「賃貸アパートを退去したら、敷金が全然返ってこない」
「退去費用として高額な請求書が送られてきた」
「管理会社に問い合わせても、『契約書に書いてある』の一点張りで取り合ってもらえない」
このような、敷金返還トラブルに悩まされている方は少なくありません。
国民生活センターには年間1万件以上の相談が寄せられており、多くの入居者は正しい知識がないために損失を被っています。
特に初回の賃貸契約者や一人暮らしの方は、不当な請求を受けても「仕方がない」と諦めてしまうケースが多く見受けられます。
敷金は、原則として退去時に返還される権利がある「預けるお金」です。
国土交通省のガイドラインでは、経年劣化と借主の過失による損傷が明確に区別されており、適切な対処をすれば敷金の返還は可能です。
契約書の特約や悪質業者による不当請求も、法的根拠に基づいて交渉することで解決できる可能性はあります。
本記事では、敷金が返ってこない原因から具体的な対処法、予防策まで、実際の相談事例を交えて弁護士監修のもと、詳しく解説していきます。
記事に入る前に・・・
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なぜ「敷金が返ってこない」トラブルが多いのか?

賃貸住宅から退去する際、本来は返還されるべき敷金が戻ってこないトラブルが深刻化しています。
弁護士この問題は、個人に経済的な負担を背負わせるだけでなく、住まいの安心をも脅かすものです。

とても身近な問題ですし、金額も大きいのでパニックになってしまいそうです…。
国民生活センターには年間1万件以上の相談がある
国民生活センターに寄せられる、2024年の賃貸住宅の原状回復に関するトラブル相談は1万3,277件上っています。
これは1日あたり約36件という計算になり、多くの賃貸住宅入居者が退去時に直面しうる問題であることがわかります。
相談内容の大部分は、本来支払う必要のない費用を請求されたケースや、敷金から過度に差し引かれて返金された事例です。
特に単身世帯や初めて賃貸契約を結んだ人からの相談が多く、賃貸に関する知識不足が原因となって被害が拡大している傾向が見受けられます。
初めての賃貸契約で損をする人が多い理由
初めて賃貸契約を結ぶ人が特にトラブルに巻き込まれやすい背景には、契約書の特約事項に対する理解不足があります。
また、経年劣化と入居者の過失による損傷の区別ができないため、本来は大家が負担すべき修繕費用でも、借主側が応じてしまうケースも少なくありません。
契約時に行われる重要事項説明では、専門用語や法的な内容が多いため、十分に理解しないまま契約を結んでしまうことが、後々のトラブルの原因となっています。
「返ってこない=泣き寝入り」ではない
多くの入居者は、敷金が返ってこない状況に遭遇すると、「仕方がない」と諦めてしまいがちです。
しかし、民法や国土交通省のガイドラインには明確な基準が定められており、適切に対処すれば、敷金の返還を受けられる可能性は十分にあります。
実際に、消費生活センターへの相談や、貸主に対して内容証明郵便を送付することで問題が解決した事例も数多く報告されています。
重要なのは、法的根拠に基づいて、正当な権利主張を行うことです。
悪質業者による組織的な不当請求
退去時のトラブルには、管理会社と修繕業者の癒着による、組織的な不当請求が行われているケースも存在します。
特に、立ち会い専門業者が関与しているケースでは、高額な請求が発生するリスクが高くなりがちです。
こうした業者は、実際の修繕費を大きく上回る過大な見積もりを作成し、その差額を報酬として受け取っています。
また、一人暮らしの女性や高齢者など、反論しにくい入居者をターゲットにする傾向があり、社会問題として注視すべき状況です。
敷金の基礎知識を正しく理解しよう

敷金トラブルを回避するためには、まず敷金の法的な性質と返還の仕組みを正しく理解することが重要です。
弁護士多くの入居者が敷金を「支払うもの」と誤解していますが、実際は大家に「預けるもの」であり、原則として退去時に返還されるお金です。

そうだったのですね!勘違いしていました。
敷金と礼金の違い
敷金は、家賃滞納や原状回復費用の担保として大家に預ける保証金の役割を果たします。
これに対し、礼金は入居を許可してもらうことに対する謝礼として大家に支払うお金で、退去時に返還されることはありません。
敷金は契約終了時に未払い家賃や原状回復費用を差し引いた残額が返還される仕組みですが、礼金は完全に大家の収入となります。
一般的に、関東地方では敷金・礼金ともに家賃の1か月分が一般的ですが、関西地方では礼金制度がない地域も多く存在します。
こうした地域ごとの契約慣習の違いを理解せずに契約すると、退去時に予想外の費用負担が発生し、損失を被る可能性があるため、事前の確認が必要です。
| 項目 | 敷金 | 礼金 |
| 性質 | 預け金(担保) | 支払い金(謝礼) |
| 退去時の扱い | 返還される(原則) | 返還されない |
| 相場 | 家賃の1〜2ヶ月分 | 家賃の1〜2ヶ月分 |
| 使用目的 | 家賃滞納・原状回復費用に充当 | 大家への謝礼 |
| 地域差 | 全国共通 | 不要な地域もある |
| 法的根拠 | 民法に規定あり | 慣習的な制度 |
敷金の相場とは?
従来の敷金相場は家賃の1〜2か月分でしたが、近年は家賃の1か月分が標準的です。
入居者の初期費用負担を軽減するため、敷金・礼金ゼロの物件も増化傾向にあります。
こうした背景には、賃貸市場の競争激化を受けた、大家側の募集戦略があると考えられます。
しかし、ゼロ敷金物件では、退去時の原状回復費用を直接請求される仕組みとなっているため、実質的な負担が軽減されるわけではありません。
むしろ、敷金がない分、退去時の費用負担が重くなる可能性があり、契約時に退去費用の取り決めを十分確認しておくことが重要です。
また、保証会社の利用が必須となるケースもあり、月額保証料などの追加費用が発生する点にも注意が必要です。
民法621条と国交省ガイドライン
2020年4月に施行された改正民法第621条では、賃借人の原状回復義務について「賃借人は、賃借物を受け取った後にこれに生じた損傷がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」と規定しています。
この条文により「通常の使用による経年劣化は、借主が原状回復の義務を負わない」ということが明確化されました。
つまり、借主の責任でない自然な損耗については、貸主が修繕費用を負担するべきであるという考え方が、法的にも明確化されたといえます。
国土交通省ガイドラインによる負担区分の明確化
国土交通省が策定した「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、原状回復を「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義しています。
このガイドラインにより、壁紙の日焼けや家具設置跡などの通常損耗は貸主負担、タバコのヤニ汚れや故意による破損は借主負担という基準が示されました。
ただし、このガイドラインは法的な強制力を持つものではありません。
そのため、実際の契約では、賃貸契約書の特約事項が優先されるケースもあり、内容を十分に確認すべきです。
経年劣化と耐用年数の考え方
賃貸住宅の設備や内装には法的な耐用年数が設定されており、壁紙は6年、畳の表替えは4〜5年で資産価値がゼロになると定められています。
つまり、長期間居住した場合の壁紙張替え費用は大幅に減額されるか、全額が貸主負担となる可能性があります。
このような経年劣化の考え方を理解しておけば、退去時に過剰な原状回復費用を請求された際の交渉材料として活用できます。
実際に、3年以上居住した物件での壁紙張替え費用は、入居者負担が半額程度に軽減されるケースが一般的です。
敷金が返ってこない主な原因

敷金が返還されない背景には、契約内容の理解不足や悪質な業者による不当請求など、複数の要因が絡み合っています。

自分だけで対処できない場合はどうしたらいいでしょうか?
弁護士では、実際の相談事例を基に、敷金トラブルの主な原因と対策を詳しく解説します。
契約書の特約
契約書に記載された特約事項は、敷金の返還に大きく影響する、最も重要な要素です。
特に「敷金2か月(解約時償却1か月)」のような記載がある場合、1か月分は返金されないことを前提とした契約となっており、原則として退去後に返金を求めることは難しいでしょう。
また、関西地方に特有の「敷引き」制度では、敷金の一部が退去時に自動的に差し引かれる仕組みとなっています。
こうした特約は借主・貸主の合意に基づいて契約時に成立するため、退去後に無効を主張するのは困難です。
ただし、特約の有効性には条件があり、客観的・合理的理由の存在、借主の認識、意思表示を明覚にする必要があります。
暴利的な内容や説明不十分な特約は無効となる可能性もあり、契約前の確認と交渉が敷金返還の鍵と言えます。
借主の過失
入居者の故意・過失による損傷は、明確に借主負担となります。
タバコのヤニによる壁紙の変色や臭いの付着は、軽度であっても原状回復の対象となるケースが多く、換気や清掃では除去困難な汚れとして、高額な修繕費を請求されることが一般的です。
また、ペットによる床や壁の引っかき傷、排泄物による汚損も同様です。
特に結露を放置した結果として発生したカビは、善管注意義務違反として借主責任となることも少なくありません。
一方、構造上の問題による湿気でのカビは貸主負担となるため、発生原因の見極めが重要です。
日常的に清掃と換気を行うことで、このようなトラブルは防止できます。
ハウスクリーニング代・鍵交換費用の特約負担
ハウスクリーニング費用は本来貸主負担ですが、契約書の特約として借主負担が明記されている場合は支払義務が発生します。
国民生活センターに寄せられた相談事例でも、契約時の説明と契約書への明記により特約の有効性が認められるケースが確認されています。
ハウスクリーニングの費用相場は専有面積に応じて30㎡未満で3万円程度、それ以上で1㎡あたり1,000円が目安です。
鍵交換費用についても同様で、特約がない限り、原則として次の入居者を確保するための貸主費用となります。
また、エアコンクリーニング代も、契約書に明記されていなければ、借主は支払いを拒否することが可能です。
なお、請求された金額が相場を大幅に上回る場合は、暴利的な特約として無効を主張できる可能性があります。
家賃滞納や追加修繕費用
家賃滞納がある場合、未払い分は敷金から最優先で差し引かれます。
そのため、滞納分がある限り、敷金の返還は期待できません。
敷金からの差し引き計算は、一般的に「返金額=敷金-不払い家賃-借主が負担すべき原状回復費用等」で算出されます。
また、敷金を超える修繕費用が発生した場合は、借主から不足分を追加請求される可能性があります。
特に長期間にわたって放置された汚れや大型家具によって深刻な損傷が生じた場合などは、高額な修繕費用につながるケースも少なくありません。
このような損害に備える手段のひとつとして「火災保険の借家人賠償責任特約」があります。
これは、借主の過失によって賃貸物件に損害を与えた場合、一定範囲の損害を保証する保険です。
もしも重大な損傷が発生した場合は、保険会社への相談も検討すべきです。
ただし、故意や重過失による損害は保険適用外となるケースが多いため注意が必要です。
悪質業者による水増し請求
立ち会い専門業者が関与するケースでは、管理会社との癒着により高額請求が行われる場合があります。
こうした業者は過剰な金額で見積もりを作成したあと、その差額を報酬として受け取り、入居者の知識不足を利用して組織的な不当請求を行います。
国民生活センターに報告された実例では、築17年のアパートに4年間居住した20代男性が、退去後に原状回復費用として90万円を請求され、見直し要求により70万円まで減額されました。
当初請求の不当性が明確に示された事例です。
なお、こういった水増し請求は、女性の一人暮らしや高齢者をターゲットとする傾向があり、立ち会い時の高圧的な態度で同意書への署名を迫る手口が確認されています。
契約書に記載のない費用請求
契約書に明記されていない費用を、後から請求されるケースも少なくありません。
国民生活センターに寄せられた実際の相談事例では、約1年半居住した3LDK賃貸マンション(家賃約10万円、敷金約20万円)の退去時に、契約書に記載のないクロス張替え費用として、各部屋分約14万円を請求されたケースが報告されています。
この請求には、入居時からあった傷なども費用に含まれており、明らかに不当な請求内容でした。
このような請求は法的根拠がなく、国土交通省が策定したガイドラインをもとに反論できます。
特にクロスの全面張替えが必要な理由の説明を求め、部分補修で対応できる範囲を明確にすることが重要です。
契約書の内容と実際の請求に食い違いがある場合は、消費生活センターへの相談も有効な手段です。

敷金返還の流れ

敷金が実際に返還されるまでには、複数の段階を踏む必要があり、それぞれの手続きで適切な対応をとることがトラブル防止の鍵となります。

各ステップの具体的な対応方法について教えてください!
弁護士退去から返金完了までの具体的な流れと、各段階で注意すべきポイントを解説します。
敷金返還までの4段階
敷金の返還手続きは、以下の4つの段階に分かれています。
- 退去立ち会い
- 修繕見積もり
- 精算内訳書
- 返還
まず退去時の立ち会いで、大家や管理会社の担当者が室内の状態を確認し、原状回復が必要な箇所を特定します。
この際、借主は入居時に撮影した写真を提示し、経年劣化と入居者の過失を明確に区別することが重要です。
次に修繕が必要と判断された部分について、管理会社または専門業者が見積もりを作成します。
この見積もり内容は後の敷金精算に直結するため、過大な請求が含まれていないか、慎重に確認しておきたい部分です。
その後、敷金精算内訳書が作成され、敷金から差し引かれる具体的な費用が明記されます。
最後に、敷金から必要経費を差し引いた残額が指定口座に振り込まれて、敷金返還は完了となります。
返還までの平均期間は1〜2か月
敷金の返還時期について、民法では明確な期限が定められていませんが、一般的には退去から1〜2か月以内が標準的な期間とされています。
賃貸借契約書に敷金の返還時期が明記されている場合も多く、この期間を目安として考えるべきです。
ただし、場合によっては修繕工事の規模や業者の都合によって、期間が延長されることもあります。
万が一、返還予定時期を過ぎても連絡がない場合は、管理会社に確認することが大切です。
また、敷金精算内訳書が1か月を過ぎても送られてこない場合は催促の連絡を入れるべきです。
返還される敷金は次の引っ越し先の初期費用に充当することは現実的には難しいため、資金計画は別途立てておく必要があります。
実際の費用目安
原状回復費用の相場を把握することで、退去時に受けた過大請求を見抜くことが可能になります。
たとえば、壁紙の張替えは1㎡あたり約1,000〜1,500円が相場で、ひと続きの面ごとに全面張替えが行われるのが一般的です。
畳の場合、表替えが1枚あたり約5,000円、新畳への交換は1枚15,000〜20,000円程度が目安となります。
ふすまの張替えは1枚2,000〜3,000円が標準的な価格です。
ただし、こうした費用は地域や物件のグレードによって異なります。
そのため、相見積もりを取り、適正価格を確認することが大切です。
重要なのは、経年劣化による価値の減少を考慮した負担割合です。
たとえば壁紙の耐用年数は一般的に6年とされており、3年居住した場合の入居者負担は、おおむね50%程度が妥当とされています。
ハウスクリーニング費用の相場
ハウスクリーニング費用は、専有面積に応じて決まることが一般的です。
例えば、30㎡未満の物件では一律30,000円(エアコン洗浄込み)、30㎡以上では1㎡あたり1,000円が一般的な相場となります。
1Kや1DKの単身向け物件では25,000〜35,000円、2LDK程度のファミリー向け物件では50,000〜70,000円が標準的な範囲です。
また、地域による価格差も存在しており、都市部では相場より高額になる傾向があります。
契約書にハウスクリーニング費用の特約がある場合、金額が明記されていれば支払い義務が発生しますが、相場を大幅に上回る場合は暴利的特約として無効を主張できる可能性があります。
エアコンクリーニングは別途10,000〜15,000円が相場で、契約書への明記がなければ拒否も可能です。
【入居前・入居中・退去時】敷金トラブル回避術

弁護士敷金トラブルを防ぐには、契約時から退去までの各段階で、適切な準備と対応が必要です。

どのように対策すればいいのでしょうか?
ここでは時期別に実践できる具体的な対策を、実際のトラブル事例を踏まえて解説します。
入居前:契約書の特約確認+部屋の状態を写真記録
敷金トラブルを回避するには、契約締結前に、重要事項説明書と契約書の特約事項を入念に確認することが重要です。
特にハウスクリーニング費用や原状回復に関する特記事項は、退去時の費用負担に直結するため、見落としは禁物です。
また、国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」や「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を事前に読んでおき、契約書内容との相違点があれば必ず確認します。
入居時には荷物搬入前に室内の状態を詳細に記録し、既存のキズや汚れ、設備の不具合などをスマートフォン等で撮影しておきましょう。
日付入りの写真を残し、可能であれば貸主側と一緒に確認して記録を共有することで、退去時の責任の所在を明確化できます。
弁護士このように準備を万全にしておくことで、後のトラブルを防止できます。
入居中:掃除・設備管理の習慣化
日常生活では、こまめな清掃と設備の適切な管理が、退去時の原状回復費用を最小限に抑える鍵となります。
特にキッチンの油汚れ、浴室のカビ、トイレの水垢などは放置すると除去が困難となり、借主負担の修繕対象となる可能性が高くなります。
結露が発生した際は速やかに拭き取っておき、24時間換気システムがある場合は常時運転することで、カビの発生を防止できます。
家具の設置時はフェルト等を使用して床の傷を防ぎ、壁への釘打ちは避けて画鋲程度にとどめることが重要です。
エアコンや給湯器などの設備に不具合が生じた場合は、自己判断で修理せず、速やかに貸主に連絡しましょう。
弁護士賃貸住宅はあくまで借りているものという意識を持ち、丁寧な使用を心がけることが大切です。
退去時:立ち会いに参加
退去時の立ち会いは義務ではありませんが、敷金トラブルを防ぐためには立ち会うことをおすすめします。
立ち会いの際には、入居時に撮影した室内の写真を持参し、管理会社や貸主から指摘された損傷が、入居前から存在していたものでないかを確認しましょう。
また、国土交通省のガイドラインに基づき、通常損耗と借主の過失による損傷を明確に区別し、不当な請求には毅然と反論しましょう。
交渉に不安がある場合、例えば一人暮らしの女性などは、家族や友人に同席してもらうことで心理的なプレッシャーを軽減できます。
立ち会い時の同意書への署名は慎重に行い、納得できない内容についてはすぐに署名せず、消費生活センターへ相談する旨を伝えることで、相手方の態度が軟化することもあります。
弁護士その場での即答を避け、検討するための時間を確保することも、交渉を有利に進めるうえで重要です。
契約更新時の注意点
契約更新時には、新たな特約が追加されていないか、注意深く確認する必要があります。
管理会社の変更や法改正に伴い、ハウスクリーニング費用や原状回復に関する条項が変更されることもあるからです。
特に、以前は記載がなかった費用負担が新たに追加されている場合は説明を求め、納得できなければ交渉することが重要です。
更新契約書にサインする前に、旧契約書との相違点を必ず確認し、不利な変更がある場合は消費生活センターへの相談を検討しましょう。
契約更新の機会は、不合理な特約の見直しを求める絶好のタイミングでもあります。
トラブル発生時は証拠を保全する
万が一トラブルが発生した場合に備え、入居中から退去まで関連する書類や写真を体系的に保管しておくことが重要です。
賃貸借契約書、重要事項説明書、家賃支払い記録、設備修理の履歴、貸主との連絡記録などを時系列で整理しておきます。
退去時に不当な請求を受けた場合は、請求内容を詳細に記録し、業者との会話は可能であれば録音しておくことで、後の交渉や法的手続きで有力な証拠となります。
メールでのやり取りはスクリーンショットを保存し、電話での連絡内容も日時と相手方の氏名とともに記録を残しておくと安心です。
こうした準備により、万が一の際に対応しやすくなります。
敷金が返ってこないときの対処法


もしも敷金が返ってこなかった場合、どのように対応したらいいでしょうか?
弁護士不当な敷金請求を受けた場合でも、段階的に適切な対処をすれば問題解決は可能です。
ここでは実際の解決事例を基に、効果的な交渉手順を解説します。
大家・管理会社に確認する
まずは敷金精算内訳書の内容について、管理会社や大家に直接問い合わせましょう。
手続きのミスや振込先の間違いなど、単純な事務処理上の問題である可能性もあるためです。
問い合わせの際は、国土交通省ガイドラインに基づいた負担区分を根拠として、経年劣化と借主の過失による損傷の区別を明確に主張しましょう。
耐用年数の基準を示し、長期居住の場合は減価償却による負担軽減を求めることも重要です。
また、電話だけでなくメールでも連絡を取り、やり取りの記録を残すことで、後の交渉材料として活用できます。
この段階で解決する場合も多く、冷静かつ論理的な対応を心がけることが成功の鍵となります。
消費生活センターに相談する
管理会社との直接交渉が不調に終わった場合は、消費生活センターに相談することをおすすめします。
消費者ホットライン「188(いやや)」に電話すれば、最寄りの消費生活センターを案内してもらえます。
相談の際は敷金精算書、賃貸借契約書、入居時の写真、管理会社との連絡記録など関連資料を準備しておきましょう。
消費生活センターは仲裁機関ではありませんが、一般的な解決方法のアドバイスや、場合によっては弁護士の紹介を受けることも可能です。
相談事例には法的根拠の明確化や交渉のポイントが含まれており、個人では気づかない問題点を指摘してもらえる可能性があります。
消費生活センターは無料で利用できるため、躊躇せずに活用すべきです。
内容証明郵便を送る
消費生活センターでの相談後も問題が解決しない場合は、内容証明郵便による正式な請求を検討します。
内容証明郵便は郵便局が文書の内容を証明する特別な郵便で、相手に対して強い心理的プレッシャーを与える効果があります。
文書作成時は1枚520字以内、1行20字以内、1枚26行以内の形式を守り、契約内容、請求根拠、返還要求額、返還期日を明確に記載します。
特に重要なのは国土交通省ガイドラインに基づいた法的根拠の明示で、相手方に対して「この人は法的知識を持っている」という印象を与えられます。
内容証明郵便の費用は1,300〜2,000円程度と比較的安価です。
また、期限内に対応がない場合には「少額訴訟の法的措置に移行する可能性がある」といった文言を添えることで、交渉がより有利に進めやすくなります。

少額訴訟を起こす
内容証明郵便でも解決しない場合、少額訴訟を検討します。
60万円以下の金銭請求であれば、弁護士を立てずに個人で手続きが可能で、原則として1回の審理で判決が出る簡易な訴訟制度です。
手続きは相手方の住所地を管轄する簡易裁判所で行います。
費用は請求金額に応じて異なりますが、一般的には5,000〜10,000円程度となります。
訴状の書式は裁判所ホームページからダウンロード可能で、記入例を参考にしながら作成できます。
証拠として賃貸借契約書、敷金精算書、入居時の写真、国土交通省ガイドライン、内容証明郵便のコピーなどを準備しておきましょう。
多くの場合、訴状が届いた時点で相手方が和解を申し出るケースが多く、実際の審理まで進むことは稀です。
法的手続きの威力は絶大で、泣き寝入りを防ぐ最も確実な方法といえます。

弁護士へ相談するタイミングと費用目安
請求額が高額な場合や法的論点が複雑な場合は、弁護士への相談を検討すべきです。
初回相談料は30分5,000円程度が一般的ですが、収入要件を満たしたうえで法テラスを利用すれば、無料相談も可能です。
弁護士に依頼する場合の着手金は10〜20万円程度となるため、敷金の金額との費用対効果を慎重に検討する必要があります。
ただし、弁護士名義での内容証明郵便は相手方に与える心理的効果が高く、早期解決につながるケースも多いため、高額を請求する場合は検討に値します。
弁護士を選ぶ際は、複数の法律事務所で相談し、費用と解決見込みを比較検討することが重要です。

地域差・特殊ケースにも注意

弁護士実は、敷金の取り扱いは、全国で統一されているわけではありません。

地元を離れての進学や転勤など、気を付けなければいけませんね。
地域固有の慣習や特殊な賃貸形態により異なるルールが適用される場合があります。
ここでは一般的な敷金制度とは異なる、注意すべきケースを解説します。
関西特有の「敷金償却・敷引き」文化
関西地方では「敷引き」という独特の制度が根強く残っています。
これは、敷金の一部が退去時に自動的に差し引かれる慣習です。
具体的には、入居者の使用状況や原状回復の必要性に関わらず、あらかじめ決められた金額が敷金から控除されます。
例えば「敷金20万円(敷引き10万円)」の場合、どれほど部屋を丁寧に使用しても10万円は返還されません。
敷引きは礼金的な意味合いを持つため、関東地方の感覚で「おかしい」と感じても、関西では一般的な商慣習として、法的にも有効とされています。
ただし、敷引き額が家賃の3〜4倍を超える場合は暴利的として無効になる可能性もあります。
関西圏への引っ越しを検討する際は、この制度を前提として物件選びを行う必要があります。
UR賃貸住宅の敷金返還ルール
UR賃貸住宅では、独自の明確な敷金返還ルールが設けられており、契約解除日から原則30日以内の返還が保証されています。
退去費用の負担区分についても、以下のように「住まいのしおり」で明文化されています。
- 通常の使用に伴う損耗は貸主負担
- 故意・過失による損傷のみが借主負担
入居時には、URが用意したチェックシート(点検確認書)を使用して現状確認を行います。
退去時もこの記録を基に原状回復の判断が行われるため、トラブルが起こりにくいといえるでしょう。
また、UR内での住み替え制度では、現在の敷金を新居に引き継ぐことも可能です。
そのため、初期費用の負担軽減につながります。
礼金・仲介手数料・更新料・保証人がすべて不要という点も大きなメリットです。
敷金ゼロ物件の落とし穴
近年増加している敷金ゼロ物件は、入居時の初期費用負担を軽減できます。
しかし、退去時における費用負担のリスクは、高くなる傾向にあります。
敷金がない分、原状回復費用や特約による費用負担が発生した場合、全額を現金で支払わなければなりません。
特に、長期間居住した場合の壁紙張替えや設備修繕費用は数十万円に及ぶ可能性があり、敷金からの充当がないため経済的負担が重くなります。
また、敷金ゼロ物件では保証会社の利用が必須となることが多く、月額保証料や更新料も発生するため、長期的には従来の敷金制度より高コストになる場合もあります。
契約時には退去費用の特約内容を入念に確認し、将来の負担を十分に検討した上で判断することが重要です。
オーナーチェンジ時の敷金継承問題
賃貸物件のオーナーチェンジが発生した場合、敷金の返還義務は新しいオーナーに継承されます。
しかし、実際には前オーナーから新オーナーへの敷金の引き継ぎが行われていないケースも少なくありません。
入居者側では気づきにくい問題ですが、退去時になって「前オーナーから敷金を受け取っていない」と新オーナーが主張するトラブルが発生する可能性があります。
オーナーチェンジの通知を受けた際は、敷金の取り扱いについて書面で確認を求めましょう。
新旧オーナー間での確実な引き継ぎを確保することが重要です。
万が一トラブルが発生した場合は、契約書と敷金領収書を証拠として法的手続きを検討しましょう。
法人契約と個人契約の違い
法人契約の場合、個人契約とは異なる敷金の取り扱いがなされることがあります。
法人契約では敷金額が家賃の6か月分など高額に設定されることが一般的です。
現状回復費用の範囲も、個人契約より厳格に運用される傾向にあります。
また、契約終了時の原状回復義務についても、事業用途での使用を前提として、より高いレベルでの回復が求められることがあります。
転勤や人事異動による急な退去の際は、個人契約以上に入念な準備と交渉が必要です。
法人契約を締結する際は、個人契約との違いを十分理解した上で、退去時の条件についてもしっかりと確認しておきましょう。
敷金についてよくある質問

ここでは実際の相談事例を基に、敷金トラブルでよくあるお問い合わせについて回答します。
あなたが泣き寝入りしないために
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*1 件数は2025年3月現在 *2 2013年~2024年。単独型弁護士保険として。2023年3月当社調べ。*3 99プランの場合 *4 初期相談‥事案が法律問題かどうかの判断や一般的な法制度上のアドバイス 募集文書番号 M2022営推00409
まとめ
敷金は借主が貸主に「預けるお金」であり、原則として借主は退去時に返還される権利があります。
年間1万件以上の相談が寄せられる敷金トラブルですが、適切な知識と対処法があれば解決できることもあります。
具体的には、契約書の特約確認、入居時の写真記録、日常的な清掃管理により予防し、万が一不当請求を受けた場合は消費生活センターへの相談、内容証明郵便、少額訴訟という段階的な対処により敷金を取り戻すことが可能です。
泣き寝入りせず、法的根拠に基づいて、正当に権利を主張しましょう。

東 拓治 弁護士
福岡県弁護士会所属
あずま綜合法律事務所
福岡県福岡市中央区赤坂1丁目16番13号上ノ橋ビル3階
電話 092-711-1822
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