中学生や高校生の子どもを持つ親にとって、子どもがインターネットトラブルに巻き込まれるリスクは、避けて通ることは難しい現状があります。
自分自身がインターネットについてあまり詳しくない場合でも、子どもがトラブルになったときに適切に対応できるよう知識を持っておくことは重要です。
本記事では、インターネットトラブルの種類や事例、対処法について、解説していきます。
記事に入る前に・・・
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インターネット上の誹謗中傷・名誉毀損
誹謗中傷・名誉毀損トラブル
インターネット上では、その匿名性から、相手を誹謗中傷・名誉毀損するような内容を気軽に書き込みやすいという特徴があります。
そのため、誹謗中傷されるターゲットになるリスクがあるだけでなく、誹謗中傷の加害者にもなってしまうリスクもあります。
事例
インターネット上の匿名の掲示板に「○○高校のAは、テストでカンニングしている」「親が犯罪者である」などと繰り返し事実無根の書き込みがなされている場合、どのように対処すればよいのでしょうか。
対処法
インターネット上の誹謗中傷に対しては、次のような対処法が考えられます。
情報の削除
インターネット上の情報によって、名誉権などの人格権を侵害されている場合には、削除請求が認められます。
また、誹謗中傷の書き込みをしてしまった側であっても、削除請求して、民事責任や刑事責任を軽くし、相手への被害を最小限にとどめることが大切な対処法になります。
誹謗中傷・名誉毀損が行われたサイトの管理者やサーバーの管理者など、情報の削除が可能な立場にある者に対して削除請求を行います。
発信者を調べる
プロバイダ責任制限法という法律によって、一定のケースにおいて、発信者情報の開示請求が認められています。
開示請求は、裁判だけでなく裁判外でも可能ですが、開示を求める正当な理由があると判断される必要があります。
発信者が特定できたら損害賠償請求をする
発信者情報開示請求によって発信者が特定できたときには、誹謗中傷や名誉毀損について発信者に損害賠償請求できる可能性があります。
刑事告訴したり被害届を提出したりする
発信者が特定できたときには、誹謗中傷などが刑法上の名誉毀損や侮辱罪などに該当するのであれば、刑事的な責任を追及できることもあります。
インターネット上のいじめ
インターネット上のいじめトラブル
学校の教育現場などでも、インターネットを利用した授業が導入され、比較的低年齢の子どもであっても、インターネットを日常的に利用する機会が増えています。
そういった環境の中で、特定の子どもに対して誹謗中傷が行われたり、通信アプリにおいて特定の子を外してグループで会話したりといったインターネット上のいじめトラブルも見うけられます。
事例
Bさんは、インターネットの通信アプリでグループトークをしていたところ、「○○ちゃんって面白いよね」という意味で「○○ちゃんっておもしろくない?」とメッセージを送ったつもりが、「?」を入れ忘れて送信してしまいました。
それ以来、メッセージを送っても誰からも返信がなく、自分を外した別のグループトークで悪口を言われいじめられているようなケースでは、どのような対処法があるのでしょうか。
対処法
子どもがインターネット上でのいじめにあっている場合には、保護者のつながりを活用して情報収集したり学校に相談したり、相談機関に相談したりと、ケースに応じた対処法をとる必要があるでしょう。
また、内容によっては、サイトの管理者に削除請求をして、いじめの相手方を特定して損害賠償請求するなど、法的な対応策を検討することも選択肢になります。
インターネット詐欺
インターネット詐欺
インターネット上では、インターネット詐欺に遭遇したり、ウイルス攻撃でPCを使えなくされて復旧に関してお金を要求されたりといったトラブルが発生する可能性があります。
インターネット上で面識のない相手と個人的に取引をする場合には、慎重な対応が求められるといえるでしょう。
事例
Cさんは、あるアーティストの大ファンで、限定ライブのチケットを購入したかったのですが、入手できませんでした。
そこで、インターネットの掲示板で「チケットを譲ってほしい」と呼びかけたところ、譲ってくれるという人がいたので、指定された口座に入金したところ、相手と連絡がとれなくなりチケットも送られてくることもありませんでした。
対処法
事例のようなチケット詐欺は、ファン心理につけこまれやすく、未成年も被害に遭いやすい詐欺といえます。
このようなトラブルでは、警察に相談することによって、発信者の記録や銀行口座から犯人逮捕に至る可能性もあります。
しかし、必ずしも警察に相談したからといって、お金が戻ってくるケースばかりではありません。
チケットは、正規のルートから購入し、会ったこともない相手からチケットを買わないようにするよう注意が必要になります。
個人情報の流出やストーカー被害
個人情報の流出やストーカー被害
インターネット上では、意図せず不特定多数に個人情報が流出してしまうリスクがあります。
個人情報そのものが掲示板などに勝手に記載されたり、SNSに投稿した写真の背景から自宅などを特定されたりすることもあります。
また、ネット上には、個人情報を把握して実際のストーキング行為に及ぶネットストーカーもいるので、インターネットにのせる情報は注意深く検討しなければなりません。
事例
Dさんは、知らない人から電話で交際を迫られたり、冷やかしの言葉がかかれた不快なメールを受け取ったりするようになりました。
どのように個人情報を知ったのかを探ってみると、ネットの出会い系サイトに、自分の名前や写真、メールアドレスなどが勝手に掲載されていることが分かりました。
対処法
事例のようなケースでは、個人情報を掲載しているサイトの運営者などに情報の削除を早急に求めることが対処法になります。
実際にストーカー被害などが発生した場合には、証拠を保存した上で警察や弁護士などに相談して対処法を相談することが大切です。
ケースによっては、犯人に対して損害賠償請求や慰謝料請求、刑事責任を追及できる場合もあります。
ネットショッピングトラブル
ネットショッピングトラブル
インターネットでは、実際に店舗に行かなくても、ネット上で商品を選択して購入することが可能です。
どこにいても、好きな時間に多くの商品のなかから好きな物を選択して購入できるという大きなメリットがあるため、非常に多くの方に利用されています。
しかし、ネットショッピングでは、基本的に商品の現物そのものを見ることなく、インターネット上の情報で判断することになるため、トラブルも少なくありません。
事例
Eさんは、冠婚葬祭に使える黒い靴が必要だったため、インターネット上の商品画像を検索して、その中から一つの靴を選択して購入の申し込みをしました。
しかし、届いた商品を開けてみたところ、中に入っていたのは白みがかったグレーの靴で、どうみても商品画像と一致しません。
購入先に問い合わせても、返品や返金は受け付けていないと言われてしまいました。
対処法
ネットショッピングでは、事例のように、思っていた商品と違うものが手元に届くケースも少なくありません。
そういった場合には、民法上の錯誤を主張して契約の取消を行うほか、ネットショッピングは特定商取引法の「通信販売」に該当するため、返品して代金の返金を求められる可能性があります。
また、ネットトラブルで困った時には、消費生活センターなどへの相談も利用するとよいでしょう。
出会い系サイトの性的被害や暴行
出会い系サイトの性的被害や暴行
インターネットトラブルとしては、出会い系サイトなどで出会った相手から性的被害や暴行被害にあうケースがあります。
インターネット上の出会い系サイトなどでは、素性を偽ることが容易にできます。
また、当事者間で文字だけを介してやりとりをするので、相手の本質的な部分まで見抜くことは難しいといえるでしょう。
そのため、特に未成年者などは、インターネット上で気が合い、軽い気持ちで会ってみた結果、性的被害などにあってしまうリスクに注意することが必要になります。
事例
Fさんは、インターネット上の出会い系サイトを利用したところ、ある男性と親しくなりました。やり取りでは優しく紳士的であったため、「会おうよ」と言われて、実際に会うことになりました。
しかし、待ち合わせ場所に行くと、男性だけでなく数人の仲間が待ち伏せていることに気が付きました。
Fさんはなんとか逃げ出すことができましたが、性的被害や暴行被害を受けそうになった恐怖感はいつまでも消えずにいます。
対処法
性的被害や暴行被害などは、警察や弁護士などに相談すると、刑事責任を追及できる可能性があります。
出会い系サイトなどでは、個人情報が漏洩しないように注意し、相手によっては危険なリスクがあることを理解して慎重に対応することがのぞまれるといえるでしょう。
SNSにおける炎上
SNSにおける炎上
SNSにおける炎上トラブルは、インターネットを利用する上で遭遇しやすいトラブルといえるでしょう。
SNSは、誰もが気軽に利用できる反面、ちょっとしたきっかけで炎上するリスクもあるものです。
また、元となる記事を削除しても、その画面を保存していた第三者に拡散され、あっという間に広まってしまう可能性もあります。
事例
Gさんは、SNSで投稿を繰り返しているうちに、フォロワー数も増え、不特定多数のフォロワーからコメントが寄せられるようになりました。
しかし、ある投稿をきっかけに、「人を馬鹿にしている」「人気があるからといっていい気になっている」「痛い目を見せないと分からない」などといったコメントが寄せられ炎上する事態になってしまいました。
対処法
SNSは、そもそも炎上リスクのある内容を含んでいないかを慎重に検討した上で投稿することが大切です。
また、写真などに個人情報を特定するものが映り込んでいないかにも注意が必要になります。
もしSNSの炎上トラブルが発生してしまったときには、誹謗中傷に対する対応策をとったり、身の危険を感じるときには警察に相談したりといったケースに応じた対処法をとるとよいでしょう。
著作権侵害や二次利用
著作権侵害や二次利用
インターネット上では、著作権侵害や二次利用をめぐるトラブルが発生することもあります。
他人の著作物をインターネット上で使用する場合には、無断で掲載すると著作権侵害になるリスクがあります。
そのため、他人の著作物を使用するときには、許可を得たり、著作権を侵害しない範囲で使用したりするなどの工夫が必要です。 写真やイラストなど二次利用についても、同様の注意が必要になります。
事例
Hさんは、自分の好きな歌の歌詞や興味をもった新聞記事を掲載するブログを開設しました。
しかし、ある日、これらの掲載が著作権侵害にあたるとして、掲載の差し止めと損害賠償を求めるメールが届きました。
対処法
ブログで好きな歌の歌詞や新聞記事について、無断で掲載した場合には、著作権侵害にあたる可能性はあります。
しかし、掲載内容が著作権法上の「引用」といえる場合には、著作権者の許諾なくブログに掲載することが認められます。
基本的に、「引用」かどうかは、「公正な慣行に従った正当な範囲内であるかどうか」が判断基準となります。
詳しくは、ケースに応じた判断が必要になるため、トラブルになったときには弁護士などに相談するとよいでしょう。
犯行予告や脅迫
犯行予告や脅迫
犯行予告や脅迫は犯罪であり、罪に問われる可能性があることは、ほとんどの人が知っていることでしょう。
しかし、インターネット上では、「どうせ特定されないだろう」「面白いからやってみよう」などと安易な気持ちでこれらの行為が行われることもあります。
また有名人などに対して、日頃の鬱積した感情を発散させるために、脅迫行為が行われるケースもあります。
事例
Iさんは、よく利用している飲食店で携帯の使用をめぐって従業員とトラブルになり、「今後は店を利用しないでほしい」と店主から言われました。
その後、Iさんは怒りが収まらなかったため、「〇月〇日、店を爆破する」「従業員○○は絶対殺す」などとメールしたり、店を掲載しているグルメサイトに「店をたたまなければ家族も安全だと思うな」などといった書き込みを繰り返したりしました。
対処法
店側の対処法としては、警察などに相談し、発信者を特定して脅迫罪などの刑事上の責任を問うことが考えられます。
またIさんに対して、民事上の責任として損害賠償請求を検討することになるでしょう。
Iさん側としては、反省する気持ちがあれば、早急に書き込みを削除したり、店側に謝罪したりといった対応策で責任を軽減できる可能性はあります。
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まとめ
本記事では、インターネットトラブルの種類や事例、対処法について、解説していきました。
インターネットトラブルは、誰もが遭遇しうるトラブルといえます。
お困りの際には、早めに弁護士に相談するとよいでしょう。
事前に弁護士保険へご加入いただき、リスクに備えていただくこともオススメします。
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