「性格の不一致」というと、些細なことに聞こえるかもしれません。
しかし、性格が合わない相手と一緒に暮らすことは苦痛を感じ、心が休まる時間がありません。
実は性格の不一致を感じての離婚は、離婚理由の中で一番多いのです。
つまり、夫婦にとって「性格の不一致」は重要な問題になり得るのです。
今回は配偶者との性格の不一致に悩み、離婚を検討している方に向けて、性格の不一致についてご紹介していきます。
性格の不一致は客観的に見れば些細なことですが、当事者にとっては耐え難い苦痛です。
我慢ばかりせずに、自分の幸せのために行動していきましょう。
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性格の不一致とは
冒頭でも触れましたが、性格の不一致を原因とする離婚は、実は離婚原因の中でもナンバーワンです。
世の中の離婚を検討する夫婦の多くが、性格の不一致を離婚の理由としていることがわかります。
しかし「どのような状態を性格の不一致というの?」と、定義がよくわからない方も多いはず。
まずは性格の不一致とは具体的にどういうことを指すのかを見ていきましょう。
生活する上での価値観が合わない
生活する上での価値観の相違は「性格の不一致」といえます。
例えば「休日の過ごし方」で考えますと、
・夫…休日はしっかり休息したい(インドア派)
・妻…休日は家族みんなで出かけたい(アウトドア派)
この夫婦は、明らかに休日の過ごし方に関する価値観にズレが生じています。
このように生活する上で何を大事にするかのポイントに相違があると、「性格の不一致」といえるでしょう。
教育方針が合わない
夫は子どもに対し教育熱心で、一方妻は子どもにはのびのび好きなことをさせたい、と考えている場合には、夫婦の教育方針にズレが生じます。
このような場合も、便宜上、性格の不一致としてカテゴライズされるでしょう。
教育方針のズレは些細なことに感じるかもしれませんが、夫婦にとって子どもは宝です。
ですから子どもの教育方針のズレをお互い埋められなければ、離婚を考えるほどの性格の不一致に発展してしまいます。
性の不一致(セックスレス等)
実は性の不一致(セックスレス等)も性格の不一致に分類されていることが多くあります。
なぜなら、アンケート調査などで「配偶者とのセックスが合わない」とは答えづらく、「性格の不一致に分類してしまおう」と考える方が多くいるからです。
性の不一致(セックスレス等)でありがちなのは、女性が出産後にセックスを重視しない、という点です。
女性はセックスを子作りの手段だと考えるケースが多く(もちろん人によって様々ですが)、子どもができた後は、夫からの誘いを拒否する傾向があります。
一方で男性は夫婦関係の中でもセックスを重要視する方が多く、このためにズレが生じてしまう、という事がままあります。
感情の共有ができない
夫婦において、楽しい・嬉しい・悲しいなどの感情の共有が上手にできることは大事であるといえます。
例え同じものを見ても、一方が爆笑し、他方が無表情では感情の共有がうまくいかない可能性が高いです。
ですから、感情のツボが同じ、ということは夫婦においては重要です。
もしもあなたが配偶者に対し、感情のツボにズレを感じている場合には、性格の不一致が発生しているといえます。
金銭感覚の違い
金銭感覚の違いも「価値観の違い」という意味で性格の不一致に分類されるでしょう。
一方が浪費家で他方が節約家の場合には、生活の感覚も変わるため、どちらかが不満を抱いてしまいます。
お互いの金銭感覚に歩み寄れなければ、当然離婚につながる可能性は高くなります。
一方がずぼらで他方が几帳面
夫婦でありがちなのが、一方がずぼらで他方が几帳面というもの。
もちろん、どちらかが我慢できる程度なら、さほど大きな問題には発展しない可能性もあります。
ですが、度がすぎるずぼらや几帳面さは相手に苦痛を与えてしまうでしょう。
例えば、妻がずぼらな場合、まめに掃除をせずに常に部屋中汚い状態でも気にしない、という状態ですと、几帳面な夫が帰宅した際に、汚い部屋を見て苦痛を感じてしまいます。
昼間常に自宅にいない夫なら、帰宅してから片付けを始めるようでは睡眠時間や休息のための時間を確保できません。
このように、性格の上でのずぼらと几帳面さの相違は、夫婦にとっては致命傷になるでしょう。
以上、6種類の性格の不一致について解説しましたが、「このような性格の不一致は結婚前からわかることでは?」と疑問に感じる人もいるかと思います。
人間は時間の経過とともに性格が変わっていきます。
女性の場合は、出産や育児などを通して考え方が少しずつ変わることが多く、男性の場合は、職場での立場の変化や対人関係の変化に伴い性格が変わることが多くあります。
このような配偶者の変化に、お互いに許しがたい感情を持てば、その時点で性格の不一致が生じ、さらにこのズレが大きくなると離婚の原因に発展してしまいます。
「性格の不一致」を理由に離婚することはできるのか
上記では性格の不一致について説明しました。
では、実際に「性格の不一致」を理由に離婚するには、どのような手順を踏めばいいのでしょうか?
実は「性格の不一致」が原因で離婚できるケースとできないケースが存在します。
性格の不一致で離婚できるケース
協議離婚なら性格の不一致を理由とした離婚が可能です。
夫婦が話し合い、離婚に合意した場合、どんな理由でも離婚は成立するからです。
性格の不一致を理由に離婚できないケース
あなたが離婚の話し合いを切り出しても、配偶者が離婚を拒否した場合には、離婚調停や離婚審判、裁判で解決することになります。
裁判所は、性格の不一致のほか申立人とその配偶者の行為や生活状況等の事情を考慮して、離婚が認められるかの判断をすることになりますので、場合によっては「性格の不一致」という理由だけでは離婚を認められないことがあります。
協議離婚の手続方法
先述した通り、協議離婚なら、「性格の不一致」という理由でも確実に離婚をすることができます。
ここでは離婚までのプロセスをご紹介します。
配偶者に離婚したい旨を伝える
まずは、配偶者に離婚したいという意思を伝えましょう。
婚姻生活が破綻していれば配偶者もすぐに離婚に合意してくれるはずです。
しかしながら、子どもがいるなどの場合には、婚姻生活が破綻していてもなかなか合意が得られない可能性があるでしょう。
できるだけスムーズに話し合うためには、 3つを整理して伝えることが大事です。
- お互いの性格がどういう点で合わないのかを具体的に伝える
- 性格の不一致で生じているデメリットを説明する
- 離婚した場合のメリットを伝える
例えば感情のツボが合わずに苦痛を感じている妻が離婚したいと思った場合、交渉方法は下記のようになります。
お互いの性格がどういう点で合わないのかを具体的に伝える
先日の旅行で、私はあの温泉が素敵だと感じたし、景勝地としても素晴らしく、癒されました。
でも、あなたは温泉もあまり堪能せずにずっとイライラしているように見えました。
日常生活でも性格が合わない部分が多く、あなたと同じ感情を共有できません。
性格の不一致で生じているデメリットを説明する
あなたと同じ感情を共有できないため、一緒にテレビ番組を楽しむこともできないし、デートしていてもつまらないと感じています。
家族旅行も楽しいとは思えません。
あなたと一緒にいることが苦痛にも感じられます。
私が一人で笑っているとまるで変な人みたいだし、私はあなたと感情を共有できなくて一人で泣いたりするのは辛いです。
離婚した場合のメリットを伝える
あなたと離婚した場合、私は旅行先でもっと温泉を楽しめます。
あなたも自分が楽しいと思えるところに自由に行けるようになるでしょう。
さらには普段無理して笑う必要もなくなります。
面白くもないのに無理して笑う苦痛から解放されて幸せを感じると思います。
離婚した方がお互いにとってメリットが多いと感じませんか?
親権・財産分与・養育費などを取り決める
さて、いざ離婚するとなると、子どもがいれば親権をどうするのか、面会交流はするのか、養育費はいくら支払うのか、などが問題になるでしょう。
離婚届に「未成年の子の氏名」欄があるように、夫婦どちらが親権を得るのかを決めなければ、協議離婚はできません。(民法819条1項)
また、子どもがいなくとも財産分与は発生します。
これらの取り決めは離婚前に確実に話し合っておくべき項目です。
「離婚するのだから慰謝料はもらえないの?」と疑問に思う方もいるかと思いますが、性格の不一致が理由で離婚に至った場合には、慰謝料の請求はできないことが多いです。
夫婦の一方が有責配偶者(離婚原因がある配偶者)とは言い切れないからです。
しかし、
・性格が合わないために、カッときた配偶者にDVを受けた
・性格の不一致から配偶者が離婚事由に該当する行為(不貞行為など)をし、婚姻関係を破綻させたことについての帰責事由が配偶者にある等
このような場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
新居を用意する
離婚が成立したなら同居の義務はなくなります。当事者心理としても、離婚した相手とそのまま同居はしたくはないでしょう。
離婚が成立する前に、新居や新居の家具・家電などを用意したり、ある程度の目星をつけておく方が無難です。
また、実際に新居に住み始めたら、住民票の移動や子どもの学校関係の手続きを忘れずに行いましょう。
なお、離婚後も現在の住居に住み続ける場合は、元配偶者が家を出ることになるかと思いますが、期限を切るなどして、早めに退去するよう伝えるとよいでしょう。
離婚届を準備する
離婚の準備が整ったら離婚届を準備します。
職場や居住地の役所で受け取るか、インターネットからダウンロードして入手しましょう。
なお、ダウンロードした離婚届を使用する場合には、「A3用紙に印刷すること」と、提出予定の役所に「ダウンロードした離婚届が使えるか?」と事前に確認をすることの2点に注意しましょう。
離婚届は全国共通の書式なので、基本的には提出先の役所以外で入手したものやダウンロードしたものでも問題はありませんが、「ダウンロードした離婚届を受付してもらえなかった」という報告もありますので、事前に確認する方が無難です。
上記の方法で入手した離婚届に必要事項を記入し、夫婦でサイン・押印し、証人を二人つけてサインしてもらいましょう。
この証人は、お互いの両親などで大丈夫です。
もちろん、具体的な話し合いをする前に離婚届を準備しておいてもいいでしょう。
離婚届にサインすることで、自らの離婚の決意が高まります。
役所に離婚届を提出する
離婚届の準備が整ったら、あとは役所に提出するだけで協議離婚は成立します。
提出する際に身分証明書の提出を求められますので、運転免許証や保険証などを持参しましょう。
離婚届は二人で提出しても、一方が提出しても受理されます。
ただし、不備がある場合には不受理となり、内容を訂正する必要がありますので、1人で提出する場合には書き損じのないように注意しましょう。
配偶者が離婚を拒否した場合【弁護士に相談してみる】
相手が離婚を拒否している間は、協議離婚は成立しません。
しかし、法廷に持ち込んでしまうと、性格の不一致という理由だけで離婚することは大変難しくなってしまいます。
そうした場合には、弁護士に相談してみるのも一つの手です。
一般的に、悩み事を第三者に話すことにより解決の糸口が見えてくるのと同様に、法律のプロである弁護士に相談することで、離婚への糸口が見えてくるかもしれません。
さらには、自分に有利になるように弁護士が話をまとめてくれることが期待できます。
また、頑なに離婚を拒否する配偶者は、何度話し合いを持ちかけても拒否される可能性が高く、また冷静な話し合いができなくなってしまう恐れがあります。
弁護士という第三者が間に入ることにより、二人きりで話し合いをするよりも冷静な協議ができる可能性が高まります。
また、離婚後の親権確保や財産分与などの複雑な手続きも、弁護士に依頼することによりスムーズな解決が期待できます。
「離婚してくれないなら別居する!」と、正当な理由なく一方的に別居してしまうと「悪意の遺棄」(民法770条1項2号)に該当する可能性があります。
簡単に言うと、あなた自身が有責配偶者(婚姻生活は破綻させた側)となってしまい、配偶者から慰謝料の請求をされる可能性があるのでご注意ください。
もちろん、別居期間を置くことにより、「夫婦関係は事実上破綻している」とみなされ法廷でも離婚を認めてもらいやすくなりますが、上記のような心配がある以上、みだりに別居を提案することは避けたほうが良いでしょう。
まとめ
性格の不一致とは、一言にいえばさまざまな夫婦間の考え方のズレのことを指します。
小さな考え方のズレがきっかけとなり、やがて生活の全てがズレていきます。
このズレは、一緒に暮らす夫婦にとって苦痛となり、また長時間ズレが生じると我慢ができなくなり、離婚に発展する要因の一つとなります。
この性格の不一致にお互いが歩み寄ることができるなら、夫婦関係も円満を保てるでしょう。
ですが、お互いに歩み寄れなければ、離婚の危機に陥ります。
あなたがもし、性格の不一致を原因として離婚を検討しているならば、協議離婚で決着をつけるようにしましょう。
また万が一、夫婦での話し合いがうまく進まない場合には、弁護士に相談することも一つの手です。
自分の幸せのために勇気を出して話し合い、自分の幸せをつかみ取れることを願います。
是非、今後の備えとして「弁護士保険」へのご加入もご検討ください‼
あなたが泣き寝入りしないために
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