警視庁によると、令和4年中の痴漢に係る検挙件数状況は2,233件、電車内での被害割合は42.1%という調査結果が出ています。
痴漢行為は現代社会において許されない加害行為です。
しかしながら、中には実際にやっていないにもかかわらず痴漢と間違われてしまう「痴漢冤罪」も、わずかながら存在します。
痴漢冤罪は、誰もが巻き込まれる可能性がある、深刻な社会問題であるといえるでしょう。
無実であるにもかかわらず疑いをかけられた場合、正しい対処を知らなければ、逮捕や起訴、さらには社会的信用をなくすリスクも考えられます。
本記事では、痴漢冤罪に巻き込まれた際に取るべき具体的な対応や、日常的な予防法について解説します。
初期対応の重要性や避けるべきNG行動、さらに日常でできる冤罪防止のポイントを知って、冤罪被害からあなた自身を守りましょう。
記事に入る前に・・・
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痴漢冤罪とは?
電車やバスの車内で痴漢行為をしていないにもかかわらず、疑いをかけられ、時には逮捕や起訴にまで発展してしまうケースが痴漢冤罪です。
痴漢冤罪は誰もが巻き込まれる可能性がある、深刻な社会問題の一つですよね。
痴漢冤罪の定義と実態
痴漢冤罪とは、実際には痴漢行為を行っていないにもかかわらず、痴漢として疑われ、社会的な制裁や法的な処分を受けてしまう事件のことです。
痴漢被害者の中には、実際に痴漢被害に遭い犯人を取り違えているケースと、示談金目的等で意図的に冤罪をでっち上げるケースが存在します。
事件の多くは前者(犯人を取り違えているケース)が大多数を占め、被害者も強い被害意識を持っているため、冤罪を主張しても聞き入れられにくい状況があります。
特に満員電車では、人との距離が近く密着せざるを得ない場面も多いため、誤解を招くリスクが常に存在するでしょう。
冤罪事件の無罪を証明するのが難しい理由
日本の刑事裁判における有罪率は99.9%と極めて高く、一度起訴されると無罪を勝ち取ることは非常に困難だといわれています。
特に痴漢事件では、被害者の供述以外に客観的な証拠や第三者の証言が得られにくく、被害者の供述が信用できると判断されれば、それだけで有罪となることもあります。
また、逮捕された場合、警察での取り調べにおいて「やっていない」と主張しても、被害者の証言が重視され、冤罪を証明する機会が実質的に失われてしまうことも少なくありません。
痴漢冤罪がもたらす社会的影響
痴漢冤罪がもたらす影響は、単なる法的処分にとどまりません。
逮捕された場合、最長23日間の身柄拘束が可能なため、その間に仕事や家庭生活に支障が生じることもあるでしょう。
特に、長期間の無断欠勤によって懲戒解雇されるリスクや、実名報道によって社会的信用を失うおそれも考えられます。
さらに、弁護士費用や場合によっては示談金など、経済的な負担も発生します。
弁護士費用の相場は、着手金が30万円から50万円、成功報酬も同程度かかることが一般的です。
たとえ無罪が証明されたとしても、精神面や金銭面において完全な回復は難しいのが現状です。
痴漢冤罪に巻き込まれた場合のNG行動
痴漢冤罪に巻き込まれた時、どのように対応するのが正しいのでしょうか。
焦りや恐怖から、とっさに取ってしまった行動が、かえって状況を悪化させることがあるため、冷静な判断が求められます。
現場から逃げるリスク
現場から逃走することは、痴漢冤罪において最も避けるべき行動の一つです。
逃走した場合、「痴漢をしたから逃げた」と見なされ、後の裁判で極めて不利な情況証拠として扱われる可能性があります。
また、防犯カメラや記名式ICカードの記録から後日特定され、自宅や職場での逮捕につながる可能性があります。
さらに、逃走行為により「逃亡のおそれ」があると判断され、最大20日間の勾留につながるリスクも高まるため、どんなに焦っていても逃走することは避けましょう。
線路逃亡による事故と法的リスク
一時期ニュース等でも報道された「線路内への逃走」ですが、法的リスクが大きく、また物理的にも非常に危険な行動のため、止めましょう。
鉄道営業法違反や威力業務妨害罪に問われる可能性があり、高圧電流による感電事故や列車との接触事故のリスクも伴います。
また、逃走の過程で他の乗客や駅員に怪我をさせた場合、暴行罪や傷害罪など、より重い罪に問われる可能性があります。
謝罪が招く誤解
事件直後の言動は、その後の捜査や裁判で重要な証拠として扱われます。
特に「すみません」などの謝罪の言葉は、痴漢行為を認めたと解釈される可能性が高いため、注意しましょう。
検察官や裁判官は「悪いことをしたから謝罪した」という経験則に基づいて判断する傾向があり、後から「反射的に謝ってしまった」と弁明しても、信用されにくいのが現実です。
日本人の特徴として、トラブル時に反射的に謝罪してしまう傾向があります。
しかし、痴漢冤罪においては、この謝罪が決定的な不利な証拠となる場合があります。
警察での取り調べや裁判において、初期の謝罪は「事実を認めた」と判断されやすいため、慎重な対応が求められるといえるでしょう。
署名・捺印を求められた場合の注意点
痴漢冤罪の場合、警察での取り調べで作成される供述調書には、安易に署名押印してはいけません。
供述調書は裁判での重要な証拠となり、一度署名押印すると、内容を認めたことになります。
署名押印には法的な強制力はないため、弁護士に相談するまでは応じないようにしましょう。
特に否認事件の場合、供述調書の内容が後の裁判に大きな影響を与える可能性があります。
個人情報の隠匿が引き起こす逮捕リスク
個人情報を警察に伝えることを拒否すると、かえって不利な状況を招きかねません。
個人情報を隠すことで「逃亡のおそれ」があると判断され、逮捕される可能性が高くなるためです。
また、警察は逮捕後に運転免許証や携帯電話から個人情報を特定できるため、隠し続けることは実質的に不可能です。
むしろ、素直に個人情報を提示すれば、在宅での取り調べに切り替わる可能性も出てきますので、ここは臨機応変に対応しましょう。
痴漢冤罪への初動対応?具体的な対策と対処法
痴漢冤罪被害から身を守るためには、最初の数時間の対応が極めて重要です。
初動段階での行動がその後の展開を大きく左右する可能性がある、ということですね。
名刺を渡して立ち去る対応のリスク
痴漢冤罪に関する一部の情報では、「駅員室には行かず、名刺を渡して立ち去る」という対応が推奨されることがあります。
しかし、この方法には大きなリスクが伴う可能性があることを覚えておいてください。
一般的に痴漢被害を訴える女性は強い被害意識を抱いていることが多く、名刺1枚で納得し、事態が収束する可能性は極めて低いでしょう。
それどころか、強引に立ち去ろうとした場合、それ自体が「逃亡」とみなされ、結果的に逮捕のリスクを高めることになります。
実際に、名刺を渡して立ち去った後に逮捕されたケースも報告されています。
より安全な対応は、その場で弁護士に連絡し、「弁護士が来るまでここで待ちます」と明確に意思表示することです。
駅員室に行くよう求められたとしても、その場で待機することは可能です。
このように対応することで、「逃亡」という不利な印象を与えることなく、かつ法的な支援を受けながら、冷静に状況に対処できるでしょう。
冤罪を疑われたらまず弁護士に相談
痴漢の疑いをかけられた場合、まず最優先で行うべきは弁護士への連絡です。
駅員室への同行を求められても、その場で弁護士が来るまで待つ姿勢をしっかりと示すことが重要です。
弁護士が早期に介入することで、警察での取り調べや身柄拘束のリスクを最小限に抑えられます。
特に、無実を主張する場合は初初期対応が極めて重要です。
当番弁護士制度や私選弁護人の選択肢があることを知っておきましょう。
家族や職場への早急な連絡の重要性
痴漢冤罪に巻き込まれた場合、初期対応として家族や職場への連絡が必須です。
まず、家族には現在いる駅名、弁護士への依頼状況を伝えるとともに、身分証と印鑑の持参を伝えてください。
また、職場には痴漢冤罪で巻き込まれている旨を伝え、遅刻や欠勤の可能性について報告することが重要です。
特に逮捕された場合は外部との連絡が厳しく制限されるため、初期段階での連絡が事態の悪化を防ぐ鍵となります。
家族が身元引受人となることで、逮捕・勾留を回避できる可能性が高くなります。
録音で証拠を残す方法
事件直後のやり取りは、その後の捜査や裁判で重要な証拠となります。
そのため、スマートフォンの録音機能を使用して、被害者や駅員、警察官とのやり取りを記録しておきましょう。
録音データは、当時の状況を客観的に示す証拠として役立ち、後の弁護活動を有利に進められる可能性があります。
会話内容の録音が持つ効力
録音は、自分が一貫して痴漢行為を否認していたことを証明するだけでなく、被害者の供述の矛盾がある場合、それを発見する重要な手がかりとなります。
特に、事件直後の混乱した状況下での会話内容は、後の裁判で重要な証拠として扱われる可能性が高く、録音による記録は極めて有効です。
録音する際の注意点
録音は堂々と行うことが重要です。
こそこそと隠れて行うと、証拠隠滅を図ろうとしているという誤解を招く恐れがあります。
また、録音していることを周囲に伝えることで、相手の発言内容が慎重になる可能性があり、後の証拠として有効性が高くなります。
日常的にできる痴漢冤罪の予防策
痴漢冤罪は、適切な予防策を講じることで、巻き込まれるリスクを大幅に軽減できます。
日常的な通勤・通学の場面で実践できる具体的な対策を把握しておくことが重要ですね。
電車内での行動における注意点
難しいかとは思いますが、電車内では異性の近くに立つことを極力避け、必要以上に接近しないよう注意を払うことが重要です。
特に、通勤ラッシュ時は200%を超える乗車率となることもあり、接触のリスクが高まりますので、接触しないことを意識するようにしましょう。
また、スマートフォンの使用や新聞を読む際も、周囲との距離や姿勢に気を配ることが大切です。
路線によっては各車両の混み方に偏りがある場合があるため、特に混みやすい車両を避けることも予防策になります。
このような行動を日頃から意識することで、痴漢冤罪に巻き込まれるリスクを減らせます。
手の置き場に注意する
電車内では両手をつり革や手すりにかけるなど、周囲から見える高い位置に保つことがおすすめです。
両手を見える状態にすることで、痴漢行為が物理的に不可能であることを示せます。
また、万が一のトラブルに巻き込まれた場合に、周囲の目撃者からの証言を得やすくなる利点もあります。
混雑する車両を避ける
通勤・通学の時間帯をずらしたり、混雑の少ない経路を選択したりすることで、痴漢冤罪のリスクを軽減できます。
特にホームの階段やエスカレーター付近の車両は混雑しやすいため、避けたほうがよいでしょう。
可能であれば、自転車や徒歩など、公共交通機関以外の移動手段を使うこともおすすめです。
見た目や身なりを最低限整えておく
心理学の観点からも、第一印象の55%は見た目で決まるとされています。
清潔感のある身なりを心がけることで、周囲からの不必要な疑いを招きにくくなるでしょう。
これは「ハロー効果」と呼ばれ、ある特定の特徴が全体の評価に影響を与えるという心理現象が関係しています。
例えば、見た目が良いと能力も高いと評価されやすくなる、という調査結果も出ています。
良い印象を与える身だしなみや、身なりを整えておくことで、痴漢冤罪を含めさまざまなトラブル防止にもつながる可能性が高まります。
痴漢冤罪保険の利用を検討する
近年、痴漢冤罪に特化した保険サービスが登場しています。
たとえば、弁護士費用の補償に加え、痴漢冤罪が発生した際の即時の電話相談サービスなどが提供されています。
弁護士費用は着手金や成功報酬など、30万円から50万円程度かかる可能性があり、経済的な備えとして保険加入を検討するのもよいでしょう。
また、いざという時のために、痴漢冤罪に強い弁護士の連絡先をあらかじめスマートフォンに登録しておくことも重要な対策となります。
実際の痴漢冤罪の判例と教訓
痴漢冤罪事件についての、過去の裁判例などはありますか?
2件の痴漢冤罪事件の判例を紹介します。
痴漢冤罪事件においては、被害者の供述と客観的証拠の両面から事実認定が行われます。
過去の判例を分析することで、無罪を勝ち取るための重要なポイントや、逆に有罪判決につながる要因を理解できます。
判例1: 満員電車内での冤罪事件
小田急線で起きた痴漢冤罪事件では、一審・二審で有罪判決が出されたものの、最高裁で逆転無罪が確定しました。
この事件では特に客観的証拠の重要性が示されました。
被告人は高い社会的地位にある教育者でしたが、それまでの裁判では被害者の供述が重視され、有罪判決が下されていました。
この判例は、科学的な証拠や状況証拠を含めた総合的な判断の重要性を表しています。
最高裁判所平成21年4月14日判決の概要
この判決では、被害者の供述の信用性、客観的な証拠の有無、被告人の属性などを総合的に判断し、無罪判決が下されました。
特に、科学的な証拠が重視され、被害者の供述だけでは有罪とできないという重要な先例となりました。
被害者供述の信用性と無罪判決の要因
最高裁判決では、以下の点が無罪の決め手となりました。
- 繊維鑑定で被告人の手から被害者の衣服の繊維が検出されなかった
- 被害者が供述する状況に不自然な点が複数あった
- 被告人に同種の犯行をする性向が見られなかった
さまざまな要素が総合的に評価され、被害者の供述だけを根拠に有罪とすることは妥当でないと判断されました。
判例2: 西武新宿線での冤罪事件
被告人が女性の手首を掴み、自分の股間に押し付けたとされた事案で、一審では被害者の供述の一貫性が評価され有罪判決が出されました。
しかし、二審では逆転無罪に転じています。
事件を裏付ける物的証拠がなかったことと、被害者の供述に不合理と思われる点が複数確認されたことが、判決のポイントとなりました。
この事件では、被害者の証言のみでは有罪とするには証拠が不十分であると判断されました。
裁判所が重視するポイント
裁判所は、以下の内容を基に事実認定します。
- 被害者の供述の一貫性と具体性
- 客観的証拠の存在
- 被告人の前科前歴や素行
- 事件発生時の状況の自然さ
特に、客観的証拠となり得る防犯カメラの映像・繊維鑑定の結果・第三者の目撃証言などは、事実認定の重要な材料となります。
例えば、その場に居合わせた人に事件発生時の状況を証言してもらえるだけでも、被害者の供述との矛盾等により冤罪が証明できる可能性が高まります。
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*1 件数は2023年3月現在 *2 2013年~2022年。単独型弁護士保険として。2023年3月当社調べ。*3 99プランの場合 *4 初期相談‥事案が法律問題かどうかの判断や一般的な法制度上のアドバイス 募集文書番号 M2022営推00409
まとめ
そもそも、痴漢行為自体が悪質な犯罪である、ということが大前提ではあります。
しかしながら、実際にやっていない、無実である、という人が痴漢冤罪に巻き込まれてしまうことも避けるべきでしょう。
痴漢冤罪は、誰もが巻き込まれる可能性のある深刻な問題であり、有罪率99.9%という厳しい現実があります。
冤罪被害に遭わないために、適切な知識と対策を持っていれば、そのリスクを大幅に軽減できるのです。
一度疑いをかけられると、無実を証明することは極めて困難ですが、冷静な行動と冤罪の知識を知っておくことで、無実を証明する可能性が高くなります。
毎日の通勤・通学で不安を感じたことがある方は、ぜひここで紹介した対策を実践してください。
それが、あなたと家族の未来を守る第一歩となります。
木下慎也 弁護士
大阪弁護士会所属
弁護士法人ONE 代表弁護士
大阪市北区梅田1丁目1-3 大阪駅前第3ビル12階
06-4797-0905
弁護士として依頼者と十分に協議をしたうえで、可能な限り各人の希望、社会的立場、その依頼者らしい生き方などをしっかりと反映した柔軟な解決を図ることを心掛けている。
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