この記事を読んでいるあなたは、売掛金の回収に悩まされていませんか?
売掛金の回収問題は、中小金業にとって経営の存続に関わる死活問題です。
すでに納品は済ませているのに、取引先から一向に支払われない状況に、不安を抱えている経営者の方は多いのではないでしょうか?
そこで本記事では、売掛金の回収方法について必要な手順と法的手段、いざというときの備えとなってくれる弁護士保険の活用法についてご紹介します。
売掛金回収についての知識を身につけ、今後の経営にお役立ていただければ幸いです。
「弁護士に相談なんて大げさな・・・」という時代は終わりました!
経営者・個人事業主の方へ
売掛金とは?
売掛金とは、どういったお金のことを指すのでしょうか?
簡単に言えば、未収金、つまり未払いの売上代金です。
商品を納品したりサービスを提供したりしても、すぐに代金を受け取れるわけではなく、取引先からの支払いが後日になるケースがほとんどとなっています。
このような状況で発生するのが売掛金です。
売掛金回収が遅れ始めたらすぐにやること
基本的には、いついつに振り込みますと取り決めをしていますよね?
はい、売掛金には期日が定められているケースがほとんどです。
しかし、現実には期日通りに支払われないこともめずらしくはありません。
もし、売掛金回収が遅れ始めたと感じたら、以下の3つをすぐに実行してください。
1.出荷を止める
売掛金回収が遅れ始めたら、それ以上のサービス提供は停止するのが無難です。
なぜなら、売掛金回収が遅れている状況でサービスを提供してしまうと、さらなる未回収の売掛金を作ることになりかねません。
取引先には一時停止の旨を伝え、売掛金の支払いが完了するまで新規の出荷、サービス提供を停止し、被害の拡大を防ぎましょう。
また、こうした措置により、取引先にも支払いの重要性を認識させることができます。
納品を続ければ続けるほどリスクが増えるため、売掛金の回収がしっかりと確認できるまでは、一時的にサービスの継続は停止してください。
2.相殺可能な債権を探す
売掛金回収が遅れ始めたら、取引先に対する債権と債務を確認し、相殺可能なものがないかを探してみましょう。
たとえば、取引先に対してこちらが支払うべき費用(買掛金)がある場合、それを売掛金と相殺することで回収、もしくは未回収額を減らすことができます。
ただし、相殺が可能であれば、迅速に処理を行うことを推奨します。
なぜなら、取引先が法的整理(企業再生や法人破産)に入る場合、対応が遅れると相殺そのものができなくなってしまう恐れがあるからです。
被害を最小限に抑えるためにも、相殺可能な債権は素早く確認しましょう。
3.未入金の売掛金の契約書を確認する
売掛金回収が遅れ始めたら、取引条件や支払い期限などを明確にするため、未入金の売掛金に関する契約書や発注書を確認するのも重要です。
もし、契約違反の有無や支払い遅延に対するペナルティ条項などが取り決められていれば、必要に応じて法的手段を講じる準備を整えられます。
また、契約書の内容を確認することで、取引先に対して交渉材料を持つことができます。
たとえば、期限の利益喪失条項があれば、支払期限が到来する前の売掛金についても、まとめて支払わなければならない義務が生じます。
これらを交渉材料とし、一刻も早く支払ってもらうよう促しましょう。
売掛金の回収方法
実際に売掛金を回収したい場合、どのように動いたらいいのでしょうか?
売掛金の支払いが遅れている場合、以下の流れで回収を行うのが一般的です。
売掛金の支払い期日を過ぎたら、すぐに取引先に連絡を取りましょう。
まずは電話やメールで未払いの事実を確認し、支払いの状況を尋ねます。
もし、請求書の未処理や振込ミスといった単純なミスであれば、迅速な対応を促すことで解決する場合があります。
しかし、取引先が支払いを渋る場合には、商品の品質や納品に問題があったかどうかを確認し、必要に応じて改善するなどの対応が必要になることもあります。
商品の品質や納品に問題がなかったにも関わらず、スムーズな支払いが行われない場合は、取引先に催促を行います。
催促を行う際は、契約書の内容を確認し、交渉材料になるものがないか探してみましょう。
また、取引先の事情を尋ねる、場合によっては決算書を要求するなど、可能な限り状況を把握しておくのが無難です。
取引先が催促をしても支払いに応じてくれない場合、「債務確認書」を作成しましょう。
この書面だけで強制的な差し押さえができるわけではありませんが、後の法的手続きをする際に有力な証拠となってくれます。
債務確認書には、提供した内容、具体的な金額、支払い期限、社名や住所などを記載し、取引先に署名・押印してもらいましょう。
それでも取引先が支払いをしない場合、書面による強い催告を行います。
もっとも有効とされているのが、郵便局の「配達証明付き内容証明郵便」です。
配達証明付き内容証明郵便は、郵便物の内容と発送日、配達したことを郵便局が証明するものであり、送付された文書が確かに発送された証拠となります。
また、弁護士に依頼し、弁護士名で催告書を送るのも効果的です。
これにより取引先への圧力が強まり、支払いを促す効果が期待できます。
内容証明郵便を送った後、取引先と直接交渉の場を設けましょう。
支払い金額や期限、一括または分割払いの方法などを確認し、双方が合意した内容を文書に残します。
交渉が難航する場合は、弁護士に代理人として交渉を依頼することも視野に入れましょう。
弁護士であれば、依頼者に有利な条件で交渉を進めることができ、合意書の作成も迅速に行えます。
なお、取引先に商品などが残っている場合は、商品の引き揚げも検討します。
ただし、勝手に引き揚げると法的な問題が生じる可能性があるため、必ず取引先の承諾を得てから行い、後々のトラブルを回避する策を講じておきましょう。
様々な法的手段による売掛金の回収
直接交渉しても支払ってくれない場合には裁判しかないのでしょうか…。
売掛金の回収において、最終的には訴訟を検討することもありますが、訴訟以外にも有効な法的手段が存在します。
以下にて、訴訟以外の代表的な法的手段を紹介します。
公正証書の作成
売掛金の回収において、公正証書の作成は有効な手段の1つです。
公正証書に「強制執行認諾約款」を盛り込むことで、支払いが滞った場合に裁判を経ずに取引先の財産を差し押さえられるようになります。
なお、公正証書の作成は、全国の公証役場で行われます。
事前に取引先と合意した上で、双方が公証役場に出向いて手続きを行わねばなりません。
訴え提起前の和解(即決和解)
簡易裁判所には、「訴え提起前の和解(即決和解)」という制度があります。
訴え提起前の和解は、訴訟へと進む前に和解を成立させる手続きです。
手続きの中で、双方の合意内容について裁判所が和解調書としてまとめてくれます。
作成された和解調書は、公正証書と同様の効力があります。
もし、取引先が支払いに応じない場合は、即座に強制執行手続きへと入れます。
民事調停
民事調停は、裁判所で行われる調停手続きで、第三者である調停委員が仲介し、双方の話し合いをサポートします。
民事調停にて合意に達した場合は、調停調書が作成されます。
民事調停で作成される調停調書も、公正証書と同じく強制執行が即座に可能となり、取引先が支払いに応じなかった場合は財産の差押えが可能です。
支払い督促
支払い督促は、訴訟よりも迅速かつ簡易的に行える手続きです。
裁判所からの文書で支払いを求めるもので、まず「支払い督促」を発行し、続いて「仮執行宣言付き支払い督促」を申請します。
これが確定すると、判決と同じ効力を持ちます。
支払い督促は短期間で完了し、取引先が異議を申し立てなければ裁判所への出頭も不要です。
訴訟による売掛金回収の流れ
訴訟以外にも、交渉の方法はたくさんあるのですね!
そうですね。
しかし、売掛金の回収が難航し、催告や交渉などの手段が尽きた場合、最終手段として訴訟を起こすことを視野にいれねばなりません。
以下では、訴訟による売掛金回収の基本的な流れを説明します。
①財産の仮差押え
訴訟を起こす前には、取引先の財産の仮差押えをするのが一般的です。
これは、最終的に強制執行を行うために必要な手続きで、訴訟が確定するまでの間、取引先が財産を処分できないようにする手続きです。
ただし、仮差押えの手続きは迅速に行われる必要があり、裁判所の許可を得るための証拠資料については、あらかじめ準備しておかねばなりません。
②訴訟提起
訴訟というのは、簡単に言えば裁判官に自身の請求を認めてもらう手続きです。
そして、裁判官に請求を認めてもらうには証拠が重要になります。
債務確認書や内容証明郵便など、これまでに作成した書面を提出しましょう。
ただし、訴訟となると一般の方が行うのは容易ではありません。
なぜなら、裁判は平日の日中に開かれるため、普段からお仕事をしている方が簡単に足を運べるものではありません。
また、期間は短くても数ヶ月、長いと年単位でかかることもあります。
そこで、訴訟提起を検討する際は、弁護士への依頼も併せて検討しましょう。
弁護士であれば、有効な法的主張をサポートしてくれるだけでなく、あなたの代理人として裁判所に出頭し、手続きを進めていくことが可能です。
③強制執行
訴訟で勝訴判決を得たにも関わらず、相手が支払わない場合は強制執行を行います。
具体的には、以下のような方法があります。
- 銀行口座の差押え
取引先の銀行口座から直接売掛金を回収します。 - 債権の差押え
取引先が第三者に対して持っている債権(例えば転売代金)を差し押さえ、第三者から直接支払いを受けます。 - 不動産の差押え
取引先が所有している不動産を競売にかけ、その代金から売掛金を回収します。
売掛金未回収のリスクに備える
これから先、もしも売掛金が未回収となってしまったらと思うと、とても不安です…。
未回収の売掛金が大きな金額でなければ、それほどリスクは大きくありません。
しかし、小さな金額が積み重なれば、一つの企業を倒産させるほど大きなリスクとなり得ます。
また、大口の取引先から売掛金の未回収が発生すれば、資金繰りは間違いなく悪化します。
こうした自体を避けるためにも、売掛金の回収について異変を察知した際、迅速に動けるだけの知識が求められます。
また、売掛金を回収するとなると、交渉や様々な法的手段の検討など、高度な知識を求められるため、日頃からリスクに備えておかなければなりません。
もしものトラブルに備えて弁護士保険を
もし、売掛金未回収に悩まされている、またはあらかじめ備えておきたいという方は、「弁護士保険」への加入を検討してみてはいかがでしょうか?
弁護士への相談を検討していても、「ハードルが高そう」、「高額請求されそう」などの不安は常につきまとってしまうものです。
しかし、弁護士保険に加入しておくことで、弁護士をより身近に感じることができます。
特に、売掛金未回収のトラブルは迅速な行動が求められます。
もしものトラブルに備え弁護士保険に加入し、すぐに弁護士に相談できる環境づくりをしておきましょう。
まとめ
売掛金の回収は、中小企業にとって経営を左右する重要な問題です。
納品後の代金が回収できない状況は、経営者にとって大きなストレスとなります。
本記事にて売掛金の回収に関する知識をしっかりと身につけ、経営を安定させるための一助にしていただければ幸いです。
今後も不況に左右されない経営を続けるために、売掛金管理の重要性を常に意識し、適切な対応を行えるだけの知識を身に着けましょう。
どうしても不安を感じる方は、弁護士保険の加入を検討するのがおすすめです。
東 拓治 弁護士
福岡県弁護士会所属
あずま綜合法律事務所
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【弁護士活動20年】
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