「移動時間は労働時間に含まれる?」
この単純な疑問が、多くの労働トラブルの原因となっています。
通勤、出張、直行直帰、在宅勤務など、働き方が多様化する中で、移動時間の取り扱いはますます複雑化してきました。
本記事では、移動時間が労働時間として認められるケースと認められないケースを、最新の判例や法令に基づいて解説します。
判断基準や具体的な記録の取り方、トラブル発生時の対処法まで、わかりやすく説明していきます。
移動時間に関する正しい知識を身につけることで、適切な賃金請求が可能となります。
労働者の方はもちろん、人事担当者や経営者の方にも参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。
記事に入る前に・・・
だけど費用的に無理・・・という時代は終わりました。


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まず押さえたい移動時間と労働時間の基本ルール


就業時間をめぐるトラブルの中で、特に移動時間の取り扱いは判断が難しく、労使間で見解が分かれやすい問題です。

まずは、基本的な考え方と判断基準について知っておきたいです。
労働基準法の定義「指揮命令下」が判断基準
労働時間の定義は、最高裁判例により「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」と定められています。
この判断基準は、会社の規定や契約上の定めよりも優先されます。
つまり、就業規則で「移動時間は労働時間に含まない」と定めていても、実態として指揮命令下にあれば労働時間として扱われるというわけです。
この考え方は、厚生労働省の通達でも「使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」とされています。
通勤時間と業務移動時間の違いを簡単に解説
通常の通勤時間は、労働の準備段階として位置づけられ、原則として労働時間には含まれません。
一方で、業務移動時間は、その性質により労働時間として認められる場合があります。
例えば、取引先への往復時間や、現場間の移動時間などです。
「通勤時間は労働の準備行為」という位置づけであり、使用者の指揮命令下に置かれる前段階と捉えられます。
知っておきたい判例と具体例|移動時間が労働時間に該当する条件とは
具体的な判例を見ると、移動時間の労働時間該当性は、裁判所によって以下のように判断されています。
総設事件
平成20年2月22日の東京地裁「総設事件」判決では、原告の請求が一部認められました。
すなわち、移動時間などが労働時間に該当すると認定され、未払い代金の一部支払いが命じられたのです。
労働時間性が認められた理由は、主に以下4点が重視されました。
- 午前6時30分から資材置き場で作業を行い、6時50分までに事務所集合が求められていた
- 事務所での作業指示を受けながら資材積み込み作業を並行して行っていた
- 現場への移動は上司との組み合わせで行われ、任意性がなかった
- 帰社後の道具洗浄や資材整理が業務として義務付けられていた
阿由葉工務店事件
平成14年11月15日の東京地裁「阿由葉工務店事件」判決では、会社事務所から建築現場までの移動時間は労働時間には該当しないと判断されました。
会社事務所への立ち寄りに強制力がなかったことや、現場への車両移動時の運転者の選定や集合時刻も従業員間の任意の取り決めであったことが大きな理由として挙げられました。
さらに、前日までに作業内容が決定済みで当日の具体的指示を受ける必要性がなかったということも加味された結果、原告が主張する移動時間に基づく未払い賃金請求は棄却されました。
本件では、移動が「労働時間」とされる条件(指揮命令、拘束性)が満たされていないと判断されました。
横河電機事件
平成6年9月27日の東京地裁「横河電機事件」判決では、労働者の請求を棄却しました。
すなわち、移動時間は、時間外勤務手当の支給対象となる実勤務時間には該当しないと、会社側の主張が認められたのです。
「移動時間は労働拘束性の程度が低く、これが実勤務時間に当たると解するのは困難」との判断基準を示し、単なる移動時間は原則として労働時間に該当しないとの解釈を明確にしました。
また、労働者には、移動時間に対する代償として海外出張手当が支給されていたことと、会社の労働協約には以下の規定が存在していたことも、判決の理由となっています。
- 所定就業時間内の旅行中は、労働時間とみなすが、移動時間中の労働拘束性は低い。
- 所定就業時間外および休日の移動時間については、実労働時間には含まれない。
三菱工業長崎造船所事件
平成12年3月9日「三菱重工業長崎造船所事件」について、最高裁では会社側の上告を棄却しました。
労働時間の定義について「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」という基本的な判断基準を示しており、労働基準法の労働時間に該当するとの原審の判断を支持しました。
本件で労働時間と認定された行為は以下のとおりです。
- 更衣所での作業服や保護具の装着
- 更衣所から準備体操場までの移動
- 副資材等の受け渡しや始業前の散水
- 実作業終了後、更衣所での作業服や保護具の脱離等
この結果、これらの時間が時間外労働として認められ、その分の割増賃金を請求する権利が認められました。
この判決は、移動時間の労働時間該当性を判断する際の大原則となっています。
法定労働時間との関係で見る移動時間の扱い
労働基準法では、法定労働時間を1日8時間、週40時間と定めています。
移動時間が労働時間として認められる場合、この法定労働時間に含まれることになります。
例えば、通常の勤務時間が7時間の従業員が、2時間の業務移動を行った場合、合計9時間となり法定労働時間を超過するということです。
この場合、超過分の1時間については25%以上の割増賃金を支払う必要があります。
移動時間が労働時間に含まれるケース

移動時間は、その形態や業務との関連性によって労働時間として認められるケースが異なります。

裁判例を見ても、移動時間が労働時間に含まれたケースと含まれなかったケースがありますね。

使用者の指揮命令下にあるかどうかを具体的に判断するための基準を、実例を交えて解説します。
出張中の業務指示が明確な場合は労働時間に該当
原則として、出張移動時間は労働時間に含まれませんが、具体的な業務指示がある場合は例外となります。
移動時間中に会社から特段の用務を命じられているような場合は、それ自体が業務であり、労働からの解放、行動の自由性はないと考えられることが一般的です。
労働時間と認められる例
- 移動中にパソコンで業務資料の作成を指示された場合
- ウェブ会議への参加を命じられた場合
- 顧客の物品や重要書類の運搬を任された場合
上記のような場合、移動そのものが業務の一環となり、使用者の指揮命令下にある労働時間として扱われます。
自動車運転や物品運搬など業務の一環の場合は労働時間
物品の運搬や管理を伴う移動時間の場合は、明確に労働時間として認められます。
一般的に、会社から特段の要務を命じられているようなケースではそれ自体が業務とされています。
- 物品の監視・管理
- 商品あるいは現金、貴金属の運搬など
さらに、他の社員を乗せた車を運転する場合も、移動時間が労働時間として認められます。
この場合、移動中の緊張から解放されているとはいえず、業務上の責任が継続していると判断されるためです。
所定労働時間内の移動は基本的に労働時間
所定労働時間内の移動については、原則として労働時間と認められます。
社員は、直ちに次の目的地に移動することが求められており、労働からの解放が保障されているとは言えないためです。
例えば、会社で朝礼に参加した後に現場へ向かう場合、その移動時間は労働時間としてカウントされます。
これは、所定労働時間内は使用者の指揮命令下にあると評価されるためです。
通勤中でも会社からの緊急指示があれば労働時間になる
通常の通勤時間は労働時間に含まれませんが、会社からの指示ですぐに対応しなければならない状況の場合は例外です。
例えば、「指示があれば動けるように待機している」「指示に対応できるように準備していた」等のようなケースでは、使用者の指揮命令下にある時間として労働時間に該当します。
この判断は、実際に指示があったかどうかではなく、対応が求められる状態にあったかどうかで判断されます。
労働時間に含まれない移動時間とは?損しないための注意点

移動時間は、行動の自由度や使用者(会社)からの具体的な指示の有無によって、労働時間該当性が判断されます。

個々のケースによって判断が分かれそうですね。

適切な賃金の支払いを受けるために、労働時間として認められないケースと、その判断根拠を理解しましょう。
自由に使える移動時間は労働時間に該当しない
移動中の時間を自由に利用できる場合、その時間は労働時間として認められません。
具体的には、以下のような行動が、移動中に認められている状況を指します。
- 読書をする
- 睡眠をとる
- スマートフォンでゲームをする
- 新聞を読む
これらの行為が制限なく可能な場合、会社の指揮命令下にあるとは評価できず、労働時間には該当しないと判断されます。
特に長距離移動の際は、このような自由な時間の使用が認められるケースが一般的です。
会社からの指示がない通勤・出張は基本的に対象外
通勤は所定労働時間外の行動であり、その時間の使い方は労働者の自由とされています。
また、出張先への移動時間も、取引先との面会や打ち合わせなど、本来の業務は目的地で行われることから、原則として労働時間には含まれません。
平成14年11月15日の阿由葉工務店事件における東京地裁判決では、会社事務所と現場との往復について、車両による移動が会社からの指示ではなく運転者や集合時刻も移動者間で任意に定められていたケースでは、「通勤としての性格を有する」と判断されました。
これは、自宅から実際の就業場所への移動が、単に労務提供の場所が変わっただけと解釈されるためです。
出張中でも「単なる移動」は労働時間に含まれない理由
ある東京地裁の判決では、「移動時間は労働拘束性の程度が低く、これが実勤務時間に当たると解するのは困難」との判断基準が示されました。
この判断が示された背景には、以下の要因があります。
- 出張の移動時間中は基本的に何をしても問題なく、行動の自由度が高い
- 労働からの解放が保障されている
- 業務上の緊張や責任から解放されている状態である
ただし、移動中に具体的な業務指示がある場合や、重要書類の携行など特別な責任が伴う場合は、この限りではありません。
そのような場合には、労働から解放されているとはいえないためです。
指示待ち時間との違いに注意
移動時間中に会社からの指示があっても、速やかに対応する必要がない場合は、労働時間に該当しません。
例えば、会社から電話やメールでの連絡があっても、会社に出勤してから対応すれば良い場合や、翌日の対応で構わない場合は、移動時間中の具体的な業務が発生していないため、労働時間としては扱われません。
判断に迷いやすいケースをわかりやすく解説

移動時間が労働時間に該当するかどうかは、業務の性質や状況によって判断が分かれます。

特に、働き方が多様化する現代では、これまでの判例だけでは判断が難しいケースも増えています。

たしかに、在宅勤務中にやむなく出社となる場合はどうなるのか気になります。
営業職の現場間移動が労働時間になる条件
営業職の現場間移動では、拘束性の度合いと業務との関連性から、労働時間に該当されやすいと言えます。
たとえば、取引先への往復時間や現場間の移動時間は、基本的に労働時間として認められます。
これは、その移動自体が業務の一環として行われているためです。
ただし、自宅から直接現場に向かう場合や、最後の現場から直接帰宅する場合(直行直帰)については、通常の通勤と同様に扱われ、労働時間には該当しないと判断されるケースが一般的です。
この区別は、移動が業務の一環として行われているか、単なる就業場所への移動かという点で判断されます。
在宅勤務中の外回り移動はどう判断される?
在宅勤務者の外回り移動時間については、その日の最初の業務開始から最後の業務終了までを含めて1日の業務として判断されます。
具体的には、在宅での朝の業務開始後に客先を回り、その後再び在宅で業務を行う場合、すべての移動時間は、労働時間として扱われます。
これは、自宅という就業場所が会社の指示により設定されており、そこからの移動が業務の一環として行われているためです。
在宅勤務の場合、自宅が実質的な業務の拠点となることから、通常の通勤とは異なる扱いとなります。
出張中の緊急業務対応は労働時間に含まれるか?
出張移動中に緊急の業務指示があった場合、その対応時間は労働時間として扱われます。
具体的な業務指示があり、それに応じなければならない状況では、移動時間であっても使用者の指揮命令下にあると判断されるためです。
一般的に、移動時間中の業務指示への対応は、労働時間として認められます。
ただし、翌日以降の対応でよいケースなど、即時の対応が求められない場合は、労働時間には該当しません。
知っておきたい!移動時間を労働時間に含めるための記録術

移動時間で働いたことを証明するには、正確な記録と証拠の保管が不可欠です。
労働時間として認められるかどうかは、具体的な記録の有無によって大きく左右されるからです。

確かに、報告のみで「移動中に仕事していた」と証明するのは難しいですね…。

効果的な記録の取り方と、重要な判例から学ぶポイントを解説します。
記録がないと労働時間に含まれない<証拠の重要性>
平成20年2月22日の総設事件における東京地裁判決では、出退勤時刻や業務内容の具体的な記録に基づき、移動時間の労働時間該当性が判断されました。
この判決のポイントは、会社の指揮命令下にあったことを客観的な記録で証明できたことです。
移動時間を労働時間として認められるためには、以下の4点を意識して記録することが重要です。
- 出退勤の正確な時刻
- 業務指示の内容と時間
- 移動中の業務対応の詳細
- 上司との連絡記録
勤怠管理システムを活用した効率的な記録方法
移動時間を正確に記録し管理するためには、勤怠管理システムの活用が効果的です。
最新のシステムでは、スマートフォンのGPS機能と連携して、移動開始から終了までの時間を自動的に記録できます。
また、移動時の業務内容(営業訪問、研修参加など)を登録することで、労働時間該当性の判断材料としても活用可能です。
さらに、法定労働時間との関係を自動で計算し、必要な割増賃金の算出まで行えるシステムも増えています。
スマホやアプリを使った効率的な記録方法
デジタル機器を活用した記録は、客観性の高い証拠となり、移動時間が労働時間に該当するかを示す際に有効です。
以下の点に注意して記録を残すとより効果的です。
- GPSによる移動経路と時間の記録
- 業務用アプリでのタイムスタンプ付き記録
- 通話履歴やメール送受信記録の保存
- オンライン会議システムの利用履歴
なお、デジタル機器を活用した記録を残す際は、個人のプライバシーに配慮することが重要です。
業務に関連する情報のみを記録するようにしましょう。
メールや指示書の保管で確実な証拠を残そう
移動時間が労働時間として認定されるかどうかは、業務指示や対応の具体的な証拠がカギとなります。
電子記録は日時が自動的に記録されるため、信頼性の高い証拠となります。
以下の記録を確実に保管しましょう。
- 業務指示のメール本文
- スケジュール調整の履歴
- 業務報告書
- 承認記録
これらの記録は、少なくとも未払い賃金の請求権が消滅する期間まで保管しておきましょう。
実際に移動時間を労働時間として認められた事例
平成20年2月22日総設事件における東京地裁判決では、以下の記録が決め手となり、移動時間が労働時間として認められました。
- 午前6時30分からの資材積み込み作業の実施記録
- 6時50分の事務所集合時の作業指示記録
- 現場への移動における上司との同行記録
- 帰社後の道具洗浄や資材整理の実施記録
具体的な記録が多数残っていたことで、移動時間が使用者の指揮命令下にあった事実が証明されました。
移動時間が労働時間に含まれなかった場合の対処法

移動時間が労働時間として正しく認められていない場合、賃金の未払いが発生している可能性があります。

適切に対処すれば、移動時間中の労働について正当な賃金を請求可能です。

どのように対応するのが良いでしょうか?
残業代計算で見落としがちな移動時間の扱い
移動時間に関する基本的な残業代の計算方法は、以下のとおりです。
- 深夜(22時から翌5時)の移動時間には、25%の深夜割増賃金が適用
- 休日の移動時間には35%の休日割増賃金が必要
さらに、会社が支給する移動手当と残業代は別個のものとして考える必要があります。
移動手当は交通費の実費弁償として支給される場合が多いです。
そのため、企業はこれとは別に、労働時間として認められる移動時間に対しては、適切な賃金(必要に応じて割増賃金)を支払う必要があります。
未払い賃金の請求はまず計算から
移動時間に対する未払い賃金を請求する場合、まず正確な金額の算出が必要です。
所定労働時間を超えて移動した時間については、労働基準法に基づき25%以上の割増賃金を加算して計算します。
特に営業職など移動の多い職種では、未払い賃金が高額になることも少なくありません。
未払い賃金を計算する際は、以下の点に注意が必要です。
- 移動時間の正確な記録
- 所定労働時間との関係
- 割増賃金の計算方法
- 時効期間内の対象期間の特定
記録が曖昧だと、実労働時間に含むべき時間が正確に計算できず、誤った未払い賃金請求や支払いを招くリスクがあります。
労働基準監督署への相談手順をステップ解説
労働基準監督署は、労働基準法などの法令遵守を監督する機関です。
移動時間の賃金未払いについて相談すると、会社への調査や指導が実施される可能性があります。
ただし、監督署による指導には強制力がなく、会社が従わないケースも考えられるため、注意が必要です。
相談の際は以下の資料を準備すると効果的です。
- 労働条件通知書や雇用契約書
- タイムカードや業務日報などの記録
- 給与明細書
- 移動時間や業務内容の具体的な記録
事実を裏付ける客観的な証拠を集めておくことで、労働基準監督署が相談内容を理解し、正確な調査や適切な指導を行いやすくなるでしょう。
弁護士への依頼でトラブルを未然に防ぐ方法
労働問題に関することは弁護士に依頼することで、会社と対等な立場で交渉できます。
弁護士は専門的な立場から、未払い賃金の請求や労働審判、訴訟などの法的手続きについてサポートします。
特に、会社との交渉が平行線をたどっている場合や訴訟などの法的手続きへの発展が予想される場合には、速やかな弁護士への依頼がおすすめです。
また、労働時間の計算が複雑な場合や未払い賃金が高額な場合にも、一度弁護士へ相談するとよいでしょう。
労働問題は専門的かつ複雑であり、個人での対応には限界があります。
法的知識や交渉力を持つ弁護士のサポートを受けることで、迅速な問題解決につながります。
一目でわかる!移動時間が労働時間に含まれるかのチェックリスト

移動時間の労働時間該当性は、複数の判例で示された判断基準に基づいて評価されます。

具体的にはどのような状況が該当するのか、簡単に確認できないでしょうか?

以下のチェックリストで確認することで、自身の移動時間が労働時間に該当するかどうかを判断できます。
「指揮命令下にあったか」を判断するための7項目
以下の項目に該当する場合、使用者の指揮命令下にあったと判断される可能性が高いでしょう。
(※必ずしも指揮命令下にあったと判断されるわけではありませんのでご注意ください)
- 会社から具体的な時間指定があった場合
- 移動中に業務報告や連絡が求められた場合
- 重要書類や商品の運搬を任されていた場合
- 他の従業員の送迎を命じられていた場合
- 所定労働時間内の移動だった場合
- 上司との同行や指示を受けながらの移動だった場合
- 移動前後に必須の業務があった場合
これらの判断基準は、平成20年2月22日の総設事件における東京地裁判決などで示された考え方に基づいています。
移動中の具体的な行動と労働時間該当の可能性
労働時間に該当する可能性が高い行動として、以下が挙げられます。
- 物品の監視・管理をしながらの移動
- 業務用のパソコンでの作業
- 会社指定の運転業務
- 緊急の業務指示への対応
一方で、労働時間に該当しない可能性が高い行動は、
- 読書や睡眠
- 私的なスマートフォンの使用
- 新聞を読む
- 音楽を聴く
のような、労働者の自由度が高く業務に関係のないことが挙げられます。
これらの区分は、平成6年9月27日の横河電機事件において東京地裁判決で示された「労働拘束性の程度」を判断基準としています。
特に、業務の遂行に必要な指示や拘束を受けている行動が「労働時間」に該当するとされています。
出張・通勤・直行直帰それぞれのパターン別ガイド
出張・通勤・直行直帰における移動時間と労働時間の関係について、以下のポイントを押さえておくことが重要です。
出張の場合
- 原則として移動時間は労働時間に含まれない
- ただし、具体的な業務指示がある場合は例外
- 物品運搬などの責任がある場合は労働時間
通勤の場合
- 原則として労働時間に含まれない
- 緊急指示待機が求められる場合は労働時間
- 会社経由で現場に向かう場合は状況による
直行直帰の場合
- 自宅から現場への移動は通勤扱い
- 現場間の移動は労働時間
- 最終現場から自宅への移動は通勤扱い
移動時間が労働時間として認められるかどうかは曖昧な場合もあるため、社内規定や判例などを確認し、具体的な基準を認識しておくことが重要です。
労働時間と移動時間に関するよくある質問


移動時間の取り扱いについて、実務上頻繁に質問が寄せられる事項について解説します。
移動中に電話業務を行った場合はどうなる?
平成20年2月22日の総設事件における東京地裁判決では、業務指示への対応が必要な状態は労働時間として認められています。
移動中の電話対応については、以下の基準で判断されます。
- 緊急の業務連絡や指示を受けた場合
- 翌日以降の対応でよい連絡の場合
- 定期的な報告を求められている場合
特に重要なのは、電話対応が「すぐに応じなければならない」状況であったかどうかです。
この判断基準は、使用者の指揮命令下にあったかどうかを示す材料となります。
上記のケースでは、①③は労働時間に該当しますが、②は労働時間とされません。
長距離出張中の新幹線移動は労働時間となるか?
平成6年9月27日の横河電機事件における東京地裁判決では、移動時間は「労働拘束性の程度が低く、実勤務時間に当たると解するのは困難」と示されています。
新幹線での移動時間については、以下の区分で判断されます。
- 単なる移動時間
- 具体的な業務指示がある場合
- 重要書類等の運搬を任されている場合
①のような単なる移動では拘束性が低いとされますが、②や③のような具体的な業務や責任が発生している場合には、労働時間とみなされる可能性があります。
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*1 件数は2023年3月現在 *2 2013年~2022年。単独型弁護士保険として。2023年3月当社調べ。*3 99プランの場合 *4 初期相談‥事案が法律問題かどうかの判断や一般的な法制度上のアドバイス 募集文書番号 M2022営推00409
まとめ
移動時間が労働時間と認められるかは、「使用者の指揮命令下にあったか」が基準となります。
業務指示や責任を伴う移動は労働時間に該当しますが、自由に使える移動時間は該当しません。
また、通勤は労働時間に含まれませんが、出張・直行直帰・在宅勤務で業務指示がある移動は労働時間に該当します。
移動時間を労働時間として認めてもらうには、業務指示や移動時間等の客観的な記録を残すことが必要です。
移動時間の取り扱いについて疑問が生じた場合は、早めに専門家に相談することをおすすめします。
適切な記録を残し、必要に応じて労働基準監督署や弁護士に相談することで、正当な権利を守るための具体的なアドバイスを得られるでしょう。

東 拓治 弁護士
福岡県弁護士会所属
あずま綜合法律事務所
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