突然ですが質問です。
フリーランスの方や個人事業主の方で、下記のように感じたことはありませんか?
クライアントとの口頭発注が増えてきて、トラブルが心配…。
言ったか言わないかでトラブルになることが多い…。
取引先の要望に沿って迅速な対応が迫られる中での「口頭発注」は、その場で受けることができ手軽な手段となりますが、そういった時こそ適切な対応、対策を取らないと後々のトラブルに発展する可能性があります。
この記事では、「口頭発注」による具体的なトラブル事例とその解決策を徹底解説していきます。
特に、フリーランスや個人事業主として活動している方は必見です!
「弁護士に相談なんて大げさな・・・」という時代は終わりました!
経営者・個人事業主の方へ
口頭発注とは
そもそも、口頭発注というのは、会話のみで注文すること、という認識であっていますか?
口頭発注とは、取引先と直接会話して発注を行う方法です。
書面や電子メールを使わずに、対面や電話で業務の依頼や契約を行うのが「口頭発注」です。
この方法は、緊急性が高い案件や密な連携が求められる受発注業務において非常に有効です。
口頭発注のメリット
迅速な発注が可能
口頭発注の最大のメリットは、その迅速性です。
メールやFAXを使用した発注では、受取人が文書を確認し、返信するまでに時間を要しますが、口頭発注では、直接会話してその場で相手の了承を得ることができます。
これにより、特に時間が限られている場合や、素早い意思決定が求められる場合において、スムーズに発注処理を進めることができます。
緊急時には特に有効な手段となります。
システムが必要ない
口頭発注は、複雑なシステムやツールを必要としないため、発注の手順を簡素化できます。
特に発注者側は、相手と直接会話するだけで発注が成立するため、特別なソフトウェアや手続きも不要です。
柔軟な対応が可能
口頭発注は、発注内容をその場で調整できる柔軟性があります。
例えば、製品の仕様変更や納期の調整が必要な場合、直接話し合うことで迅速かつ正確に対応できます。
相手の反応を見ながら、最適な判断を下すことができるため、顧客のニーズに即座に応えることが可能です。
コミュニケーションの効率化
口頭発注では、発注者と受注者が直接対話するため、情報の伝達が迅速かつ効率的に行えます。
これにより、誤解や誤送信のリスクが減少し、業務の進行がスムーズになります。
特に、複雑な注文内容や詳細な指示が必要な場合には、口頭発注の方が効果的なこともあります。
直接質問や確認ができるため、誤解を最小限に抑えることができます。
口頭発注のデメリット
口頭発注には迅速さや柔軟性といったメリットがある一方で、いくつかの重要なデメリットも存在します。
認識齟齬が発生する可能性
口頭発注では、発注内容について双方が正確に理解しているかどうか確認するのが難しいことがあります。
口頭でのやり取りでは、発注内容について双方の認識にズレが生じることがあります。
例えば、会話中に交わされた条件や数量について誤解が生じ、後になってからトラブルが発覚することがあります。
このような認識齟齬は、納品された商品が期待と異なる場合や、追加費用が発生する場合など、ビジネスに大きな影響を与える可能性があります。
処理の遅延や管理の困難
口頭発注は迅速な意思決定を可能にしますが、後続の処理が遅れるリスクがあります。
具体的には、口頭でのやり取りを正式な書類に反映させる過程で時間がかかったり、手続きが漏れたりする可能性があります。
発注書の手順が適切に行われない場合、業務全体の進行が停滞し、最終的には納期の遅延や品質の低下に繋がることもあります。
発注管理の不備による信頼低下
口頭発注では、発注内容の記録が不十分な場合があり、これが発注管理の不備に繋がることがあります。
特に、口頭でのやり取りが頻繁に行われる場合、一人の担当者だけが発注内容を把握していることが多く、これがミスや記録漏れを引き起こす原因となります。
このような状況は、取引先との信頼関係の悪化や信頼を失うことにも繋がりかねません。
法的トラブルのリスク
口頭発注は、法的には有効ですが、書面のない合意は後々の法的トラブルの原因となり得ます。
契約内容が曖昧であるため、「言った・言わない」の問題が発生しやすいです。
特に、下請法に基づく親事業者から下請け業者への書面の交付義務があるため、口頭での発注後には必ず発注書を交付しなければ法令違反となります。
口頭発注は違法なのか
口頭発注のメリット・デメリットは分かりました。
でも、書面のない契約って違法ではないのですか?
口頭のみでも契約自体は成立します。
しかし、注意しなければならない点がいくつかありますので、順番に見ていきましょう。
口頭発注の合法性について
基本的に、口頭発注も契約として有効です。
民法では、契約の成立には書面を必要とせず、口頭でも合意があれば契約が成立します。
つまり、双方が合意すれば口頭発注も法的に認められます。
ただし、特定の条件や状況によっては注意が必要となります。
口頭発注が違法となる可能性があるのは、下記のような場合です。
- 書面の交付義務違反
下請法に基づき、一定の取引では発注内容を明確にするための書面の交付が義務付けられています。
これを怠ると違法となる可能性があります。 - 不当な減額や支払い遅延
口頭発注後に一方的に条件を変更したり、支払いを遅延させたりする行為は、下請法や民法に違反する場合があります。
口頭発注のためのポイント
合法的に口頭発注を行うためには、以下のポイントに注意することが重要です。
- 記録を残す
口頭で合意した内容をメールやメモで記録し、双方が確認できる形に残しておきます。 - 書面での確認
重要な条件や数量については、後から書面で確認し、双方の合意を文書化することが推奨されます。 - 法的アドバイスを受ける
不安がある場合は、弁護士に相談して適切な対応を確認することが重要です。
このように、口頭発注は違法ではないですが、適切な対策を取ることで、さらに安心して取引を進めることができるかと思います。
下請法と口頭発注
口頭発注する際に、気を付けておくべきことはありますか?
下請法について、下請取引における公正な取引を保障するための法律であり、口頭発注にも適用される場合があります。
フリーランスや個人事業主として活動する際には、下請法に基づく義務と権利を理解しておくことが重要です。
下請法の基本と適用範囲
下請法は、親事業者(発注者)と下請事業者(受注者)の間で行われる取引に適用されます。
特に、製造業や情報サービス業、デザイン業など多岐にわたる業種で適用され、取引金額や取引形態に関わらず、公正な取引を保証することを目的としています。
口頭発注における下請法の義務
口頭発注においても、下請法に基づく義務を遵守する必要があります。
例えば、以下のような義務があります。
書面の交付義務
親事業者は、口頭発注後に発注内容を明確に記載した書面を下請事業者に交付する義務があります。
これにより、発注内容の確認と証拠が残ります。
支払いの適正化
親事業者は、発注に対する支払いを適正に行う義務があります。
遅延や不適切な減額は法律違反となります。
下請法違反への対処方法
もし下請法に違反する状況が発生した場合には、以下のような対処方法があります。
- 内容証明郵便の送付
違反内容を明確に記載した内容証明郵便を送付し、正式なクレームとして記録を残します。
- 公正取引委員会への相談
公正取引委員会は、下請法違反の是正を行う機関です。
違反が疑われる場合には、相談や調査依頼を行うことができます。
- 弁護士への相談
法的手続きを検討する場合には、弁護士に相談し、適切なアドバイスとサポートを受けることで早期解決が可能です。
下請法に基づく義務と権利を理解することで、口頭発注におけるトラブルを未然に防ぎ、安心して取引を進めることができます。
口頭発注トラブルの対処方法
口頭発注には利便性がありますが、認識の齟齬や法的トラブルなどの問題が発生することも少なくありません。
もしもトラブルに発展してしまった場合には、どのように対応すればいいでしょうか?
ここでは、口頭発注に伴うトラブルの対処方法について具体的に説明します。
速やかに関係者間での話し合いを行う
トラブルが発生した際には、速やかに関係者間での話し合いを行い、問題の解決に向けた対応策を検討することが重要です。
例えば、誤解や認識の齟齬が原因でトラブルが発生した場合、双方が納得する形で問題を解決するための具体的な方法を話し合います。
この際、「事実関係を明確にし、問題点を整理すること」が重要です。
迅速な話し合いにより、トラブルの長期化を防ぎ、業務の円滑な進行を図ることができます。
受発注業務を正確に記録する
口頭発注によるトラブルが発生した場合、まずは発注内容を正確に記録することが重要です。
既に記録がなければ、発注時の会話の内容をできる限り正確に再現し、双方の認識を文書化します。
重要な条件や数量については、メールや書面で確認を取り、双方の合意を明確にしておくことが大切です。
記録された内容は、後で確認するための重要な証拠となります。
口頭発注トラブルが発生してしまったら弁護士に相談する
口頭発注においてトラブルが発生した場合は、速やかに弁護士に相談することをお勧めします。
口頭での契約は法的に有効ですが、内容が曖昧なためにトラブルが発生するリスクは高くなりがちです。
弁護士は契約内容の確認やトラブル解決のための適切なアドバイスを提供します。
特に、トラブルが大規模なものである場合や、複雑な法的問題が絡む場合には、専門的な知識を持つ弁護士の助けを借りることが不可欠です。
弁護士に相談することで、早期にトラブルを解決し、企業の信用を守ることができます。
内容証明郵便を利用する
弁護士のアドバイスを受けた後、内容証明郵便を送ることが効果的です。
内容証明郵便は、発信した文書の内容を郵便局が証明してくれるため、後で「言った・言わない」のトラブルが発生した場合に強力な証拠となります。
これにより、相手方に対して問題の深刻さを認識させることができ、早期解決に繋がる場合があります。
法的手続きの検討
弁護士に相談した後、どのような法的手続きが適用可能かを検討します。
例えば、以下のような手続きがあります。
少額訴訟
少額訴訟は、比較的小規模な金額の紛争を迅速に解決するための手続きです。
少額訴訟は、原則として一回の審理で終了し、迅速かつ低コストで解決できるため、口頭発注のトラブルにおいて有効な手段となります。
調停
調停は、第三者である調停委員を介して双方の合意を目指す手続きです。
裁判よりも柔軟で非公開のため、企業のイメージを損なうことなくトラブルを解決できます。
訴訟
大規模なトラブルや、調停や少額訴訟で解決できない場合には、通常の訴訟手続きを検討します。
訴訟では、証拠を基に法的判断が下されるため、しっかりとした記録と証拠の準備が重要です。
まとめ
口頭発注は迅速で柔軟な対応が可能な一方で、トラブルが発生するリスクも伴います。
認識齟齬や法的問題を避けるためには、以下の対処方法が重要です。
まず、トラブルが発生した際には速やかに関係者間での話し合いを行い、事実関係を明確にし、問題点を整理します。
次に、受発注業務を正確に記録することが求められます。
口頭での合意内容を文書化し、双方の認識を一致させることで、後のトラブルを防ぐことができます。
さらに、トラブルが深刻な場合には弁護士に相談することが重要です。
弁護士のアドバイスを受けてから内容証明郵便を送ることで、法的に確実な対応が可能となり、早期解決が期待できます。
また、必要に応じて少額訴訟や調停、訴訟などの法的手続きも検討しましょう。
これらの対処方法を適切に実施することで、口頭発注に伴うトラブルを効果的に解決し、企業の信用を守ることができます。
発注業務におけるリスクを最小限に抑えるため、日々の業務においてこれらの対策を徹底することが重要です。
この記事が少しでも今後のお取引の手助けになれれば幸いです。
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