【公正証書の作り方】離婚協議書は、公正証書にすべき3つの理由

「離婚するにあたって、決めた約束を相手が守ってくれるだろうか・・・」

このことは、多くの方が不安に思っているのではないでしょうか。

離婚届を出せば、離婚は成立します。

お互いが「どういう条件(約束)で離婚をするのか」を事前に決めて離婚することは多いですが、「約束が守られなかった場合」のことも含めて決めている方は、まだまだ少ないように思います。

そこで、本日は、当事者の話し合いで離婚する協議離婚時に、必ず作成すべき「離婚協議書」と「公正証書」の重要性について解説します。

記事に入る前に・・・

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目次

協議離婚で取り交わす書類について

離婚協議書

離婚協議書とは

協議離婚とは、夫婦が話し合いした上で、お互いの合意をもって離婚をすることをいいます。

協議離婚では、夫婦双方が離婚に合意しているので、法律上の離婚原因(民法770条第1項1号~5号)があるかどうかは関係がなく、お互いが離婚届に署名・捺印して役所に提出することで簡単に離婚が成立します。

お互いの合意だけで離婚ができるという手軽さはありますが、その手軽さがメリットにもデメリットにもなります。

協議離婚をする場合は、のちのちトラブルにならないためにも、離婚をする前に、財産分与や親権など、離婚の条件を決めておくことが望ましいです。

こうした離婚の条件を記載しておくものが「離婚協議書」になります。

離婚協議書を作ることにより、夫婦お互いが離婚の条件を明確に確認できるので、離婚後の生活を安心してスタートすることができますし、また今後のトラブルを予防することができます。

夫婦で作成した契約書ですので、当然、離婚協議書には「法的な効力」があります。

つまり、離婚協議書に定めた事項について違反があった場合には、離婚協議書の記載内容を実現するために調停や裁判を行うこともできます。

離婚協議書の作り方

離婚協議書は自分でも作成できます

ただし、公正証書を作らず、離婚協議書のみで離婚する場合は、せっかく作った離婚協議書の効力が半減してしまうことがあります。

そのようなことにならないようにしてトラブルを予防するためにも、できるだけ、離婚協議書の作成を専門家(弁護士・行政書士)に依頼する、もしくは、自分で作成した離婚協議書を専門家に確認してもらうことが望ましいです。

なお、離婚協議書の作成を依頼する場合の費用の相場は、一般的に3万円~10万円くらいです。

公正証書の作成を視野に入れている場合は、ある程度は法的な内容を公証人がチェックしてくれますので、離婚協議書が簡単な内容になりそうな場合やどうしても費用を節約したい場合には、ご自分だけで作成するのでもよいといえます。(公正証書の役割については、「4 公正証書をつくるタイミングについて」で後述します。)

離婚協議書の主な内容

  1.  離婚の合意
  2.  親権者の決定
  3.  養育費について
  4.  面会交流について
  5.  慰謝料について
  6.  財産分与について
  7.  強制執行認諾文言
  8.  秘密保持条項
  9.  清算条項

① 離婚の合意

第1条に記載されることが多いです。 協議離婚に合意し、離婚届を出すことについて記載します。

(文例)

第1条(離婚の合意等) 甲及び乙は、協醗離婚(以下「本件離婚」という。)に合意し、離婚届用紙に各自が署名した上、その届出は乙において速やかに(遅くとも受領日から7日以内に)これを行うことに合意し、かつ、本件離婚に伴う給付等について以下のとおり合意した。

② 親権者の決定

未成年の子どもがいない場合は不要です。

あくまで未成年の子どもが対象となります。

(文例)

第X条(親権者) 甲及び乙は、両者間の未成年の長女 田中 英子(平成21年1月1日生、以下「丙」という。)及び長男 田中 太郎(平成22年2月2日生、以下「戊」という。)の親権者及び監護者を乙と定め、以後乙において丙及び戊が成年に達するまで引き取り、監護養育する。

③ 養育費について

通常、子どもが成人するまで支払われるものです。

状況に応じて、18歳の3月(高校卒業)までや、大学卒業するまでという場合もあります。

  • 養育費が必要な子どもの名前
  • 子ども1人あたりの養育費の金額。
  • 支払い方法・支払い期日
  • 子どもが何歳になるまで支払うのか   
  • 事情変更や進学した場合、病気になった場合の増減について など

(文例)

第X条(養育費)
1 甲は乙に対し、丙及び戊の養育費として令和2年12月から丙が満20歳に達する日の属する月までは1か月金6万円、丙が満20歳に達した月の翌月から戊が満20歳に達する日の属する月までは1か月金3万円を、毎月末日限り、乙指定の銀行口座(ミカタ銀行人形町支店普通預金口座番号1234567 口座名義:ミカタ ハナコ)に振込んで支払う。振込手数料は甲の負担とする。

2 乙は振込先の口座を変更したときは、速やかに甲に通知するものとする。

3 上記養育費の定めが物価の上昇その他の事由により不相当となったときは、乙は甲に対しその増額を請求することができる。

4 甲は乙に対し、戊の大学進学の際に特別の費用が発生した場合は、その一部を負担する。乙は、当該費用に関する請求書又は受領証などを甲に提示して請求するものとする。

5 甲は乙に対し、丙及び戊の病気及び怪我のために特別の費用が発生した場合は、その一部を負担する。乙は、当該費用に関する請求書又は受領証などを甲に提示して請求するものとする。

④ 面会交流について

子どもと離れて暮らす側の親と子どもが会う時のルールを決めます。

  • 頻度(1か月に1回)
  • 1回の面会時間 
  • 待ち合わせ場所 など

なお、もし面会交流をさせてくれなかったときにペナルティー(罰金)を科したい場合には、最高裁判所の判例によれば、面会の方法等について具体的な記載をすることが必要になります。

このあたりについては専門的な内容になるので、面会交流に不安がある方は弁護士に必ず相談した方がいいです。

(文例)  ※ペナルティー(罰金)を科さない場合

第X条(面会交流) 乙は、甲が丙及び戊と面会交流することを認める。面会交流の回数は毎月1回程度とするが、その具体的な日時、場所、方法等は、丙及び戊の意思を尊重し、丙の福祉に十分配慮しながら、その都度、協議して定める。

⑤ 慰謝料について

不倫やDVなど、結婚している期間に、配偶者から精神的苦痛があった場合に支払われるものです。 請求すべきものがある場合のみ記載します。

  • 慰謝料の金額 
  • 支払方法(一括払いか分割払いか)
  • 利息や遅延損害金

(文例) ※一括払い、かつ、「慰謝料」ではなく「解決金」という名義にした場合

第X条(解決金等)  甲は、乙に対し、本件離婚に伴う解決金として、金300万円の支払義務があることを認め、令和元年12月末日までに、乙指定の銀行口座(ミカタ銀行人形町支店普通預金口座番号1234567 口座名義:ミカタ ハナコ)に振り込んで支払う。振込手数料は甲の負担とする。

⑥ 財産分与について

財産分与がない場合は記載不要です。

財産分与については、「結婚してから離婚するまでに間に築いた財産」を2分の1ずつで分けるのが原則です。 たとえ専業主婦の方であっても、基本的には2分の1です。

  • 財産分与の総額
  • 支払方法(一括払いか分割払いか)
  • 不動産や財産など、分割する対象財産

(文例 ) 現金の場合

第X条(財産分与) 甲は、乙に対し、本件離婚による財産分与として、金200万円を給付することとし、これを令和2年12月末日までに乙指定の銀行口座(ミカタ銀行人形町支店普通預金口座番号1234567 口座名義:ミカタ ハナコ)に振込んで支払う。振込手数料は甲の負担とする。

(文例)不動産の場合=夫婦共有の場合に持分をすべて相手に与える場合

第X条(財産分与) 乙は、甲に対し、本件離婚に伴う財産分与として、別紙物件目録1記載の不動産の乙の持分全部を分与する。

⑦ 強制執行認諾文言     

強制執行とは、強制的に、公的機関を通じ、財産等を差し押さえることのできる手続きです。

もし、決められた支払いをしない場合、

  • A 「裁判をして債務名義を取得する」(裁判をして判決が出たのち、強制執行できる権利を得る)
  • B 「強制執行を行う」

というプロセスを経る必要があります。

しかし、公正証書に「強制執行認諾文言」があると、A(裁判)をしないでいきなりB(強制執行)ができるようになります。

公正証書を作成する際に記載する条項となります。公正証書の効果を最大限に発揮する重要な条項の1つですので、公正証書を作成するときには必ず記載してください。

(文例)

第X条(強制執行認諾) 甲は、この公正証書の第Y条に記載した金銭債務を履行しない場合には、直ちに強制執行に服する旨陳述した。

⑧ 秘密保持条項

離婚の経緯を第三者に伝えてほしくない場合に記載します。

場合によっては秘密を漏らした場合のペナルティーを記載することもあります。

(文例) ※ペナルティーを科さない場合

第X条(秘密保持) 甲と乙は、本件離婚の経緯及び本契約の内容を第三者に開示しない。

⑨ 清算条項

これは、一般的に最後に記載します。

ここに定められていること以外、お互い貸し借り(請求するもの)はありませんという意味になります。

清算条項がないと、離婚協議書以外のことで請求されてしまうことがありえますので必ず記載しましょう

(文例)

第X条(清算条項) 甲及び乙は、本件離婚に関して、以上をもってすべて解決したものとし、今後、財産分与、慰謝料等名目の如何を問わず、互いに一切の財産上の請求をしない。また、甲及び乙は、本契約に定めるもののほか、甲と乙の間に何らの債権債務がないことを相互に確認する。

主に上記の内容を自分にあった形で作成します。

専門家に依頼する場合でも、公正証書を作成する場合でも、まずは一度、ご自身で離婚協議書を作ってみるといいでしょう。

離婚協議書を公正証書にしよう
離婚協議書は公正証書にすべき3つの理由

離婚を検討している方であれば、公正証書を作成した方がいいということを聞いたことがある方が多いのではないのでしょうか。

公正証書とは、夫婦(当事者)の依頼によって、元裁判官や、元検事などを長く務めた、法律実務に精通している公証人が、法律に従って作成する公的な文書です。

そのため、強制執行認諾文言(支払が滞った場合に強制執行(差押え等)を受けてもよいとする条項)を取り決めておけば、相手が支払を怠った場合、裁判をすることなく強制執行(差押え等)をすることができます。

離婚における公正証書のイメージ

法律の専門家が立ち合いのもと作成する文書であるため、証拠力が高く、法的拘束力がある「離婚協議書」です。
つまり、「裁判所の判決文に最も近い効力」 がある書面といえます。

また公正証書は、離婚協議書に限らず、遺言や金銭消費貸借契約、遺言書など幅広い用途があります。

1. 証拠としての価値が高い 

公証証書は、利害関係のない第三者である法律の専門家の「公証人」が、文書をチェックした上で作成し、公証役場で保管しますので、証拠としての価値が高いといえます。

≪3つのメリット≫

  1. 公正証書に記載されていることは、公証人が、法律上不可能な合意ではないかをチェックした上で作成してくれたものである
  2. 公証人が、夫婦両者の意向を聴いた上で客観的な判断をもとに作成するため、内容が正確である
  3. 原本が公証役場に厳重に保管されるため、公正証書の内容や作成日などを改変されたり、盗難、紛失になったりする等のリスクがない

2. 強制執行できる(差押え)

「離婚協議書」を公正証書にしていない場合、相手が金銭の支払が滞ったときに、まず、裁判をして勝訴判決(債務名義)を得る必要があります。

そして、その後初めて、強制執行をすることができますが、これでは多くのお金と労力・時間がかかってしまいます。

しかし、離婚協議書を公正証書にして、そのときに「強制執行認諾文言」を入れておけば、金銭の支払が滞ったときに、裁判をしないで、強制執行(給与、不動産、預金口座等の差押え)ができます

もし、養育費などの支払いが滞った場合、費用を抑え、迅速に手続ができるようになるというメリットは非常に大きいです。

3. 配偶者の養育費等の支払意思を確認できる

公正証書の作成は、公証役場で、第三者(公証人)の目前で、離婚の公正証書に署名捺印をします。 正式に約束を交わしたということをお互い確認しあうことができますので、「約束を守らなければならない」という心理的効果が期待できます。

逆に、公正証書を交わさない場合、約束を守らない可能性が、それなりにあることを覚悟する必要があります。

支払う側はいろんな理由をつけて公正証書なしでの離婚を求めるケースが多いので公正証書を作成したい側は、公正証書を作らないと「離婚しない」くらいの、強い意思表示を示すことが必要です

公正証書を作成しなくてもよいケース

公正証書の作成には、手間と数万円程度の手数料がかかります。公正証書は作成する方が望ましいですが、以下の場合は公正証書ではなく離婚協議書のみ作成してもいいでしょう。

金銭授受がない場合

単に離婚に合意し、財産分与等が発生しない場合は、離婚協議書のみでもよいでしょう。その場合、離婚協議書は専門家に作ってもらうと安心かと思います。

公正証書をつくるタイミングについて

離婚前と離婚後どっちがいい?

公正証書も離婚協議書も、作成するタイミングは、離婚前でも離婚後でもどちらでも可能です。

しかし、公正証書も離婚協議書も、できる限り、作成は「離婚前」にするべきです

特に、公正証書は、離婚後に作成しようと思っても、相手の気が変わったということになれば作成するのは難しくなります。

そもそも、養育費や慰謝料、財産分与を支払う側からすると、手間や支払いの義務の観点からみると、積極的に公正証書を作成したいと考える人はほとんどいないというのが現状です。その結果、離婚後に公正証書をつくると約束はするものの、公正証書が作成できなかったという話はよく見受けられます。

養育費など受け取る側からすると 財産分与や養育費等が、毎月滞ることなく支払われるかということは、一番の心配事です。 

その負担を少しでも軽減するためにも、またすべて決まった状態で新たなスタートを切るためにも事前に公正証書を作成することをおすすめします。

公正証書の作成を拒まれる可能性もある

協議離婚をすることに対し、条件面や夫婦の合意できているにもかかわらず、公正証書の作成に応じてくれないということはあります。

公正証書の作成は、夫婦の合意によるものなので、一方が拒否した場合は公正証書を作成することができません。

このように、作成を拒まれた場合は、作成側が急ぐ事情がなければ、次のステップ「離婚調停」も視野に入れたほうがいいでしょう。安易に離婚してしまった結果、のちに後悔することはよくありますので、慎重に判断することが必要になります。

作成を拒まれた場合
・(相手が離婚を希望している場合は)離婚をする条件として提示する
・ 離婚調停をする

公正証書作成の基礎知識

公正証書はどこで、誰が作るの?

公正証書は、公証役場にて公証人が作成します。

公証役場は、全国約300ヶ所にあり、各都道府県や主要都市に設置されていますので、夫婦が、近くの公証役場に出向いて、作成を依頼するということになります。

公正証書に記載する内容

公正証書を作成するのは公証人ですが、どのような公正証書に記入内容については、当事者(夫婦)が考えなければなりません。

基本的に、きちんとした離婚協議書を作成しているのであれば、離婚協議書をもとに内容を作成できます

また、法律的な不備があっても、ある程度は法律の専門家である公証人がチェックしてくれるので安心です

注意する点として、公証人は、違法な内容については、修正してくれますが、どちらかに有利または不利になるような内容に関する助言はしません。

公証人は、あくまでも中立的な立場で内容を確認しますので、踏み込んだ内容にしようと思っている場合には弁護士にご相談下さい。

公正証書の費用について

公正証書の作成費用は、主に、お互いが約束した金額により決定されます。代理人に依頼せず、自分で作成する場合は1~3万円位かかります。

ここでは、公正証書にかかる費用、手数料具体的にみていきたいと思います。

1.公正証書の手数料(請求金額に応じて計算)

手数料は、「目的の価額」により決定されます。

目的の価額とは、夫婦で合意を得た慰謝料や (10年分の)養育費などの総額を指します。

目的の価額            手数料
100万円まで           5,000円
200万円まで           7,000円
500万円まで         11,000円
1,000万円まで      17,000円
3,000万円まで      23,000円
5,000万円まで       29,000円
1億円まで             43,000円
1億を超え3億円まで   43,000円に超過額5,000万円ごとに 13,000円を加算

【手数料の計算方法】
「目的の価額」は、養育費と養育費以外に分けて計算する必要があります。
目的の価額= 養育費 + 養育費以外

養育費

養育費の計算は、養育費10年分の支払い総額

養育費以外

財産分与や慰謝料など、合意した支払い金額の全額

養育費が月に5万円とした場合 
財産分与300万 慰謝料を200万円とした場合

養育費 
5万円×12か月×10年=600万円  
10年で600万円のため      手数料は17,000円   

養育費以外 
300万円+200万円=500万円   手数料は11,000円

17,000円(養育費)+11,000円(養育費以外)=28,000円となります。

※補足 年金分割を公正証書に記載する場合

基本、年金分割に関しては、公正証書にする必要がありません。

ただし、年金分割は、「年金分割のための情報通知書」と年金手帳を持参して、夫婦で年金事務所へ行き、手続きが必要になります。詳しくは年金事務所に問い合わせると、教えてくれます。

もし、公正証書に年金分割の内容を記載したいという場合は、13,000円かかります。

2.作成料

公正証書の正本・謄本の作成料がかかります。

公正証書のページ数に応じ、1枚250円で手数料がかかります。 原本、正本、謄本と3つの書類を作成しますが、原本は4ページまでは無料です。

例 6ページ(枚)の公正証書を作成
   原本500円(2枚)+正本1,500円(6枚)+謄本1,000円(6枚)
   14枚×250円=3,500円となります

3.交付送達の手数料

1,650円(送達手数料1,400円,証明手数料250円)に送料の実費(約1,200円)が必要となります。

なお公正証書作成後に交付送達をする場合は、送料の実費がかかりません。

交付送達とは

交付送達は、養育費等の支払い義務者へ、公正証書を送付する手続きのことです。
たとえ、夫婦二人で公証役場に行って公正証書を作成した場合、支払い義務者もその場で、公正証書を受け取りますが、それだけでは送達されたことになりません。

ただし、「公証人による交付送達」という方法を利用すれば、当日公証人から謄本を手渡しすることで、「交付送達」されたことになり、「送達証明書」を発行してもらいます。

なお、万が一の場合(支払いが滞った場合)、この「送達証明書」がないと強制執行ができません!

この手続きは、公正証書作成時でなくても、強制執行をする場合に手続きをしても構いませんが、時間が経つと相手の住所変更等があるので、公正証書を作成時に交付送達することをおすすめします

公正証書は自分でも作成できる

公正証書にする内容を決める

前段でも伝えた通り、公正証書の正式な文章は公証役場で公証人が作成しますが、内容自体は事前に夫婦が決めなければなりません。

注意点としては、協議離婚がいくら相手との合意で成り立つといっても、公正証書は公文書のため、明らかにおかしな条件(法律上無効と考えられることや公序良俗に反するようなこと)を記載することはできません。 

  • 平均年収並みの相手に慰謝料1億円
  • 財産分与と慰謝料合わせて200万円払う代わりに、養育費は一切払わない  などは不可。

内容が決まった後に、公証役場に申込をしましょう。

事前に公証役場に相談する

多くの公証役場では、事前に相談に乗ってもらえます。

公証役場は、住所地にいかなければならないなどの指定はありません。自宅から最寄りの公証役場や相手の職場に近い公証役場など、二人にとって都合のよい場所を選択するとのちのち便利かと思います。

はじめに公証役場に電話で、事前相談したいことを伝え予約をとります。この事前相談は、夫婦二人で行く方が望ましいですが、夫婦両方でいく必要がないので、配偶者が、消極的な場合、わざわざ連れていく必要はありません。

事前相談には、公正証書に記載したい内容を記載した書面が必要になります。

不明な点などは、その場で答えてくれることもありますが、内容が固まった段階で相談に行かないと、「内容を夫婦で考えてから、また来てください」ということになりかねません。

公正役場一覧 こちらからお近くの公証役場を検索できます。

公証役場に申込をする

申込をする際に、準備する資料をチェックしてください。

公正証書を作成するための資料

印鑑証明書(公正証書の作成日前から3ヶ月以内のもの)
実印
本人確認書類 (運転免許証やマイナンバーカード等)
  印鑑証明と実印で本人確認書類の代わりをできることもあります。
戸籍謄本 家族全員が記載されたもの

以下必要に応じて準備
年金手帳等    年金分割を公正証書に記載する場合、年金番号の記載が必要になります。
不動産の登記簿謄本と、固定資産税納税通知書又は固定資産評価証明書
   不動産を所有しており、所有権を移転する場合
保険証券(生命保険など)    財産分与に保険金がある場合

その他、財産分与の対象になるものの書類は提出を求められますので、準備をしておきましょう。

準備ができたら、役場の窓口で受付をします。

受付後、公証人が、提出した書類やヒアリングをもとに、公正証書の作成の原案を作成してくれます。

公正証書の内容などによりますが、およそ2、3週間かかると思ったほうがいいでしょう。

この作成の原案をもとに正式な公正証書となりますので、公正証書の原案は、必ず夫婦両方で、内容を確認する必要があります。確認が終わりましたら、後正式に公正証書を作成する日を予約します。

公証役場に出向いて公正証書を作成する

当日は夫婦で公証役場に出向く必要があります。 公証人が作成した内容の最終確認し、原本に捺印すれば完成です。

手数料はこの時に支払います。

最後に忘れてはいけないのが、「交付送達」です。前段で説明しましたが、もし支払いが滞り、強制執行をしないといけない場合、事前に「交付送達」をしないと法的手続きができません。

上段でも説明の通り、交付送達は、通常郵送で行いますが、公証役場に、代理人ではなく、夫婦で出向いている場合に限り「公証人による交付送達」と方法で、公証役場で手続きすることにより、送達手続きが終えたものとできる制度がありますので忘れず手続きをしてください。

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まとめ

いかがだったでしょうか。

協議離婚は、お互いの合意が大前提になるので、急いで離婚する理由がなければ、自分自身が納得できる形で進めていくことが大事です。

少なくとも、弁護士に1度は相談をして、検討していない部分がないかどうかは確認した方がよいでしょう。

大変なことも多いですが、後悔のない選択をしていただければと思います。

万が一のトラブルに備え、是非弁護士保険へのご加入をご検討していただくのはいかがでしょうか。

この記事を書いた人
松本隆弁護士

弁護士  松本 隆

神奈川県 弁護士会所属
横浜二幸法律事務所
所在地 神奈川県横浜市中区山下町70土居ビル4階
TEL 045-651-5115

労働紛争・離婚問題を中心に、相続・交通事故などの家事事件から少年の事件を含む刑事事件まで幅広く事件を扱う

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