身に覚えのない訴状が届いたらどうすべき?封を切らずに無視はダメ!

国民生活センターなどには、「裁判所を差出人とする身に覚えのない‘訴状’が届いたがどうしたらよいか」といった相談が寄せられています。

このようなケースは、悪徳業者などによる架空請求であることも少なくありません。

しかし一方で、本物の裁判所からの訴状である可能性もあり、本物の訴状であるときには何の対応もせずに無視しておけば、大きな不利益を被るリスクがあります。

そのため、身に覚えがないといっても「訴状」の対応には、注意が必要になります。

本記事では、身に覚えのない訴状が届いたらどうすべきかについて、解説していきます。

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目次

訴状とは

訴状とは

訴状とは、訴えを提起した人(原告)がその訴えの原因となった事柄などを記載して裁判所に提出した書類のことです。裁判所では、原告から訴状を受理すると、訴えの相手方である被告に対して、訴状を送達します。

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通常、訴状とともに「期日の呼出状」「答弁書」と記載方法を記す書面などが同封されており、被告としても次にどのような行動を起こせばよいかを把握できるようになっています!

訴状が被告に送達されると、被告が訴状の内容を把握しており、反論があれば答弁書などで主張するものとして捉えられます。

そのため、訴状の送達を受けた被告が何かしらの行動も起こさなければ、実際に訴えの内容を把握したかどうかにかかわらず、被告側の反論は無いものとして、原則として原告の主張を認める判決が下される可能性があります。

訴状の送達方法

訴状は、非常に重要な書類であり、「特別送達」(書留郵便)の方法で送達されます。

そのため、訴状は、郵便局員が直接送付先を訪れて、被告本人またはその家族などに手渡しする方法で送付されることになります。

したがって、宛名もなく郵便受けにそのまま投函されていた郵便物は、「訴状」の記載があったとしても、本物の訴状とはいえません。

訴状が届いたときにまずすべきこと

「訴状」と思われる書面が届いたときには、次のような対応をとることがのぞましいといえるでしょう。

訴状が届いたら開封する

「訴状」「裁判所」という文字を目にすると、身構える方も少なくないことでしょう。

しかし、だからといって、封を切らずにそのままにしておいてはいけません。

なぜなら、できるだけ早く本物の訴状かどうか判断し、本物であった場合には適切な対応を期日までにとる必要があるためです。

訴状を開封することによって、何らかの効果が発生してしまうわけではないので、その点は心配ありません。

本物の訴状がどうか形式面で確認する

本物の訴状かどうかを確実に見分けることは、難しいかもしれません。

しかし、訴状は「特別送達」という書留郵便で送付されるため、郵便受けに無造作に宛先不明で投函されているような書類やハガキ、普通郵便は、本物ではないと判断できます。

また、記載されている連絡先が携帯番号であったり裁判所の公式なホームページなどから調べた電話番号とは違ったりしているケースについても、本物ではない可能性が高いと判断できます。

裁判所や消費生活センターに相談する

「本物の訴状かどうか判断できない」「おそらく偽物だと思うが不安だ」といった場合には、裁判所やお近くの消費生活センター等(消費者ホットライン188)に相談してみるとよいでしょう。

訴状が届いたときにしてはいけないこと

訴状と思われる書面が送付されてきたときには、次のような対応をとることはのぞましくありません。

訴状を受取拒否する

訴状を受取拒否しても、職場に送達されたり、最終的には送達したものと取り扱われて不利な判決につながったり、とデメリットしかありません。

弁護士

訴状を受け取りたくないと思っても、受取拒否をするのではなく、開封して適切な判断・対応をとることが必要になります。

訴状の封を切らずに無視して放置する

届いた訴状の封を切らずに無視して放置することは、危険です。

なぜなら、訴状が本物であった場合には、基本的に呼び出し状に記載された期日に出頭して反論しなければ、原告の主張がそのまま認められる判決が出されてしまう可能性があるためです。

たとえば、貸した200万円を返してほしいと原告が訴えている場合に、訴状の封を切らずに無視して放置してしまえば、本当は「借りた覚えがない」「既に返済した」などといった主張があったとしても、被告に200万円を支払うよう命じる判決が出されるリスクがあるのです。

記載された連絡先を信じて直接連絡する

本物の訴状かどうか判断できない状況で、記載された連絡先の情報を信じて直接連絡することにはリスクがあります。

本物の訴状であった場合には、裁判所に直接確認することで今後すべきことなどが明確になることでしょう。

しかし、偽物の訴状であった場合には、悪質業者などにつながり、電話番号などの個人情報が漏れてしまうだけでなく、相手の思い通りに金銭などを詐取されてしまう可能性があります。

そのため、連絡を直接とるときには、公的機関のホームページや消費者ホットラインなどで正しい情報であることを確認してからにするとよいでしょう。

偽の訴状だったときの対応方法

「サイト利用料の未納分○○円を請求する」「不貞行為の慰謝料として○○円を請求する」・・・。

このような訴状が届いたときには、身に覚えのないものであったとしても、裁判になって大ごとになったら困ると早期解決をのぞむ気持ちになることでしょう。

しかし、偽の訴状に対しては、基本的には無視し、相手と直接連絡をとるような対応は避けるべきといえます。

本物の訴状だったときの手続きの流れ

民事訴訟には、少額訴訟、人事訴訟、通常訴訟などの種類がありますが、通常訴訟に関する訴状を受け取った場合の手続きの流れを簡単にみていきましょう。

答弁書の作成・提出

原告から民事訴訟を起こされた場合には、被告には訴状とともに「答弁書」の用紙が送付されます。

「答弁書」とは、訴状に記載されている内容に対する自分の言い分を伝えるために、裁判所に提出する書面です。

同封されている答弁書の記載例や裁判所のホームページの記載例を見ながら記載し、決められた期日までに裁判所に提出します。

答弁書には、訴状に記載されている内容のどの部分が違っており、どの部分が正しいのかを明確にし、自分の言い分を記載するようにしましょう。

期日への出席調整

訴状に同封された裁判所の呼び出し状に記載された口頭弁論期日には、できるだけ出席する必要があります。

なぜなら、期日に出席せずに答弁書も提出しなければ、原告の主張をそのまま認める判決が出されてしまうことがあるためです。

もし指定された期日の都合が悪いときには、早めに裁判所に連絡すれば期日の変更が認められることがあります。

弁護士

いずれにしても、呼び出し状に記載されている期日に出席できないときには、裁判所に連絡しておくと安心かと思います。

口頭弁論

口頭弁論期日には、裁判所が原告と被告双方の言い分を聞いて争点を明らかにしていったり、立証が必要な事柄に対する証拠調べなどを行ったりする手続きが進められます。

なお、最初の口頭弁論期日に限っては、被告が出席できなかった場合でも、答弁書に記載した内容を陳述したものとみなされる扱いがなされます。

和解または判決による訴訟の終了

訴訟が進められるなかで、当事者が和解できれば、和解によって訴訟は終了します。

このときには、判決書と同じ効力を持つ和解調書が作成されます。

また、和解できずに証拠調べなどが終われば、裁判官が判決を言い渡し、判決が確定すれば訴訟は終了します。

自分で裁判はできる?弁護士に相談する場合のポイント

裁判所の手続きは専門性が高く、訴えられたときには、できるだけ早く弁護士に相談することがおすすめです。

弁護士に相談する際のポイントとしては、次のようなことが挙げられます。

訴状の内容を正確に把握しておく

弁護士に相談する前には、自分自身で訴状の内容を正確に把握しておくことが大切です。

相手がどのような事実をもってどのような主張をしているのかを理解しておかなければ、限られた相談時間を有効に使うことが難しくなるためです。

弁護士に相談するときには、出来る限り自分でも訴状の内容を把握して、相談までに必要に応じて要点などをメモなどにまとめておくとよいでしょう。

関連資料を収集しておく

弁護士に相談するときには、事実を示す客観的な資料があるとスムーズです。

弁護士

たとえば、訴えの内容に関連する契約書や領収書、原告とのやり取りを示したメールなどが考えられます。

これらの関連資料は、裁判で証拠として重要な役割を果たすこともあるので、出来る限り早くから収集しておくとよいでしょう。

一度相談して見通しをたてる

弁護士に依頼するかどうか決めかねているときでも、法律事務所の初回無料相談や自治体の無料法律相談を利用するなどして、一度相談してみることがおすすめです。

ただし、弁護士に相談できる時間は限られているため、できるかぎり的確かつ簡潔に相談内容を話す必要があります。

そして、今後の見通しや弁護士費用などの回答を得て、弁護士に依頼するかどうかを判断することがのぞましいといえます。

早期に相談する

訴状に対して言い分があるときには、答弁書を作成して期日までに提出することが非常に重要になります。

早期に弁護士に相談すれば、期日までに十分に内容を検討した上で対応することができるため、最大限の効果を得られる可能性が高くなります。

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まとめ

本記事では、身に覚えのない訴状が届いたらどうすべきかについて、解説していきました。

身に覚えのない訴状が届いたときでも、明らかに偽の訴状であれば無視しても問題ありません。

しかし、本物の訴状である可能性があれば、消費生活センターや裁判所などに相談してみるとよいでしょう。

そして、裁判については、弁護士に相談しながら進めていくことがおすすめです。

あらかじめ弁護士保険などで、今後の様々なリスクに備えておくことをおすすめします。

弁護士
黒田弁護士

弁護士 黒田悦男 

大阪弁護士会所属
弁護士法人 茨木太陽 代表
住所:大阪府茨木市双葉町10-1
電話:0120-932-981

事務所として、大阪府茨木市の他、京都市、堺市にて、交通事故被害者側に特化。後遺障害認定分野については、注力分野とし、医学的研鑽も重ねています。

また法人の顧問をはじめ事業上のトラブルにも対応をしています。

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