精神的苦痛で慰謝料は請求できる?認められる条件・ケース別の相場・証明方法を解説

職場でのパワハラやセクハラ、配偶者の不倫、交通事故、SNSでの誹謗中傷など、他人の行為によって心に深い傷を負うことは、誰にでも起こり得ることです。

眠れない日が続いたり、仕事や学校に行けなくなったりして、日常生活もままならなくなってしまう方も少なくありません。

このような「精神的苦痛」を受けた場合、相手方に慰謝料を請求できるのでしょうか?

結論からお伝えすると、相手の行為が法律上の「不法行為」などに当たる場合には、精神的苦痛に対する慰謝料を請求できます。

ただし、つらい思いをしたからといって、どのようなケースでも請求が認められるわけではありません。

この記事では、精神的苦痛で慰謝料を請求できる条件や具体的なケース、ケース別の相場、精神的苦痛を証明する方法、請求の進め方について詳しく解説します。

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目次

精神的苦痛による慰謝料とは?

弁護士

精神的苦痛による慰謝料とは、被害を受けた方が精神的なダメージを受けた際に、加害者に対して請求できる損害賠償の一種です。

では、目に見えない精神的苦痛に対してどのようにして慰謝料を請求することができるのでしょうか?

慰謝料の定義

精神的苦痛とは、他人の言動によって受けた悲しみ、恐怖、屈辱、不安といった心の痛みのことです。

法律上は「精神的損害」とも呼ばれ、ケガの治療費や壊れた物の修理代といった「財産的損害」とは区別されています。

慰謝料とは
精神的苦痛に対する損害賠償金のこと

加害者からのセクハラ・パワハラなどの行為によって、被害者が受けた「精神的な苦痛」を金銭によって補填する目的で支払われるものです。

  • 不法行為に基づく慰謝料(民法第709条・第710条) 例:セクハラ・パワハラ、不倫やDVなど離婚の原因となる行為、交通事故、暴行、誹謗中傷など
  • 債務不履行(契約上の義務違反)に基づく慰謝料(民法第415条) 例:会社が働きやすい職場環境を整える義務を怠ったことによるハラスメント被害、医療ミスなど

精神的苦痛の法的な位置づけ

精神的苦痛は、ケガを負わされることや財産の損害などとは異なり、どの程度の不利益を被っているのかが他者には確認をすることが困難なため、法的にその存在や程度を証明することが重要になります。

生命・身体・自由・名誉に関する損害(民法第710条)

他人の生命、身体、自由または名誉を侵害した者は、財産に対する損害のほか、これによって生じた精神的損害についても、その賠償をしなければならない。

例えば、パワハラ・セクハラによる被害者の精神的苦痛や、名誉毀損による精神的苦痛、不倫による配偶者からの精神的苦痛などが挙げられます。

この条文により、精神的苦痛が認められるケースでは財産的な損害の有無にかかわらず慰謝料を請求できることが明確になっています。

不法行為による損害賠償(民法第709条)

故意または過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

ここでいう「損害」には、物理的な損害(ケガや財産の損害)だけでなく、精神的苦痛も含まれます。

例えば、交通事故の被害者が、ケガだけでなく事故による恐怖やストレスを感じた場合や、ネット上で誹謗中傷を受けて精神的に追い詰められた場合などが挙げられます。

つまり、精神的苦痛は法的に「損害」として認められ、慰謝料請求が可能ということになります。

精神的苦痛で慰謝料を請求できる条件

精神的苦痛を受けたと感じても、それだけで慰謝料が認められるわけではありません。

不法行為に基づいて慰謝料を請求するには、次の4つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 相手に故意または過失があること(わざと、または不注意で行ったこと)
  • 権利や法律上保護される利益が侵害されたこと(身体、自由、名誉、平穏な生活など)
  • 損害が発生していること(精神的苦痛を受けたこと)
  • 相手の行為と損害との間に因果関係があること

たとえば、上司から一度きつい口調で注意された、友人に約束を破られたといった出来事は、つらく感じたとしても、社会生活のなかで通常がまんすべき範囲とされ、不法行為に当たらないのが一般的です。

一方で、人格を否定する暴言が繰り返された、暴力をふるわれた、事実でない噂を広められたというように、行為が社会的に許される限度を超えている場合には、慰謝料が認められる可能性が高くなります。

「どれだけつらかったか」だけでなく、「相手の行為がどのようなものだったか」が重視されるという点を押さえておきましょう。

精神的苦痛で慰謝料を請求できるケース

弁護士

精神的苦痛による慰謝料は、被害者が深刻な精神的ダメージを受けた場合に請求できます。

例えば、どのようなケースで慰謝料請求できる可能性があるのでしょうか?

セクハラ・パワハラやいじめ

職場や学校などでのセクハラ・パワハラやいじめなどによって、精神的苦痛を受けた場合、慰謝料を請求することが可能です。

その受けた精神的苦痛を証明できれば、加害者や企業(使用者責任が認められる場合)に対して損害賠償請求ができます。

セクハラ
相手が不快に感じる性的な言動によって、精神的苦痛や不利益を受ける行為を指します。・肩や腰に触る、手を握る
・しつこくデート(会食・飲み会)に誘う
・性的な冗談や下ネタを言う
・服装や体型についてコメントする
・「女性(男性)らしくしろ」と性的役割を押し付ける
・セクハラを拒否したことで不当な評価を受ける など
パワハラ職場内の優越的な立場を利用して、業務上必要のない精神的・身体的苦痛を与える行為を指します。・精神的な攻撃
・上司が部下に対し暴言・叱責を繰り返す
・長時間にわたる説教や罵倒
・無視する、挨拶を返さない
・過剰なノルマを課す など
いじめいじめによって被害者が深刻な精神的苦痛を受けた場合、加害者本人や場合によっては学校・企業に対して慰謝料を請求できます。
特に、継続的な嫌がらせや暴力によって心身に影響が出た場合、損害賠償請求の対象となります。
・殴る、蹴るなどの暴力
・悪口を言う、ネットに書き込む
・物を隠す、壊す など

離婚(不貞行為・DV・モラハラなど)

離婚などで精神的苦痛による慰謝料請求ができる条件は、相手に不法行為※が成立している場合となります。

  • 被害者側が精神的苦痛や悲しみなどの精神的な打撃を受けていること
  • 相手の言動と被害者側の精神的苦痛に因果関係が認められること

※不法行為(ふほうこうい)とは、故意または過失によって他人に損害を与えること

交通事故(加害者の過失による被害)

交通事故による精神的苦痛に対して慰謝料を請求できる条件は、加害者に過失がある場合です。

被害者が精神的苦痛を負っていることや、相手の言動と被害者の精神的苦痛に因果関係が認められることなどが挙げられます。

特に「加害者の態度が悪く誠意が感じられない」「加害者に飲酒などの重大な過失があった」「何度も手術を繰り返すなど治療の負担が大きかった」「休職や転職を余儀なくされた」「留年や就職内定の取り消しになった」などの場合には慰謝料の請求が可能です。

医療ミスや不当な処遇

医療ミスや不当な処遇によって受けた精神的苦痛は、慰謝料として請求できます。

慰謝料請求の条件は、違法に精神的苦痛を与えられたことや相手の行為が決して許されるものではない場合になります。

慰謝料の種類

  • 入通院慰謝料・・・入院や通院が必要になった場合に支払われる
  • 後遺障害慰謝料・・・後遺症が残った場合に支払われる
  • 死亡慰謝料・・・患者が死亡した場合に遺族に支払われる

その他のケース(ネット誹謗中傷、逮捕・冤罪など)

インターネット上での誹謗中傷により、精神的苦痛を受けた場合、加害者に対して慰謝料を請求することができます。

SNSなどで、悪意のある投稿やデマを拡散し名誉を毀損した場合は不法行為に該当する場合があり、法的措置を取ることができます。

また、誤って逮捕(誤認逮捕)された場合や、冤罪によって無実の罪を着せられることは、あってはならないことですし、精神的に非常に大きな苦痛を伴います。

仕事や日常生活にも支障をきたし、社会的な評価や信用も失う可能性があるため、精神的ダメージが非常に大きい出来事になります。

警察官や検察官の違法な捜査によって損害を受けた場合は、国家賠償法第1条第1項に基づき、国や都道府県に対して損害賠償(慰謝料を含む)を請求することになります。

この場合、警察官や検察官個人に対して直接請求することは、原則として認められていません。

また、うその申告によって冤罪を引き起こした人物がいる場合には、その人物に対して不法行為に基づく慰謝料を請求できる可能性があります。

なお、身柄を拘束されたのちに無罪判決が確定した場合には、これとは別に、刑事補償法による補償を受けることができます。

精神的苦痛の慰謝料相場

精神的苦痛を受けたからといって、高額な慰謝料請求ができるわけではないですよね。

弁護士

事案の内容等によってそれぞれ慰謝料金額の相場があります。

ハラスメント・いじめの場合

職場でのいじめやパワハラによる精神的苦痛の慰謝料の相場は事案によって金額が異なります。

加害者の行為の悪質さや、被害者の精神的なダメージの大きさに基づいて決まります。

長期間にわたって行為が続いた場合、慰謝料は高額になり、特に精神的な苦痛が大きい場合(被害者がうつ病やPTSDなどの精神的障害を発症している場合)は、慰謝料が増額される可能性があります。

また、加害者が反省していない場合や、その行為が非常に悪質な場合も、慰謝料は増額されることがあります。

ハラスメントやいじめによる慰謝料の目安は、次のとおりです。

ケース慰謝料の目安
暴言や無視など、精神的な攻撃が中心の場合数十万円~100万円程度
うつ病や適応障害などを発症した場合、退職に追い込まれた場合100万円~300万円程度

※上記はあくまで一般的な目安であり、金額は具体的な事情によって異なります。

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離婚・不貞行為の場合

離婚や不貞行為(浮気・不倫)、DV(家庭内暴力)、モラルハラスメントなどによる精神的苦痛による慰謝料の金額は、その行為の悪質さや婚姻関係への影響などによって異なります。

ケース慰謝料の目安
不貞行為(離婚しない場合)数十万円~100万円程度
不貞行為(離婚に至った場合)100万円~300万円程度
DV・モラルハラスメント50万円~300万円程度

※上記はあくまで一般的な目安であり、婚姻期間や子どもの有無、行為の期間などによって異なります。

なお、不倫相手に対しては、不貞行為そのものについての慰謝料を請求できますが、「離婚させられたこと」についての慰謝料は、不倫相手が夫婦を離婚させようと不当に干渉したなどの特段の事情がない限り、請求できないとされています。(最高裁第三小法廷 平成31年2月19日判決)

出典:裁判所ウェブサイト 裁判例検索(事件番号「平成29年(受)第1456号」で検索)

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交通事故の場合(後遺障害なし・あり)

交通事故による精神的苦痛の慰謝料請求については、後遺障害の有無によって異なります。

また、加害者に重大な過失がある場合(飲酒運転、ひき逃げなど)や、被害者が未成年や高齢者で特別な配慮が必要な場合、後遺障害により仕事や日常生活に深刻な影響がある場合なども金額が加算される要因になります。

交通事故の慰謝料を計算する基準には、「自賠責基準」「任意保険基準」「弁護士基準(裁判基準)」の3つがあり、一般に弁護士基準がもっとも高額になります。

このうち、国が定めている自賠責基準の金額は次のとおりです。

慰謝料の種類自賠責基準の金額
入通院慰謝料1日あたり4,300円
後遺障害慰謝料等級に応じて32万円(第14級)~1,150万円(第1級)。介護を要する後遺障害の場合は第2級1,203万円、第1級1,650万円
死亡慰謝料被害者本人分400万円。遺族分は請求者1人で550万円、2人で650万円、3人以上で750万円

出典:国土交通省 自賠責保険・共済ポータルサイト「限度額と補償内容」

自賠責基準は最低限の補償を目的としたものです。

保険会社から提示された金額が妥当かどうか迷ったときは、示談に応じる前に弁護士へ相談することをおすすめします。

なお、ケガのない物損事故では、原則として慰謝料は認められません。

関連記事:追突事故における示談金の相場と知っておきたい4つのこと
関連記事:交通事故でPTSDが発症した場合の慰謝料と適切な金額を受け取るための4つのポイント

ネット上での誹謗中傷の場合

ネット上で誹謗中傷を受けたことで精神的苦痛を理由に慰謝料請求をする場合、誹謗中傷の内容や投稿の方法、投稿の頻度、被害者の損害の程度などを考慮して、慰謝料の請求が認められるかどうかを判断します。

誹謗中傷を受けた時期に、どの程度の精神的苦痛が存在していたのかを客観的に証明する必要があります。

投稿の内容慰謝料の目安
名誉毀損(例:「○○は詐欺師だ」「○○は犯罪者」など、事実を示して社会的評価を下げる投稿)個人の場合10万円~50万円程度
侮辱(例:「○○は頭が悪い」「○○は気持ち悪い」など、事実を示さずに相手をおとしめる投稿)数万円~10万円程度
プライバシー侵害(例:「○○の住所は○○」「○○の家族構成は○○」など、私生活上の情報をさらす投稿)10万円~50万円程度

裁判で認められた慰謝料額の例

実際の裁判で、精神的苦痛に対する慰謝料がいくら認められたのかを見てみましょう。

ここでは、厚生労働省のハラスメント対策サイト「あかるい職場応援団」に掲載されている裁判例を3つ紹介します。

東京地裁 平成22年7月27日判決(慰謝料60万円・40万円・10万円)

消費者金融会社の従業員3名が、上司と会社を訴えた事案です。

上司が、冬場から長期間にわたり扇風機の風を従業員に当て続けたこと、「給料泥棒」などと叱責して始末書を書かせたこと、背中を殴るなどの暴行をしたことなどが不法行為と認められました。

抑うつ状態と診断されて休職した従業員には慰謝料60万円に加えて治療費と休業損害が、ほかの2名にはそれぞれ慰謝料40万円、10万円が認められています。

出典:厚生労働省 あかるい職場応援団「上司から受けたパワハラを理由とした損害賠償請求」

東京高裁 平成25年2月27日判決(慰謝料150万円)

お酒を飲めない部下に対する飲酒の強要、体調不良を訴える部下への運転の強要、深夜に怒りをあらわにした留守番電話やメールを残す行為などが不法行為と認められた事案です。

一審では70万円だった慰謝料が、控訴審で150万円に増額されました。

一方で、パワハラと精神疾患との因果関係は、仕事上のミスなどほかにも精神的な負荷があったことを理由に認められませんでした。

出典:厚生労働省 あかるい職場応援団「自然退職扱い社員からのパワハラを理由とした損害賠償等請求」

鳥取地裁倉吉支部 平成27年3月26日判決(慰謝料80万円)

学校法人への就職を希望していた人が、採用の面談の場などで理事長からセクハラ行為を受けたとして訴えた事案です。

理事長個人と学校法人に対して、慰謝料80万円の支払いが命じられました。

出典:厚生労働省 あかるい職場応援団「裁判例を見てみよう」第79回

このように、同じハラスメントでも、認められた慰謝料は10万円から150万円まで幅があります。

行為の内容や続いた期間、被害者にどのような影響が出たかによって金額は大きく変わるため、似た事例の金額はあくまで参考としてとらえておきましょう。

精神的苦痛による慰謝料の請求方法

精神的苦痛を受けた場合、どのように慰謝料請求をしていけばいいのでしょうか?

弁護士

例えば、当事者間での話し合いや内容証明郵便の送付、調停や裁判などの法的手続きがあります。

精神的苦痛を証明するための証拠を集める

精神的苦痛は目に見えないため、慰謝料を請求するには、「相手が何をしたのか」と「それによって心身や生活にどのような影響が出たのか」を、客観的な証拠で示すことが欠かせません。

証拠は時間が経つほど集めにくくなりますので、請求を考え始めた段階から準備を進めましょう。

以下のような証拠の収集を行いましょう。

  • 診断書
    ・精神的苦痛によって心療内科や精神科を受診した場合はその診断書
    ・PTSD(心的外傷後ストレス障害)や適応障害、うつ病などの診断があった際の通院履歴
    ・診断書に「いつから症状が出ているか」や「原因となった出来事」などが明記されているか確認
  • 加害者とのやりとり
    ・メールやLINE、SNSのメッセージなど、精神的苦痛を与えてきた相手とのやりとりのスクリーンショット
    ・言葉の暴力やハラスメント、脅迫があった場合、その具体的な発言の録音
  • 証人の確保
    ・精神的苦痛を受けた場面を目撃、相談をした第三者(同僚、友人、家族など)
  • 日記やメモ
    ・いつ、どのような出来事があり、それによってどのような精神的苦痛を受けたかを記録したもの

相手への請求方法

内容証明郵便での請求

内容証明郵便とは
「どのような内容の文書を、誰が、誰に対して、いつ送ったのか」を証明できる郵便のこと

内容証明郵便を活用すれば、「慰謝料請求を行った」という事実に関する証拠とすることができます。

不法行為に基づく慰謝料請求権は、被害者が損害および加害者を知ったときから3年、または不法行為のときから20年で、時効により消滅します。(民法第724条)

ただし、暴力によるケガや交通事故のように、生命や身体を害する不法行為の場合は、「3年」が「5年」に延長されます。(民法第724条の2)

時効が迫っている場合でも、内容証明郵便によって慰謝料を請求すれば、時効の完成を6か月間先に延ばすことができます。(民法第150条)

ただし、この方法が使えるのは一度きりです。

6か月のあいだに話し合いがまとまらない場合は、調停や訴訟など、裁判所での手続きをとる必要があります。

出典:e-Gov法令検索「民法」

関連記事:【弁護士が教える】内容証明郵便の書き方から出し方まで

交渉・示談の進め方

加害者側が内容証明郵便を受領し、内容に対して了承し応じる場合、示談交渉が始まります。

示談交渉では、慰謝料の金額や支払い方法などに関する話し合いが行われ、具体的な金額については、それぞれの事情や過去の裁判例を参考にしながら交渉を進めていくことになります。

また、被害者と加害者が納得の上合意をしたら、その内容を「和解合意書」へまとめて締結します。

加害者側は「和解合意書」の内容に従って、被害者に慰謝料を支払うことになります。

裁判所を利用する場合(調停・訴訟)

調停の場合

示談交渉がまとまらない場合、裁判所に民事調停を申し立てることになります。

調停委員が被害者と加害者からそれぞれに主張を聴き取り、両者の間で調整をしながら解決を目指します。

調停が成立すれば、その内容をまとめた調停調書が作成されます。

自身の主張を調停委員に理解してもらい、有利な条件で解決をするためには、説得力のある主張を行う必要がありますので、弁護士を代理人に立てることをおすすめいたします。

訴訟の場合

民事調停が不成立となった場合は、訴訟を提起して慰謝料請求を争います。

※訴訟は民事調停を経ずに提起することも可能です。

訴訟では、被害者側が以下の2点の証拠を用意して慰謝料請求権を立証する必要があります。

  • 加害者の行為が不法行為に該当すること
  • 被害者が受けた損害額、不法行為と損害の因果関係を立証すること

慰謝料請求の注意点と対策

慰謝料を請求する際の注意点などはありますか?

弁護士

さまざまなリスクや、慰謝料が認められにくいケースなどについて知っておくとよいでしょう。

慰謝料請求時のリスクを把握しておく

慰謝料請求をする際、相手に対して過度な攻撃的言動をしてしまったり、不用意に公の面前で責め立てる行為を行うなどしてしまったりすると、名誉毀損罪や脅迫罪で逆に訴えられる可能性があります。

また、相場からかけ離れた金額での慰謝料請求なども紛争が長期化する恐れがありますので注意が必要です。

まずは、第三者へ不用意に公表しない(SNSや会社内での暴露はNG)ことです。

相手に対して脅迫的な表現(「払わなければ社会的に終わらせる」など)も避けましょう。

冷静に、法的根拠を元に慰謝料請求することが大切です。

慰謝料が認められにくいケースについて理解しておく

客観的な証拠がない場合、慰謝料請求が難しくなります。

口頭のやりとりだけで証拠が残っていない場合や、証人がいない、SNSの投稿やLINEのやりとりを削除してしまった場合、病院の通院歴や診断書がない場合なども慰謝料請求は認められにくいでしょう。

また、慰謝料請求には、相手の行為と精神的苦痛の間に「明確な因果関係」が必要です。

例えば、うつ病を発症していても、その原因が相手の行為ではなく、ほかの仕事上のストレスや家庭環境にある可能性を否定できない場合や、相手の行為から受診までに時間が経ちすぎている場合は、因果関係が不明確だとして、請求が認められなかったり、金額が低くなったりする可能性があります。

そうならないためにも、病院に診察へいった場合は、診断書に「原因」を明記してもらうようにしましょう(例:「○○の行為によるストレス反応」など)

また、証拠がそろっていても、相手の行為がそもそも不法行為に当たらなければ、慰謝料は認められません。

  • 結婚も婚約もしていない恋人に浮気をされた
  • 性格の不一致が原因で離婚することになった
  • 貸したお金を返してもらえない、物を壊されたなど、財産上の損害だけが生じている
  • 交通事故でケガはなく、車だけが壊れた

このうち財産上の損害については、お金や物の賠償を受ければ精神的苦痛も回復されると考えられているため、慰謝料まで認められるのは例外的な場合に限られます。

弁護士に相談すべきタイミング

弁護士に相談するタイミングは早ければ早いほど良いでしょう。

なぜなら、早めに弁護士に相談をすることで証拠不備などを避け、慰謝料請求を滞りなく進めることができる可能性が高くなるからです。

また、相手が支払いを拒んだ際などの交渉事もスムーズに行うことができるというメリットもあります。

弁護士に依頼できる主なこと

  • 有効な証拠が何かを判断し、追加で必要な証拠の助言を受けられる(証拠の収集方法をアドバイス)
  • 既存の証拠が裁判で通用するかどうかをチェックできる
  • 相手と直接交渉し、慰謝料支払いの可能性を高める
  • 請求内容や文面をチェックし、法的リスクを回避し相手からの反訴を防ぐ
  • 相手弁護士の主張に対抗し、適切に対応ができる
  • 裁判所への書類作成や手続きの代行

精神的苦痛の慰謝料についてよくある質問

診断書がなくても慰謝料は請求できますか?

診断書がなくても、慰謝料を請求すること自体は可能です。

慰謝料が認められるかどうかは、相手の行為がどのようなものだったかを中心に判断されるため、録音やメッセージの記録などで行為を証明できれば、請求が認められる余地はあります。

ただし、診断書があれば、精神的苦痛の程度を客観的に示すことができ、慰謝料の金額にも影響します。

眠れない、食欲がないといった不調が続いている場合は、早めに心療内科や精神科を受診しておきましょう。

家族や友人が相手でも慰謝料を請求できますか?

相手が親やきょうだい、友人であっても、その行為が不法行為に当たるのであれば、慰謝料を請求できます。

たとえば、暴力や度重なる暴言、他人に知られたくない秘密を言いふらす行為などが考えられます。

もっとも、相手との関係が近いほど、やりとりが口頭で行われることが多く、証拠が残りにくい傾向があります。

請求を考えている場合は、日時と内容を記録したメモや、メッセージの保存をいまから始めておくことが大切です。

弁護士に依頼せず自分で請求することはできますか?

慰謝料の請求は、ご自身で行うこともできます。

内容証明郵便を自分で作成して送ることもできますし、請求額が60万円以下であれば、原則1回の審理で判決が出る「少額訴訟」を利用する方法もあります。

ただし、相場からかけ離れた金額を請求したり、感情的な表現を使ったりすると、かえって紛争が長引くおそれがあります。

相手が支払いを拒んでいる場合や、相手に弁護士がついた場合は、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

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まとめ

「ハラスメントを受けた」「いじめにあった」「不倫をされた」「交通事故にあった」などの不法行為や契約違反によって精神的なダメージを受けた場合、慰謝料請求を求めることができる可能性があります。

慰謝料を求めるためのポイント4点は以下です。

  • 不法行為の証明:加害者の行為が違法であったことを示す(証拠が必要)
  • 精神的苦痛の立証:診断書や証言などで精神的ダメージを証明
  • 因果関係の証明:加害行為と精神的苦痛の関係を明確にする
  • 慰謝料の金額:被害の程度、加害者の故意・過失、過去の判例を考慮して決定

慰謝料請求をすると決心をした際には、なるべく早めに弁護士に相談をすることをおすすめいたします。

しっかりと準備をして、より良い結果になる手助けができれば幸いです。

弁護士
東拓治弁護士

東 拓治 弁護士
 
福岡県弁護士会所属
あずま綜合法律事務所
福岡県福岡市中央区赤坂1丁目16番13号上ノ橋ビル3階
電話 092-711-1822

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