SNSなどネット上にデマが広がるケースがあります。
近い記憶では、新型コロナウィルスが流行り始めた頃に「トイレットペーパーがなくなるらしい」というデマや、「特定のうがい薬でコロナ菌を撃退できるらしい」などのデマ情報です。
全てがデマな情報や、一部正しい情報が含まれているデマ情報など、さまざまあります。
今回は、そんなネット上で拡散するデマについて、企業が被害に遭わないためにできる対策を6つご紹介していきます。
この記事を参考にして、会社を風評被害から守っていきましょう。
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経営者・個人事業主の方へ
ネットで拡散されるデマとは?
SNSやweb上ですぐに拡散するデマ情報。目にしたことがある方もたくさんいるでしょう。
そのくらいネット上では信憑性が疑われるデマ情報がすぐに拡散してしまいます。
すぐにデマだとわかるものから、一部正確な情報が入っているために真偽が不明なデマ情報までさまざまです。
これらのデマ情報のことを一般的にはフェイクニュースとも呼ばれています。
デマ情報は、誰かがメディアの情報を勘違いし、そのままTwitterなどのSNSに間違った理解で投稿してしまうことから始まります。
それを見たフォロワーが「大変だ!」と、さらにリツイートするなどして瞬く間にデマが拡散していく仕組みです。
冷静な利用者ならデマ情報を鵜呑みにはせずに、真偽を確かめてデマを否定するような情報を流しますが、それでもデマ情報はそのまま暴走してしまいます。
では、否定する人がいるにもかかわらずにどうしてデマ情報はそのまま暴走してしまうのでしょうか。
デマが広がる理由
デマ情報が広がる理由には、主に3つの理由があります。それぞれ見ていきましょう。
不安や恐怖
SNSの利用者は、不安や恐怖心を煽るような情報には敏感です。
冒頭にもご紹介したような「トイレットペーパーがなくなるらしい」と目にした場合には、誰もが恐怖や不安を感じるでしょう。
そのため、目にした利用者はすぐさまトイレットペーパーを買いに走り「今ならまだたくさんありました」などと画像と共にさらに拡散します。
それを見た利用者は「私も買いだめしなければ」とさらに拡散し、トイレットペーパーを買いに走るのです。
このように恐怖や不安の連鎖でどんどんデマ情報が拡散し、あたかも真実のように利用者に信じ込ませてしまいます。
そしてデマ情報の怖いところは、最初はデマ情報だった情報が利用者が奇異な行動に出ることによって、真実になってしまうところです。
そのことをSNSの利用者は実はすでに知っているため、デマだとわかっていても、早めに行動しておこうと感じてしまい、デマは暴走していきます。
デマが真実になってしまう例を挙げると、「トイレットペーパーがなくなるらしい」のデマ情報は、最初は根も葉もないデマ情報でした。
しかし、情報が拡散し消費者がトイレットペーパーを買い占める行動に出たため、真実になってしまったのです。
トイレットペーパーが世の中のスーパーなどから数ヶ月に及び、本当に姿を消してしまいました。
正義感
デマ情報が拡散してしまう理由の一つに利用者の正義感があります。
冒頭でご紹介した「コロナウィルスには特定のうがい薬が効くらしい」という情報を目にした利用者は、「これはみんなに知らせてあげなくては」という正義感を持って拡散してしまいました。
実はこの情報は全てがデマという訳ではありません。
ある研究施設の研究過程で「一定の条件でPCRの陽性反応が出にくくなった」とメディアが報じてしまいました。
まだ研究段階にもかかわらずに勘違いした視聴者が「効果がある。コロナ菌を撃退できる」と思い込みSNSに投稿した人が多数いたことが原因です。
そして正義感の強い人は良い情報はみんなにも知らせた方がいいと判断し、さらに誤った情報が拡散する事態に発展しました。
本当は、コロナ菌を撃退できるなどとは研究施設も発表していません。
このような過程で、薬局から特定のうがい薬は姿を消し、手に入れるのも困難になっていったのです。
その上転売ヤーが横行し元値の何倍もの価格で世の中に流通していきました。
SNSのデマ情報は利用者の正義感がもたらすケースがあることを覚えておきましょう。
まずは冷静に正しい情報を精査しなければいけません。
悪質な愉快犯や政治的背景
中には、悪質な愉快犯が流すデマ情報や、政治的な背景がたらすデマ情報もあります。
例を挙げると、政治家の発言が一部だけ抜粋されて、違う意味に捉えられるような見出しにしてしまうマスコミや、それに便乗するSNSの利用者です。
自分の支持政党を正当化するために悪意を持って意味を歪曲するSNSの利用者はたくさんいます。
また、マスコミなどにも政治的な背景が見え隠れするケースもあるでしょう。
SNS上のフェイクニュースはこのようにして広がっていくのです。
まずは情報の真偽を確かめることが重要
では、ネット上のデマ情報に惑わされないためにできることは、どのようなことがあるのでしょうか。
まずは、真偽を確認することが重要です。
情報の発信元を探す
まず、デマかも?と少しでも感じる情報を目にしたなら、情報の発信元を確認しましょう。
例えば「今テレビでトイレットペーパーがなくなると報道していた」などというツイートを見たなら、どこのテレビ局かを確認し、本当に報道があったのかを調査するなどです。
また、「ある記事にこう書いてあった」などの投稿を見たなら、その情報ソースになる元記事を自分でチェックしてみることも重要です。
人によって解釈が違うケースがありますし、勘違いの可能性もあるでしょう。
投稿している人には悪意はない可能性が高いですが、勘違いからデマ情報は生まれます。
まずは情報発信元を確認していきましょう。
情報が記載された日付をチェック
次に重要なのは、情報発信元を見つけたなら、その情報源が発信された日付をチェックすることです。
世の中のwebメディアは最新情報を公開していると閲覧者に印象付けるために、更新日付だけを更新するケースも多いもの。
ですから確実な情報の発信日付はわからないかもしれません。
ですが、記事の中身と日付が明らかにアンマッチだとわかれば、実は古い情報だということがわかります。
デマ情報に惑わされないためにも、デマの発信源の日付チェックも怠らないようにしましょう。
他の情報と内容を比較
重要なことは他の情報と内容が同じかどうかをチェックすることです。
勘違いの投稿によってデマが拡散している場合は、正しい解釈の投稿もどこかにあるはず。
一人の解釈でデマ情報は暴走してしまう可能性があります。
そのデマ情報が重要で恐怖や不安を煽る内容であればあるほど、正しい情報よりもすぐさま拡散してしまうところがSNSの怖いところです。
否定する人がいても、否定は無視され、不安の強い内容の方が広まっていきます。
ですから、デマ情報の真偽をチェックする際には、あまり拡散されていない情報にも目を通して、正しい情報が何なのかを見極めていくことこそ重要です。
デマの拡散が企業にもたらす影響
デマ情報が企業にもたらす影響はどのようなものがあるのかを知っておきましょう。万が一に備えて対策していくことも重要です。
企業のイメージダウン
まず、デマ情報が拡散することによって、企業のイメージダウンに繋がります。
例えば、「この企業の社長はコロナウィルスのワクチンを接種していない」という情報が拡散することによって、企業のイメージが悪くなるなどがその例です。
実際のワクチン接種は健康状態や、既往症などによって左右されるもの。
それにもかかわらずに、悪意を持った情報流出により「コロナに罹患しない自信があるらしい」「会社にウイルスを蔓延させている」などとデマ情報が拡散していきます。
企業のイメージダウンによってもたらす影響は計り知れません。デマ情報の被害に遭わないように注意が必要です。
株主離れ
デマ情報が拡散し、企業のイメージが悪くなってしまうと株主離れが危惧されます。
株主が減少することによって、会社の経営は苦しくなるもの。最悪のケースでは倒産なども考えられる未来です。
離職者の増加
会社のイメージが悪くなり、株主が減少することによって、会社を辞める人が増加することも安易に想像がつくでしょう。
社員はデマ情報だとわかっていても、会社の経営が悪化すれば離職を検討するのも不思議はありません。そうなる前の対策が必要です。
信用の失墜
株主や、ユーザー、顧客、消費者などのステークスホルダーからの信用の失墜は当然のことながら起き得る事態です。
ステークスホルダーからの信用を失うと、ビジネスは立ち行かなくなってしまうでしょう。
そしてステークスホルダーからの信用が無くなることで、当然顧客のいる企業の場合は顧客離れが起きてきます。
顧客がいなくなれば、企業として成り立たなくなる業種も多いでしょう。
それこそ会社の倒産の危機に瀕してしまいます。
新規採用の難航
デマ情報によって、風評被害を受けた企業に就職したがる人はいません。
新卒採用でも中途採用でも、人員確保が難しくなってしまいます。
企業から信用も、お金も人もなくなれば、企業は成り立たなくなるのは当然です。
デマに対してどのような対応をとるべきなのか
では、デマ情報で企業が被害に遭う前・後にできることは何なのかをご紹介します。
それぞれの対応をしっかりとって、万が一に備えることが重要です。
デマ情報の被害に遭ってしまったらできること
デマ情報の被害に遭ってしまったなら、できるだけ迅速に行動することが大切です。
情報発信元の証拠を保管する
万が一被害に遭ってしまった場合、まずは情報発信元のデマ情報の証拠を確実に保管することが重要です。
明らかに悪意を持ったデマ情報なら、証拠によって損害賠償請求などもできる可能性があります。
被害にあった場合は確実に証拠を押さえるようにしましょう。
顧客や株主などにクライシスコミュニケーションを迅速に行う
そしてまずは、信用を失いたくないステークスホルダーに対して、謝罪などのクライシスコミュニケーションを計りましょう。
全てデマ情報だということを理解してもらうのです。
その上でデマ情報が流通してしまった経緯を説明し、真摯に謝罪することが有効と考えられます。
デマ情報をキッパリ否定する
SNS上でデマであることをはっきりと表明し、デマ情報を否定することも重要です。
デマ情報は放置する方が賢明なケースもありますが、悪質なデマ情報はしっかり否定した方が更なる被害を生まずに済むでしょう。
ただし、ここで特定の誰かとのバトルになってしまうようなケースでは、SNS上で炎上など二次災害が発生することも想定できます。
臨機応変に対応することも必要ですので、デマ情報の情報源や、拡散度合いなどを見て決めていきましょう。
被害が甚大なら損害賠償請求も
風評被害の結果多大な損失などを被った場合で、証拠があって悪質なデマ情報を流出させた犯人がわかるなら、損害賠償請求も可能です。
ただし、ネット上のデマ情報の情報元を特定することは難しく、IPアドレスの開示請求や個人情報の開示請求など煩雑です。
被害に遭ったなら迷わずに弁護士に相談することをおすすめします。
デマ情報に振り回されないために企業が事前にできること
デマ情報は意図しなくても拡散してしまいますが、被害に遭う前に対策することも重要です。
SNS利用に関するガイドラインを作成する
デマ情報の情報発信元は実は自社の社員というケースも少なくありません。
まずは、企業内でSNS利用に関するガイドラインを策定しておきましょう。自社に関する投稿を禁止にするなどは当然必要な対策です。
Twitter、FacebookなどのSNS、掲示板などへの書き込みに関するガイドラインは有識者に相談し、策定しておかなければいけません。
SNSのモニタリング
自社に対するSNSの投稿を定期的にモニタリングすることも必要になるでしょう。
悪意を持った情報はないのか?間違った投稿はされていないか?などを定期的にチェックすることでデマ情報を防ぐことができます。
デマ情報の流出だけではなく、企業のイメージを調査する上でも重要になりますので、SNSへの施策は企業の課題として挙げておきましょう。
エスカレーションルールを取り決めておく
万が一のデマ情報の拡散に備えて、企業内でエスカレーションルールを策定しておくことも必要です。
デマ情報がどの程度拡散したら、誰に報告するのか、どの時点で警察に被害届を出すのかなどは事前に決めておければ安心できます。
また、万が一に備えて弁護士に相談するルートも決めておきましょう。
実際にネットで拡散されたデマ
コロナウィルス時に拡散されたデマ
発生時期:2020年5月ごろ
デマの概要
麺製品の製造・牛乳配達などの事業を展開している企業の社長が「新型コロナウィルスに感染した」とデマを流され業績が悪化してしまった事件。
全くの事実無根の噂が広まった時点で会社HPにて「ネットの噂はデマである」と否定したものの、今度は「社長の両親が新型コロナウィルスに感染した」等、別の噂が広まってしまっていた。
この時、企業は顧客への事情説明を手紙で行い、また新聞やテレビでも取り上げてもらうことにより、騒動は徐々に収束していきました。
「ミュージカルのチケット予約を一方的にキャンセルされた」とデマ
発生時期:2017年9月ごろ
デマの概要
SNS上で「チケット代金を入金したにもかかわらずキャンセル扱いされた」と騒動になった事件。実際にはチケット代金を入金しておらず、そのためにチケットがキャンセル扱いとなっていたが、デマの発信者は「チケット代金は入金していた」と領収書の画像やカスタマーセンターへの通話記録をUP。
のちに企業側からの声明が発表され「チケット代金入金の事実やカスタマーセンターへの入電はなかった」と一連の騒動がデマであったことが発覚しました。
デマ情報の拡散が原因で不買運動に発展
発生時期:2021年8月ごろ
デマの概要
「ワクチン入りトマトが開発されている」「ワクチン入りトマトが出回っている」等と、SNSでデマ情報が拡散された事件。SNSの投稿では大手企業含む15社ほどの名前を挙げており、デマ情報を信じたネットユーザーがその企業の商品の不買運動をする事態にまで発展。
これに対し、名指しされた企業は「そのような事実はありません」との声明を次々発表し事態は沈静化されました。しかしデマの対象となった企業の一部は株価の下落や業績にも影響が出ました。
まとめ
ネット上のデマ情報は驚くべき速さで拡散していきます。
利用者はデマだとわかっていても、情報に振り回されて、迷惑行動を取るのが一般的です。
正義感や不安感などを煽る悪質なデマ情報に企業が振り回されないためにも、対策は事前に練っておきましょう。
万が一、デマ情報で損害を被った場合は、迷わず弁護士や警察に相談することがおすすめです。
あなたの企業が悪質なデマ情報の被害に遭わないことをお祈りします。
また、事前に弁護士保険でトラブルを予防することも良いかもしれません。
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