【解雇されてしまった】 無効を主張するとき、押さえておくべき12のポイント!!

会社から突然解雇を言い渡されてしまったけれど、解雇の理由がどうも納得いかない。

そんなときに

「でも、会社が解雇と言うのだから従わなければならないのかな・・・」

などとあきらめてしまいそうになっていませんか?

解雇だと言われてしまった場合にどうすればいいのか、そのポイントをできる限りわかりやすくお届けします。

記事に入る前に・・・

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丸山弁護士

「私、弁護士保険に入ってるんですよ」このひと言は非常に強烈なんです。

目次

解雇についてまず知ってほしいこと

「懲戒解雇」は死刑!?

解雇は、大きく分けて「普通解雇」と「懲戒解雇」の2つがあります。

まずはみなさんに知っていただきたいのは、

「懲戒解雇」は「労働者を死刑にするようなもの」なので、よほどのことがない限りは認められないということです。

ですので、もし「懲戒解雇」を言い渡されてしまった方は、そもそも自分が「懲戒解雇」になってしまうだけのことを本当にしたのか、「懲戒解雇」を無効にできる可能性がないか、真剣に検討してみる価値はあります。

もちろん「普通解雇」であっても、ちゃんとした解雇理由がなければできないので簡単には認められるものではありません。

身に覚えがない場合はもちろん、仕事をミスしてしまった等で多少身に覚えがあったとしてもそれが

「解雇されるほどのことなのか」

という点をしっかり考えてみた方がよいでしょう。

メモ1

「解雇」というのは非常に重たい処分なのでそう簡単にできるものではない 特に、「懲戒解雇」は死刑のようなものなので、よほどの理由がなければ認められない。

必要であれば弁護士に相談した方がよいですが、ここでは弁護士に相談をするにあたって事前にしておいた方がよいことをお伝えできたらと思います。

「自主退職」にされてしまっていないかどうか

裁判では、

①会社による退職勧奨(=退職をすすめること)によって「自分から退職」をしたのか

それとも、

②会社による「解雇」によって辞めさせられたのか

争いになることが多くあります。

例えば、「会社を辞めなよ」と言われたら、これが①退職勧奨を意味するのか、②解雇を意味するのか、すぐにはわかりませんよね。

ちゃんとした解雇理由がない場合、

会社としてはたとえ従業員を辞めさせたくても解雇することができないので、退職勧奨をすることで退職させるしか方法がありません。

しかし、労働者には退職勧奨を受け入れる義務はないので、断ることができます

それでも、会社がうまく自主退職になるように作戦を立てて、うまいこと退職勧奨をし、結果として自主退職をしてしまう方もそれなりにいます。

もし「自主退職の扱いにされたけれど、これって解雇だったのでは!?」と思ったら、会社に対してアクションを起こす必要があります。

メモ2

裁判では退職勧奨によって自主退職になったのか、会社によって解雇になったのかが争われることがある。

退職勧奨の話になったときには、会社側の人間が複数人で、こちらは自分1人だけという状況で話をすることになることはよくあります。

そのような場合には、ICレコーダーなどの録音機器で会話を録音して証拠に残しておくのがよいでしょう。

もし解雇されてしまったときに会社に求めるもの

解雇理由証明書の要求

労働者は、会社に対して、解雇の理由を示すように求めることができます(労働基準法22条2項)。

会社によっては「労働者から言われない限りは解雇の理由は出しません」なんていうところもたくさんあります。

ですので、解雇の理由をちゃんと教えてもらえない場合には、会社に対して「解雇理由証明書」をもらいましょう。

請求するにあたっては、メールや内容証明郵便など、形に残る(証拠に残る)ように、請求しておくと良いと思います。

メモ3

・解雇されたら「解雇理由証明書」を発行してもらう
・請求するときはメールや内容証明郵便などを使う

この「解雇理由証明書」に書いてある内容が後々非常に重要になってきます。

解雇予告通知書の請求

会社が解雇する場合、労働者に30日前に予告をしなければなりませんが(労働基準法20条)、解雇予告通知は口頭でもできるため、解雇予告通知書を出してこない会社も多くあります。

ですので、解雇予告を口頭でされた場合には、解雇予告通知書を要求しましょう。(解雇理由証明書と一緒にもらいましょう)

メモ4

・解雇予告は解雇の30日前にしなければならない
・解雇予告をされたら「解雇予告通知書」を発行してもらう  

就業規則を確認しよう

普通解雇も懲戒解雇も、解雇できる事由(解雇理由)が就業規則に定められているのが通常です。

就業規則を見ると「解雇理由は就業規則第〇条に基づく」とされている場合がほとんどです。

裁判においては会社に就業規則を出させるということもしばしばあります。

ただ、裁判の準備はもちろん、そうでなくても事前に確認したいところです。

また、就業規則には給与の規程なども載っているので、同時に未払賃金(残業代)等をはじめとするその他の請求ができることが判明することもあります。

就業規則は労働者に周知できるようにしなければならないので、会社は労働者が就業規則を見ることを拒否できませんので、すぐに確認するのがよいでしょう。

メモ5

・就業規則には解雇理由が定められている
・未払賃金請求等ができることが判明することも

給料がもらえなくなるけど、どうすればいいの?

失業保険の仮給付か

解雇された後は会社からの給料がもらえなくなってしまいます。

ですので、とりあえずはハローワークに行き、失業保険の手続をしてしまうのがよいでしょう。

手続をするためには会社から「離職票」を提供してもらう必要があります。(もし離職票がどうしてもない場合には、解雇された日から11日後に手続ができるようになります)

ただ、裁判で「賃金仮払いの仮処分」をするという方法もありますので、どちらにすべきか、弁護士に相談した方がよろしいかと思います。

(失業保険よりは賃金仮払いの仮処分の方が受給額は多くなりますが、手続が複雑であるため弁護士に依頼する必要があります)

メモ6

・解雇されると給料がもらえなくなるのでまずはハローワークに行く
・離職票があれば失業保険の手続がすぐにできる
・裁判で「賃金仮払いの仮処分」をする場合は弁護士に相談する  

解雇された後にとるべきスタンス

解雇されたことに「納得していない」ことを示すこと

会社が従業員を解雇するには、例えば、

「労働者に対してできることはすべて尽くしたけれどどうしてもダメだったから解雇した」

というような事情が必要です。

会社が「あいつの営業成績が悪いから解雇にしよう」と思って、解雇をしようとしても、基本的には無理です。 (犯罪行為など明らかな違法行為を行ったような場合や就業規則などに書いてある解雇理由にあたる行為をした場合には解雇できる可能性があります)

よって、「自分が解雇になるのはおかしいんじゃないか?」と思った方は、会社に対して

  • 「自分は解雇に納得していない」
  • 「解雇するのはおかしいのではないか」
  • 「解雇をした根拠が十分とはいえないのではないか」  

 などという旨のメールを送っておくといいと思います。

もちろん、それだけではメールの内容としては不十分な可能性があります。どういう内容のメールを送るかどうかも重要なところですので、不安な方は弁護士に相談した方がよいでしょう。

例えば、

  • 「解雇の理由をちゃんと説明してもらえていない」
  • 「こちらの言い分を伝えるチャンスが1度も与えられていない」
  • 「改善する機会を与えてくればすぐに改善する」
  • 「実際に評価されるべきものが評価されていない」

など、伝えておくべきことは具体的なケースに応じてそれなりにあります。

メモ7
解雇に納得していないことをメールなどで証拠に残す

解雇無効の訴え

会社に対して請求するものは何?

解雇をされた人が請求するものは何でしょうか?

中には会社に戻りたくない人もいるでしょう。

しかし、一般的に、裁判においては、「従業員の地位を確認する」という確認請求をします。

つまり、「解雇は無効で、私は会社の従業員である」ということを確認する裁判です。

メモ8
解雇を裁判で争うときには「解雇は無効だから、会社に戻らせてくれ!」と主張することになる

どういうことが認められれば解雇が無効になるの?

労働契約法第16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

つまり、労働契約法第16条によると、解雇が無効かどうかは

①客観的に合理的な理由を欠くかどうか

②社会通念上相当かどうか

によって決まるということです。

①客観的合理的理由があるかはどうやって決まる?

簡単な言葉で言えば、

「解雇をするちゃんとした理由があるかどうか」です。

  • 病気やケガ等で労働能力が低下ないし喪失した
  • 能力不足、適格性がない
  • 非法行為・違法行為(非違行為)をした
  • 会社の業績が悪化した

というような場合には「客観的合理的理由がある」と認められやすくなります。

②社会通念上の相当性があると認められない場合とは?

簡単な言葉で言えば、

「常識的にみて解雇にすることがいきすぎな場合」です。

わかりやすい例で言えば、

「社長に口答えをしたというだけで適格性がないとして解雇までする」というケースです。さすがに解雇するのはいきすぎだというのは感覚としてわかると思います。

では、逆に、

「1回ではあるが、労働者が部下に対してひどいパワハラを行った」というケースではどうでしょう。

パワハラの内容よっては解雇をしてもよさそうだと思います。

しかし、(もちろんケースにはよりますが)1回のみのパワハラですと、解雇はいきすぎだと評価されることが多いと思います。

あくまで解雇は「最後の手段」として行うものであって、「改善の機会を与える」ことや「部署を変える」ことで解決できるのであればまずはそれらを行うべきだと評価されることの方が多いのです。

そういう意味では、解雇無効になるかどうかの判断は比較的労働者が有利なのです。

判決まで争うとどんな判決になる?

判決まで争うと

勝った場合は「〇〇さんには従業員の地位がある」ということが確認され、職場に戻ることができるようになります。

負けた場合は「〇〇さんには従業員の地位がない」ということが確認され、職場に戻ることはできません。

メモ9
裁判の判決は「オールorナッシング」(=100か0)である  

できれば職場に戻らずお金で解決したい

「もう会社には戻りたくない!」

という方もそれなりの数いらっしゃいます。

そんな場合のために、「職場に復帰しないかわりに一定期間分の給料を払ってもらって会社を辞める」

という形で和解(話し合いによる解決)をすることは非常に多くなされています。

このような和解がされることは裁判の前でももちろんありますが、裁判中でも非常によくあります。

メモ10
・和解は「オールorナッシング」(=100か0)ではなく「双方が譲歩する」という解決手段である
・和解は、裁判前だけでなく、裁判中でもできる  

もし金銭による和解での解決の場合、どのくらいもらえるものなの?

  • 1か月あたりの給料の額、
  • これまでの勤続年数、
  • 解雇されてから和解する時点までに経過した期間、
  • 会社の提示した解雇理由、
  • 労働者の落ち度の有無、
  • 労働者が別の場所で収入を得ているかどうか

など、いろいろな要素を考慮して決まります。

相場としては、3か月分~6か月分の給料が想定されます。

ただ、経験上、それよりも多い金額になったこともありますし、少ない金額になったこともあります。

例えば、上記の考慮要素で有利な事情が多ければ1年分以上の額になることもあります。

いずれにしても「絶対にこのくらいもらえる」と思ってしまわないよう気をつけてください。

メモ11
・和解金額の相場は、給料3か月分~6か月分
・色々な事情を考慮するため一概には決まらない  

解雇無効以外に請求できるもの

解雇のしかたがひどい場合にはさらに慰謝料も

解雇がひどいやりかたでなされた場合には、別途「慰謝料」が認められることがあります。

ある裁判例(東京地判平成27年1月28日)では、「未払賃金の支払がないと辞めざるを得ない」と労働者側が言った言葉尻だけをとらえて、会社が「自主的に退職した」と言い張って賃金を支払わず、最終的に理由なく解雇したというケースにおいて、

裁判官は、このような会社の対応については、解雇無効確認とは「別に」不法行為になるとして、「200万円の慰謝料」を認めています。

また、別の裁判例(東京地判平成31年 3月27日)では、会社が、労働者の説明や弁解を聞かずに、十分な検討をしないまま「通勤手当を不正受給した!」と決めつけて懲戒解雇をしたというケースにおいても

裁判官は、このような会社の解雇の仕方は、解雇無効確認とは「別に」不法行為になるとして、「80万円の慰謝料」を認めています。

なお、否定された裁判例(大阪地判平成30年11月22日)では、解雇自体は無効とされたものの、掃除当番を求められた労働者が会社の人間に対して

「なぜ私がしないといけないんですか」

「就業規則のどこに書いてありますか」

というような発言を様々な場面においてしたことは

誠実さや協調性に欠けた面があること、労働者の言動を理由として退職を希望する人がいたこと等の事情から解雇に違法性があるとはいえず、

仮にそうでなくても

解雇無効によって、賃金請求権(毎月20万円)を有していること等から解雇によって生じた損害は補われているとして、裁判官は、解雇無効確認とは「別に」不法行為は成立しないとして、慰謝料を認めませんでした。

メモ12
・解雇の仕方がひどければ別途「慰謝料」がもらえることがある
・会社の解雇の仕方だけでなく労働者の態度などが考慮されることもある  

あなたが泣き寝入りしないために

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最後に

いかがでしたでしょうか。

ご自身が解雇されることはなかなかないかもしれませんが、いざというときにはこういった知識が役に立ちます。

この記事を通じて、解雇について少しでも詳しくなったようになったらいいなと思います。

万が一のトラブルに備え、是非弁護士保険へのご加入をご検討していただくのはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
松本隆弁護士

弁護士  松本 隆

神奈川県 弁護士会所属
横浜二幸法律事務所
所在地 神奈川県横浜市中区山下町70土居ビル4階
TEL 045-651-5115

労働紛争・離婚問題を中心に、相続・交通事故などの家事事件から少年の事件を含む刑事事件まで幅広く事件を扱う

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