弁護士が解説【中小企業】2022年施行 パワハラ防止法について

相談内容

私はとある会社の顧客対応部署の部長をしています。

先日、別の部署のことではあるのですが、パワハラを受けたということで新人が退社しました。

会社では「パワハラ事案が発生した!」と大ごとになり、社内研修まで実施されました。

私も部下に厳しい言葉を言うことはありますが、これを機に自分の部署でも同じようなことがあってはならないと思っており、パワハラ事案を起こさないように気を付けたいと思っています。

「パワハラ防止法」というものが2022年(大企業は2020年)からスタートするということを小耳にはさんだので、どういうものか知りたいです。

「弁護士に相談なんて大げさな・・・」という時代は終わりました!

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目次

パワハラ防止法について

パワハラ防止

パワハラ防止法って?

令和元年5月「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実に関する法律(以下「労働施策総合推進法」といいます。)」

が成立しました。

これにより法律上初めてパワハラが定義されました。

この法律は、パワハラ防止を義務付ける内容が含まれているので、「パワハラ防止法」とも呼ばれています。

いつから施行される?

施行日は「大企業」では2020年6月1日から

「中小企業」は2022年4月1日からとされています。

よって、企業はこのときまでにパワハラ防止法に沿った対応をしなければなりません。

罰則はないが違反なら社名を公表されることも・・・

どのような対応をしなければならないかはこれから説明しますが、もし企業がパワハラ防止法に沿った対応をしなかった場合に会社はどうなってしまうのか?

これは会社側の立場の方であれば気になるところです。

結論から言えば、罰則を科せられることまではありませんが、改善が見られない企業は

「会社名を公表されてしまう」 ということがあります。

今回、初めて「パワハラ」という言葉が定義されたばかりであるため、完全にこの「パワハラ防止法」を守れる企業がどのくらいいるかが読めないということで、「今回は罰則を科すことは見送ろう」ということになったのだと思われます。

パワハラ防止法が施行されることによる、企業がすべき措置について

パワハラの定義

パワハラ防止法(労働施策総合推進法)を見てみましょう。

第30条の2(雇用管理上の措置等)

1 事業主は、職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であつて、業務上必要かつ相当な範囲を超えたものによりその雇用する労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。

つまり、この条文から、パワハラとは、

①職場において行われる優越的な関係を背景とした言動であって
②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより
③労働者の就業環境が害されること

と定義づけられていることがわかります。

今後、パワハラにあたるかどうかは、この①~③を満たすかによって決まると言えます。

なお、厚生労働省も、似たようなパワハラの定義をしておりますが、参考になるのはパワハラの6類型を挙げている点です。

1)身体的な攻撃: 暴行・傷害
2)精神的な攻撃: 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
3)人間関係からの切り離し: 隔離・仲間外し・無視
4)過大な要求: 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5)過小な要求: 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6)個の侵害: 私的なこと(プライベート)に過度に立ち入ること

ただ、これはあくまで例示ですので、この6類型にあてはまらないパワハラもあります。

パワハラにあたるかどうかは個々の事情ごとに判断するしかありません。

そして、「当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。」とある以上、

  • パワハラ防止のための会社内の方針を決める
  • 方針を従業員に周知する
  • パワハラの相談体制・調査体制を整備する
  • パワハラの被害者のケア体制を整備する
  • パワハラ再発防止策を構築する

などが必要になってきます。

なお、このような措置については、今後、指針などによってより一層具体的に示されると思われます。

パワハラ相談をしたことを知っても、不利益取扱いをしてはいけない!

第30条の2(雇用管理上の措置等)

2 事業主は、労働者が前項の相談を行つたこと又は事業主による当該相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。

「あいつ、パワハラの相談しやがったな!クビにしてやる!」

「あの部署の課長、上司が部下にたしかにパワハラをしたって証言したな!けしからん!減給だ!」

ということはアウトということです。

パワハラの相談をしたり、パワハラがあったことを証言したことによって解雇、減給、配置転換などの不利益な取扱いを会社がすることはダメですよ、という規定ですね。

社員たちのパワハラ防止のために「研修」を!

第30条の3(国、事業主及び労働者の責務)

2 事業主は、優越的言動問題に対するその雇用する労働者の関心と理解を深めるとともに、当該労働者が他の労働者に対する言動に必要な注意を払うよう、研修の実施その他の必要な配慮をするほか、国の講ずる前項の措置に協力するように努めなければならない。

つまり、

事業者はパワハラのことをちゃんと勉強しなければいけないし、

社員の言動がパワハラにならないようにするために「研修」を実施しなければならないと定めています。

役員たちも当然言動に気をつけないとダメ!

第30条の3(国、事業主及び労働者の責務)

3 事業主(その者が法人である場合にあつては、その役員)は、自らも、優越的言動問題に対する関心と理解を深め、労働者に対する言動に必要な注意を払うように努めなければならない。

つまり、社員たちがパワハラをしないように研修を実施するだけではダメで、

自分たちも言動がパワハラにならないように注意しなければダメですよ!

ということです。

「えらい立場だからって自分(役員自身)のことを棚に置いていてはだめですよ。」

ということですね。

そもそもどういったものがパワハラにあたるのか

パワハラにあたらなかった事例

 上司の立場にある方にとっては

「どういうことをしたらパワハラにあたるのか」

という話ももちろん重要かもしれません。

しかし、まずは

「こういうケースでもパワハラにあたらないんだ」

ということを知っておいた方がよいと思います。(そうでないと過度に萎縮してしまいかねません)

ということでまずはパワハラにあたらなかった事例を見ていきましょう。

事例1:メールの内容がパワハラと認められなかった事例

(東京高判平成17年4月20日労働判例914号82頁)

被告Yは、原告Xを含む従業員10数名に以下のメールを送信した。 (なお、文面は赤い文字でポイントの大きな文字であった)

①「意欲がない,やる気がないなら,会社を辞めるべきだと思います。当サービスセンターにとっても,会社にとっても損失そのものです。あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。あなたの仕事なら業務職でも数倍の業績を挙げますよ…(略)…これ以上,当サービスセンターに迷惑をかけないで下さい。」

②「未だに始末書と…(略)がありませんが,業務命令を無視したり,業務時間中に勝手に業務から離れるとどういうことになるか承知していますね。」

③「本日,半休を取ることを何故ユニット全員に事前に伝えないのですか。必ず伝えるように言ったはずです。我々の仕事は,チームで回っているんですよ。」  

①~③のメールはパワハラになるのでしょうか。

この事例では、裁判官は、メールの内容は

「名誉を毀損」するものとして5万円の慰謝料を認めましたが、メールの目的は「叱咤督促する趣旨であることがうかがえ,その目的は是認することができる」としてパワハラにはあたらないと判断しました。

赤くて大きな文字であれば人によっては傷つくかもしれませんが、今回はパワハラではないという判断です。

「仮に、同じ内容で怒鳴っている録音があった場合にはどうなるか」ということも考えられますが

内容(目的)が問題ないとされている以上、よほどの怒鳴り声でない限りは認められにくいように思います。

事例2:就業規則を手書きで写させることがパワハラにあたらないとされた事例

(東京地判平成30年11月2日)

専門学校の外国人講師Xらが就業規則のコピーを求めたところ、手書きで書き写すか、通訳で内容を伝えることしか認めず、コピーをさせなかった。    

この上記のことがパワハラにあたるかが問題となった。

この事例で、裁判所は、就業規則の謄写請求権については法令上の根拠がないため、謄写させるかどうかは使用者に裁量があることを前提に判断し、「パワハラにはあたらない」と判断しました。

理由としては、

  • 講師契約書の内容が詳細な上、翻訳文を交付しており、契約締結の際には,通訳を通じて説明していることから,Xらが契約内容を理解することは可能であったこと
  • 日本語を読めない従業員に対しては通訳補助を用意するなどしていたこと
  • コピーを認めない目的は、就業規則が重要な文書であり、情報管理をしたいからで、この目的が裁量権を逸脱するものとは評価できないこと

などが挙げられています。

訴訟の中では、

「外国人講師たちが就業規則を日本語で書き写すのに1枚あたり8時間かかった」

などと主張されています。

労働者側が訴訟を起こすかを検討するにあたっては、就業規則を手に入れることが重要ですので、手書きでしか手に入れられないというのは、労働者である外国人講師たちがかわいそうな気もします。

パワハラにあたるとされた事例

事例3:後頭部を平手打ち&「寄生虫」と言って注意した事例

(東京地判平成30年8月15日)

原告Ⅹ(50代女性)は、被告Yが社長である会社の従業員。
①Xに仕事のミスがあり、Yが席に座っているXの後ろからXの後頭部を平手で叩いたこと

②Xに仕事のミスがあった際、YがXに対して他の従業員の前で「寄生虫」という表現を用いて叱責したこと

このことがパワハラにあたるとして慰謝料は「いくら」になるのでしょうか。
 
①については、裁判においてXの話が具体的であること、当時Xが作成した業務日報に「社長に叩かれるまで反省しなかった事を申し訳ございませんでした」という記載があることから後頭部を平手で叩いた事実はあると認められました。

②については、Xの主張は、Yから「お前は寄生虫か。」と言われたというもので、Yの主張は「改善も反省もなく会社にいるだけであれば寄生虫と同じだよ。」と反省を促す意味を込めて発言しただけであるということで一致しておりませんが、「寄生虫」という表現を使って注意したという前提で判断されました。

この事例では、裁判官は、①②の慰謝料は、「10万円」 と認定しました。

裁判官は、原告にあるとしても,上記のように有形力を行使することは,適切な業務指導の範囲を超えたものであることは明らかであるから、Xに過失(仕事のミス)があるとしても、
叩くという有形力の行使(①)や他の従業員の前で「寄生虫」という侮辱的な表現をもって注意をすること(②)は、適切な指導範囲を超えるとしてパワハラであると認定。

ちなみに、Yは「寄生虫になってしまう」という程度の表現だと主張していましたが、裁判官は、仮にそうだったとしてもXは一定程度精神的な苦痛を受けると認定しました。

このケースでは、①②以外にYがXにしていた日常的なパワハラは、証拠が不十分だとして認められていませんので、原告のXは10万円では納得していないと思われます。

事例1では

「あなたの給料で業務職が何人雇えると思いますか。」

という言葉がパワハラと認定されていませんが、

今回のケースでは「寄生虫」という言葉がパワハラとして認定されています。

「どちらも給料が無駄だと言っているのだから同じような意味じゃないの?」

と思う方もいるかもしれませんし、裁判例によっては認定が異なってくるところかもしれませんが、一般的に、直接的な表現であったり、人を傷つけるような言い方であったりすると、違法性が認定されやすいと理解しておくのべきです。

とにかく、上司の立場からは、顔ではないとはいえ、平手打ちはもちろん「寄生虫」や「給料泥棒」などのような人を侮辱する表現は当然慎むべきだと思います。

えっ?これもパワハラ?

事例4:直接パワハラをされていない人にも間接的にパワハラになるとされた事例

(東京高裁平成29年10月18日労働判例1179号47頁)

会社の従業員4名に対するパワハラが問題となった事案。

【X2について】
社長Yは、前代表者の交際費支出に不正があったことを発見し、経理・総務係長のX2がこれに加担していることがわかった。 社長の YがX2に対して
「前代表者の指示には従うが私(Y)の指示には従わない。泥棒をしろといわれたらそのとおりにするのか。」、 「いない人の罪にしておかしい」 、「いつでも会社を辞めていいぞ」、
などと一方的に長時間にわたって批判ないし非難を続け、X2の弁明に対応しなかった。

これはパワハラにあたるか。

なお、YはX2を解雇できると認識しており、上記行為の後、X2の賞与を30%減額し、降格処分を科したためX2は退職願を提出して退職した。

【X1について】 Yは交際費の不正支出について営業統括部長であるX1にも責任があると考えていたため、 YがX1に対して、
「X2の責任もあるが、X1にも責任がある。会社としては刑事事件にできる材料があり、訴えることもできるし、その権利を放棄していない。このまましていれば、裁判所に行きましょうかという話になるし、必ずX2も同罪で引っ張られる。」
「被控訴人X1の給与が高額に過ぎる。50歳代の社員は会社にとって有用でない。」と述べた。

これはパワハラにあたるか。

なお、YはX2の賞与を20%減額しており、X1もX2同様、退職願を提出して退職した。

【X3、X4について】
X3、X4事務員であり、Yから直接何かをされていたわけではないが、X1、X2にされた正当な理由がない懲戒処分を見聞きしていたために退職願を提出して退職した。

X1、X2に対するYの上記行為によってX3、X4が退職することになったとすると、 X1、X2に対するYの上記行為はX3、X4に対してもパワハラにあたるといえるか。

この事例では、Xらのパワハラの慰謝料の請求額は330万円でした。

裁判所は、X1~X4全員について、パワハラがあったと認定して慰謝料を

  • X1は「70万円」
  • X2は「100万円」
  • X3は「40万円」
  • X4は「40万円」

としました。

この事例で、裁判所は、

直接パワハラ行為をされたX1、X2については、Yの行為は「退職を強要する違法なものだった」としております。 (これはYの発言を見ても順当でしょう)

ただ、X3、X4はYから何もされていません。

X1、X2がパワハラ行為や懲戒処分等をされていたことで、間接的に影響を受けて「やめたい」と思ってやめただけなのです。

それなのに、裁判所は、X3、X4についても

「自分たちも退職を強いられるであろうと考えた」のだから間接的に退職を強いられたとしてX1、X2に対する行為がX3、X4に対するパワハラになっていると考えた点が興味深いです。

ちなみに、みなさんの中には、「不正な交際費に関わっていたんだからX1、X2も悪いんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、裁判官はX1、X2は前代表者の言いなりになるしかない立場だったとみているようです。

また、そういった事情もありYがX1やX2に対してした降格処分や賞与の減額などは無効とされています。

今日からできるパワハラ防止策

パワハラのイメージがつくと当然企業のイメージが低下する

社員によっては、職場に1人でも嫌な人がいると 

「あの人がいるから行きたくないなぁ・・・」

と、会社に行くのが嫌になってしまう人もいます。

退職した社員が、インターネット上の掲示板に「この会社では〇〇というパワハラがあった」という書き込みをすること、

この会社は「ブラック企業だ!」と触れ回ることは十分に考えられます。

また、会社名の公表はインターネット(SNSなど)で広まりやすいので、極力避けたいところです。

パワハラで有名な会社にわざわざ行きたいと思う人はいないので、パワハラ、セクハラ、長時間労働のブラック会社のイメージがつくことはなんとしても避けなければなりません。

すぐに実践できる防止策の紹介

パワハラ防止法によって、パワハラ防止の仕組みを作ることが求められていますが施行までまだ時間があります。

そこで、まず第一歩としては会社としてはどうしたらいいのかを一緒に考えてみましょう。

厚生労働省のパワハラの6類型の活用

パワハラ防止法としては、最終的に「パワハラ防止のための会社内の方針を決める」ことが求められます。

しかし、方針を決めるといってもすぐにすべてを決められるわけではありません。

そこで、まずは「厚生労働省の出しているパワハラの6類型を社内のわかりやすいところに掲示する」ということをしてみるのが手軽です。

6類型は先ほども挙げた以下のものです。

1)身体的な攻撃: 暴行・傷害
2)精神的な攻撃: 脅迫・名誉毀損・侮辱・ひどい暴言
3)人間関係からの切り離し: 隔離・仲間外し・無視
4)過大な要求: 業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害
5)過小な要求: 業務上の合理性なく、能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じることや仕事を与えないこと
6)個の侵害: 私的なこと(プライベート)に過度に立ち入ること

そもそも不用意な発言をしてしまう人は、パワハラが何なのかを理解していません。

最終的にはパワハラ防止法にのっとって「研修」を実施してこれらのことを詳しく学んでいく必要がありますが、まずはどんなものがパワハラになるかを従業員たちに少しずつ周知していきましょう。

問題となる「事実」や「行動」を注意する

裁判例を見ていると

「バカ」

「●●以下だ」

「給料泥棒」

「ぶっ殺すぞ」

などという発言は「注意・指導のための言動として許容される限度を超える」と判断される傾向にあります。 これに対して

「●●を●●までに提出してください」

「●●をしない理由は何ですか」

「●●することは問題です」

というように事実や行動を注意したり理由を聞いたりするだけであれば、パワハラと認定される可能性は低いです。

(もちろん言い方にもよるかもしれませんが)

言葉のはずみで、「バカ野郎」とか「アホ」とか言ってしまうタイプの人は特に気をつけましょう。

匿名でアンケートを行う

アンケートはパワハラの実態を把握するためには必要なものです。

アンケートを行うにあたっては、記述部分が多いと筆跡で個人が特定しやすくなってしまうので、ほとんどが選択肢に対して〇をつけるだけでよいもの(記述部分が少ないもの)やインターネットを利用して行えるものなどにするとよりよいでしょう。

簡易なパワハラ通報窓口を作る

パワハラ防止法では、「パワハラの相談体制を整備する」ということが求められます。

相談窓口は、大きな企業では整っているところはそれなりにあると思いますが、中小企業ではなかなか整備されていない部分だと思います。

まずは、パワハラの専用のメールアドレスを作り、送信用のメールフォームを作るところから始めてみてはいかがでしょうか。

「パワハラを通報することができる仕組みがある」

ということを社内に周知するだけで

上司たちとしても「気をつけなければ」と思い、パワハラの抑止力になる可能性があるはずです。

なお、パワハラ防止法では通報したから不利益な扱いをしてはならないと定めていますので、そのことも従業員たちに理解させ、安心させてあげるように努めるのがよいでしょう。

紛争解決のための手段

パワハラを受けた労働者は

  • 「労働組合に相談する」
  • 「労働局に相談に行く」
  • 「弁護士に相談に行く」

ということが考えられます。

労働組合が活発な活動をしている場合、会社側は、労使交渉、団体交渉などで労働組合と話をすることになります。

その場合、会社としては、感情的な言い合いはせずに、パワハラが実際にあったのか、労働者側のパワハラの主張が証拠に基づくものなのかを冷静に判断していくことが求められます。

また、労働局は、労働者に対して、パワハラに関する助言、指導をするのみならず、ケースに応じて会社に対して状況の改善をするように「勧告」をすることもあります。

勧告があった場合、応じなければ会社名を公表されることもありえますので、勧告が事実に基づくものである場合には従う必要があるように思います。

また、労働局や労働委員会には

「あっせん手続」

という調停に似た制度がありますが、これらもよく活用されています。

さらに、今回見た裁判例のように、労働者としては、弁護士に依頼して、「裁判」を起こして会社に対して「損害賠償請求」を行うことも多くあります。

また、労働審判という「3回」の期日で終わる手続も最近はとてもよく利用されています。
(裁判ですと期日は1、2か月ごとに1回あるとして合計6、7回~多いと合計10回以上になるケースも珍しくありません)

裁判にするべきか労働審判にするべきかは、労働者が弁護士と話し合って決めるものなので事前に予想はしにくいですが、労働審判になると証拠の提出を早急にする必要があり、会社側はその対応に追われることになりやすいです。

まとめ

自分では

「このくらいはパワハラじゃないだろう」

と思っていたとしても、パワハラの定義にあてはまってしまえばそれはパワハラです。

パワハラによってうつ病になるケースはもちろん、それがもとで自殺してしまう方もいます。

取り返しのつかない結果にならないようにするために一番必要なことは、上司であるあなたの「ちょっとした気遣い」かもしれません。

少しでもこの文章がお役に立ったなら嬉しいです。

もしものトラブルに備え、弁護士保険でトラブルの予防をするのはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
松本隆弁護士

弁護士  松本 隆

神奈川県 弁護士会所属
横浜二幸法律事務所
所在地 神奈川県横浜市中区山下町70土居ビル4階
TEL 045-651-5115

労働紛争・離婚問題を中心に、相続・交通事故などの家事事件から少年の事件を含む刑事事件まで幅広く事件を扱う

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