「入社したばかりの新入社員が、もう何日も来ていない」
「連絡しても繋がらない」
「無断欠勤した社員の給与はどうすればいい?」
新卒・中途にかかわらず、新入社員の欠勤・無断欠勤は、人事担当者を困らせるトラブルのひとつです。
こうした状況に陥ったとき、「このまま解雇できるのか?」「給与を払わなくていいのか?」と判断に迷う人事部の方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、無断欠勤を理由にすぐ解雇できるわけではなく、給与についても「働いた分は必ず支払う義務がある」など、会社側が守るべきルールが存在します。
対応を誤ると、かえって会社が法的リスクを負うことになりかねません。
本記事では、新入社員が欠勤・無断欠勤した場合の対応手順・給与の扱い・処分の可否について、弁護士監修のもと、解説していきます。
「弁護士に相談なんて大げさな・・・」という時代は終わりました!
経営者・個人事業主の方へ
新入社員が欠勤したときに会社が最初にやるべき対応

欠勤が発生したとき、処分の前にまず「事実を把握すること」が最優先です。

電話等で、状況確認をするということですね。
弁護士この初動を丁寧に行うかどうかで、後の対応の正当性が大きく変わります。
まず確認すべきことは「欠勤理由・連絡状況・欠勤日数」
欠勤が発生した際、最初に確認することは、次の3点です。
1点目は欠勤理由です。
体調不良・メンタル不調・家庭の事情・寝坊など、理由によって対応方針が変わります。
2点目は連絡状況です。
就業規則に定められた方法で事前に連絡があれば「欠勤」、連絡がなければ「無断欠勤」となります。
この区別は懲戒処分になるかどうかを判断する際の判断に直結します。
3点目は欠勤日数です。
1日なのか、数日続いているのか、2週間近くに及んでいるのかで対応方法が変わってきます。
この3点を確認せずに処分を急ぐと、後から「不当解雇だ」と争われたときに会社側の正当性を示せなくなります。
初動でやるべき対応は「事実確認・面談・記録」の3つ
状況を確認したあと、次にやるべきことは事実確認です。
具体的には、出勤簿・タイムカード・連絡のやり取りを、時系列で整理します。
次は面談です。
本人と連絡が取れたら、責めるのではなく「体調や職場で気になることはないか」という姿勢で話を聞きます。
欠勤の背景にメンタル不調や人間関係の問題がある場合、強引に出社を促すと状態が悪化するケースもあります。
なお、本人と会社のやり取りは、必ず記録しておきましょう。
いつ連絡したか、何を伝えたか、どう指導したかを、日付入りで文書に残します。
「口頭で言った」だけでは証拠になりません。
新入社員が無断欠勤した場合の対処法

新入社員が無断欠勤した場合は、会社として段階的に対応する必要があります。

「無断欠勤したら即処分・即解雇」は良くないということですね。
弁護士慌てて処分に動く前に、決められた手順を踏むことが重要です。
連絡が取れないときの対応手順
無断欠勤が発生したときの基本的な対応手順は以下の通りです。
- 内容証明郵便を送付し、「期日までに返答がなければ解雇の可能性があること」を通知する
- 電話・メール・社内チャットで2〜3回連絡を試みる(「怠けているのか」ではなく「無事かどうか」を確認する姿勢で)
- 緊急連絡先(保護者・身元引受人)に安否確認の連絡をする
- それでも連絡が取れなければ、複数名で自宅を訪問する(記録を残す)
労働契約法第5条は、会社に「安全配慮義務」を課しています。
たとえば、社員が自宅で倒れていた場合に、何の連絡もしていなかった会社が責任を問われた事例も実際に存在します。
連絡を試みた記録を残すことは、会社を守ることにもつながります。
無断欠勤が続いたときに会社が確認すべきポイント
無断欠勤が数日を超えてきたら、就業規則に規定があるかどうかを確認します。
「無断欠勤が○日以上続いた場合は懲戒処分の対象」「○日以上で自然退職とみなす」など、処分の根拠となる規定の有無が重要です。
規定がなければ一方的な処分は難しくなります。
あわせて、これまでの対応記録が残っているかも確認しましょう。
連絡・指導・面談の記録が揃っていることが、処分の有効性を支えるポイントとなります。
実際には、14日間の連続無断欠勤が懲戒解雇を検討する目安とされています。
ただしこれは目安に過ぎず、就業規則の規定・本人への通知・弁明の機会の付与など手続き上の要件を満たさなければ解雇は無効です。
社員の処分を検討する前に、必ず専門家に相談してください。
新入社員が欠勤した場合、給与はどうなる?

欠勤と給与の扱いは「ノーワーク・ノーペイの原則」が基本ですが、控除の種類と限度を正確に理解しておかないと法的トラブルの原因になります。

確かに、実働していない日の給与は払えませんね。
弁護士控除や有給休暇等は適正に扱うべきでしょう。
欠勤した日の給与は支払われるのか
ノーワーク・ノーペイの原則により、働いていない日の賃金は発生しないのが原則です。
月給制の場合、欠勤日数に応じて給与を差し引く「欠勤控除」が認められています。
ただし、有給休暇を取得した場合は別です。
有給休暇は労働基準法第39条で認められた権利であり、有給取得日を欠勤控除の対象にすることはできません。
欠勤控除と減給処分の違い
欠勤控除と減給処分はよく混同されますが、法的性質がまったく異なります。
欠勤控除は働かなかった日の賃金を支払わない「賃金計算上の調整」で、懲戒処分ではありません。
一方、減給処分は懲戒処分の一種です。
労働基準法第91条により「1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、複数回でも1賃金支払期の総額の10分の1を超えてはならない」と上限が定められています。
すなわち、「罰として余分に差し引いた」「給与をゼロにした」という「制裁」のような対応は違法になります。
無断欠勤でも働いた分の給与は支払う必要がある
無断欠勤を繰り返した社員であっても、実際に働いた日の給与は必ず支払わなければなりません。
労働基準法第24条(賃金全額払いの原則)により、会社の感情や損害の有無に関係なく法的義務です。
給与の支払い・懲戒処分・解雇の判断は、それぞれ別の問題として整理してください。
新入社員の欠勤はどこまで会社が処分できる?

欠勤を理由に処分を下せるかどうかは、欠勤の程度だけでなく「会社がどれだけ適切な対応をしてきたか」にかかっています。

会社側も誠実に対応すべきなのですね。
弁護士欠勤自体は誰でも起こり得ることのため、やはり誠実に対応するべきでしょう
試用期間中の本採用拒否は可能か
試用期間中であっても、無条件に解雇や本採用拒否を行うことはできません。
最高裁の「三菱樹脂事件(昭和48年12月12日判決)」以降、試用期間中の解約権の行使にも「客観的に合理的な理由」と「社会通念上の相当性」が必要とされています。
欠勤を繰り返している事実は処分理由になり得ますが、会社として十分な指導を行ったかどうかが問われます。
実際、「栴壇学園事件(仙台地裁・平成2年9月21日判決)」では、欠勤に対して雇用主が何ら注意をしていなかったとして懲戒解雇が無効と判断されました。
指導と記録を積み重ねることが、処分の有効性を支えます。
解雇や退職扱いを検討する際の注意点
解雇・退職扱いを検討する際は、いくつかの要件を確認する必要があります。
まず、就業規則に解雇事由が明記されているかどうかです。
無断欠勤による解雇は、就業規則の解雇事由に該当していることが前提となります。
次に、本人への弁明機会を設けたかも重要です。
懲戒解雇は会社が一方的に通知するだけでは不十分で、適切な手続きを踏む必要があります。
また、解雇予告の手続きも必須です。
労働基準法第20条により、解雇は原則30日前の予告か30日分以上の解雇予告手当の支払いが求められます。
なお、退職勧奨と退職強要の区別にも注意が必要です。
「辞めなければ解雇する」というプレッシャーをかけ続ける行為は、「退職強要」と見なされ、違法となる可能性もあります。

新入社員の欠勤対応で会社がやってはいけないこと

正しい知識なく動いてしまうと、むしろ会社が法的リスクを抱えることになります。

どのような点に気を付けるといいのでしょうか…。
弁護士特に注意すべき3点を確認しておきましょう。
感情的に責める
「やる気がないなら辞めろ」「社会人として非常識だ」などの発言はパワーハラスメントと受け取られるリスクがあります。
欠勤の背景にメンタル不調や適応障害が潜んでいる場合、強く責め立てることで状態が悪化することもあります。
まずは欠勤の理由を確認し、背景を理解してから対応方向を決めましょう。
記録を残さず判断する
「口頭で何度も注意した」という事実も、記録がなければ証拠になりません。
残すべき記録は、欠勤日の勤怠記録・連絡を試みた日時と内容・面談の日時と内容・注意指導の事実(書面が理想)です。
これらが揃っていれば、解雇の有効性を争われた際や労基署の調査にも対応できます。
就業規則を見ずに処分を急ぐ
懲戒処分は、就業規則に処分の種類・要件・手続きが定められており、有効とするためには従業員に周知されていることが前提です(労働基準法第15条)。
規定のない懲戒処分は原則無効になります。
社員の処分を検討する前に必ず就業規則を確認し、不明点は社会保険労務士・弁護士に相談してから動いてください。
まとめ|新入社員の欠勤は給与と処分を分けて考えることが重要
欠勤対応の基本は「事実確認・記録・段階的な対応」の3つです。
給与面では働いた分の支払い義務は欠勤理由に関わらず発生し、欠勤控除と減給処分は別物です。
処分は就業規則の規定・指導の記録・弁明の機会があってはじめて有効になります。
感情的な対応や拙速な処分はかえって会社のリスクを高めることになります。
不安な場合は、できるだけ早い段階で社会保険労務士・弁護士へ相談しましょう。

東 拓治 弁護士
福岡県弁護士会所属
あずま綜合法律事務所
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