと出荷前に商品が壊れていないかなどはチェックするようにしましょう。
家具や食器、精密機器、壊れやすい食品などの場合は割れている、折れているなどのケースも多々あるのでご注意ください。
このケースの場合は事前に以下の対処をしておくとクレーム対応がスムーズです。
- 配送業者と商品の破損・汚損があった場合の対処法を事前に相談しておく
- 運送保険に加入する
- 商品の検品はしっかりと行ってから発送する
- 梱包は厳重に行う
それでもどうしても事故は発生してしまいます。
顧客の元に壊れたものが届いてしまった場合は、ネットショップ側の責任で返品や交換に応じなければいけません。
配送業者の責任だったとしても、顧客から見た購入窓口はネットショップであり、配送業者ではありません。
配送業者とのやり取りは、顧客にやってもらうべきではなく、運営側で責任を持ってやり取りしましょう。
顧客には、ネットショップが謝罪するべきです。
④商品のサイズが合わなかった
そして、商品のサイズが合わないなどのケースも発生します。衣類や靴などがその例です。
これらのクレームを事前に防ぐためには、以下の対処法を実践していきましょう。
- 商品ページに曖昧な表記はせずに実寸をきちんと記載する
- 衣類などの場合は実際のモデルのサイズ(身長など)を記載して掲載する
- 輸入物で日本サイズよりも大きいと感じるものには、「大きめサイズですので、普段よりもひとまわり小さめのサイズが適切です」などと注意書きをする
これらの対処をしておけばクレームにつながる恐れは少なくなるでしょう。
それでもクレームに発展するケースはあります。
状況を把握し、実寸の表記が間違っていたなど運営側に責任があると判断できた場合は、返品や交換に応じるようにしてください。
通販運営でのクレーム対応の基本的な5つのポイント
どんなに気を付けていてもクレームになってしまうことはあるのですね…。
そんな時はどのように対処するのがいいのでしょうか?
では、通販運営側のクレーム対応で気をつけたい基本的な5つのポイントをご紹介します。
これらは基本的なことなので、ぜひ覚えておきましょう。
①謝罪して相手に落ち着いてもらう
まずは、クレームが不当なものであったとしても、真摯な姿勢で謝罪し、相手に落ち着いてもらってください。
人間は腹が立っていると、何を言われても感情的になるものです。
クレームを言う客の心理を考慮して、まずはどんな内容だったにせよ運営側は謝罪してください。
相手が落ち着かないことには話し合うこともできません。
②冷静に状況を把握する
相手に謝罪し落ち着いてもらったら、詳細の話を聞いて、原因が何だったのか冷静に状況を把握してください。
本当にクレームに値する運営側のミスだったのか、それとも顧客の勘違いなどからのクレームなのか、を判断しなければいけません。
たとえば、指定した日付に届かなかったと憤っている顧客で、注文状況を確認してみると、実は顧客の入力ミスで運営側に落ち度がないケースもあります。
全てのクレームに対して運営側のミスや手落ちとは限りませんので、状況を正確に把握するようにしましょう。
③余計なことは言わずに簡潔な説明を心がける
そして、相手の心理に立って、余計なことは言わずに、簡潔に説明することが大切です。
たとえば、相手が怒って話している最中に「お客様聞いてください」などと口を挟んではいけません。
また、相手のミスだったとしても「ご理解ください」という言葉は使わない方が賢明です。
ご理解くださいと言われても、クレームを言う側の心理としては理解したくないのは当たり前のこと。
理解を押し付けられると相手はさらに怒ってしまうでしょう。
ですので、相手の指定日の記載ミスだったとしても、
注文履歴をみる限り、今回の配送日指定は◯月△日になっておりますので、その日付までには配送できる手配になっております。もうしばらくお待ちください。
などと簡潔に伝えましょう。
間違っても「お客様のいう日付では承っておりません」などと言って相手のミスだったことを主張しないようにしましょう。
④電話ではなくメールで対応する
電話でクレーム対応を受け付けると、相手はヒートアップしてしまうケースもあります。
できる限りメールでやりとりする方がお互いに冷静に対処することができるでしょう。
とはいってもクレームをいう顧客の中には電話対応を求める方も多いはず。
その場合は、顧客の要望に応じて、丁寧な電話対応を心掛けましょう。
間違っても相手の言葉に応戦したやりとりはしないでください。
クレーム対応をメールにした方が良い理由は冷静な対応ができるだけではなく、やりとりの記録が残るからです。
後から、言いがかりをつけてくる顧客もいますので、証拠として記録が残った方が運営側には有利です。
⑤苦情対応のやり取りは記録に残す
苦情対応のやり取りは、できる限り記録に残すことも忘れずに。
メール対応であれば、自然にやり取りはデータで保管されます。
メールの履歴も期間を決めて、できれば長めに保管できると、クレーム内容の傾向分析などにも役立ちます。
また、実際のトラブル事例もわかりやすいため、今後の対応に役立つでしょう。
もしも電話対応や来客対応の場合にも、ICレコーダーや電話の音声録音機能などを使って、できる限り記録を残しましょう。
通販の電話窓口は、「録音させていただきます」などのメッセージと共に録音しておけば、苦情をいう顧客も冷静に訴えることができるかもしれません。
万が一相手がヒートアップし、恐喝などに発展したとしても、記録があればそのまま警察や弁護士に相談することもできるでしょう。
クレーム対応で注意すべきこと
クレーム対応時の注意点などはありますか?
クレーム対応で注意するべきこともいくつかあります。
注意点を遵守していれば、クレーム内容で訴えられるなどのケースも少なくなるでしょう。
①NGワードを使わないように気を付ける
クレーム対応にはNGワードがいくつかあります。
NGワードは使わないようにしてください。
先ほど例で挙げた、「お客さま話を聞いてください」「ご理解ください」などは代表的な例です。
相手を余計に怒らせてしまいますので、使わないようにしましょう。
そのほか、「だから」「ですから」などの言い訳じみた言葉もNG。
推論系での話も控えた方が無難です。
たとえば「おそらくなのですが」「多分」などと確認もせずに推論で話しても、相手は信用してくれません。
余計に不信感を募らせるでしょう。
また、「え?」「は?」など相手を馬鹿にしたような態度は当然厳禁です。
また、相手に非があるように聞こえる言葉もNGワード。
たとえば「以前にもお伝えした通り」「お客様がミスされています」「ここに記載がある通りに」などいわれると、顧客はカッとなってしまいます。
使いたい気持ちもわかりますが、グッと堪えて我慢しましょう。
そして怒っている顧客に対して「残念です」などとは言わないようにしてください。
残念なのは顧客の方で、ショップ側ではありません。
「ご満足いただけずに残念です」と言われると顧客はカチンときますので言わないようにしましょう。
②話を遮らない
相手の言葉を遮らないことも重要なポイントです。
クレームを言う心理はまずは話をとことん聞いて欲しいと感じているから。
そのため、相手の話が終わるまでは、言葉を挟まずに、冷静に相槌だけを打って話を聞いてあげてください。
ただ無言で聞いていればいいわけではありません。
無言では、顧客から「この人、聞いてるの?」と不審に感じられてしまうでしょう。適度な相槌は必要です。
クレームをいうタイプの人は共感を求めています。
「おっしゃる通りです。」などの相槌は相手を冷静にさせることにも成功しますので、ぜひ取り入れてください。
③たらい回しにしない
顧客からのクレーム連絡はたらい回しにしないことが鉄則です。
受付窓口で受け付けた後、「その内容でしたら、販売窓口になります」と電話を転送し、「それはうちじゃないんですよ。営業に連絡しますね。」などとあっちこっちにたらい回しされた挙句、受付に戻ることはよくあること。
よくあることとはいえ、これはダメな会社がやっている対応です。
クレーム窓口は一つに絞り、一つの窓口で対処できるように、内部調査をしてください。
顧客を回すべきではありません。
企業としての信頼性の問題にも発展しますので、たらい回しはやってはいけないNG行動です。
④冷静さを見失わない
冷静さを見失わないことも重要です。
クレーム対応でついカッとなってしまう方には、クレーム対応は向いていません。
常に冷静で相手に共感できるタイプの人をクレーム対応の担当者にしてください。
誰をクレーム担当にするかでもネットショップの信頼性は変わってきます。
そして、重大なショップ側のミスなどの場合は、担当者だけに謝罪させずに責任者がきちんと顧客に謝罪する姿勢も大切です。
たとえば、商品の価格が100円だったにもかかわらず間違えて10,000円をクレジットカードから引き落としてしまった、顧客情報が漏洩してしまっていたなどの場合は、責任者がきちんと謝罪するべき重大なクレームです。
相手の言葉をきちんと聞いて、状況を冷静に分析でき、冷静な対応ができる担当者教育にも力を入れていきましょう。
⑤電話対応時は大きな声でゆっくり話す
電話対応時には、大きな声でゆっくり相手が聞き取りやすい声で会話することも大切なポイント。
早口で話されても顧客は何を言われているかわかりませんし、ボソボソ小声で話されても余計にイライラするでしょう。
電話対応の担当者には、大きな声でゆっくり話をするように教育していくことも大切です。
⑥装いや仕草に注意する
顧客がネットショップの運営会社まで乗り込んで来るケースもあります。
ネットショップの中には実店舗とECサイトを併設しているケースも多いもの。
その場合には、装いや仕草にも十分注意した真摯なクレーム対応を心掛けてください。
相手を不快にさせるような不潔な格好や、派手な装いは謝罪の場には向きません。
相手を不快にさせない清潔感のある装いで丁寧な仕草を心掛けてください。
通販でクレームをいう顧客の心理
ちょっとした要望や質問でなく、クレームに発展してしまうのは何故なのでしょうか?
通販でクレームを言う顧客の心理はさまざまですが、主に以下3パターンに分けられるでしょう。
- 本当に困って、相談したいだけ
- ショップの対応が気に入らずに怒っていて、文句を言わずにはいられない
- クレームを言って対応を楽しみたい
意外に思うかもしれませんが、一番多いパターンとしては、①です。
お客様は文句を言いたいのではなく、困っているので何か代替案はないのか?を知りたいだけなのです。
たとえば、誕生日プレゼントを手配したはずが、どうしても届かない、代わりに違うものなら届くなどの提案はないのか?などを知りたいのです。
困っている心理を理解し、冷静に相手の要望を掴めるかどうかもクレーム対応では重要になるでしょう。
次に多いのは②の心理です。
ネットショップの対応にミスが重なってどうしても苦情を言いたいという心理。
たとえば、日付指定に届かず、遅れて届いたものが不良品だったなどの場合です。ミスが続けばイライラする気持ちもわかります。
このようなお客様の気持ちは、とにかく謝って欲しい、原因と対策を知りたいという心理。
顧客が何を考えているかをしっかり把握して、何をして欲しいのかを分析できる能力も必要です。
最後に③ですが、いわゆるクレーマーの心理です。
あっちこっちでクレームを言うのが趣味のような人も実際にいるのは事実。
どのショップがどう対応したのかなどを、趣味で分析しているタイプの人も中にはいます。
クレームの内容も出鱈目なケースが多いので、何度も同じようなクレームを言ってくるのでわかる可能性が高いでしょう。
この手のクレーマー対応には、記録をとって営業妨害で弁護士などに相談することも一つの手段です。
クレームは全てが正当なものとは限りません。
そのためにも確実に記録は残しておきましょう。
そして記録を定期的に分析することも重要です。
いつも不当にクレームを言うクレーマーを見つけることもできます。
悪質なクレーマーには真面目に対応するだけ時間の無駄です。
まとめ
通販のクレーム対応は冷静な状況分析と事前対策が必要です。
クレーム対策をしてもクレームはなくなるわけではありません。どうしても外部要因や人的ミスなどでクレームを受ける場合はあります。
その場合には、冷静に対処して、顧客離れを防いでいきましょう。
何度も繰り返される悪質なクレーム対応に備えて、記録を残すことを忘れずに。
もしも嫌がらせに逢った場合は、できるだけ早めに弁護士に相談してください。
そして、健全な通販サイトの運営をしていきましょう。
東 拓治 弁護士
福岡県弁護士会所属
あずま綜合法律事務所
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【弁護士活動20年】
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