擬制陳述(ぎせいちんじゅつ)とは、民事訴訟において、当事者が法廷に出席しなくても、提出済みの書面の内容を口頭で述べたものとみなす制度です。
仕事や体調などの理由で裁判所に出向けない場合でも、手続きを進めることができるため、実務上よく利用されています。
もっとも、適用される場面や条件は法律で明確に定められており、誤った使い方をすると不利益を受ける可能性もあります。
この記事では、実務経験豊富な弁護士の監修のもと、擬制陳述の基本から活用のコツまで詳しく解説します。
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擬制陳述とは?


そもそも、擬制陳述が使える場面はどのような場合なのでしょうか?
擬制陳述の定義と概要
特に、被告が第1回口頭弁論期日に出席できない場合に利用されることが多く、例えば答弁書に
第1回口頭弁論には都合により出廷できません
と記載しておけば、出廷しなくても答弁書の内容が陳述されたものと扱われます。
民事訴訟法第158条の基本内容
民事訴訟法158条は、当事者が第1回口頭弁論期日に出頭しない場合等について、提出書面の内容を陳述したものとみなす旨を定めています。
この制度は、地方裁判所においては第1回口頭弁論期日に限って認められる点が重要です。
口頭主義との関係性
民事訴訟では、主張や証拠は口頭で行うという「口頭主義」が原則です。
もっとも、実務では書面中心で審理が進むため、その調整として、書面の内容を口頭陳述とみなす擬制陳述の制度が設けられています。
擬制陳述が適用される場面


擬制陳述制度は、いつでも利用できるのでしょうか?
第1回口頭弁論期日
擬制陳述は、第1回口頭弁論期日において利用されます。
この期日は被告の都合を考慮せず指定されるため、出席できない場合の救済として機能しています。
答弁書を提出する際に「第1回口頭弁論には、都合により出廷できません」という旨を記載しておけば、実際の出席なしで手続きを進められます。
ただし、双方が欠席すると期日は開かれないため、少なくとも一方の出席は必要です。
弁護士近年では、両当事者が第1回期日前に弁護士を選任している場合、初回の第1回口頭弁論期日を取り消して、「Web会議」(インターネットの裁判)で進めるケースが増えています。
2回目以降の期日では擬制陳述が認められない
地方裁判所では、2回目以降の期日については擬制陳述は認められません。
書面を提出していても陳述した扱いにはならないため、当事者または代理人の出席が必要です。
簡易裁判所では例外的に2回目以降もOK
簡易裁判所では、民事訴訟法277条により、続行期日(2回目以降)でも擬制陳述が認められます。
もっとも、この場合でも双方欠席だと期日は成立しないため注意が必要です。
擬制陳述のメリット


擬制陳述には、どのようなメリットがあるのでしょうか?
裁判所に行かなくて済む
擬制陳述により、実際に裁判所に行かなくても裁判を進めることができます。
第1回口頭弁論期日は、被告の都合を考慮せずに指定されるため、仕事や重要な予定と重なることも少なくありません。
この制度は、そうした場合の被告の負担軽減に役立ちます。
特に、遠方に住んでいたり、多忙な仕事を抱えていたりする当事者にとって、時間と費用の節約になります。
さらに、近年では両当事者が第1回期日前に弁護士を選任している場合、Web会議による手続きを活用することで、より柔軟な対応も可能です。
弁護士に相談したり依頼する時間ができる
訴状を受け取った時期によって第1回口頭弁論期日まで時間がない、ということもよくあります。
そういうときには答弁書にはそこまで主張の詳細を書かずに提出し、陳述擬制によって次回期日まで主張をするのを延期できれば、弁護士さんに相談したり、依頼することが可能になります。
弁護士感情のままに任せて反論をしないでおければいいですね。
裁判手続きが円滑に進められる
結果的に当事者が欠席しても裁判手続が進められるので、不必要な期日の延期や手続きの停滞を防ぐことができます。
実務における擬制陳述の活用例


擬制陳述制度は、どのように活用するのがいいのでしょうか?
答弁書や準備書面の提出方法
実務では、被告が第1回口頭弁論期日に出席できない場合、答弁書に欠席の旨を明記することが一般的です。
答弁書は、「請求を棄却する。詳しくは追って主張する。第1回期日は擬制陳述とする。」という簡潔な記載で足ります。
擬制陳述後の裁判手続き
第1回期日後は、当事者の都合を踏まえて第2回期日が調整されます。
以降は出席が原則となるため注意が必要です。
Web会議手続きとの関連性
近年は、両当事者が第1回期日前に弁護士を選任している場合、第1回期日を開かずに書面による準備手続きをWeb会議で進めるケースが増加しています。
このような運用は、当事者の負担軽減や訴訟手続きの効率化につながっています。
二回目以降に欠席する場合の注意点


擬制陳述制度を利用する際の注意点はありますか?
簡易裁判所における「続行期日」での対応
簡易裁判所では、続行期日(2回目以降の期日)においても擬制陳述が認められています。
これは地方裁判所とは異なる特別な規定です。
ただし、両当事者が欠席すると、期日自体が開催されないため、どちらか一方は必ず出席しなければなりません。
通常裁判所での制約とリスク
通常裁判所での二回目以降の期日については、擬制陳述は認められません。
書面を提出していても、それを陳述したものとはみなされないため、期日への出席は必須です。
さらに、両当事者が連続して二回口頭弁論期日に出頭しない場合、訴えの取下げがあったものとみなされる可能性があります。
また、期日に出頭しない当事者は、相手方の主張した事実を自白したものとみなされるリスクも生じます。
そのため、特に通常裁判所では、期日に出席することが極めて重要です。
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まとめ
擬制陳述は、裁判実務において重要な役割を果たす制度です。
第1回口頭弁論期日に出席できない場合の手続きを円滑にし、特に被告の負担を軽減する一方で、適切な利用が求められます。
簡易裁判所と通常裁判所で取り扱いが異なり、近年のWeb会議の活用など、実務は着実に進化しています。
擬制陳述は便利な制度ですが、適切な理解と運用が欠かせません。
自身での対応が難しいと感じたら、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士 松本隆
神奈川県 弁護士会所属
横浜二幸法律事務所
所在地 神奈川県横浜市中区山下町70土居ビル4階
TEL 045-651-5115
労働紛争・離婚問題を中心に、相続・交通事故などの家事事件から少年の事件を含む刑事事件まで幅広く事件を扱う
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2019年よりミカタ少額短期保険(株)が運営する法律メディアサイトです!
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