「裁判に勝ったら、かかった弁護士費用も相手に請求できるのでは?」と考える方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、弁護士費用は原則として自己負担です。ただし、交通事故・名誉毀損・不倫・暴行などの不法行為では、損害賠償として認められた金額の約1割を「弁護士費用相当額」として相手に請求できる場合があります。
一方、訴訟費用(裁判費用)は、原則として敗訴した側が負担します。ただし、実際に相手へ請求できる金額や回収方法には注意が必要です。
本記事では、弁護士費用を相手に請求できるケースと請求できる金額、訴訟費用との違い、判決で認められた訴訟費用を実際に取り立てる方法、費用負担を軽くする方法について詳しく解説します。
記事に入る前に・・・
だけど費用的に無理・・・という時代は終わりました。


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法的トラブルにかかる費用

法的トラブルを弁護士に依頼すると、おおまかに分けて以下の解決方法が視野に入り、それぞれ費用がかかってきます。
- 任意交渉(話し合い)による解決
- 調停(裁判所での話し合い)による解決
- 裁判(訴訟を起こして裁判所で戦う)による解決
細かな手続きは他にもありますが、主なこの3つに絞って話を進めましょう。
改めて、「どのような費用がかかるか」ですが、「費用」といっても、支払先によってその趣旨が異なり、呼び方も異なってきます。
まずは基本を確認しておきましょう。
【弁護士費用】
弁護士に支払うお金です。
あくまで、「弁護士に動いてもらうための費用」であり、弁護士の仕事に対して支払うお金となります。
弁護士に依頼する前に相談した「相談料」は、厳密には、依頼する前の法的アドバイスの対価なので、「弁護士費用」とは別に考えることが多いかと思います。

【訴訟費用(裁判費用)】
裁判所に支払う(訴訟にかかる)お金です。
「訴訟費用」として法律に定められているのは、民事訴訟費用等に関する法律2条に挙げられた費用で、主に以下のものが該当します。
- 裁判所に納める申立手数料(2条1号)
- 裁判所が書類を送達するために必要な費用(2条2号)
- 当事者や代理人が期日に出頭するための旅費・日当(2条4号、5号)
- 訴状などの書類を作成し提出するための費用(2条6号)
- 会社が当事者の場合の代表者事項証明書の交付手数料など(2条7号)
なお、弁護士に支払う着手金や報酬金は、ここでいう「訴訟費用」には含まれません。この点が、後ほど説明する「弁護士費用は原則として相手に請求できない」という結論につながってきます。
弁護士費用(弁護士に支払う費用)

まず、弁護士に依頼する場合、「弁護士に支払うお金」として、
- 着手金(事件に着手する際にかかる費用)、
- 日当(弁護士が外出して仕事をする場合の手当)
- 報酬金(弁護士が事件を解決した、成果を獲得した、などの場合のこれに対する報酬金)
等が発生します。
基本的には、これらをまとめて「弁護士費用」と表現することが一般的です。
これに加えて、実際には、「実費代(郵便切手、コピー通信代、交通費、裁判所手数料)」などを、弁護士に対して支払うことになります。
弁護士が任意交渉から事件に着手し、その後、調停や裁判に事件を移行する場合は、追加で別途着手金がかかってくるのが通常です。
弁護士としては、申し訳なく思うところですが、手続きにより、用意する書面や資料などがまた変わってくるため、手続きが移行すると、追加で着手金をいただくことが多いと思います。
裁判費用(訴訟費用)=裁判所に支払う費用(調停・裁判)

裁判所に支払う費用は、
- 裁判所を利用するための手数料(裁判所手数料・印紙か振込で支払う)
- 郵券代(裁判所が書面を郵送でやり取りするための郵便切手代・切手か振込で支払う)
となっています。
これらを含む訴訟にかかる費用を「訴訟費用(裁判費用)」などといいます。
これは、裁判所のどのような手続きを利用するか、内容がどのようなものか(金額など)によって、金額が異なってきます。
具体的な金額については、以下を参考にしてみてください。
【裁判(訴訟)や民事調停の手数料】
※例えば300万円の慰謝料請求訴訟の場合、2026年5月21日以降に申し立てるときの手数料は、書面での申立てで22,500円、オンラインでの申立てで21,400円です(いずれも郵便費用に相当する額を含みます)。
【離婚調停(夫婦関係調整調停)の手数料】
※離婚調停は手数料が1,200円、郵券が800円程度と、非常に安い手続となっています。
裁判所に納める手数料は、裁判の場合、請求する金額が大きいと相当な負担になります。一方、離婚調停は手数料1,200円と連絡用の郵便切手のみで済み、民事調停の手数料も同じ請求額の訴訟より安く設定されています。調停にかかる裁判費用は、裁判よりも安いということが言えます。
なお、2026年5月21日以降の民事訴訟では郵便費用が手数料に一本化されましたが、離婚調停などの家事調停では、これまでどおり収入印紙とは別に郵便切手を納めます。
これらの裁判費用は、いったんは弁護士に実費代として支払い、弁護士が後程裁判所に納める、という流れを取るのが一般的でしょう。
2026年5月21日以降に起こす民事裁判では郵便切手代が不要になりました
2026年5月21日に、改正民事訴訟法が施行されました。
従来必要だった郵便費用が申立手数料に一本化され、訴え提起手数料と郵便費用に相当する額(定額)を合わせた金額を納める形になっています。
申立手数料は原則としてペイジーによる電子納付になり、訴状はオンラインでも提出できます(民事裁判書類電子提出システム「mints」を利用する)。
なお、弁護士などの訴訟代理人には、電子申立てが義務づけられていますが、本人が申し立てる場合は、従来どおり書面でも可能です。
電子申立てを利用した場合、書面での申立てより申立手数料が1,100円安くなります。
注意したいのは、この一本化は民事訴訟についてのものであることです。離婚調停などの家事調停では、従来どおり収入印紙とは別に郵便切手が必要となります。
費用は相手に請求できる?

さて、これまでは、法的トラブルの解決に、どれだけの費用がかかるかをお伝えしてきました。
例えば、300万円の裁判をするだけでも、勝訴した場合を例にすると、
①弁護士費用
着手金 26万4,000円
日当 数万円~
報酬金 52万8,000円
合計 72万9,000円~
②訴訟費用(裁判費用)
申立手数料 22,500円(オンラインでの申立てなら21,400円。いずれも郵便費用に相当する額を含みます)
以上のような金額が必要となってきます。
これらの費用については、結論として、
①訴訟費用(裁判費用)については、相手に請求できる
②弁護士費用については、一部の例外を除いて、相手に請求できない
(但し、請求できる場合であっても全額ではなく一部に過ぎない)
という扱いになっています。

貸したお金が帰って来ない、不倫をされた、というように、訴えを起こす側はいわば被害者であることが一般的です。そのため、「なぜ私が費用を負担しなくてはならないの」と思われる方も多いかと思います。
ただ、法的には、「本来は、トラブルは自分で解決できるものである以上、弁護士を利用するかどうかは、その人の選択による」という考え方がとられています。
そうすると、「弁護士を使ったのであれば、それを使った人が弁護士費用を払いなさい」ということになってしまうわけです。
実際には、法的トラブルは、弁護士が介入しないと解決できないものも少なくありません。そのため、費用を自分で負担することには納得いかないかもしれませんが、弁護士費用を相手に請求できるのは例外的となっています。
弁護士費用を相手に請求できるケース
【一覧】ケース別・相手に請求できる金額の目安
| トラブルの種類 | 弁護士費用を相手に請求できるか | 請求できる金額の目安 |
| 交通事故・名誉毀損・不倫・暴行などの不法行為 | 請求できる | 認められた賠償額の約1割 |
| 労働災害(会社の安全配慮義務違反) | 請求できる | 事案に応じて相当と認められる額 |
| 医療訴訟・建築訴訟などの専門性が高い訴訟 | 認められる傾向にある | 認められた賠償額の約1割 |
| 契約書に弁護士費用の特約がある場合 | 請求できる | 合理的な範囲。実務では約1割が目安 |
| 売買代金の未払い・貸したお金の返還など(債務不履行) | 請求できない | ― |
交通事故、名誉毀損、不倫・暴行、労働災害などでは、弁護士費用を相手方に請求できる場合があり、認められた賠償額の約1割が目安とされています。医療訴訟・建築訴訟についても、弁護士費用の請求が認められる傾向があります。
また、契約書に弁護士費用の特約がある場合は、合理的な範囲で請求でき、実務上は約1割が目安です。一方、売買代金の未払いなどの債務不履行では、原則として弁護士費用を相手方に請求することはできません。
「訴訟費用は相手に請求できる」とお伝えましたが、正確には、「判決となった場合には、勝った割合に応じて、訴訟費用を相手に請求できる」というのが実態に合った表現かと思います。
例えば、「300万円請求して、150万円しか認められなかった」場合、申立手数料22,500円のうち、半分の11,250円を相手に請求でき、残りの11,250円は自己負担となるわけです。手数料以外の訴訟費用についても、同じ割合で分けられます。
また、日本の民事裁判では、和解で終わるケースが一定の割合を占めます。裁判所の統計によると、2024年に地方裁判所で終了した民事第一審の通常訴訟139,370件のうち、44,080件(約32%)が「裁判上の和解(裁判を起こしたけれど裁判所で和解をすること)」で解決しています。
和解で終わった場合は、「訴訟費用は各自の負担とする」として、費用を自腹とされることがほとんどです。弁護士費用も、通常は支払ってもらえない内容で和解が成立します。つまり、弁護士費用を請求できるはずの不法行為の裁判であっても、和解で終わればその分は受け取れない可能性があるということです。
弁護士費用を相手に請求できるのは、例外的に、「不法行為」を理由とする訴訟の場合です。
不法行為の訴訟とは、「不倫」、「交通事故」、「暴行」、「名誉毀損」など、相手の違法な行為によって損害を被ったと主張するような訴訟のことです。
不法行為の裁判で、損害賠償請求が認められた場合に、認められた金額の約1割を弁護士費用相当額として認める運用がとられています。仮に、300万円の慰謝料が認められるようなケースは、その1割である30万円のみ、弁護士費用を請求できることになるのです。

債務不履行では弁護士費用請求は原則不可
債務不履行と不法行為、どちらも法的トラブルですが、弁護士費用を相手に請求できるかどうかは大きく異なります。
特に重要なのが、令和3年1月22日に最高裁判所が下した判決です。この判決により、契約違反(債務不履行)の場合の弁護士費用請求について、明確な基準が示されました。
令和3年最高裁判決で明確になった基準
これは、土地の売買契約で売主が土地の引渡しや登記移転を拒んだケースです。買主が弁護士に依頼して訴訟を起こしましたが、最高裁は「土地の引渡しや登記移転を求めるための弁護士費用は、債務不履行による損害として相手に請求することはできない」と判断しました。
これまで曖昧だった費用負担の部分が、この判決ではっきりと示されたのです。
債務不履行と不法行為の違い
同じトラブルでも、「契約違反(債務不履行)」なのか「不法行為」なのかで、弁護士費用の請求可否が変わってきます。
債務不履行の例(弁護士費用請求不可)
- 売買代金の未払い
- 商品の未納品
- 土地建物の引渡し拒否
- 賃料の滞納
不法行為の例(弁護士費用請求可能)
- 交通事故
- 名誉毀損・誹謗中傷
- 不倫による慰謝料請求
- 暴行・傷害
特に金銭債務については、「お金を貸したのに返してくれない」「売買代金を支払ってくれない」といったケースでは、判例上、弁護士費用の請求は認められていません。
不法行為での請求が認められた判例
最高裁昭和44年2月27日判決は、不法行為による損害賠償請求における弁護士費用の請求について、重要な判断を示しました。
裁判所は「一般人が単独にて十分な訴訟活動を展開することはほぼ不可能」とし、「事案の難易、請求額、認容された額その他諸般の事情を斟酌して相当と認められる額」の弁護士費用について、不法行為と相当因果関係に立つ損害として認めました。
この判決以降、不法行為による損害賠償が認められた場合、実務では認容額の1割程度の弁護士費用が認められています。
【具体的な計算例】
- 請求額300万円の場合
・着手金:26万4000円
・報酬金:52万8000円 - このうち認容額の1割(30万円)が相手に請求できる
名誉毀損の場合
名誉毀損も不法行為の一つとして、弁護士費用の請求が認められる場合があります。特に、インターネット上の誹謗中傷による訴訟は増加しており、発信者の特定から投稿の削除請求、損害賠償請求などの専門的な法的対応が必要となります。そのため、訴訟を進める際には、弁護士へ依頼することが現実的でしょう。
名誉毀損の訴訟において、弁護士費用として認められる金額の目安は以下のとおりです。
- 通常の不法行為と同様、認容額の1割程度(たとえば、損害賠償額が100万円認められた場合、弁護士費用として10万円程度が認められる)
- 発信者情報開示請求に係る弁護士費用も、その専門性から請求が認められる傾向にある
なお、インターネット上の誹謗中傷の場合、発信者の特定のための手続きが必要となります。そのため、実際の弁護士費用は着手金・報酬金の基準(経済的利益の8.8%と17.6%)に基づいて計算されることが一般的です。
労働災害での具体的な認容例
最高裁平成24年2月24日判決では、会社の安全配慮義務違反(労働契約法第5条)による労働災害で、弁護士費用の請求が認められました。
関連記事:労災における損害賠償請求
この判決では、安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求は「不法行為に基づく損害賠償を請求する場合とほとんど変わらない」と指摘。事案の難易度や請求額を考慮して、相当と認められる額の弁護士費用の請求を認めています。
マンション管理費請求での認容例
東京高裁平成26年4月16日判決では、マンション管理組合による管理費請求において、管理規約に基づく弁護士費用の請求が認められました。
特徴的なのは、この判決では弁護士費用を「違約金」として位置づけ、実費相当額の請求を認めた点です。管理組合は営利目的の団体ではなく、弁護士費用が管理組合の持ち出しになれば他の住民の負担となることが考慮されました。
内容証明郵便の費用請求
内容証明郵便の作成・送付費用については、「催告費用」として請求できる場合があります。催告費用とは、債権者が債務者に対して支払いなどの義務を履行するよう、催促する際に発生する費用のことです。
請求できる費用の例
- 内容証明郵便の郵送料(特定記録料金を含む)
- 内容証明の作成費用
- 弁護士に作成を依頼した場合の手数料
請求できるのは、支払いの督促や契約解除の通知など、内容証明郵便による通知が社会通念上相当と認められる場合に限られます。
なお、内容証明郵便の作成を弁護士に依頼した場合の手数料については、事案によって認められない場合もありますので、事前に弁護士とよく相談することをお勧めします。
契約で定めがある場合の例
東京地裁平成27年10月27日判決では、契約書に「弁護士費用を損害に含める」という特約がある場合、債務不履行による損害賠償でも弁護士費用の請求が認められることを示しました。
ただし、契約で定めた弁護士費用の全額が認められるわけではなく、合理的な範囲の金額に限られる点に注意が必要です。実務では、この場合も認容額の1割程度が目安となっています。

実際にいくら回収できる?詳細シミュレーション
弁護士費用を相手に請求できるケースでも、実際にどれくらいの金額が回収できるのでしょうか。具体的な計算例で見てみましょう。
交通事故での回収シミュレーション
| 項目 | 100万円のケース | 500万円のケース |
| 相手から回収 | ||
| 損害賠償金 | 100万円 | 500万円 |
| 弁護士費用(1割) | 10万円 | 50万円 |
| 遅延損害金(2年5%) | 11万円 | 55万円 |
| 回収合計 | 121万円 | 605万円 |
| 実際の弁護士費用 | ||
| 着手金・報酬金等 | 30万円 | 100万円 |
| 実質負担 | 20万円 | 50万円 |
この表からわかるように、損害額が大きいほど弁護士費用の実質負担を軽減できます。一方、損害額が小さい場合は、弁護士費用の負担割合が大きくなる傾向があります。
弁護士費用を相手に請求できるケースでも、全額が回収できるわけではないという点を理解しておくことが重要です。
専門性の高い訴訟での請求例
医療訴訟や建築訴訟など、専門的な知識が必要な訴訟では、弁護士費用の請求が認められるケースが増えています。
建築訴訟の場合
建築訴訟において、建物の欠陥が理由で訴訟提起をするケースでは、弁護士費用を相手に請求できる場合があります。
ただし、交通事故や労災と異なり、怪我などの人的被害が発生していないこと、争点が「過失」ではなく建築のあるべき姿が争点となることから、弁護士費用が認められるかどうかは、ケースバイケースとなります。
医療訴訟の場合
医療訴訟では、専門家による知見や経験則を用いた主張・立証が必要となります。弁護士による訴訟代理が事実上必須であることから、認容額の1割程度の弁護士費用が認められる傾向にあります。
発信者情報開示請求の場合
発信者情報開示請求に係る弁護士費用についても、全部または一部が認められるのが一般的な傾向です。プロバイダー責任法に基づく裁判手続きを経る必要があり、専門家の手助けが必須とされているためです。
関連記事:発信者情報開示請求を自分でした場合の費用
訴訟費用を実際に相手から回収する手続き
訴訟費用(=裁判所に納める費用)を回収する手続きについて、以下で解説します。
判決に「訴訟費用は被告の負担とする」と書かれても、そのままでは回収できない
判決の主文には訴訟費用の負担者と負担割合だけが書かれており、具体的な金額は書かれていません。
金額を確定させるには、第一審裁判所の裁判所書記官に「訴訟費用額確定処分」を申し立てる必要があります(民事訴訟法71条1項)。
この申立てをしなければ、判決に「訴訟費用は被告の負担とする」と書かれていても、事実上取り立てることは不可能です。
訴訟費用額確定処分の申立ての流れ
申立ては、書面で行います(民事訴訟規則24条1項)。
申立書には、支出した費用の種目と金額を具体的に記載した「費用計算書」を添付しましょう。
申立書と費用計算書は、裁判所に提出するのとは別に、相手方へ直接送る必要があります(民事訴訟規則24条2項)。
裁判所書記官は、訴訟費用額を確定する処分をする前に、原則として相手方に対し、費用計算書や費用額を明らかにするために必要な資料などを提出するよう催告しなければなりません(民事訴訟規則25条1項)。
当事者双方が訴訟費用を負担する場合は、各当事者の負担分について対当額で相殺があったものとみなされます(民事訴訟法71条2項)。
確定処分に不服がある場合は、告知を受けた日から1週間以内に異議を申し立てることが可能です(民事訴訟法71条4項)。
確定処分の正本に基づいて、相手方の財産に強制執行ができます。
申立書の書式は、裁判所ウェブサイトからダウンロードできます。
訴訟費用として請求できる費目
訴訟費用として請求できるのは、民事訴訟費用等に関する法律2条が定める費目です。具体的な費目は以下のとおりです。
- 裁判所が書類を送達するための費用〈2条2号〉
- 当事者・代理人が期日に出頭するための旅費・日当〈2条4号、5号〉
- 書類の作成および提出費用〈2条6号〉
- 法人が当事者の場合の代表者事項証明書の交付手数料など〈2条7号〉
なお、弁護士に支払う着手金・報酬金は、この訴訟費用には含まれません。
実務では申立てがあまり行われていない
費用の計算方法が煩雑であるため、申し立てが行われる件数はあまり多くありません。
回収できる金額に対して手間が見合わないことが多く、申立手数料(印紙代)が高額になったケースを除いて、実際にはあまり利用されていないのが現状です。
別の裁判を起こして訴訟費用を請求することはできない
訴訟費用は訴訟費用額確定処分の手続きで回収すべきものであり、これを別の訴訟で請求することは認められていません(最高裁令和2年4月7日判決/平成31年(受)第606号/民集74巻3号646頁)。
出典:裁判所「裁判例検索」
なお、強制執行については以下の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。

弁護士費用の負担を軽くする方法
弁護士費用は原則として自己負担となります。ここでは、費用負担を軽減できる方法をご紹介します。

法テラスを利用する
日本司法支援センター(法テラス)は、経済的に余裕がない方や法的トラブルで困っている方を支援する公的な機関です。具体的には、以下のようなサービスを提供しています。
【無料法律相談】
収入や資産が一定基準以下の方は、弁護士・司法書士による無料の法律相談(民事法律扶助)を受けることができます。利用するには月収や預貯金などの資産要件があり、家族構成によって基準額が変わります。
【弁護士費用の立替制度】
一定の要件を満たす場合、弁護士・司法書士費用の立替えを受けることができます。この制度を利用するには、次のような要件を満たす必要があります。
- 資力基準(収入・資産が一定額以下)
- 勝訴の見込みがある
原則として分割での返済となりますが、生活保護受給者などは償還免除となる場合もあります。
【情報提供サービス】
法的トラブルの解決に役立つ情報や、適切な相談窓口の案内を無料で行っています。こちらは資力要件などなく、誰でも利用できるサービスです。
【犯罪被害者支援】
犯罪被害に遭われた方への情報提供や弁護士の紹介など、総合的な支援を行っています。被害の程度や状況に応じて、利用できるサービス内容が異なります。
経済的に弁護士への依頼が難しい場合には、法テラスに相談すると解決の糸口が見つかるかもしれません。
弁護士費用特約の活用
交通事故の場合、自動車保険の「弁護士費用特約」が利用できます。一般的には300万円まで補償されるため、弁護士費用の負担を大きく軽減できます。
示談交渉時の条件に弁護士費用を含める
判例上、弁護士費用が認められないケースでも、示談交渉の段階では弁護士費用を含めた金額で交渉することが可能です。ただし、実務では「各自の弁護士費用は各自が負担する」という条件で和解することが一般的です。
弁護士保険の活用
弁護士保険とは、弁護士に相談や依頼した際に発生する費用を補償する保険です。権利保護保険とも呼ばれ、様々なトラブルに対応できる心強い味方となります。
【補償される費用】
- 弁護士への相談料
- 着手金や報酬金
- 弁護士の日当
- 裁判所への費用
- 提携金融機関の立替・融資手数料
【対象となるトラブル】
- 交通事故
- 離婚問題
- 近所トラブル
- パワハラなどの職場トラブル
- 相続トラブル
- 消費者トラブル
- いじめ問題
マンション管理規約の活用
管理費の請求では、管理規約に「違約金として弁護士費用を請求できる」との規定を設けておくことで、弁護士費用の請求が認められやすくなります。東京高裁平成26年4月16日判決では、このような規定に基づく請求が認められました。

よくある誤解と疑問
弁護士費用の請求について、皆様からよく寄せられる疑問にお答えします。
弁護士費用分割払いは可能ですか?
多くの法律事務所では、着手金や報酬金の分割払いに応じています。特に着手金については、3回~の分割払いに対応している事務所が多くあります。
勝訴すれば弁護士費用は全額請求できますか?
裁判で勝訴しても、弁護士費用は原則として請求できません。認められるのは、交通事故や名誉毀損などの不法行為、労働災害、医療訴訟や建築訴訟などの専門性が高い訴訟、契約書に弁護士費用の特約がある場合といった例外に限られ、金額も認められた賠償額の1割程度にとどまるのが通常です。
弁護士費用の請求について押さえるべきポイント
弁護士費用の請求について、重要なポイントを整理しましょう。請求できるケースは以下のとおりです。
- 不法行為(交通事故など)の場合:認容額の約10%
- 労働災害の場合:最高裁判決で認められている
- 専門性の高い訴訟(医療・建築):認められる傾向
- 契約で定めがある場合:合理的な範囲で認められる
もしも、弁護士費用が請求できない場合は、以下の対策を検討してみましょう。
- 弁護士保険や弁護士費用特約の活用
- 法テラスの利用検討
- 分割払いの相談
- 示談交渉での工夫
弁護士費用の負担は決して小さいものではありません。事前に弁護士と十分に相談し、負担軽減に向けて見通しを立てることが重要です。
特に交通事故の場合は、弁護士費用特約への加入を検討することをお勧めします。


2008年弁護士登録。
男女問題、交通事故を中心に、幅広い分野を扱う。
大切な人生の分岐点を、一緒に乗り越えるパートナーとして、親身になって対応させていただきます。
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