いつもなら、気にもかけない言葉やあやしい勧誘なども、自信を無くしている時や精神的に落ち込んでいる心に「フッ」と忍び込んでくるのが「霊感商法」です。
不安を抱えている人に対し、「このままだと不幸になる」「あなたは呪われている」などの強い不吉な言葉を投げかけて不安をあおっていきます。
1人ではとても抱えきれない状態に追い込んで、弱くなった心に付け込んでくる「霊感商法」に対してどのように対処していけばいいのか?
この記事で分かりやすく解説していきます。
記事に入る前に・・・
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霊感商法(開運商法)とは何か?
霊感商法とは、具体的にはどのような物ですか?
霊感商法(開運商法)とは、宗教的な信仰や霊的な力があるなどと謳って、人々に高額な商品やサービスを購入させる詐欺商法の一種です。
霊感商法では、特定の商品やサービスが「霊的な力」や「運気の向上」をもたらすと偽って高額の価格帯で販売されることが多く、その中身は「開運グッズ」「パワーストーン」「お守り」「壺」などが挙げられます。
では、霊感商法の特徴を確認していきましょう。
親族に問題が(不幸)があった・子どものことで悩んでいる、など人に言えない不安を抱えている人に対し、「前世の行いが悪かった」「このままだと不幸になる」「呪われている」などと不安をあおってくる。
「不安を解消するため」と言って、開運グッズや特別なサービスを高額で販売してくる。
価格は非常に高く、経済的な負担を強いるケースが多いのも特徴。
宗教的な信仰や、カリスマ的な指導者の霊的な力を信じさせ、「お告げがあった」などとありがたいお言葉を授ける行為などで人々を心理的に依存させ、断ること(脱退させること)を困難にする。
このような特徴を持っている霊感商法は、消費者保護法や詐欺罪に該当する場合があります。
特に精神的に不安定な時期にある人々を狙い、経済的な被害を与えるだけでなく、精神的な負担も大きいため、注意が必要です。
霊感商法等対応ダイヤル:0120-005931
受付時間平日9時30分~17時(土日・祝日・年末年始を除く)
これって霊感商法?よくある勧誘のシチュエーションや近づき方
どんな時に勧誘が行われるのでしょうか…?
よくある勧誘フレーズや、勧誘が行われやすい場所を抑えておくことで被害に遭う確率を下げられます。
よくあるフレーズについて
霊感商法における勧誘のシチュエーションや手口は、恐怖や不安を利用して人々に商品やサービスを購入させることを目的としています。
よくあるフレーズやシチュエーションの具体例を見ていきましょう。
「悪霊がついている」「先祖の霊が怒っている」
- 「悪霊がついている。これを解決しないと大変なことになる」
- 「先祖の霊が不満を持っている。何か心当たりはないか?」
- 「このままだと不幸が続く。早めに祓わないと家族全体に災いが来る」
このような言葉で不安をあおり、霊を払うために高額な儀式アイテム(お守り、壺、石など)が必要だと言われる。
「運気を上げる」「開運を保証する」
- 「あなたの運気が下がっているが、このお守りがあれば精霊があなたの運を上昇させる」
- 「この特別な開運グッズを家に置けば、すぐに幸運が訪れる」
- 「運命を変える儀式(祈祷)をすれば、仕事や恋愛が必ず成功する」
助けを求めている人や勧誘のターゲットになっている人に対し、「開運」を保証するアイテムや儀式を提供し、恐怖心をあおり正常な判断ができなくなるように仕向けてくる。
また、「今なら特別に割引で提供する」と言って高額な商品の購入や儀式(祈祷)を強要してくる。
「前世のカルマが影響している」
- 「前世で犯した罪のせいで、今の不運が続いている」
- 「前世からの呪いを解くために、このアイテムを買う必要がある」
- 「過去のカルマを浄化するために特別な祈祷が必要だ」
恐怖心を植え付けるように、前世の「カルマ」や「罪」を持ち出して不安を煽り、それを解消するための高額なお守りや儀式を提供する。
「家族に災いが降りかかる」
- 「このままでは家族に不幸が訪れる」
- 「子供や家族に悪影響が出る前に、対策をしなければならない」
- 「家族全体の運気を上げるために、この商品が必要だ」
相談に来た本人のことではなくその家族への気持ちを利用し、護符や壺などの商品を購入させ、祈祷をするように持ち掛け霊能者へのお布施を強要してくる。
特に家族を思いやる人の心理を利用する悪質なケースが多い。
「霊感が強い」「特別な力を持っている」と自称する
- 「私は霊感が強いから、あなたの未来が見える」
- 「あなたのオーラが乱れている。力を得ている私なら直すことができる」
- 「特別な力を持っているから、あなたの悪い運命を変えることができる」
自分は霊感や特別な力を持っていると言い、それによって人々の未来や運命を変えられると説得し、高額なサービスを売りつける。
「今なら気の流れが整っている」「今がいい時期」「この機会を逃さない方がいい」などと謳うことで「今すぐ」と急かし、正常な判断ができなくなるように誘導してくる。
一度サービスを受けたら「定期的に続けないとせっかくの効能が無くなる」とルーティンを課し義務感を植え付けてくる。
「特別な霊的診断を無料で提供」
- 「今だけ無料で霊的診断(守護霊を視る)を行います」
- 「無料診断の結果、あなたに深刻な問題が見つかった」
- 「無料のアドバイスを提供するが、その後は有料で対策が必要」
最初に「手軽に無料の霊的診断やアドバイスができる」と持ち掛けてくるのが特徴の一つです。
ほとんどの場合、無料診断ならと警戒心を持つものが少ないことを利用し、実際の診断結果は不安を感じさせる内容を伝えるのが常套手段。
この悪い運気を改善させるには、このアイテムを購入したほうが良いなどと高額な商品を購入させる。
近づき方について
霊感商法は、古くからある悪徳商法の一つです。
既存の顧客からの紹介以外に、どのようにターゲットに近づき勧誘してくるのか確認していきましょう。
無料占いや姓名判断からの接触
無料で占いを提供するサイトやイベントで姓名判断や開運診断を行う。
その結果を元に「不運を取り除く必要がある」「姓名判断でこの文字が悪い気を運んできている」などの不安を煽り、高額な商品(水・印鑑・お札)やサービスの購入をすすめてくる。
また、イベント終了後に「あなただけ特別」だと言い、個別相談や追加セミナーへの誘導が行われる。
「無料」部分は入口に過ぎず、段階的に費用が発生する形になる。
電話やメール、SNSを使った誘導
初回無料の占いやアドバイスなどのライトな相談から始まり、やり取りが続くターゲットに対しては「無料では本当は言えないが」と特別感を出し、「実は前世所縁であなたに危機が」や「運勢判断の結果あなたに不運が」と不安を植え付けてくる。
それらを解消するために特別な儀式や商品が必要だと説明し、別のSNSやメールを通じて特別なカウンセリングへの参加をすすめ、その後対面での相談や商品販売に誘導してくる。
街頭や催事場での勧誘
街中や商業施設の催事場などで無料の占いブースや開運相談コーナーを設け、来場者に「あなたには特別な守護霊がついている」「ここであなたに会ったことは神のお導き」「あなたは運がいい」といった言葉で興味を引いてくる。
その後、個別の相談会などで健康や心の悩みにアプローチし、健康やストレス、仕事や恋愛の悩みを抱える人々に対して、「霊的な原因」や「エネルギーの乱れ」があると診断し、それを治すための施術やグッズの購入を促す。
特に心身が弱っている人に対しては、霊的な救済を謳って高額な治療(祈祷)や商品を薦める。
カウンセリングやリーディングセッション
スピリチュアルカウンセリングやオーラリーディングと称して、無料の初回セッションを提供。
その後、「もっと深く理解するために」や「解決するために」と言い、継続的に参加することを要求してくる。
また、しばしば「あなたには特別な力がある」や「あなたの守護霊が特別なメッセージを持っている」といった言葉でさらなる引き留め行為に移行し、さらなるグループへの参加や高額商品の購入を勧めてくる。
もしも霊感商法の被害に遭ってしまったら?
もしも、自分や家族が霊感商法に引っ掛かってしまったらどのように対処すべきでしょうか?
被害を最小限に抑えるためにできる方法がいくつかあるので紹介します。
消費者センターに相談する
まずは、消費生活センターに相談しましょう。
霊感商法のような詐欺的手口に詳しい有資格者の消費生活相談員が対応してくれます。
契約の内容や取引の状況を確認し、適切なアドバイスを受けることができます。
必要に応じて、業者と消費者の間に入る「あっせん」を行い、トラブル解決のお手伝いをしてくれます。
個人情報は守られますので安心して相談してください。
全国にある消費生活センターは、各地域で運営されており、無料で相談に応じてくれます。
連絡先は消費者ホットライン「188(いやや)」にかけると地域のセンターを案内されます。
ナビダイヤルの通話料がかかります。
「188」へ電話をすると音声ガイダンスが流れ、郵便番号を入力するとお住まいの地域の消費生活センター等をご案内します。
クーリングオフ制度を利用
消費者に不必要な契約をさせることが多い霊感商法の場合、特定商取引法に基づき「クーリングオフ」という制度を利用して契約を解除できる可能性があります。
通常、契約書面を受け取ってから8日以内であれば、無条件で契約を解除できます。
<クーリングオフの手続き方法>
書面(ハガキなど)で、クーリングオフの意思を相手に通知する必要があります。
通知をしたことを証明するために、内容証明郵便を使うことが推奨されています。
もしクーリングオフ期間を過ぎてしまっても、違法な販売行為が認められる場合は、契約無効や取消しを主張できる可能性もありますので、諦めずに消費者センターや弁護士に相談することをおすすめします。
法改正により「契約取消」の対象に(不当寄附勧誘防止法)
2023年に成立した「不当寄附勧誘防止法」(正式名称:法人等による寄附の不当な勧誘の防止等に関する法律)は、消費者保護を強化するための法改正として注目されています。
この法改正により、霊感商法や悪質な寄附勧誘に対する規制が強化され、契約の取消しが新たに可能となりました。
以前は、クーリングオフの適用範囲や期間が限られていましたが、法改正により、悪質な勧誘やなどで行われた契約については、クーリングオフ期間を過ぎても「契約取消」が可能です。
特に、不当な心理的圧力をかけて契約をさせる霊感商法などは、後からでも契約を無効にできる場合があるので専門家に確認を取ることをおすすめします。
判断が難しい場合には弁護士への相談も一つの手
霊感商法のように、第三者に相談することをためらう方が多い案件の場合、専門家(弁護士等)に相談することは非常に有効な手段です。
本人が冷静に判断することが難しい霊感商法の場合、自身で相手とコンタクトをとることは困難な場合がほとんどです。
弁護士は法律の専門家であり、契約の有効性や取消の可能性について、客観的な視点から適切なアドバイスをしてくれます。
また、相手方との交渉を代行してくれるため、直接対決する必要がないことも大きなメリットと言えるでしょう。
そういった精神的な安心感と自分の権利が守られているという実感が得られることも、弁護士に相談することをおすすめする大きな要因となります。
霊感商法の被害に遭わないためにできること
勧誘方法などが分かっていても避けることは難しいですよね…。
まずは怪しい場所には近づかないこと、そして少しでも違和感があればすぐに離れるようにすることが大事です。
「無料」であっても怪しいセミナーなどには近づかない
霊感商法は、心の隙間に入ってくる非常に質の悪い商法です。
いくら気を付けていても気持ちが弱っているときに、耳心地のいい誘い文句で近づいて来られるとつい話を聞いてしまいがちですよね?
では、どうすれば被害にあわずにすむのか?確認していきましょう。
「無料」や「特別」に警戒するよう心がけましょう
霊感商法では、最初に「無料」のセミナーや相談を提供し、関係値を築いた上で、高額な商品やサービスを勧めることが少なくありません。
警戒すべき最初の一歩は「無料」という言葉には注意をすること。
特に霊的なセミナーやカウンセリングなど怪しげなものには近づかないようにしましょう。
感情を揺さぶる話に冷静に対処する
自分の不安や恐れ、病気、運勢に関する話題を持ちかけられ、感情的に揺さぶられると誰でも判断が鈍りがちです。
特に大切な人(家族など)のことで不安をあおられると、冷静さを失ってしまうものです。
そんな中、セミナーに加入をするよう促されたり、高額な商品など(お守り等)の購入を求められた場合は一度立ち止まる勇気を持ちましょう。
また、お守りや石などが「特別な力を持つ」として高額で販売される場合は、根拠が曖昧であることが多いです。
高額な商品を購入する前に、第三者の意見を求めたり、インターネットで情報を調べたりしましょう。
自分の直感を信じて疑問を持つ
霊感商法の被害者の大半は、相手の話を信じやすい傾向にあるか、断ることが苦手な方が多いのも事実です。
どんなに説得力がある話であっても常に疑問を持ち、少しでも疑いを持った場合は自分で調べましょう。
決して相手を疑うことは悪いことではないということを念頭に置いておくことが大事です。
そして、もし怪しいと感じたら、消費者庁や国民生活センターなどの相談窓口に問い合わせてみましょう。
また、消費者被害に関する法律の専門家に相談するのも有効です。
少しでも違和感があったらすぐに離れる
霊感商法に対して「少しでも違和感があったらすぐに離れる」という姿勢は非常に有効ですし重要なことです。
過剰に恐怖心をあおってきたら、いったんその場から離れましょう。
例えば、「このままだと不幸になる」や「悪い運命が待っている」などの言葉で不安を煽る場合、それは危険なサインです。
また、高額な商品やサービスを強引に売りつけてくるようならそれも注意が必要です。
普段の市場価格と比べて非常に高いものを勧められる場合は、まず疑いましょう。
霊感やスピリチュアルな体験をもとに勧誘してくる商法では、明確な証拠や科学的根拠が提示されないことがほとんどです。
よくある誘い文句の「今すぐ決めないと運が逃げる」などと急かしてくる場合でも、冷静になる必要があります。
霊感商法は心理的な弱みにつけこむことが多いので、少しでも疑念や不安を感じたら、即座に距離を置くことが賢明です。
また、信頼できる家族や友人に相談することも大切なことなので、勇気をもって相談してみましょう。
あなたが泣き寝入りしないために
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まとめ
霊感商法の特徴として、恐ろしい・正体が知れないという「見えないもの」が相手で一般的な金銭の価値に照らし合わせることが難しいという点にあります。
被害を食い止めるために大切なことは、少しでも「おかしい」と疑念を抱いた時点で素早いアクションを起こすという心構えです。
「近しい人に勧められた」「家族のことが心配で」など、人の弱みに付け込んでくるのが霊感商法の手法です。
まずは、冷静にいったん持ち帰って一呼吸おいてみること、そして早めに相談をすることを忘れずにいてください。
この記事が少しでもお役に立てましたら幸いです。
東 拓治 弁護士
福岡県弁護士会所属
あずま綜合法律事務所
福岡県福岡市中央区赤坂1丁目16番13号上ノ橋ビル3階
電話 092-711-1822
【弁護士活動20年】
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