これってデート商法!?~体験談から学ぶデート商法の見分け方~

「デート商法」は「恋人商法」とも言われています。

異性との恋愛感情や親密な関係を装って相手に近づき、相手に高額な宝石・化粧品・エステ・絵画・セミナー受講などを購入させる手口です。

また、最近では投資用不動産なども購入させられるということも横行しているようです。

昨今、流行しているマッチングアプリも、もれなくターゲットになっていますので注意が必要です。

「デート商法」にいつの間にか飲み込まれてしまい、後戻りできなくなってしまわない為にも、ここでしっかりデート商法とはどういったものなのか?について、一緒に学んでいきましょう。

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丸山弁護士

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目次

デート商法とは?

デート商法って、引っ掛かる人はいるんですか?
どういった手口が多いのでしょうか?

弁護士

デート商法は昔からある詐欺の一種です。
改めて特徴について見てみましょう。

デート商法の特徴

デート商法の特徴は、ターゲット(被害者)の感情や人間関係を利用して、高額な商品や不動産などを売りつける点にあります。

そして、最も注意すべきは、高額商品を買わされている本人がだまされているということになかなか気が付くことができない点にあります。

「恋人におねだりされたので宝石を買った」

「将来一緒に住むマンションを購入した」

ターゲット(被害者)はそんな風に思っていますので、たとえ出費金額がかさんでいっても、友人や親兄弟に指摘されるまで自分が騙されているなんてことはつゆほども思わないことがこの「デート商法」の恐ろしいところです。

その他、以下のような特徴も見受けられます。

感情的なアプローチ

デート商法の最も際立った特徴は、営業担当者がターゲットに恋愛感情や親密さを装って接近することです。

これにより、ターゲットは自分が特別な関係を築いていると信じ、相手の言うことに従いやすくなります。

商品の不必要性

提供される商品やサービスは、多くの場合、ターゲットが実際には必要としないものです。

高額な絵画、宝石、エステティックサロンのコース、投資案件、あるいは出所不明な健康商品などが典型的です。

高額な料金設定

ターゲットに提供する商品やサービスの価格は非常に高額で、市場価格とかけ離れていることが多いです。

ターゲットは感情的になり、判断が鈍っていることが多いため、これらの高額商品を勢いで購入してしまうことがよく見られます。

強引な勧誘

デートや食事を重ねるうちに、営業担当者は徐々にターゲットに対して商品やサービスの購入を強要します。

「自分のために買ってほしい」、「これがあれば一緒にもっと楽しめる」など、感情に訴えるような言葉を使います。

ターゲットの選定

デート商法では、特に孤独感を抱いている人や、恋愛に対して不安を感じている人がターゲットにされやすい傾向にあります。

また、若者や高齢者など、お金に関する知識や警戒心が低いと見なされている層が狙われやすいようです。

契約後の冷淡な態度

商品やサービスを購入した後、営業担当者は急に態度を変えることがあります。

親密だった態度が冷淡になり、連絡が途絶えはじめるので、そこで被害者は騙されたことにようやく気づくことになります。

違法性と法的対応について

デート商法は感情に訴えかけ相手を思うように操作をすることから、場合によっては詐欺とみなされることがあります。

日本では特定商取引法に基づいて規制されており、違法な勧誘行為として取り締まるケースも少なくありません。

また、クーリングオフ制度が利用できることもあるので、契約解除が可能かどうかを弁護士などの専門家に確認することをおすすめします。

デート商法に巻き込まれやすい人とは

では、どういった方がデート商法に巻き込まれやすいのか、その特徴を見ていきましょう。

孤独感がある人

恋愛や人間関係に依存しやすい、また強い憧れや願望を持っている人は、デート商法のターゲットになりやすいでしょう。

新たな出会いに大きな期待を寄せることで、相手に対して警戒心が薄れてしまいがちなのも大きな理由です。

相手からのアプローチを過剰に信じてしまう傾向があるため、相手の言うことを無条件に受け入れ、結果デート商法に引っかかりやすくなります。

恋愛経験が少ない人

恋愛経験が少ない人や対人関係が苦手な人は、相手の意図や行動を正しく判断することが往々にして苦手なことが多く、デート商法の手口に引っかかりやすい傾向があります。

また、経済的に不安定な人は、相手から支援や高価なプレゼントなどを持ち掛けられることをきっかけに相手に依存しやすくなり、デート商法に巻き込まれることがあります。

デート商法のよくある手口や商品内容

デート商法が行われるシチュエーションはどのようなものがありますか?

弁護士

代表的なケースはありますが、必ずしも「このパターンから」というものがないので、状況を都度見極めることが大事です。

代表的なケース

デート商法の代表的なケースになりますので確認していきましょう。

1,容姿端麗

マッチングアプリなどでは、美男美女の写真やプロフィールを使い、ターゲットに近づこうとしてきます。

また、特に外見に自信のある詐欺師が、その魅力的な外見を利用してターゲットの関心を引くことからはじまります。

2,同窓会等の集まりでの接触

同窓会や同じ趣味の集まり、あるいは地元のコミュニティイベントなど、信頼されやすい場所で接触をしてきます。

懐かしい話題や共通の知り合いを利用して警戒心を解き、親密さを築きます。

3,婚活パーティーやマッチングアプリでの接触

婚活パーティーや今流行りのマッチングアプリを利用して、真剣な出会いを求めている人達に接近します。

また、プロフィールが詳細に入力されているので、相手の理想的なパートナーを装うことが可能となり、ターゲットの信頼を得ようとしてきます。

真剣であればあるほど盲目的になってしまい、デート商法だと気づきにくくなる一因となります。

4,街頭アンケートや紹介による接触

街頭でアンケートを取るふりをして接触し、その後ターゲットとの連絡を取り続けて段々と親しくなっていく、という手口も古典的ながらまだまだ存在します。

また、友人や知り合いの紹介などを装い、ターゲットの警戒心をとり除き近づいてきます。

5,親密な関係の構築

様々な方法でターゲットと出会い頻繁に会うことによって、親密な関係を築いていきます。

この段階で、ターゲットは詐欺師に対して好意を抱き、少なからず警戒心を解いてしまいます。

この状態になってから、「特別な商品」「限定サービス」などを紹介し、購入させます。

6,購入の強要

「あなたのために選んだ」等々様々な言葉を使って、購入せざるを得ない状況を作っていきます。

時には「2人の将来のために」といった未来への期待感や心理的プレッシャーをかけてきます。

7,高額なローン

支払い能力を持たないターゲットの場合、ローンを組むように勧めてきます。

この場合、手続きをサポートするための提携金融機関を紹介することがよくあります。

契約が成立した後のクーリングオフが可能な期間である「契約日から8日間」までは、頻繁に連絡を入れてきますが、その後は用が済んだと言わんばかりに態度を変えたり、連絡を絶ったりすることも。

よくある商品

典型的な商品としては、アクセサリーや化粧品・絵画・洋服などが昔からよく知られています。

ターゲットにされた被害者は、相手に対する好意や信頼、信じたいと思う気持ちから、つい契約してしまうケースが多く、気づいた時には高額なローンを組まされていることも少なくありません。

また、最近の傾向として、オンラインでの出会いを利用したデート商法も増えており、SNSやマッチングアプリを通じてターゲットに接触する手口も見られます。

この場合、投資用マンションや暗号資産(仮想通貨)など、高額な金融商品を購入させるケースも多く見られます。

このような詐欺に遭わないためには、感情に流されず、冷静に商品やサービスの内容を確認すること、そして少しでも不審だと思った勧誘には応じないことが重要です。

デート商法の体験談

デート商法は、実際にはどのような流れで行われるのでしょうか?

弁護士

実際にあったケースを3つ紹介します。

事例1<アクセサリー購入>

30代の女性がSNSで知り合った男性とデートを重ねる中で、彼から「特別なプレゼント」としてアクセサリーを購入するように勧められました。

男性は「二人の思い出になる」と言い、彼女はその言葉に感動して高額なネックレスを購入しました。

しかし、その後彼からの連絡が途絶えてしまいます。

後で調べてみると、そのアクセサリーは市場価値のないもので、彼女は多額の借金を背負ってしまいました。

事例2<絵画の購入>

20代の男性が街中できれいな女性から声をかけられ、親しくなりました。

彼女から「アートに興味がある」と言われ、ギャラリーに誘われデートすることになりました。

彼は特に興味がなかったものの、彼女の勧めで数十万円の絵画を購入しました。

後日、その絵画にはほとんど価値がないことを知り、そのことについて彼女と連絡を取ろうとしましたが、連絡はつかないままとなってしまいました。

事例3<投資用マンション>

40代の男性がマッチングアプリで知り合った女性とデートを重ねる中で、彼女から「将来のために資産を持っておいた方がいい」と、投資用マンションの購入を勧められました。

女性の説得力と、自分のことを心配してくれているという感謝の気持ちから、彼はマンション購入の契約を結びました。

しかし、投資用とは名ばかりの、実際には収益がまったく期待できない物件を購入させられたことをのちに知り、男性にはローンだけが残ってしまいました。

これらの体験談に共通するのは、恋愛感情や親しさを利用して冷静な判断を失わせる点です。

ターゲット(被害者)が相手(詐欺師)を盲目的に信頼した結果、高額な契約を結んでしまうというパターンが大多数です。

注意点として、こうした勧誘に遭遇した際には一度冷静に自分で考え、身近にいる第三者へ相談をすることが挙げられます。

身近な人物に相談することが難しい場合には、匿名で相談することができる各種相談窓口もありますので、まずは一人で抱え込まずに相談することが重要です。

また、状況や心情的に難しいですが、高額商品の購入をその場で即決しないことが被害を防ぐ鍵となります。

警察相談専用電話「#9110」

これってデート商法?チェックリストで確認

自分ではまっとうな恋愛関係だと思っているのですが、デート商法かどうかを確認する方法はありますか?

弁護士

以下にチェックリストを用意しました。
複数当てはまったから危険・どれも当てはまらなかったから安心、というものでもありませんので、あくまでも参考程度にしてください。

これってデート商法?チェックリストで確認

  • イケメン・美女など容姿が端麗である
  • 出会いのきっかけが不自然
  • 急にデートに誘われる・アプローチが積極的
  • 褒め言葉や耳心地の良い言葉を常に言われ、強い好意を示される
  • 友人・知人ではなく「お世話になっている人」のイベントや店に連れて行こうとする
  • 特徴的なプライベートの話(不幸な生い立ち等)をされ、親密さを演出し依存させる
  • 会話やデートを繰り返した後、品物(商品)をねだる・買わせようとする
  • 商品購入後もしばらく連絡を取っていたが、その後自然消滅
  • 一度商品を購入した後、何度も商品を購入させようとする
  • 詳細な個人情報を求められる

デート商法は、ターゲットに考える時間を与えず、その場での購入や契約を強く勧めます。

いったん冷静に対応が出来れば、まだデート商法から逃れられるチャンスはあります。

もしこのチェックリストに複数当てはまる箇所があれば、その恋愛はデート商法である可能性が高いです。

慎重に対応し、信頼できる人に相談してみましょう。

また、消費者センターや警察などの専門機関に相談することも検討してください。

消費者ホットライン「(局番なし)188」

もしもデート商法に引っ掛かってしまったら

「そんなわけない」と思いつつも、デート商法の疑いが強くなった場合どうしたらいいのでしょうか?

弁護士

まずは証拠の保全と、各種相談窓口に連絡することが大事です。

クーリングオフができるか確認

日本の法律では、「特定商取引法」に基づいて、一定の取引に関してはクーリングオフが認められています。

  • 契約から8日以内であること(契約日を含めてカウント)
  • 訪問販売や電話勧誘販売など、特定商取引法が適用される販売形態であること
    ※インターネット上での契約や店舗で直接行った契約の場合は、クーリングオフが適用されない場合があります

クーリングオフが適用される条件を満たしている場合、クーリングオフの意思を業者に伝えるために、内容証明郵便で契約解除の通知を送ります。

電話等の口頭でもクーリングオフは成立しますが、証拠が残らないため、書面を送付することが大切です。

弁護士など、専門家に相談することをおすすめします。

クーリングオフ制度とは

特定の方法で取引した契約を、契約後一定期間内に無条件で契約解除ができる制度のこと。

通常、契約日を含めた8日以内に契約解除を申し出れば契約解除が成立します。(マルチ商法の場合は20日以内)

ただし、通信販売・店舗販売など、商品購入の検討時間が十分に取れるものについて、クーリングオフ制度は適用されません。

口頭でもクーリングオフを行うことはできますが、「言った・言わない」の問題になりやすいため、基本的にはハガキやFAXなど書面で残る方法が推奨されます。

弁護士へ相談

デート商法に巻き込まれた場合、弁護士に相談をすることは非常に有効な手段となります。

まずは証拠を提出することが重要になりますので、メールやラインでのやり取りや、購入した商品の契約書・領収書など、購入に関する証拠をできるだけ多く残しましょう。

これらの証拠が、後の法的措置を取るための重要な資料となります。

可能であれば、消費者問題や詐欺に詳しい弁護士に相談すると、事件解決の近道になります。

弁護士に相談することが経済的に負担だという場合、自治体が提供する無料法律相談や法テラス(日本司法支援センター)を利用することもできます。

これらのサービスでは、専門の弁護士が無料、または低価格で相談に乗ってくれます。

法テラス・サポートダイヤル「0570-078-374」

警察へ相談

デート商法に巻き込まれた場合、警察への相談も重要です。

デート商法は詐欺や悪質商法の一種であり、場合によっては刑事事件として扱われることがあります。

どのような準備をして警察に相談に行くのかいいか、順番に確認していきましょう。

STEP
証拠を集める

弁護士に相談に行く際と同じく、相手とのやり取りの記録が大切です。

購入した商品や契約書、領収書、銀行の振込明細など、被害に遭ったことを証明できる資料を集めましょう。

メッセージのスクリーンショットや音声記録も役立つ場合があります。

STEP
最寄りの警察署へ相談

最寄りの警察署内にある生活安全課や消費者相談窓口に相談をしに行きます。

まずは、「デート商法にあった」と具体的に説明をし、どのような被害にあったのか、集めた証拠とともに詳細を伝えましょう。

受けた被害が詐欺に該当するかどうか警察が判断してくれます。

被害が確認され、被害届が受理された場合には、捜査が開始します。

STEP
弁護士との連携

警察に相談する一方で、並行して弁護士にも相談をしましょう。

弁護士は、警察への届け出の方法やその後の対応についてアドバイスをしてくれるため大変心強いですし、法的なサポートが受けられるので、不安に思っている状態の中で少しでも安心感が得られます。

STEP
公的機関への相談

警察以外にも、消費生活センターや法テラスといった公的な機関もサポートを提供しているので、これらへ相談することも有効です。

特に消費者被害に関しては、消費生活センターが適切なアドバイスをくれる場合があります。

弁護士

デート商法は被害が見えにくいため、被害にあっていると感じたらなるべく早く相談をすることが大切です。

業者との和解を試みる

被害を回復させる際、クーリングオフなどを利用して契約を解除できない場合、業者との協議で和解ができれば被害を最小限で抑えることができるかもしれません。

口頭のみでの交渉は後からトラブルになることが考えられるため、弁護士などの専門家に依頼し、和解の成立までは書面でのやり取りをしていきましょう。

和解の条件を明確にし、返金や契約解除の具体的な希望を伝えます。

弁護士

自分が譲歩できる範囲も考慮しつつ、相手にとっても受け入れやすい提案をすることがポイントです。

業者が和解に応じない場合や、話が進展しない場合は、法的手段を考えることも視野に入れておくべきです。

弁護士を通じて訴訟を起こすか、消費者庁や警察に相談することが次のステップとなります。

業者側としては、デート商法を理由に訴訟や刑事告訴をされた場合、ダメージを受けることになるでしょうし、面倒だという理由で返金した方が得策だと考えることもあるかもしれません。

ただし、悪質な業者だとそのようなトラブルにも慣れているため、簡単には和解に応じてくれないケースもあります。

裁判での訴訟

業者との話し合いの中で解決が難しいと思った場合は、訴訟を提起し、被害額の返金を求めていくことになります。

デート商法の被害に遭ったことを主張しそれを立証しなければなりませんが、それに成功すれば裁判所から勝訴判決を得ることができます。

デート商法の場合、残念ながら相手の住所がわからないケースがほとんどだと思いますが、相手の住所がわからなくても裁判自体は行うことができます。

ただし、勝訴判決を得たとしても、裁判所が強制的にお金の回収をしてくれるわけではありません。

そのため、所在不明の相手からは返金を求めることは難しいでしょう。

また、裁判には時間と費用がかかるため、事前に「どのくらいのコストが発生するか」、「どのくらいの期間を要するか」を弁護士と共に確認しておくことも大切です。

また、業者が倒産する場合や、姿を消してしまうリスクもあります。

その場合、賠償を受け取れない可能性があるため、相手の財政状況や信頼性を把握しておくことも重要です。

そのためにはやはり、弁護士との連携が重要になってきます。

デート商法の訴訟は複雑なケースが多いため、専門家である弁護士の助言を受けながら進めることが大切です。

特に消費者被害に詳しい弁護士に相談することで、訴訟を有利に進めていくことが期待できます。

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まとめ

デート商法は、巧妙な手口で人々の心に土足で踏み入り感情を操作し、価値のない商品などを高額で売りつけてくる悪質な商法です。

特に若い世代や孤独感を感じている人々がターゲットにされやすいため、自分自身だけでなく周囲の大切な人にも警戒を呼びかけることが重要です。

不審だと思う勧誘や、急激に距離を詰めてくる相手には、一度冷静になって対応しましょう。

また、何かを契約させられそうになった場合や購入を勧められた場合は、即決せず慎重に検討しましょう。

万が一、被害に遭った場合は、消費生活センターや弁護士などの専門家・相談機関に早めに相談することが大切です。

自分を守る意識を高め、トラブルを未然に防ぐための情報を積極的に共有していきましょう。

この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

弁護士
東拓治弁護士

東 拓治 弁護士
 
福岡県弁護士会所属
あずま綜合法律事務所
福岡県福岡市中央区赤坂1丁目16番13号上ノ橋ビル3階
電話 092-711-1822

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