景品表示法(景表法)とは?ルールや禁止事項、違反した場合の罰則などを徹底解説

色々なキャンペーンの景品や懸賞品、ノベルティを扱うとき、商品やサービスの良さを宣伝するときに、知っておきたい法律の基礎知識が「景品表示法」です。

なんとなく聞いたことはあるけれど、具体的にはどういった法律なのか?おぼろげにしか理解していない自分がいるのではないでしょうか・・・。

今ここでしっかりと理解しておきたい!
そんなあなたのために、分かりやすく徹底的に解説をしていきたいと思います。

目次

景品表示法(景表法)とは?

正式には、「不当景品類及び不当表示防止法」(昭和37年法律第134号)といいます。

正式名称が長いことから、「景品表示法」あるいは「景表法」と省略されます。

この法律の対象は、食品を含むすべての商品について、消費者の方に誤認される不当な景品類や表示を禁止しています。

つまり、実物より商品を良く見せかける表示をしたり、過大な景品付き商品の販売をしたりして、実際には質の良くない品物を購入させ、消費者が不利益を被ることを防ぐ法律です。

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「懸賞」規制は事業者間取引にも適用があります。
他方、「表示」「総付景品」規制は事業者間取引には適用はありませんが、表示が一般消費者の目に触れるような場合には「表示」規制対象になり得ます。
他にも独占禁止法の規制対象にもなり得るので注意が必要です。

景品表示法のルール 不当表示の禁止

1:優良誤認表示

優良誤認
商品やサービスの「品質や性能」について消費者を誤認させるもの

商品やサービスの規格や品質の内容について、「自社の商品の方が他社よりも著しく優れている」と実際の商品の事実に反して、消費者に誤解(誤認)される表示をした場合は、優良誤認表示として禁止されています。

2:有利誤認表示

では、有利誤認表示とはどういったものでしょう?

商品やサービスをする際の取引条件において、実際よりも自社の方が著しく有利であると偽って宣伝をしたり、競争相手が販売する商品・サービスの取引条件よりも「著しく有利」と偽って宣伝したりする行為が有利誤認表示に該当します。

有利誤認表示
「価格その他の取引条件」について消費者を誤認させるもの

優良誤認表示も有利誤認表示のいずれも「不当表示」として、景品表示法で禁止されている行為ですので注意が必要です。

3:指定告示

指定告示
一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示のこと

消費者庁が、景品表示法第5条第3号の規定に基づき、 指定告示として、運用基準の方針を発表しました。

分かりやすく言うと、景品表示法における指定告示とは、不当な表示や広告を行うことを禁止・制限するために、具体的な商品やサービスの表示方法に関して定めた告示のことです。

例えば「誇大広告を禁じる」とか「実際に提供される条件と異なる表示をしない」など、商品やサービスを宣伝する際に守らなければならないルールが具体的に決められています。

また、指定告示は、消費者の変化などに応じて随時更新されることがありますので、最新の情報を把握していく必要があります。

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令和6年3月時点では「無果汁の清涼飲料水」「原産国」の表示、「消費者信用の融資費用」「おとり広告」「有料老人ホーム」に関する表示などが指定されており、随時更新されます。
「消費者庁 表示規制の概要」で検索するとヒットします。

景品表示法のルール 景品法の制限および禁止

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「悪意があるかどうか」は違反要件に該当しません。
「購入者が損をするわけじゃない」と、善意でなされるものも規制の対象になるので注意が必要です。

「懸賞」のうち、一定の条件の下で複数の事業者が共同して行うものは「共同懸賞」、それ以外の懸賞は「一般懸賞」と言い、それぞれ規制されています。

懸賞以外にも、購入者・利用者の全員に対する景品は「総付景品」と言い、規制されています。

1:一般懸賞

一般懸賞とは、消費者が特定の商品やサービスを購入することなく、参加できるプロモーション活動の一種です。

この一般懸賞の主な目的は、企業や製品の宣伝及びブランド認知度を上げ、また顧客との関係構築などで用いられます。

懸賞やプレゼントキャンペーンなどの実施をするにあたっては、守るべきルールがあります。

景品の種類や価値、応募方法、当選者の選び方、当選発表の方法など、透明かつ公正な手続きが求められます。

提供できる景品類の最高額及び総額が決められており、景品類の最高額については、懸賞に係る取引の価額が五千円未満の場合は、取引の価額の20倍まで、五千円以上の場合は一律10万円までとなります。

また、景品類の総額については、懸賞に係る取引の予定総額(懸賞販売実施期間中の対象商品の売上予定総額)の2%以内とされており、最高額及び総額の両方の制限内で行わなければなりません。

取引の価額景品類限度額
最高額総額
5,000円未満取引の価額の20倍懸賞に関わる売上総額の2%
5,000円以上10万円
参考:懸賞による景品類の提供に関する事項の制限

2:共同懸賞

共同懸賞とは、複数の事業者が共同で懸賞(キャンペーンやプレゼント企画など)を行うことを指します。

消費者の注目を集めやすく効果的なマーケティング手法の一つです。

この共同懸賞を行う際には、以下のような点に注意しましょう。

  • 明確な表示
    共同で懸賞を行う全ての事業者の名前を明確に表示し、どの事業者がどのような責任を負うのかを消費者が理解しやすくする
  • 誤解を招かない
    懸賞の条件・応募方法・景品の内容などについて、消費者が誤解することなく、正確に理解できるような表示を心がける
  • 適切な広告
    懸賞の広告は、誇大広告は避けること

また、下記1~3の共同懸賞の限度額は、次のとおりです。

  1. 一定の地域における小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合
  2. 一の商店街に属する小売業者又はサービス業者の相当多数が共同して行う場合
    (ただし、中元、年末等の時期において、年3回を限度とし、かつ、年間通算して70日の期間内で行う場合に限られます。)
  3. 一定の地域において一定の種類の事業を行う事業者の相当多数が共同して行う場合
景品類限度額
最高額総額
30万円懸賞に関わる売上総額の3%
参考:懸賞による景品類の提供に関する事項の制限

3:総付景品

総付景品(そうづけけいひん)
商品やサービスを購入した全ての人に対して提供される景品のことを指す

特定の商品を購入した方や、一定の金額以上の商品を購入した方全員が、必ず受け取れる景品のことです。

よくある、「読者全員プレゼント」などがこれに当たります。

また、申込み順・来店の先着順で提供する景品類も、総付景品に該当します。

4:業種別景品告示

特定の業種での景品提供に関して、何が許されるのか、また、どのような制限があるのかを明確にしています。

特定の業種については、業界の実情等を配慮し、一般的な景品規制とは異なる業種別の景品規制が、景品表示法第4条の規定に基づき、告示により指定されています。

令和6年3月現在、以下の業種について告示が制定され景品類に制限が設けられています。

  • 新聞業
  • 雑誌業
  • 不動産業
  • 医療用医薬品業、医療機器業及び衛生検査所業

景品表示法に違反した場合どうなる?

景品表示法に違反した具体例

分かりやすい典型的な例として、実際には値引きの実態がないにもかかわらず、「通常価格よりも値引きされているかのように表示して広告をする」といったケースがあります。

景品表示法に違反する行為は多岐にわたりますが、下記に記した例は、消費者を誤解させ公正な取引を阻害することから規制の対象となります。

例1商品の性能や効果に関して、実際よりも大げさに表示するケース

「絶対に痩せるダイエットサプリメント」といった、根拠のない効果をうたい文句にした場合など

例2実際には存在しない機能やサービスを有しているかのように表示するケース

あたかも特許を取得している商品のように表示しているが、実際には特許を取得していない場合など

例3消費者が特定の商品やサービスに対して、実際よりも有利な条件で提供されていると誤解させるような表示をするケース

「市場価格の半額で提供」と宣伝しているが、実際の市場価格と大差ない場合など

例4景品やプレゼントの条件を不明瞭にし、あたかも受け取ることがたやすいかのように誤解させる表示をするケース

一定額以上購入したすべての人が高価な景品を受け取れるかのように宣伝しておきながら、実際には抽選や数名しか受け取れない場合など

措置命令に違反した場合

景品表示法に違反した場合には、具体的に以下のペナルティがあります。

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さらに、事業者は「自己の」景品類及び表示を「適正に管理するため」に必要な措置を講じなければなりません。
指導や正当な理由なく講じなければ勧告、勧告に従わなければ公表の対象にもなりますので、注意が必要です。

措置命令

景品表示法に違反した事業者には、措置命令がなされる場合があります。

措置命令には、是正や再発防止や周知などの内容があります。

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表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求められた場合、15日以内に提出できないと不当表示とみなされます。
これは、「表示している以上には裏付けをとっている」ということに由来します。
裏付け資料の取得と保管に関しては、専門家に相談しましょう。

課徴金納付命令

一定の条件のもと、課徴金が課せられる可能性があります。

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課徴金については、自主的報告及び消費者への返金による減額措置などがあります。

措置命令や課徴金納付命令の公表

措置命令や課徴金命令を受けた事業者の氏名や違反内容が公表されることもあります。

これによって、消費者や一般市民に対して、その事業者が景品表示法に違反していたことが周知されます。

刑事罰

重大さや悪質さ等から検察官により起訴されれば、刑事罰の対象となる可能性があります。

景品表示法違反にあたるものを見つけた場合の対処法

自社他社問わず、違反を発見した場合どうすればよいのでしょうか?

第一に、地元の消費生活センターまたは国民生活センターなどへ通報することが考えられます。

第二に、企業に直接連絡をするのも一つの手段でしょう。

直接問い合わせて、問題を解決するよう求める方法です。

企業が違反を修正・再発防止策を講じるきっかけになるかもしれません。

第三に、消費者庁には景品表示法に関する情報提供・相談の受付窓口があります。

オンラインによる情報提供

消費者庁が用意している「景品表示法違反秘儀情報提供フォーム」へ情報提供しましょう。

郵送又は電話による情報提供

消費者庁 表示対策課 情報管理担当への郵送宛先は以下のとおりです。

消費者庁 表示対策課 情報管理担当

〒100-8958

東京都千代田区霞が関3-1-1中央合同庁舎第4号館 7階

電話:03-3507-8800(代表) (平日9:30~18:15 但し12:00~13:00を除く。)

※各公正取引委員会地方事務所等でも情報提供を受け付けています。

景品表示法第9条に基づく事実の報告(自主報告)

事業者が、景品表示法第9条に基づき課徴金対象行為に該当する事実を報告する場合、以下の様式を用いて報告書を作成し、以下の書面にて提出してください。

参考:消費者庁

もしものトラブルに備えて

景品表示法は複雑な法律です。

景品表示法違反に関する相談を行う場合は、専門の弁護士に相談することをおすすめいたします。

万が一、違反行為に対する法的対応が必要な場合、専門知識を持つ弁護士のアドバイスを受けることが企業の経営判断上で有益ですし、殊に景品表示法はスピードが重要です。

弁護士

特に、表示規制についてはリスクの程度を踏まえた絶妙な判断に迫られることがあります。
マーケティングとリーガルの双方利害が衝突しやすい問題ともいえます。

まとめ

景品表示法は企業が商品やサービスの販売をするにあたって、

  • 「消費者を誤認させるような不当な表示をすること」
  • 「消費者の判断を誤らせるような過大な景品の提供をすること」

これらを禁止する法律であり、消費者がより良い商品やサービスを自主的に、また、合理的に選べる環境を守る大切な法律です。

今回の記事が、読んでくださった方にとって少しでも、より法律的に望ましいマーケティング政策のお役に立てれば幸いです。

監修弁護士

弁護士 吉原崇晃


第一東京弁護士会所属
吉原綜合法律事務所

所在地 東京都港区港南2-16-1品川イーストワンタワー4階
TEL 03-6890-3973

戦略法務として、商標・著作権・景品表示法など表示関係全般や企業法務、男女トラブルや交通事故などの私的問題、社内研修まで幅広く扱う

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