「未納料金あります」は架空料金請求詐欺の可能性大!3つの事例と対策方法5選

「未納料金があります」などの文言のSMSやメールなどを受け取ったことはありませんか?

誰もが一度は見たことがあるかと思いますが、これは詐欺メールの一種です。

このようなメールやSMSを受け取っても慌ててはいけません。身に覚えがない場合は、慌てずに冷静に対処する必要があります。

今回は、架空料金請求詐欺の被害事例や、被害に遭わないための対策について詳しく紹介します。

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目次

架空料金請求詐欺とは?

弁護士

その名の通り、実際には発生していない「架空の料金」を「請求する」という詐欺行為の一種です。

架空料金請求詐欺は、昔から行われているよくある詐欺ですよね。

警察庁の統計によると、令和5年の認知件数は5,198件、被害額140.4億円と、いずれも増加傾向にある状況です。

架空料金請求詐欺とはどういうものを指す?

架空料金請求詐欺とは
実際には何も料金が発生していないにもかかわらず、「未納料金があります」等の文言を記載したメールやショートメッセージ、郵送物などで料金をだまし取ろうとする詐欺の手口を指します。

多くの場合に「未納料金」「最終通告」「支払いがない場合は法的措置を取ります」といった文言が使われ、普段からきちんとしている人ほど焦ってしまう傾向にあります。

また、最近では手口が巧妙化し、電子マネーカードで支払わせるパターンも確認されています。

電話口で「今日中に支払わないと裁判になる」等と言い、被害者を焦らせ、コンビニなどで電子マネーカードを購入させ、この番号を聞き出しお金をだまし取ろうとする方法です。

その場ですべて完結してしまうため、電話が終わった後少し経ってから「詐欺ではないのか」と気づくことも少なくありません。

架空料金請求詐欺に引っ掛かりやすい状況とは

架空請求詐欺に引っかかりやすい状況やシチュエーションはいくつかあります。

突然の請求に驚いたり、焦ってしまった

何の前触れもなく「料金が未納です」等の通知が届くと、たいていの人は焦ってしまい早急に解決しようとするでしょう。

冷静になれば、架空請求であることに気づくことができますが、詐欺師は冷静になる隙を与えないように執拗に請求し支払いを迫って焦らせてきます。

今まで料金の延滞などをしたことがない人は、特に注意が必要です。

本物の請求と勘違いしてしまう

詐欺グループは実際に存在するカード会社や電力会社・通信会社の名前を利用し、本物の請求のようにカモフラージュします。

もし実際に利用している会社(取引のある会社)であれば、勘違いして支払ってしまう可能性があるでしょう。

パソコンやスマホのセキュリティに脆弱性がある

パソコンやスマホにセキュリティ対策ソフトがインストールされていない場合には、詐欺メールやフィッシングサイトの被害に遭いやすくなってしまいます。

パソコンやスマホは常に最新のセキュリティーソフトに更新し、OSなども最新にアップデートすることが大切です。

ネットに疎い人や無頓着な人はアップデートを怠りがちになるため、普段から意識するようしましょう。

架空料金請求詐欺のよくある手口と詐欺の流れ

実際には、どのような流れで架空料金請求詐欺が行われるのでしょうか?

弁護士

以下のような状況に陥ったら「詐欺かもしれない」と疑うことを忘れないでください。

はがきや普通郵便等の手紙

はがきや普通郵便などの郵便物で「未納料金があります」「支払いが確認できません」などの通知が届くパターンです。

もちろん本物の場合もありますが、中には実存しない詐欺の請求も紛れている場合もあります。

たいていの場合、「本人からの連絡がない場合には裁判に移行します」等の文言と電話番号が記載され、ここに電話をかけてしまうと詐欺に巻き込まれてしまう、という流れです。

「未納料金があるのではないか、裁判になってしまうのではないか」と不安がある場合には、まずネット検索などで正しい連絡先を確認してみることが大事です。

また、警察や消費者センターなどに相談することでも被害を防ぐことができるでしょう。

SMS(ショートメッセージ)やEメールなど

郵送物と同様の手口で「未納料金があります」や「支払いが確認できません」などのメールやSMSが届くことがあります。

これらは有名な企業や普段から利用しているサイトなどを装って送られるため、勘違いしたユーザーが騙されてしまうことも少なくありません。

また、URLが記載されていることも多くあり、これにアクセスしてしまうとワンクリック詐欺やフィッシング詐欺など、別の詐欺被害に遭ってしまう可能性もあります。

不用意にクリックしないようにしましょう。

電話

詐欺グループが直接自宅や携帯電話などに電話をかけて、「未納料金があります」「今すぐに払わないと法的措置を取ります」などと脅迫してくる手口です。

心理的なプレッシャーをかけ冷静になる隙を与えない手法で、架空料金の支払いを早急に行わせるのが目的です。

高齢者などはプレッシャーに弱く脅迫に屈してしまうケースがありますので、注意が必要です。

また、電話を切らせずにそのまま支払いまで行わせるパターンも少なくありません。

「今すぐに」と焦らせてくる場合でも、一度冷静になり内容を精査することが大事です。

不審なウェブサイト

不審なURLをクリックすると、様々なトラブルに巻き込まれる可能性があります。

実際には有料サイトではないのに、「有料サイトです。料金○○円を支払ってください」などと表示することで、架空の料金を請求する手口も確認されています。

他にも、不審なURLをクリックすると、フィッシングサイトに誘導されたり、マルウェアに感染したりします。

これらの結果、個人情報が盗まれ、架空の料金請求や脅迫に繋がる可能性があります。

不審なURLをクリックすることは、様々なトラブルに繋がる可能性があります。

少しでも怪しいと感じたら、安易にクリックをしないということが重要です。

架空料金請求詐欺にありがちな3つの事例

被害の数だけ事例が存在するということですよね…。
自衛の際の参考にしたいです。

弁護士

ここでは3つの事例を紹介します。
典型的な例から少し複雑なケースまでありますので、覚えておくとよいでしょう。

メールで「有料サイトの料金未納により裁判の供託金が必要」と言われた事例

ある男性は、スマホのメールに「有料サイトの料金が未納だ」という連絡を受けて、記載されていた電話番号に電話をかけてしまいました。

オペレーターに「利用料金を支払っていないため、大至急料金を支払ってください。できないなら裁判をします」などと言われて、15回に渡って合計4,285万円を現金書留で支払ってしまいました。

なおこの男性は、不審に感じた郵便局員が事情を確認したため、架空請求詐欺被害に遭っていることに気がつくことができました。

通常、利用料金を現金書留で送れ、という指示をすることはありません。

有料動画閲覧履歴があるため身辺調査に入ります」と言われてギフトカードを購入した事例

ある男性が、SMSで「有料動画に閲覧履歴があるが、料金未納になっている。このままだと身辺調査や法的措置をする」という脅迫を受けました。

電話をしたところ、「未払いならブラックリスト入りかもしれない。そうならないためにはギフトカードで12万円払って」と言われ、言われるまま12万円支払いました。

しかしその後も「海外サイトでも閲覧履歴がある。104万円振り込め」と更に脅されました。

男性は状況がおかしいと感じ、警察に相談した結果、架空請求詐欺だとわかりました。

記載されている電話番号にかける前に、電話番号が正しいものかどうかを確認することが大事だといえます。

老人ホームに入居する権利を断ったところ「逮捕される」などと恐喝され、示談金を支払った事例

詐欺師Aは、男性に対して老人ホームの入居権を持っていると偽り、その権利を譲るように誘いました。

被害者は最初断っていましたが、詐欺師Aは「他の人のために名義を貸してほしい」と言い出し、人助けの名目で名義を譲るよう求め、被害者は親切心から了承してしまいました。

そして、後日、弁護士を名乗る人物Bから男性に電話で「名義貸しは犯罪で逮捕される可能性がある」と脅しました。

被害者は驚きと恐怖に捕らわれ、「ただ断っただけなのに逮捕されるかもしれない」とパニックに。

その後、弁護士を名乗る人物Bは「解決金として300万円を支払ってくれれば逮捕は免れる」と言い、宅配便で現金を送るように指示しました。

宅配便や普通郵便で現金を送ることは法律で禁止されています。このような指示があった場合には詐欺なので騙されないように注意しましょう。

架空料金請求詐欺被害に遭ってしまった時の対処法

もしも、架空請求詐欺被害に遭ってしまった時、どのように対処するべきなのでしょうか。

弁護士

まずは「騙されないようにする」ことが大事ですが、万が一お金を振り込んでしまった場合でも救済策はあります。

そのコンテンツやサイトを利用していない場合には連絡しない

架空請求詐欺の電話やメール、SMSなどを受け取った場合、そのコンテンツやサイトなどに身に覚えがなければ、連絡はしないようにしましょう。

記載のあるURLなどのリンクもアクセスはしないようにしましょう。

電話がかかってきても、知らない電話番号や非通知の電話はできるだけ出ないようにした方が安全です。

気になるようであれば、かかってきた電話番号をネット検索するのもよいでしょう。

たいていの場合、何かしらの情報が出てくるはずです。

万が一電話に出てしまっても、身に覚えがなく、「未納料金があります」と言う文言が出てきた場合は、すぐに電話を切り、取り合わないようにしましょう。

また、詐欺グループは実在する大手企業の名前を騙ってかけてくるケースもあります。

焦って支払いをせずに、「家族に確認してから対応を検討します」などと言い、一度電話を切るといいでしょう。

もしも、身に覚えがある場合は、きちんと詳細を確認するとより安心です。

その上で関係ないと感じたら、かかってきた電話番号などは着信拒否の設定をしておくと安心です。

むやみに個人情報を開示しないようにする

メールやSMSでは、記載されたリンクにアクセスすると「名前」「電話番号」「住所」など記載するような入力画面が出てくる可能性があります。

一見すると、公式サイトの画面にも見えるような作りになっていて安心なような気はしますが、詐欺サイトである可能性も十分に考えられますので、むやみに入力しないことが大事です。

もしも、引っ越しなどで住所が変わった・メールアドレスを変更したなど手続きする必要がある場合には、公式サイトをネット検索してアクセスするようにしましょう。

郵便物やメールなどは証拠として保存しておく

架空請求詐欺と思われる郵便物やメールなどは証拠として保存しておくといいでしょう。

もしも、本当に騙されたりしつこい架空料金請求が来たり等で警察に相談する場合、証拠になります。

また、ネット上で架空請求が来た時にはスクリーンショットを取っておいたり、サイトのアドレスをメモしておいたりなども大事です。

ただし、詐欺だと忘れてしまって、間違ってアクセスしないように注意しましょう。

警察や消費者センターなどに連絡する

もしも、架空請求詐欺の被害に遭った場合は、被害の金額にかかわらず迅速に警察や消費者センターへ連絡しましょう。

振り込んだ口座情報などを届け出ることによって、詐欺グループの口座が判明した際には振り込んだ金額が戻ってくる可能性もあります。

また、更なる詐欺グループの被害に逢遭う人を未然に防ぐこともできるようになるでしょう。

「振込詐欺救済法」を活用する方法も

振り込め詐欺救済措置法に基づいて、詐欺グループの口座にお金が残っていた場合は、振り込んだ人でその残高を分配できる「振込詐欺救済法」という法律があります。

振込詐欺救済法は、オレオレ詐欺・架空料金請求詐欺・還付金詐欺・融資補償金詐欺などに適用される法律で、2008年から施行されました。

架空料金請求詐欺などの被害に遭った場合に、犯罪に使用された口座の金融機関が手続きを行うことによって、被害者に対し被害金額の救済を行うことができます。

被害金額のすべてが戻ることは稀ですが、場合によっては損失の一部を回収することができる可能性はあるでしょう。

もしも被害に遭ってしまった場合は、速やかに届出をして、できるだけ詐欺被害の損失を補填できるようにしておきましょう。

救済法の手続、公告の見方・検索など、お問い合わせはこちらへ

金融業務支援部 振込詐欺被害回復業務課

電話番号:03-6262-6794
【受付時間】9時30分~18時00分(土日・祝日・年末年始を除く)

架空料金請求詐欺にあわないための対策5選

架空料金請求詐欺に遭わないために、そもそも被害に遭う前に対策しておく方が無難ですね。

弁護士

「自分は大丈夫」とは考えずに、常日頃からの心がけも大切になるでしょう。

郵送物やメールに記載されている電話番号に連絡しない

郵便物やメール、SMSで送られた架空料金請求詐欺の疑いのある電話番号には、決して電話をかけないようにしてください。

本物かどうか気になる場合には、記載されている電話番号をネット検索してみたり、送付元の住所や機関の名称でネット検索してみてください。

何かしらの情報が出てくるかと思います。

身に覚えのない請求や連絡は無視することが肝心です。

万が一詐欺グループから電話があった場合には、脅し文句には屈せずに、毅然とした態度で接しましょう。

電話してしまった場合でも、個人情報や暗証番号などは教えない

もしも、焦って電話をかけてしまっても、少しでも「おかしいな」と感じた場合は、個人情報や暗証番号などを無闇に教えないようにしましょう。

また、相手から電話がかかってこないように、その番号を着信拒否設定にしておきましょう。

しつこい電話攻撃に遭わずに済みます。

現金郵送やプリペイドカードでの支払いをさせることはしない、ということを覚えておく

裁判所や、普段から目にするような一般的な企業や、法務省などは、現金の宅配便郵送やプリペイドカードでの支払いをさせるようなことは決してありません。

たとえ、実際に利用している電気会社などの名前で請求があっても、その名前は詐欺グループが名乗っているだけであり、実在する企業からの本当の請求ではありません。

この事実を覚えておくだけでも、詐欺被害を防ぐことができるでしょう。

公共料金など定期的に支払いが発生するものは口座振替を利用する

公共料金などの定期的に支払いが発生するものは、口座振替を利用しておけば少しは安心です。

同時に支払い忘れなどのケースも少なくなるでしょう。

「残高が不足していて」などと言われても、冷静に残高を確認することができますし、引き落としが本当にされていないのかを目で見て確認することもできます。

いざという時に相談できる窓口を把握しておく

いざというときのために、相談窓口を把握しておくことも大切です。

自分が被害に遭っていなくても、大切な家族が被害に遭うケースも想定できます。

国民生活センターの消費者ホットラインに電話することで、近くの消費者センターの電話番号を案内してもらえます。(原則毎日利用可能)

もしも近くの消費者センターに話中などで繋がらない場合は、消費者ホットライン平日バックアップセンターに電話できることも覚えておきましょう。

消費者ホットライン

電話番号:188(局番なし)

消費者ホットライン平日バックアップセンター

電話番号:03-3446-1623

また、消費者センターに相談する前に、家族や親族に相談できるような関係性を普段から築いておくことも重要です。

一人暮らしの場合でも、何かあったときに相談できる家族や友人・知人がいるということが冷静さを保つ一つの要素となります。

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*1 件数は2023年3月現在  *2  2013年~2022年。単独型弁護士保険として。2023年3月当社調べ。*3 99プランの場合 *4 初期相談‥事案が法律問題かどうかの判断や一般的な法制度上のアドバイス 募集文書番号 M2022営推00409

まとめ

架空料金詐欺は、年々手口が巧妙化している悪質な詐欺の一つです。

誰でも被害に遭う可能性がありますので注意が必要です。

「未納料金があります」などの通知を受け取っても、焦らず冷静に事実確認をしましょう。

心当たりがない場合は、「詐欺ではないか」と疑うことはとても大切です。

また、万が一詐欺にあったかもしれないと感じたら、警察署や消費者センターなどに相談してください。

どうしても不安がある場合は、弁護士に相談することも一つの手段になるでしょう。

弁護士
水島昂弁護士

水島 昂弁護士

東京弁護士会所属
弁護士法人小林綜合法律事務所
東京都千代田区有楽町1-9-4 蚕糸会館2階
電話 03-6212-5201

正確な法律論を提示するだけでなく、柔軟な発想でご相談者の方々の立場・状況に沿った解決策を提案できるよう、心がけております。
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