「批判に対する報復として企業から数千万円を請求された」
「SNSでの投稿に対して高額な損害賠償を要求された」
「権利を主張したら大量の訴訟で潰すぞと脅された」
このような局面にあたったとき、「これは不当な訴訟では?」「どう対応すればいいの?」「小規模事業者や個人が大企業相手に戦えるの?」と不安に思われる方も多いでしょう。
このような威圧的な訴訟は「スラップ訴訟」と呼ばれています。
これは、勝訴の見込みがないにもかかわらず、相手方への嫌がらせや言論抑圧を目的として提起される訴訟のことです。
スラップ訴訟では、適切に対応すれば勝訴できるケースも少なくありません。
さらに、明らかに不当な訴訟の場合は、逆に訴訟を起こした側に損害賠償を請求できる可能性もあります。
本記事では、スラップ訴訟の定義から判例・事例、特徴や対処法まで、弁護士監修のもと徹底解説します。
不当な訴訟に怯えることなく、正しい知識で自らの権利を守りましょう。
記事に入る前に・・・
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スラップ訴訟とは相手への嫌がらせ目的で行う訴訟のこと


日本では「恫喝訴訟」とも呼ばれており、近年社会問題として注目されています。

「スラップ」とはどういう意味なんでしょうか?
スラップ(SLAPP)とは、「Strategic Lawsuit Against Public Participation」の略称で、「公的参加を排除するための戦略的訴訟」を意味します。
この言葉は1980年代のアメリカで社会問題として注目され始めました。
「SLAPP」という呼称は、平手打ちを意味する「slap」をかけた表現とも言われています。
日本語では威圧訴訟や恫喝訴訟、嫌がらせ訴訟とも呼ばれることが多いですが、これにとどまるものではありません。
本来、訴訟は紛争解決のための手段ですが、スラップ訴訟は訴訟制度を悪用し、言論封殺やいやがらせを目的としています。

このため、通常の訴訟とは根本的に性質が異なります。
近年、日本ではスラップ訴訟が増加傾向にあると言われています。
特にSNSの普及により、個人の発言が広く拡散されやすくなったことで、企業や団体だけでなく個人間でもスラップ訴訟と思われる訴訟が増えています。
また、スラップ訴訟は、大企業や権力者が市民活動家やジャーナリスト・小規模事業者などを標的とするパターンが主流でした。
しかし、最近では個人間での報復や嫌がらせ目的の不当訴訟も増加傾向にあります。
例えば、SNSへの投稿に対する名誉毀損訴訟や、法律上の権利行使への報復的損害賠償訴訟などもその一例です。

スラップ訴訟をされないための対策はあるのでしょうか…。
なぜスラップ訴訟が行われるのか


そもそも、何故スラップ訴訟をするのでしょうか?

スラップ訴訟が行われる主な目的は、相手方を威圧し、消耗させ、見せしめにすることです。
まず「威圧効果」として、高額な損害賠償を請求することで相手に不安を与え、言論活動や権利行使を萎縮させる特徴があります。
例えば、ある企業のパワハラ問題を告発した人に対し、5,000万円もの法外な損害賠償を請求することで、これ以上活動を続けないよう圧力をかける、などが挙げられます。
次に「消耗効果」です。
これは、訴訟対応のために相手方に金銭的・時間的・精神的負担を強いることを目的としています。
たとえば、1億円の損害賠償請求に対応するには、仮に勝訴しても弁護士費用として数百万円以上の負担が生じることがあります。
また、反論のための事実関係整理や証拠収集には膨大な時間が必要で、訴訟は第一審だけでも1年程度かかるのが通常です。
さらには「見せしめ効果」もあります。
一部の者に対して訴訟を提起することで、他の人々も同様の発言や行動を避けるよう仕向けることです。
たとえば、大企業の経営方針について批判的な意見を述べた人が高額の損害賠償を請求された場合、同様の意見を持つ人々も自分も訴訟に巻き込まれるのを恐れて発言を控えるようになるでしょう。
もちろんスラップ訴訟を起こす相手方もある程度の時間や手間をかける必要がありますが、手間をかけてでも言論抑圧をしたいという意図のもと、スラップ訴訟を起こすのです。
【チェックリスト付き】スラップ訴訟に共通する特徴


正当な訴訟なのかスラップ訴訟なのか、何から判断すればよいのでしょうか?

スラップ訴訟かどうかを見極めるためには、共通する特徴を理解しましょう。
裁判所は共通する特徴を総合的にふまえつつ、訴えた内容が裁判制度の趣旨や目的に対して著しく相当性を欠くと認められる場合に、スラップ訴訟として不法行為責任を認める傾向にあります。
不当な目的の存在
スラップ訴訟における実際の判例では、以下のような目的が不当であると認められています。
- 批判的言論の抑圧
- 相手方への嫌がらせや制裁
- 相手方の言論活動や権利行使の萎縮
- 公的問題の参加妨害
例えば後述の、幸福の科学事件では「主に批判的言論を威嚇する目的」、武富士事件では「批判的言論を抑圧する目的」、黒瀬町事件では「被告らに対する制裁目的」があったと判断されています。
このような不当な目的があったかどうかは、提訴の経緯や提訴のタイミング、提訴者の言動などから総合的に判断されます。
特に、批判的報道や公益的意見表明に対して短期間で提訴したケースでは、不当な目的の存在が認められやすい傾向があります。
不当な目的か?チェック項目
- 批判的言論に対する報復目的が見られる
- 相手方の言論活動を委縮させる意図がある
- 提訴が公的問題への参加を妨げようとしている
- 提訴のタイミングが不自然に短期間である(例:報道後すぐ)
- 他の手段を検討せずに訴訟を急いでいる
請求額・内容の不相当性
スラップ訴訟では、請求額や請求内容が実際の損害と比較して、著しく不相当であることが多いです。
法外な高額請求は相手方に経済的・精神的負担を与える効果があり、それ自体が威圧の手段となります。
実際の判例では、幸福の科学事件で8億円、武富士事件で5,500万円、DHC事件で6,000万円といった高額な請求が行われており、裁判所はこれらを「不相当に高額」と判断しています。
また、黒瀬町事件では130万円という比較的少額の請求でしたが、記事掲載から1年経過後に提訴されるなど、請求内容の不相当性が認められました。
幸福の科学事件
宗教法人「幸福の科学」が、教団に批判的な発言を行った元信者や弁護士に対し、名誉毀損を理由に損害賠償を求めて訴訟を起こした事件。
最終的に宗教法人側の請求は棄却されました。
武富士事件
消費者金融業を営む武富士が、自社に批判的な記事を掲載した出版社に対し、高額な損害賠償と謝罪広告の掲載を求めて訴訟を起こした事件。
消費者金融側の請求は棄却されました。
DHC事件
化粧品等を取り扱う企業であるDHCが、同社に批判的な発言を行った弁護士に対して、名誉毀損を理由に損害賠償を求めて訴訟を起こした事件。
当初2000万円の請求から6000万円に拡張されましたが、裁判所はこの請求を認めませんでした。
黒瀬町事件
町議会議員らの広報誌記事を名誉棄損とした町が、損害賠償を求めて提訴し、議員側も逆に不当訴訟として賠償を請求した事件。
町側の請求は棄却、議員側の請求は一部認容されました。
請求額が不相当かどうかを判断する際には、同様の事案で認められる損害賠償額との比較や、主張されている権利侵害との釣り合い、根拠となる資料の有無などが考慮されます。
特に具体的な損害の算定根拠を示さずに高額な賠償請求をするケースは、スラップ訴訟の特徴と言えるでしょう。
請求額が不相当か?チェック項目
- 請求額が同種事案の一般的な賠償額と比較して著しく高額である
- 損害額の具体的な算定根拠が示されている
- 請求内容が侵害の程度と比較して不均衡である
- 複数の被告に対して同様の高額請求を行っている
- 相手方の社会的・経済的立場を考慮すると請求額が著しく負担になる
提訴者の認識(勝てないと知りながら提訴)
提訴者が自らの請求に事実上または法律上の根拠がないことを知っていた、あるいは通常の判断力を持つ人であれば容易にそのことを知り得たにもかかわらず、あえて訴訟を起こすことも、スラップ訴訟の特徴の一つです。
この考え方は最高裁(昭和63年1月26日判決)で示され、不当訴訟の判断基準の中核とされています。
実際の判例では、武富士事件では「請求が認容される余地のないことを知りつくしていた」、DHC事件で「請求が認められないことを、通常であれば容易にそのことを知り得た」と認定されました。
具体的には、以下のような状況が該当します。
- 問題とされた言論が公共性・公益性のある事実や意見であることが明らかな場合
- 批判の対象となった事実が既に確定判決や公的調査で認定されている場合
- 名誉毀損で訴えているのにもかかわらず、摘示事実の真実性やその相当の理由があることを容易に認識できる場合
- 批判の対象となった事実について、自らが公に認めていた場合
武富士事件では、消費者金融業者が「各記述の大部分が真実であることを、既にされた確定判決の内容や行政当局への申立てに伴う調査によって、あらかじめ認識し、又は容易に認識することが可能であった」と認定されています。
あえて訴訟を起こしているか?チェック項目
- 批判の対象となった事実が既に公知の事実である
- 問題とされた言論に公共性・公益性があるのは明らか
- 事実的・法律的根拠の不存在を示す資料が存在する
- 提訴前に真実性の調査を十分に行っていないか
- 同種の訴訟で敗訴した前例があるにもかかわらず提訴している
訴訟遂行態様(真摯さを欠く)
スラップ訴訟では、提訴者の訴訟対応に真摯さを欠けている例が少なくありません。
本来の目的が紛争解決ではなく嫌がらせや言論抑圧にあるため、訴訟そのものに対する姿勢も形式的・表面的になりがちです。
N国事件では「本訴請求に係る訴え提起後も、本件裁判資料を持参せず、被告提出の証拠を確認しないと陳述するなど、訴訟遂行に意欲的ではない」ことが認定されています。
また、黒瀬町事件では「町は、本件記事に対し、反論があるなら議会での討論や町の広報を利用することなどが考えられるが、代替手段を検討した形跡が見当たらない」と指摘されています。
N国事件
東京都の市議が、フリージャーナリストを相手に名誉毀損を理由に損害賠償を求めて訴訟を起こした事件。
市議会議員側の請求は棄却されました。
この場合の、訴訟遂行するうえでの問題点は、以下のとおりです。
- 裁判資料や証拠の準備不足
- 訴訟進行に協力的でない態度
- 訴訟以外の代替手段の検討を怠っている
- 同時期に複数の類似訴訟を提起している
特に、代替手段を検討したかどうかは重要視されており、批判に対しては本来言論で対抗するのが望ましいとされています。
真摯さを欠いているか?チェック項目
- 訴訟進行に非協力的な態度が見られる
- 主張・立証が不十分または不誠実である
- 言論による反論など、より適切な代替手段を検討していない
- 短期間に複数の類似訴訟を提起している
- 訴訟取下げと再提訴を繰り返すなど不誠実な行動がある
表現の自由との関係性
スラップ訴訟は、「表現の自由」と深く関わっています。
スラップ訴訟が問題視される最大の理由は、公的な議論や批判的言論を萎縮させ、表現の自由ひいては民主主義の根幹を脅かす点にあります。
そのため、訴訟の対象となった表現の性質も、重要な判断要素です。
実際の判例では、幸福の科学事件における記者会見やセミナーでの発言、武富士事件では消費者問題に関する書籍の記述、黒瀬町事件では町政批判の広報誌、DHC事件で「政治とカネ」に関するブログ記述など、いずれも公共性・公益性のある表現が対象となっていました。
裁判所はこれらの表現が持つ社会的意義をふまえ、「公正な論評の法理」や「公共性・公益性」を根拠に表現の正当性を認める判断を下すことが少なくありません。
特に、政治的表現や消費者問題、環境問題や公的機関の批判など、民主主義社会における公的議論に関わる表現については、より強く保護される傾向にあります。
一方で、個人的な問題に限られる内容や明らかな虚偽情報、単なる誹謗中傷に該当する表現がスラップ訴訟にあたるかどうかの判断は、慎重に行われます。
表現の性質はどうか?チェック項目
- 批判対象は公的人物・企業・団体
- 表現内容に公共性・公益性がある
- 政治的表現や公的議論に関連する内容
- 表現方法が社会通念上許容される範囲内
- 表現の目的が公益を図ることにある
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スラップ訴訟を起こされた場合の対処法

スラップ訴訟を起こされた場合、理不尽と感じても落ち着いて対応することが重要です。

スラップ訴訟は自分に対する嫌がらせなので、無視してもいいでしょうか?

無視したり放置したりすると、相手方の主張通りの判決が下される可能性があるため注意しましょう。
訴状は無視せず必ず対応する
スラップ訴訟は、その内容が不当であっても、正式な法的手続きとして開始されます。
したがって、訴状が送達されたら、どれだけ理不尽な内容であっても無視してはいけません。
民事訴訟では、被告が応訴しない場合、原告の主張をすべて認めたと見なされ、欠席判決が下される可能性があります。
訴状を受け取ったら、まず期日と出頭場所を確認し、指定された裁判所へ出頭するか、弁護士に代理を依頼して対応する必要があります。
出頭せずに訴訟期日を経過させると、相手方の言い分がすべて認められてしまう恐れがあり危険です。

これは、民事訴訟の基本的なルールであり、たとえスラップ訴訟であっても例外ではありません。
「どう見ても嫌がらせ目的なら、何もしなくても裁判所が門前払いしてくれる」と考えるのはやめてください。
民事訴訟は、反論しないと相手の言い分を全部認めたことになってしまうからです。
しっかりと応訴すれば、相手方の不当な請求を退けられるでしょう。
また、訴状に記載されている請求の趣旨や請求の原因をよく読み、何を根拠に何を求められているのかを正確に把握することも重要です。
これらの情報は、今後の対応方針を決める上で欠かせません。
弁護士に速やかに相談する
スラップ訴訟に対応するためには、専門的な法的知識が必要です。
そのため、訴状が届いたら、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをお勧めします。
特に、スラップ訴訟の対応を得意とする弁護士を探すことが望ましいです。
日本では、スラップ訴訟に関する議論が発展途上の段階にあり、どのような訴訟がスラップ訴訟に該当するのか、どのように反論していくべきかについては、高度な知識が求められます。

弁護士は、訴状の内容を分析し、その請求に事実上または法律上の根拠があるかどうかを判断した上で、状況に応じた防御戦略を立てることが可能です。
弁護士に依頼する場合、費用はかかりますが裁判において適切に対応してもらえるだけでなく、自身の精神的・時間的負担も大幅に軽減されます。
また、相手方の請求が明らかに不当であると判断できる場合は、反訴として弁護士費用相当額の損害賠償を請求することも可能です。
さらに、弁護士に相談することで、当該訴訟自体の見通しや対応方針についてアドバイスを得られます。
スラップ訴訟と考えられる場合には、反訴の提起についても相談できるでしょう。
その場合、「どのような事実関係があるのか」「どのような証拠があるのか」「法的な観点からは、どのような反論ができるのか」といった点を、個別具体的に検討する必要があります。
必要に応じプレスリリースなどで反論する
スラップ訴訟の提起と同時に、相手方があなたに対する批判的なメッセージをSNSや報道機関などを通じて発信している場合は、こちらも反論を検討する必要があります。
たとえば、プレスリリースを通じて抗議のメッセージを発信することで、状況を打開できることがあります。
スラップ訴訟の目的の一つに、訴えられた側の社会的評価を下げることがあります。
そのため、沈黙していると原告側の一方的な情報だけが広まり、結果として自らの立場が不利になる可能性もあるのです。
特に、公益性の高い活動や表現をめぐる訴訟であれば、その事実を公にすることで社会的支援を得られることもあります。
ただし、場合によっては不適切と受け取られ、世間の強い批判を浴びるおそれがあるため、発信内容は慎重に検討すべきです。

弁護士と相談の上、法的リスクを最小限に抑えた内容で発信することが重要です。
また、可能な限り客観的かつ正確に伝えるよう心がけましょう。
反論の手段としては、プレスリリースのほかにも、記者会見、SNSでの発信、自社ウェブサイトでの声明発表などがあります。
状況に応じて最も効果的な方法を選択しましょう。
反訴の提起を検討する
訴訟が明らかに不当であると判断される場合は、反訴の提起も検討しましょう。
提起された訴訟が、事実的・法律的根拠を欠いており、容易に認められない場合や、威嚇等の不当な目的で提起されている場合には、不当訴訟として損害賠償を請求できる可能性があります。
具体的には、訴訟対応による精神的苦痛に対する慰謝料や弁護士費用などの実費の補填を請求することが考えられます。

最高裁判所は、「訴えの提起が違法行為となるのは、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くと認められるとき」と判断基準を示しました。
反訴のメリットは、同じ裁判手続き内で請求できるため、時間と費用を節約できることです。
また、同じ裁判所が本訴と反訴を一括して審理することで、判断に一貫性が保たれるため、判断の矛盾を避けられます。
第三者の支援を募る
スラップ訴訟の被害者となった場合、個人や小規模団体にとって訴訟対応の負担は非常に大きいものです。
こうした状況において、支援者を募ることも有効な対処法の一つとなります。
スラップ訴訟は、社会的に注目されている問題です。
特に公益性のある活動への妨害である場合、多くの支援を集められる可能性があります。
支援の形態としては、以下のようなものがあります。
- 弁護士費用のクラウドファンディング
- 支援団体の結成
- 専門家からの助言提供
実際に、日本でもスラップ訴訟に対する社会的関心が高まっており、被害者支援の動きも広がりを見せています。
弁護士や法律家団体、市民団体などと連携し、情報共有や支援ネットワークを構築することで、孤立せずに訴訟に対応できるようになります。
また、メディアの注目を集めることで、スラップ訴訟を提起した側に対して社会的圧力をかけることも可能です。

ただし、訴訟の進行に影響を与えないよう、発信する情報の内容や表現には、十分注意する必要があります。
日本にスラップ訴訟防止法はある?
アメリカでは半数を超える州で「アンチSLAPP法」が制定されています。
この法律により、被告は「自分に対する提訴はスラップ訴訟である」という申立てを裁判所に提出し、裁判所がスラップ訴訟と認定した場合には、それ以上の審理を経ずに訴訟が打ち切られる仕組みになっています。
一方で、日本には現時点でスラップ訴訟を規制する法律が存在していません。
憲法32条で「裁判を受ける権利」が保障されているためです。
現状では、民法709条の不法行為責任の枠組みの中で、「訴えの提起が裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く」場合に限り、スラップ訴訟を不法行為として扱っています。
ただし、近年では日本でもスラップ訴訟に対する社会的関心が高まっており、法制度の整備を求める動きも少しずつ出てきています。

2023年には、参議院に「反スラップ法の制定に関する請願」が提出されました。
また、表現の自由や公共の議論を守るための法整備を求める声も上がっています。
スラップ訴訟防止法がない現状で、不当訴訟に対抗するための法的手段としては、以下のようなものが挙げられます。
- 民法上の不法行為に基づく損害賠償請求
- 訴権の濫用を理由とする訴え却下の申立て
- 反訴の提起
しかし、これらはいずれも事後的な対応であり、スラップ訴訟による萎縮効果を事前に防ぐことは難しいのが現状です。
まとめ
スラップ訴訟は言論封殺や嫌がらせを目的とした不当な訴訟ですが、適切な知識と対応があれば必要以上に恐れる必要はありません。
重要なのは、訴状を無視せず必ず対応すること、早期に弁護士に相談すること、そして必要に応じて反訴も検討することです。
裁判所は「裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠く」訴訟は違法と判断しており、スラップ訴訟と認定された場合に、損害賠償が認められる事例も増えつつあります。
表現の自由や正当な批判を守るためにも、正しい知識を身につけてスラップ訴訟に立ち向かうことが大切です。
木下慎也 弁護士
大阪弁護士会所属
弁護士法人ONE 代表弁護士
大阪市北区梅田1丁目1-3 大阪駅前第3ビル12階
06-4797-0905
弁護士として依頼者と十分に協議をしたうえで、可能な限り各人の希望、社会的立場、その依頼者らしい生き方などをしっかりと反映した柔軟な解決を図ることを心掛けている。
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