弁護士保険ミカタとは

離婚問題で法テラスを利用するメリット・デメリット、利用するまでの流れについて解説

離婚問題をはじめとする法律問題について弁護士などの法律の専門家に相談、依頼したいという場合、一番ネックになるのが弁護士費用ではないでしょうか

ところが、法テラスが提供している扶助制度を使うと弁護士費用の負担を大幅に軽減できる可能性があります。

もっとも、法テラスの扶助制度を使うには様々な条件をクリアしなければならないなどデメリットもあります。

以下では、法テラスとは何なのか、法テラスを利用するメリット、デメリットとは何なのかについて確認していきましょう。

目次

法テラスとは

出典:法テラス

法テラスは、総合法律支援法(2004年(平成16年)6月2日公布)という法律に基づき設立された法人で、正式には「日本司法支援センター」といいます。2006年(平成18年)4月10日に東京都に本部が設置されたのが始まりです。

法テラス設立の目的は、法的トラブルを抱えている方々が法律の専門家である弁護士等の法的サービスをより身近に感じ利用しやすくすること、にあります。

そして、法的サービスを利用した結果として、「法」的トラブルを抱えている方々の心に光を「照らす(テラス)」という意味で「法テラス」と呼ばれています。

また、「テラス」にはくつろげる空間、という意味も込められているようです。 法テラスは各都道府県に必ず設置されています。各都道府県の法テラスの所在地、連絡先などは以下のリンクでご確認ください。

リンク【法テラス所在地、連絡先等

法テラスが提供するサービスについて

法テラスが提供するサービス

では、法テラスを利用するとどんなサービスを受けることができ、どんなメリットがあるのでしょうか?

法テラスが離婚問題等で提供するサービスを「民事扶助業務」といいます。

民事扶助業務は①法律相談援助(無料法律相談)と②弁護士、司法書士(以下、弁護士等といいます)の費用の立て替えを行う代理援助・書類作成援助です。

法律相談援助

法律相談援助(無料法律相談)とは、法テラスと契約している弁護士等の法律の専門家が無料で法律相談を行うサービスです。1つの法律問題につき3回(1回30分)まで相談することが可能です

代理援助・書類作成援助

代理援助とは、弁護士等が協議離婚、離婚調停、離婚訴訟などの手続の代理を行った際にかかる費用を法テラスがご依頼者に代わって弁護士等に立て替え払いするというサービスです。

ご依頼者は、後日、法テラスに対して分割で立替費用(月額5000円~10000円程度)を返済していくことになります。法テラスと契約を交わした2か月後から返済していく必要があります。もっとも、相手方から慰謝料などの財産的給付を受けた場合は、その一部を返済に充て相殺することができます。

書類作成援助とは、弁護士等が協議離婚書(協議離婚するにあたって相手方との約束事を記載した書類)などを作成する際にかかる費用を法テラスがご依頼者に代わって弁護士等に立て替え払いするというサービスです。

後日分割で返済していかなければならない点は代理援助と同様です。書類作成援助の利用のみであれば費用を安く抑えることができます。

法テラスを利用するメリット

法テラスメリット

法テラスを利用するメリットは以下のとおりです。

法律相談が無料

法テラスを利用しない場合は、時間制限付きの有料あるいは無料であったとしても1回限りの場合が多いです。この点、法テラスを利用した場合だと1回30分程度ではありますが、3回まで無料で受けることができます。

弁護士費用(着手金、実費、報酬金)が安い

こちらは法テラスが正式に出している弁護士費用の基準です。

まず、弁護士に「協議離婚」、「離婚調停」、「離婚訴訟」を依頼した場合の「法テラスを利用した場合」と「一般の法律事務所の場合」の「着手金、実費」を比べてみます。

なお、着手金とは結果にかかわらず、弁護士等が事件に着手した後ただちに発生する事件処理のために必要とされる費用です。

実費とは郵送費、交通費など弁護士等が活動するために実際に要した費用です。

協議離婚

法テラスを利用した場合: 84,000円~126,000円
一般の法律事務所の場合: 100,000円~250,000円

離婚調停

法テラスを利用した場合: 104,000円~146,000円

一般の法律事務所の場合: 300,000円~600,000円

※注意点   法テラスの料金は加算方式

ここでご注意していただきたいのですが、
例えば、

①離婚の調停
・実費20,000円
・着手金84,000円(基準では84,000円~126,000円)

が基本ですが、これに加えて
    
②婚姻費用分担請求の調停
・実費20,000円
・着手金42,000円 
 ※①の事件と「関連事件扱い」になり減額される(84,000円×1/2→42,000円)

というようになると2つの事件の実費・着手金総額は164,000円となります。


法テラスはこのような「加算方式」なので、 さらに、これらに加えて

③面会交流調停事件 
・実費20,000円
・着手金42,000円 
※①の事件と「関連事件扱い」になり減額される。(84,000円×1/2→42,000円)

というように項目が増えれば加算されていくのです。
(①~③で226,000円)

これらに加えてさらに④親権問題が入ると20万円後半になります。

ただ、それでも普通に頼むよりは大幅に安いといえます。

離婚訴訟

法テラスを利用した場合:224,000円~276,500円(調停から訴訟に移行した場合は192,500円)

一般の法律事務所の場合400,000~800,000円(調停から訴訟に移行した場合は差額となる場合あり)
また、以上の「着手金、実費」とは別に「報酬金」も発生します。

法テラスを利用した場合は66,000円~132,000円(基本報酬)です。

単に離婚が成立したという場合の報酬金は80,000円前後が標準です。

また、慰謝料など相手方から財産的な給付があった場合は、その額を基準に計算されます。

つまり金額が、3000万円まではその額の10%が、
3000万円を超える場合はその額の6%+120万円が報酬金となります。

たとえば、離婚が成立し、かつ相手方から100万円の慰謝料を獲得できたという場合の報酬金は100,000円(1,000,000×10%)です。

なお、この場合、上記の基本報酬は加算されません。

他方、一般の法律事務所の場合は300,000円~800,000円(基本報酬)です。
さらに、慰謝料など相手方から経済的な給付があった場合は、基本報酬に加え獲得した経済的利益の何割かが加算されます。

基本報酬に上乗せされる点が法テラスと異なり、その分、報酬金は高額となります

また、裁判所に出頭する場合、事務所から裁判所までの距離や回数によっては、日当や弁護士が移動するための交通費実費が発生します。

法テラスの場合は、日当も交通費実費も発生しません(そのため、遠方の案件に関しては、法テラス利用での受任は行わないのが原則です。)

以上より、着手金、実費、報酬金とも法テラスを利用した方が格段に安くなることがお分かりいただけると思います。

弁護士費用は後払い、分割返済

法テラスを利用した場合、弁護士費用は後払いでも弁護士等は事件に着手します。返済方法は分割で、月々の返済額は50000円~10000円程度と比較的低額です。生活保護受給者の方は返済を猶予あるいは免除してもらえます。

他方、一般の法律事務所の場合、基本的に着手金を支払わなければ弁護士は事件に着手してくれません

つまり、着手金は先払いです。また、その額は前記のとおり高額である上に、一括支払いを求められることが多いでしょう。

実費、報酬金も含めて、仮に分割払いを認められたとしても、その額は法テラスを利用した場合ほど安くはありません。

生活保護受給者の方は返済を猶予、免除される

生活保護受給者の方は、援助継続中は返済を猶予されます。

また、結果として、離婚の相手方から慰謝料などの財産的な給付を受け取ることがなかった場合は返済を免除されます(反対に、給付を受けた場合はその中の一部を返済に充てなければなりません)。

なお、援助継続中に生活保護受給者となった方も猶予、免除の対象です。

法テラス利用の際の注意点 ~利用するデメリットとは~

法テラスデメリット

以上の法テラスを利用した場合のメリットに対し、以下のデメリットもございます。

利用にあたって条件がある(誰でも利用できるわけではない)

法テラスの「法律相談援助」を受ける(利用する)には

収入、資産が一定額以下であること
・民事法律扶助の趣旨に適すること(宣伝目的、権利濫用などとは認められないこと)
の2つの条件を満たす必要があります。

また、「代理援助・書類作成援助」を受けるには、上記2つの条件に加え
・勝訴の見込みがないはいえないこと(和解、調停、示談等により紛争解決の見込みがあること
という条件を満たす必要があります。

条件の審査に時間がかかる

特に、収入、資産の条件を証明するためには様々な書類を取り寄せ、提出する必要があります。

その上に法テラスも条件を満たすかどうか慎重に判断しますから、申し込みから2週間から場合によっては1か月ほどかかる場合があります。

その間、弁護士等は事件に着手してくれません。

担当弁護士を選べない

まず、ご自身が依頼したいと考えている弁護士が法テラス案件を取り扱っていないということも多々あります。

法テラスの登録自体はしていても、離婚事件は法テラスでは受任しないことになっている事務所は多いです。その場合は、依頼したい弁護士を諦めることになります。

法テラスに援助の利用を直接申し込み(直接申し込まずに、一般の法律事務所を通して申し込む方法もあります)。

審査をクリアした場合は、法テラスが法テラスと契約している弁護士を選びます。

その際、法テラスは「この人にはこの弁護士が合っている」などと、案件ごとに判断しません。そこで、蓋を開けてみると「相性が合わない」「やる気がみえない」という弁護士にあたる可能性も否定はできません。

法テラスで紹介してもらった弁護士に依頼したが、弁護士の態度が怖い。親身になってくれていないように感じる。などの理由で、事件継続中に、法テラスを通さずに、別の弁護士に相談を希望される方が散見されます。

これは、弁護士の側が、法テラス案件は最低限の着手金であるので、最低限の仕事しかしないというケース(法テラス利用の場合でも通常受任の場合と同等のサービスを提供すべきとはされていますが、
残念ながら、無料相談や格安受任の場合には、仕事内容も最低限の法律事務はやるが親身にはならないというのは、実際よく見聞きます。)と、

利用者の方が、自身で選んだ弁護士でないため「相性が合わない」「やる気がみえない」と感じてしまうというケースと両方あると思っています。

付随的な問題は対応してもらえない

離婚事件の場合、離婚やそれに伴う財産分与・慰謝料請求等の事件本体の内容以外にも付随的な問題が多数あります。

よくあるのが、監護している子供の面会交流に関する連絡や学校関係の書類、費用の準備等についての連絡です。

今(2020年春)で言えば、新型コロナウイルスに関する給付金の申請は、世帯主しかできませんので、別居していても住民票を移していない場合には、各々が申請することができず、給付金の支給をどう受けるかについて、代理人同士で連絡を取り合っています。

これは、離婚事件そのものの処理ではありませんが、当事者双方が直接やりとりをするのは困難なケースが多いため、弁護士が間に入ることが多いのです。一方、法テラス利用の場合は、事件以外の点では弁護士を利用することが難しいと思いますので、これらについては、自身で行わなければなりません。

また離婚事件においては、当事者に心理的な負担が大きく、弁護士に話を聞いてもらいたい。気持ちをわかってもらいたい。と仰る方が多いですが、そのようなサポートについても、法テラス利用の場合は困難であると言わざるを得ません。

法テラス利用の申し込み方法と申し込み後の流れ

法律相談、援助を利用するには、法テラスに利用を申し込む必要があります。法テラス利用の申し込み方法は、法テラスに直接申し込む方法と法律事務所を通じて申し込む方法があります。

法テラスに直接申し込む方法

法テラスに直接申し込む場合は、法テラスの窓口に行くかあるいは電話して「民事扶助を利用したい」と伝えましょう。すると、スタッフからご相談内容や収入、資産などについて聴かれますから回答します。また、収入、資産を証明するための必要書類をご自身で取得、提出する必要があります。

法律事務所を通じて申し込む方法

①の方法では弁護士を自由に選ぶことができません。

ご自身で弁護士を選びたい場合は、ネットなどを通じてご自身で法テラスと契約している弁護士を探します。

探したらまずはその弁護士が所属する 法律事務所に問い合わせをして、離婚事件で、法テラスを利用して依頼したいが、取り扱いはあるか。を質問してください。

そもそも法テラス利用での離婚事件は受け付けていないという弁護士や事務所も多いので、費用の発生する法律相談をする前に、確認しておくべきです。

その弁護士又は法律事務所が、離婚事件の法テラス利用可能であれば、その事務所が提供している法律相談(無料で提供しているところも多い)を利用するとよいでしょう。

そして、法律相談で弁護士に「民事扶助を利用したい」と伝えます。

ここで民事扶助を利用できるかどうかある程度の目途は立つでしょう。そして相談した弁護士に依頼したい場合は、弁護士が代わって申し込みを行ってくれます(ただし、必要書類はご自身で取得して弁護士に提出する必要があります)。

申し込み後の流れは以下のとおりです。

まとめ

法テラスの扶助制度を利用すると弁護士費用の負担を大幅に軽減できる反面、利用にあたっては様々な条件をクリアする必要があります。

条件の詳細については法テラスのホームページで確認するか、法テラスの専門スタッフに電話などで直接問い合わせるとよいでしょう。

弁護士
島野弁護士

島野由夏里 弁護士

千葉県弁護士会所属
島野ゆかり法律事務所 代表弁護士
住所 千葉県松戸市西馬橋蔵元町97
電話 047-345-0110

家事事件(離婚、相続等)、一般民事事件(交通事故等損害賠償、契約関係等)、債務整理(自己破産、個人再生、任意整理)を中心に取り扱う。
弁護士として最善の法的解決を目指すことはもちろんですが、それだけにとどま らず、クライアントの皆様の人生がより幸せなものになるにはどうすればいいかという 視点で事件を検討することを心がけております。
クライアント様のご負担となる周辺業務(書類収集手続や登記事務、税務事務) に関しましても、窓口となってご案内いたしますので、ご安心ください。

当事務所は、法テラス利用の離婚案件は取り扱いしてません

よかったらシェアしてください!
  • URLをコピーしました!
目次
閉じる