民事調停は自分で出来る。民事調停のメリットデメリットについて

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目次

民事調停とは

民事調停とは裁判所という場を使った話し合いです。

裁判のように両者が証拠を出し合って裁判官が判決を下すというものではなく、

簡易裁判所にて裁判官1名と調停委員の2名から構成される調停委員会が、話し合いや交渉を促進したり利害を調整したりして解決を目指します。

ADRとの違い

近年裁判(訴訟)以外の法的トラブルの解決としてADRというものが浸透してきています。

ADRとは裁判外紛争解決手続を意味し、一般的に「あっせん」・「調停」・「仲裁」の3つがこれにあたり、民事調停はこのADRのひとつになります。

「あっせん」はあっせん人が当事者同士の話し合いに重きを置きますが、「調停」は当事者の主張を基に調停案を作成し、双方の受諾を勧めることで解決に導きます。

「仲裁」は当事者がトラブルの解決を仲裁委員会に委ねその判断に従う解決方法です。

民事調停はどんな争いができるか

下記はあくまで一例ですが、民事調停は民事に関する紛争を取り扱います。

  • 金銭の貸し借り
  • 給料の未払い
  • 交通事故の賠償請求
  • 知的財産権
  • 公害、日照権
  • 近隣関係のトラブル
  • 家賃や敷金等のトラブル

なお、離婚や相続といった家庭内の紛争については民事調停ではなく、家庭裁判所での家事調停で取り扱います。

民事調停のメリット・デメリット

メリット

手続きが簡単

申立書に必要事項を記入し提出するだけで申立てができます。

法律的な知識がなくても作成できるため弁護士等に依頼せずに一人で作成することができます

費用が安い

対象のトラブルの額に応じて裁判所に納める手数料が決まりますが、訴訟と比べると遥かに安く済みます。

例えば、50万の支払いを求める場合、訴訟では5,000円、調停では2,500円となります。

解決までの時間が短い

調停はポイントを絞って話し合いをするため、通常2~3回の調停期日が開かれ、多くの場合3か月以内に調停が成立するなどして解決し、終了します。

プライバシーが守られる

民事調停は非公開で行われるため、第三者に知られたくないことも安心して話すことができます。

(訴訟と比べて)円満に解決できる

 裁判のように法と証拠によって判決が下されるのではなく、当事者双方が話し合い最終的に双方の合意によって調停が成立するため比較的円満に解決することができます。

デメリット

相手方が欠席することがある

 調停への出席は強制ではないため、相手方が欠席すると話し合いは行われずにその日は終了することになります。

 繰り返し欠席した場合、調停での解決が困難とみなされ調停の手続自体が終了することになります。

双方の合意がなければ解決しない

調停はあくまでも話し合いによって双方が合意し解決するための手続きであるため、どちらか一方が合意しなければ調停は不成立になり終了します。

調停期日は平日の10時~17時のみ

 裁判所が開廷しているのが平日の10時~17時の間なので、平日の日中に仕事をしている場合、仕事を休む必要があります。

 この点でも相手方が欠席する可能性は小さくないといえます。

民事調停は弁護士が必要?

民事調停手続きは最初から最後まで手続きが簡単にできるため、弁護士への依頼は必要とはいえません。

しかし、最低限不利な決着とならないための相談は必要といえます。

また、弁護士へ相談することによって、訴訟にした方が良いか民事調停の方が良いかという点でアドバイスをもらうことも期待できます。

民事調停の効力

話し合いによって双方が合意に至った場合、調停が成立し合意内容が調停調書に記載されます。

調停調書は裁判の判決と同じ効力を持ち、調書に基づいて強制執行を行うこともできます。

民事調停の流れ

調停申し立ての手続き

相手方の住所の地区を管轄している簡易裁判所に申立書を提出します。

申立書は簡易裁判所の受付窓口で入手するか、裁判所のWebサイトからダウンロードできます。(郵送可)

民事調停で使う書式 | 裁判所

申立書は裁判所用の正本1部と相手方の人数分の副本を作成し提出する必要があります。

調停期日呼出状を受け取る

申立書が受理されると調停委員会が構成され、調停期日が決定し、調停の申立人と相手方に期日呼出状が送付されます。

調停期日

調停では裁判官1名と調停委員2名とで構成する調停委員会が申立人・相手方双方から話を聞き、双方が合意できるよう話し合いを行い、場合によっては双方にとって妥当といえる解決案を提示することもあります。

合意した場合と合意に至らなかった場合

話し合いによって双方が合意に至った場合、調停が成立し合意内容が調停調書に記載され終了となります。

一方または双方が合意できなければ、双方の希望と調停委員会の判断によって2回目の調停の期日を決めます。

調停委員会が調停成立の見込みがないと判断した場合は調停不成立として終了になります。

ただし、それまでの経過次第では、裁判所が「調停に代わる決定」を出す場合があります。

この「調停に代わる決定」は裁判所が調停委員の意見を聞き、当事者双方の主張を十分に考慮した上で事件解決のために妥当と思われる解決案の提示を指します。

2週間以内にどちらかの当事者から異議を唱えられれば白紙に戻りますが、異議申し立てがなければ双方が合意したとみなし、この決定は調停成立と同じ効果を持つこととなります。

費用について

民事調停では各自負担が原則となります。

手数料は収入印紙で支払い、紛争当事者双方に書類を郵送するための費用を切手で支払います。

手数料は先述の通り請求額によって変わります。

郵送するための切手については、管轄の簡易裁判所に金額を確認しておきましょう。

手数料額早見表| 裁判所

裁判所の管轄区域 | 裁判所

必要書類や準備するもの

  • 申立書(裁判所用の正本と相手方用の副本各1通)
  • 収入印紙(手数料)及び郵便切手
  • 印鑑(認印可、スタンプ式不可)
  • 証拠書類写し

解決までの期間

第1回調停期日は申立てから1~2か月以内で裁判所が指定します。

最初の調停で合意に至らなければ次の調停期日は約1ヶ月後になります。

多くの場合は2~3回程になりますので、申立てから解決までは2~3ヶ月ほどになります。

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まとめ

民事調停は手続きの簡易さ、解決までの早さから、自分一人で行える法的手続きといえますが、相手が合意しなければ話し合いの場を持つこともできません。

相手に多少の知識があれば平然と欠席され、自分の時間を無駄に失うことになります。

適切な法的主張とその主張を裏付ける証拠を持っていれば、無駄になる可能性がある手続きを選択する必要はないので、訴訟に切り替えた方が良いケースも少なくありません。

相手方からすると、「訴訟」ではなく「調停」ということは「確たる証拠を持っていない」「主張が法的に成り立っていない」と捉えられる可能性もあるため、訴訟でなく民事調停を利用したい場合は、まず弁護士に相談し、どのように進めて行くのが良いか計画を立てるようにしましょう。

あらかじめ弁護士保険などで、今後の様々なリスクに備えておくことをおすすめします。

弁護士

木下慎也 弁護士

大阪弁護士会所属
弁護士法人ONE 代表弁護士
大阪市北区梅田1丁目1-3 大阪駅前第3ビル12階
06-4797-0905

弁護士として依頼者と十分に協議をしたうえで、可能な限り各人の希望、社会的立場、その依頼者らしい生き方などをしっかりと反映した柔軟な解決を図ることを心掛けている。

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