「弁護士に法律相談をしたが、依頼を断られてしまった…」
「複数の法律事務所に相談したが、どこも受任してくれない…」
「なぜ弁護士に拒否されるのか理由がわからない…」など、弁護士への依頼を断られて困った経験をした方もいるのではないでしょうか?
法的トラブルに巻き込まれて弁護士のサポートが必要な状況にも関わらず、依頼を拒否されると不安や困惑が増すばかりですよね?
「なぜ断られたのか?」
「他の弁護士に相談すべきか?」
「どうすれば受任してもらえるのか?」
弁護士が依頼を拒否するのには明確な理由があり、費用倒れ、勝訴見込みの低さ、利益相反、専門外の案件、信頼関係の欠如などが主な要因となります。
ただし、適切な準備と弁護士選びにより、受任してもらえる可能性を高めることは可能です。複数の弁護士への相談、正直な情報開示、相性の確認などが成功の鍵となります。
本記事では、弁護士に依頼を受ける義務があるのかという前提から、弁護士が依頼を拒否する具体的な理由、断られたときの対処法、受任してもらうための方法、受任後に辞任されるケースとその後の対応まで、弁護士監修のもと詳しく解説していきます。
記事に入る前に・・・
だけど費用的に無理・・・という時代は終わりました。


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弁護士には依頼を受ける義務があるのか
結論からいうと、弁護士には、相談を受けた事件を必ず引き受けなければならないという義務はありません。
たとえば医師の場合は、診察や治療を求められたときは正当な事由がなければ拒んではならないと、医師法第19条第1項で定められています。
一方、弁護士法や、日本弁護士連合会が定める弁護士職務基本規程には、これに当たる規定がありません。
弁護士職務基本規程第20条は、弁護士が事件の受任にあたって自由かつ独立の立場を保持するよう努めることを定めており、依頼を受けるかどうかは弁護士の判断に委ねられています。
ただし、断るときのルールはあります。
弁護士は、依頼を承諾しないときは、速やかにその旨を依頼者に通知しなければならないと定められています(弁護士法第29条、弁護士職務基本規程第34条)。
返事を保留されたまま時間だけが過ぎていく、ということは本来あってはならないのです。
なお、断る理由まで説明することは法律上求められていません。
後述する利益相反のように、守秘義務との関係で理由を明かせない場合もあります。
理由を教えてもらえなかったからといって、自分に問題があったとは限らない点は知っておきましょう。
例外として、国選弁護人のように法令により官公署から委嘱された事項や、弁護士会が会則に基づいて指定した事項は、正当な理由がなければ辞退できません(弁護士法第24条)。
ただしこれは、個人が法律事務所に持ち込んだ依頼を断れないという意味ではありません。
参考:弁護士法(e-Gov法令検索)
参考:弁護士職務基本規程(日本弁護士連合会)
弁護士が依頼を拒否する理由

費用倒れになる
案件によって回収できる見込みの利益が弁護士費用を下回る場合、つまり裁判・調停で依頼人が勝っても赤字になる場合は、依頼人のためを思って依頼を拒否する場合があります。
弁護士費用は着手金、成功報酬、その他交通費や書類作成等の実費がかかります。
たとえ勝訴したとしても、少額事案のように回収できる金銭的利益が弁護士費用を下回れば費用倒れとなり、金銭的に損をするだけになるからです。
「相手方に社会的制裁を加えることが目的で金銭的に赤字でも構わない」というケースを除き、赤字になるか否かは弁護士との相談時に具体的な見通しと共に説明してもらいましょう。
勝訴の見込みがない(負ける可能性が高い案件)
訴えを起こしても勝てる見込みがほとんどない、いわゆる「負ける案件」「勝てない案件」は、依頼を断られる可能性が高くなります。
弁護士は、依頼者が期待する結果を得られる見込みがないのに、見込みがあるように装って事件を受任してはならないと定められています(弁護士職務基本規程第29条第3項)。
勝ち目がないと判断した案件を断るのは、依頼者に着手金などの費用だけを負担させないための対応でもあるのです。
弁護士にとって勝てる見込みがない案件とは
大きく分けると、次の2つです。
• 主張そのものが法的に成り立たない(法律上、請求できる権利がない)
• 主張は成り立つが、それを裏付ける証拠がない
例えば、「貸したお金を返してもらうために法的手段をとりたい」という依頼の場合、借用書がない、銀行の振込記録がない、返済を求めたメールやその返事がない、交渉時の録音がない、貸し借りを記したメモもないといった状況では、お金のやり取りがあったことを客観的に証明できないため、対応は困難になります。
相談時に詳細を詰めていくことで、依頼人が気づいていない証拠が見つかる場合もありますので、関係しそうな資料はすべて持参しましょう。
勝ち目のない訴訟を起こすリスク
敗訴したというだけで、訴えを起こしたこと自体が違法になるわけではありません。
ただし最高裁は、主張した権利や法律関係が事実的・法律的根拠を欠き、そのことを知りながら、または通常の人であれば容易に知り得たのにあえて訴えを起こした場合など、裁判制度の趣旨目的に照らして著しく相当性を欠くときは、訴えの提起が相手方に対する違法な行為になると判断しています(最高裁判所昭和63年1月26日第三小法廷判決)。
このような訴訟は不当訴訟と呼ばれ、逆に相手方から損害賠償を請求されるおそれがあります。
参考:最高裁判所平成22年7月9日判決(上記の昭和63年判決の基準を引用している判決・裁判所ウェブサイト)
訴えられた側の場合は事情が異なる
ここまでは、訴える側(原告)の話です。
訴えられた側(被告)であれば、全面的に勝つことが難しい事案でも、請求額の減額や分割払いでの和解など、不利益を小さくすることを目的に受任してもらえる場合があります。
「負けそうだから弁護士には頼めない」と決めつけず、訴状が届いたら早めに相談しましょう。
利益相反にあたる
既に受任した依頼者と利害が対立するような別案件を受任することを利益相反行為といい、弁護士法第25条や弁護士職務基本規程(第27条・第28条)で禁止されています。
弁護士が過去または現在 Aさんの依頼を受任している場合、Aさんを相手に訴訟を起こしたいBさんの依頼を受けることはできません。
弁護士はAさんの内情を把握しており、これを利用することは倫理に反する上、弁護士という職業の信頼を著しく損なうからです。
また、同一事務所に所属する弁護士もこれは同様で(弁護士職務基本規程第57条)、X法律事務所に所属する弁護士がAさんから相談・依頼を受けていた場合、Aさんと争っているBさんに対して、X法律事務所の弁護士は全員相談を受けることができません。
利益相反が理由の場合、弁護士は守秘義務の関係で、誰から相談を受けているかといった事情を説明できないことがあります。
はっきりした理由を告げられずに断られたときは、その事務所にこだわらず、別の法律事務所に相談しましょう。
業務の範囲内ではない
弁護士は法律のプロではありますが、全ての法律問題に対応できるわけではありません。
法律は分野によって細かく制定されており、年々改正が行われその対応が必要となるため、弁護士や法律事務所には分野・領域による得意不得意があります。
そのため多くの法律事務所が業務範囲を設定しています。
例えば、離婚・相続・交通事故を主に取り扱う法律事務所に医療事故の訴訟や知的財産権について相談に行っても、専門性の高い特殊事件(※)はノウハウがなければ闘えないため、一般的なアドバイスしかできない可能性があります。
多くの法律事務所が専門分野や取扱分野についてwebページで業務内容を載せていますので、そちらをチェックしておきましょう。
(※)特殊事件の例
医療事件、公害事件、行政事件、税務事件、知的財産事件、渉外事件等
信頼関係を築けない
弁護士の連絡や指示を無視したり何度も嘘をついたりと、コミュニケーションが正常に取れずに信頼関係を築けないと判断されれば、弁護士は依頼を拒否してしまいます。
また、費用を値切る、支払わないという場合も弁護士が警戒して依頼を拒否してしまいます。
依頼人と弁護士の二人三脚で闘う訴訟において、相互に不信を抱いていればよい結果には至りません。
弁護士個人の思想信条に反する
例えば、弱者救済を信条とする弁護士の場合、企業と消費者、雇用者と被雇用者といった二者の対立があれば、企業や雇用者側の依頼を受ける可能性は高くありません。
弁護士の業務内容で何となく察することができる点ではありますが、こればかりは弁護士と話してみないとわかりません。
乗り気でない弁護士に無理に依頼しても決して良い結果は生まれませんので、相性が悪ければ他の弁護士を探しましょう。
弁護士に依頼を断られたときの対処法
一度断られたからといって、弁護士のサポートをまったく受けられなくなるわけではありません。
断られた理由によって、次に取るべき行動は変わります。
まず断られた理由を確認する
断られたときは、可能な範囲で理由を尋ねてみましょう。
「費用倒れになるから」「この分野は扱っていないから」といった理由がわかれば、次の相談先を選ぶ基準になります。
前述のとおり、利益相反が理由の場合は、弁護士が事情を説明できないことがあります。
理由を告げられなかったときは、相手方やその関係者がすでにその事務所に相談している可能性も考えられますので、別の事務所をあたりましょう。
断られた理由ごとの次の一手
費用倒れを理由に断られた場合
60万円以下の金銭の支払いを求めるものであれば、原則1回の審理で判決が出る少額訴訟(民事訴訟法第368条)を自分で起こす方法があります。
相手方と話し合いの余地があるなら、裁判所の民事調停も選択肢です。
関連記事:少額訴訟は自分でできる|60万円以下のお金を取り戻す手続きと費用【体験談4件】
関連記事:民事調停は意味ない?訴訟との違いや費用・流れを解説
勝訴の見込みがないと言われた場合
口頭の説明だけでは、弁護士が不利な事案だと判断してしまうことがあります。
契約書、領収書、振込記録、メールやLINEのやり取り、録音など、手元にある資料を時系列に整理したうえで、別の弁護士にも意見を求めてみましょう。
見通しの判断は、弁護士の経験や取扱分野によって変わることがあります。
複数の弁護士から同じ見通しを示された場合は、請求の内容や金額を見直す、訴訟以外の解決方法に切り替えるといった判断も必要です。
業務の範囲外と言われた場合
その分野を取扱分野として掲げている法律事務所を探し直します。
依頼したい内容が登記や許認可の書類作成などであれば、司法書士や行政書士のほうが適していることもあります。
関連記事:弁護士・司法書士・行政書士の違いとは?依頼できること・できないことを一覧表でわかりやすく解説
信頼関係を理由に断られた場合
相談時の自分の言動を振り返ってみましょう。
事実関係を時系列のメモにまとめ、希望する解決のゴールを整理してから相談に臨むと、限られた相談時間でも要点が伝わります。
依頼先が見つからないときの相談窓口
自分で探しても引き受けてくれる弁護士が見つからないときは、次の窓口を利用できます。
弁護士会の法律相談センター
全国の弁護士会が運営している相談窓口です。
日本弁護士連合会の「ひまわりお悩み110番」(0570-783-110)に電話をすると、最寄りの弁護士会の法律相談センターにつながり、相談の予約ができます。
相談を担当した弁護士に、そのまま依頼することもできます。
法テラス(日本司法支援センター)
収入と資産が一定の基準以下であれば、無料の法律相談を受けられます。
さらに、勝訴の見込みがないとはいえないことなどの条件を満たせば、弁護士費用の立替制度も利用できます。
ここでいう勝訴の見込みには、和解や調停、示談による解決が見込まれる場合も含まれます。
参考:弁護士・司法書士費用等の立替制度のご利用の流れ(法テラス)
参考:困り事の解決方法・相談先が分からない…そんなときは「法テラス」へ(政府広報オンライン)
関連記事:弁護士費用が払えない!お金がない人でも使える制度4選
自分で手続きを進める
どうしても依頼先が見つからない場合は、弁護士をつけずに自分で訴訟を行う本人訴訟という方法もあります。
ただし、書面の作成や期日への出席をすべて自分で行う必要があり、相手方に弁護士がついている場合は負担が大きくなります。
関連記事:弁護士なしで裁判!本人訴訟のやり方・費用・勝率は?やってみた体験談あり【弁護士監修】
弁護士に断られないために

弁護士に断られないようにするために、下記の点を相談前・相談時に気をつけましょう。
複数の弁護士を探す
相談前にいくつかの法律事務所をピックアップしておきましょう。
業務内容・専門分野が相談したい内容に合致していたとしても、弁護士によってその問題の考え方や経験値が異なります。
また、多くの弁護士が勝てる見込みがないと判断しても、中にはより依頼者の利益になるよう提案をしてくれる弁護士もいます。
相性を確認する
複数の弁護士に相談した上で、自分との相性を考えましょう。
弁護士は機械ではないので、同じ回答でもその表現が弁護士ごとに異なることもあります。
事務的に粛々と手続きを進める弁護士もいれば、親身になって寄り添う姿勢の弁護士もいます。
相談時に不利な事も話す(嘘をつかない)
相談内容によっては何かしら後ろめたい事情や、言いにくいこと恥ずかしいことがあるかもしれませんが、弁護士はそれらをひっくるめて依頼人の味方となる存在です。
弁護士は依頼人からの情報を基に方針を決めますが、依頼人が嘘の情報を言ったり、不利な情報を弁護士が知らないままにしていると、そもそもの方針がずれてしまい、望ましい結果は得られなくなります。
前提が間違っていると、その上に積み上げた論理や証拠は土台からひっくり返されてしまうため、相手方から証拠と共にその嘘を指摘されれば場合によっては致命的なダメージとなり、大きな損害を被ることになります。
たとえ不利な事情があっても、それを事前に把握していれば弁護士は手の打ちようがあります。
費用が安い弁護士を探す
費用倒れが考えられる場合はより費用の安い弁護士を探すことで解決する場合があります。
ただし、安さの理由が、経験の浅い弁護士が対応する、着手金目的でとりあえず受任だけする等の可能性もあるため、十分注意が必要です。
具体的な見通しや訴訟の進め方の説明をしてもらい、信頼できるかどうかを検討しましょう。
受任後に弁護士が辞任する理由と辞任されたときの対処法

弁護士は依頼者から委任契約を結び、委任契約の期間中は代理人として法律上必要な手続きを行います。
しかし、場合によっては委任契約が終了する前に弁護士から辞任されてしまうケースがあります。
委任契約は、依頼者と弁護士のどちらからでも、いつでも解除できると定められているためです(民法第651条第1項)。
依頼者の側から契約を終わらせることを解任、弁護士の側から終わらせることを辞任といいます。
主な事例としては
- 着手金を払わない
- 弁護士の指示に従わない
- 打ち合わせの日程に来ない
- 弁護士との連絡を怠る
- 弁護士に嘘をつく
- 弁護士のやり方に過剰に口を出す
等が挙げられます。
つまり、依頼人との信頼関係が壊れることが原因です。
弁護士職務基本規程第43条も、依頼者との信頼関係が失われ、その回復が困難なときは、弁護士はその旨を説明したうえで、辞任その他の適切な措置をとらなければならないと定めています。
弁護士にとって途中での契約解除はメリットがないため、理由なく辞任することはありません。
解決方針の変更や違いが生じた場合には、弁護士の経験・能力を信頼した上で、疑問点を解消するために円滑なコミュニケーションを心がけることが大事です。
委任契約の契約書にも「こういったことがあれば契約後であっても辞任します」と辞任事由の記載があるので、契約時によく目を通しておきましょう。
辞任事由は逆にいえば、それさえなければ信頼するという弁護士の表明でもあります。
辞任されたら着手金は返ってくるのか
着手金は、結果にかかわらず、弁護士が事件に着手するための費用として支払うものです。
そのため、連絡が取れない、費用を支払わない、嘘をついたなど、依頼者側の事情で辞任に至った場合、すでに支払った着手金は原則として返ってきません。
一方、弁護士側の都合による辞任の場合や、ほとんど作業が行われていない段階での辞任の場合は、一部が返金されることもあります。
途中で契約が終わったときの精算方法は、委任契約書に定められているのが通常です。
まずは契約書の該当箇所を確認し、不明な点は弁護士に説明を求めましょう。
なお、弁護士は委任の終了にあたり、委任契約に従って金銭を清算し、預り金や預かった書類などを遅滞なく返還しなければならないと定められています(弁護士職務基本規程第45条)。
弁護士に辞任された後にすること
辞任されると、それ以降の相手方や裁判所からの連絡は、自分に直接届くようになります。
手続きも止まってしまうため、次の順番で早めに動きましょう。
1. 預けていた資料を返してもらう
契約書や証拠の原本、これまでに提出した書面、相手方から届いた書面の写しを返還してもらいます。
後任の弁護士が状況を把握するために欠かせません。
2. 裁判や調停の期日を確認する
手続きが進行中の場合は、次回の期日と、提出物の期限を確認します。
期日を放置すると、不利な結果につながるおそれがあります。
3. 後任の弁護士を探す
前任の弁護士が辞任している案件は、後任の弁護士から慎重に見られる傾向があります。
辞任に至った経緯は隠さずに伝えましょう。
後から判明すると信頼関係が崩れ、再び辞任されることになりかねません。
債務整理を依頼していた場合は、特に急ぐ必要があります。
弁護士が辞任すると、止まっていた債権者からの督促が再開するためです。
あなたが泣き寝入りしないために
だけど費用的に無理・・・という時代は終わりました。


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まとめ
弁護士が依頼を拒否する理由と、断られたとき・辞任されたときの対処法についてまとめました。
弁護士には依頼を受ける義務がないため、断られること自体は珍しくありません。
断られた理由を確認し、理由に合った次の相談先を探すことが大切です。
受任した後も含めて、信頼関係の構築が何より大事といえるでしょう。
弁護士に依頼する際には、相談前に業務内容(取扱分野・専門分野)を確認した上で、
- 相談内容
- 希望する最終的なゴール
をメモ等にまとめて整理し、相談してみましょう。
あらかじめ弁護士保険などで、今後のリスクに備えておくことをおすすめします。

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