子どもの連れ去りは違法!?別居されてしまった時に確認したい4つの行動

親権争いにあたって、子どもを配偶者に連れ去られてしまい、別居に至った場合はどのように対処したらいいのでしょうか。

呆然としてしまうと共に「絶対に許さない!」などと感じてしまいます。

しかし、そのようなときこそ、感情に任せて行動するのではなく、今後の親権争いのために不利にならないよう冷静に判断して行動していくことが大切です。

そこで、本記事では、子どもを連れ去られて別居になってしまった方に向けて、適切な対処法と確認したい4つの行動について解説します。

記事に入る前に・・・

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目次

子どもを連れ去っての別居となる理由とは

まずは、子どもを連れ去って別居となってしまうケースにはどのようなケースがあるのか見てみましょう。

離婚したいが親権を争っている

夫婦がお互いに離婚をしたいと考えていても、親権を争っている最中は、離婚することができません。

そこで、監護実績を積み上げて、親権の獲得に有利な状況を作り出そうと考える方がいます。

この場合は、親権を何とかして得たい配偶者が子どもを連れ去って別居を開始し、子どもの監護実績を作ろうとするでしょう。

しかし、無理矢理子どもを連れ去ったとしても、子どもが納得し懐いてくれるとも限りません。

それだけではなく、意に反して親と離れ離れにされた子どもが精神的に不安定になる等、子どもの健全な成長にとって重大な不利益を与える可能性もあります。

そのため、親が子どもを無理矢理連れ去るのは決して適切な方法とは言えません。

離婚する気はないが性格の不一致などが原因で別居となった

夫婦がお互いに離婚するつもりはないものの、性格の不一致などの一時的な感情で、別居をしてしまうケースもあります。

そのような場合、子どもを置いていくこともできずに、家を出ていく方の配偶者が子どもを連れて別居に至るケースが多々あります。

このケースは、本気で離婚したいわけではなく、一時的な感情で行動している可能性が高いといえます。

しかし、別居期間が長期間に及ぶような場合、子どもを連れて別居をしている配偶者から、婚姻関係が破綻していること等を理由に離婚を求められることも十分にありえますので、早めに別居状態の解消に向けた話し合いの機会を持ち解決していく必要があるでしょう。

一時的な里帰りだったつもりが長期滞在となった

その他、一時的な里帰りのつもりが、居心地が良くなったり、配偶者に対する不満があったりしたために長期滞在になってしまうケースです。

このような場合は離婚する意思はないと思われますので、落ち着いて、配偶者の帰りを待つ方が適切になるでしょう。

しかし、配偶者がいつまでも帰ってこない場合は、子どもの連れ去りになるおそれもあります。

ですので、初期段階からしっかりとコミュニケーションをとって、いつ戻ってくるのか確認していきましょう。

子どもの連れ去りが違法となるケースとならないケース

実は、子どもを連れ去る行動が違法となる場合もあります。

どういう場合に違法になってしまうのかチェックしてみましょう。

違法となるケース

違法となるケースは次のようなケースです。

親権者ではない親が子どもを連れ去る場合

親権者とならなかった親が、離婚後の面会交流などで面会交流実施後もそのまま子どもを親権者のもとに帰さずに、自分の居所に留めた場合は、違法となる可能性があります。

もちろん、合意の上で短期間留まることは違法にはなりません。

しかし、親権者に無断でいつまでも帰さない場合は違法となりますので注意が必要です。

刑法224条の「未成年者略取・誘拐罪」(以下「未成年者略取等罪」といいます。)という罪に問われ、3ヶ月以上7年以下の懲役に課せられる可能性があります。

子どもの親権を争っている中での子どもの連れ出し

離婚前でも親権が激しく争われている最中に、子どもを連れ去り別居に至った場合は、違法とみなされる可能性があります。

もっとも、離婚前は両親どちらにも子どもの監護権がありますので、刑法224条の未成年者略取等罪には該当しないとされる場合もありますが、子どもの監護養育上、連れ去る必要性が特になく、連れ去りの態様が粗暴で強引である等で悪質だと判断されれば同罪が成立する可能性が高くなりますので、離婚前であっても慎重に対応しなければなりません。

元配偶者の家に押しかけて子どもを連れ去る

離婚後に元配偶者の家に押しかけ、無理矢理子どもを連れ去った場合は違法です。

未成年者略取等罪に該当します。

保育園や学校などの通学路での待ち伏せ・連れ去り

保育園や学校などの通学路で待ち伏せし、そのまま子どもを連れ去った場合も違法となります。

合意の上でなければ、子どもの連れ去りは違法性があり、罪に問われる可能性があることを覚えておきましょう。

実家や自分の家に連れて行き、帰さない

実家や、自分の家に連れて行きそのまま帰さない行為も違法です。

合意がなく子どもを連れ去る行動は違法性がありますので、ご注意ください。

違法にならないケース

中には、子どもを連れ去って別居に至っても違法にならないケースもあります。

配偶者のDVなどから逃れる場合

配偶者のDVから逃れるために、子どもを保護する目的で連れ去った場合は違法とはみなされません。

子どもに対するDVでも、配偶者に対するDVでも当てはまります。

配偶者へのDVが激しい場合は、子どもにもDV被害が及ぶ可能性があると考えられますので、DV被害を受けている配偶者がたとえ子どもを連れ去っても違法とはならない可能性が高いといえるでしょう。

離婚前提で合意の上の別居

夫婦がお互いに離婚をする前提で、子どもを連れて別居することについて夫婦間で合意している場合は、違法にはなりません。

ただ、後から相手の配偶者から違法な連れ去りだと言われることがないように、夫婦間での合意を文書に残しておいたり、合意を裏付けるような手紙やメール、LINE等のメッセージのやり取りに関する資料を残しておいたりすることが大切です。

実家などへの一時帰省

子どもを連れての実家などへの一時的な帰省も違法とはなりません。

もちろん、配偶者に対して子どもを連れて実家に帰省することをあらかじめ伝えておくことが前提です。

また、あくまでも一時的な帰省ということになりますので、違法な連れ去りだと言われないためにも、自宅に帰る時期をあらかじめ配偶者にはっきりと伝えて、配偶者の理解と承諾を得ておくようにしましょう。

連れ去り別居されたときにとってはいけない行動

もしも、配偶者に子どもを連れ去られたとしても、感情的になって相手に対して攻撃的な態度を取ることは控えましょう。

あなたにとって不利益な結果とならないように、冷静に対処することが肝心です。

別居中の子どもを勝手に連れ去るのは未成年略取等罪に当たることも

もしも配偶者が子どもを連れてそのまま別居に至ってしまった場合は、その配偶者から子どもを取り返すために子どもを連れ去ることは違法行為となります。

感情的になるのもわかりますが、子どもはあなたたち両親のおもちゃではありません。

子どもの気持ちや健全な成長も考えず、親の感情や考えだけで子どもをあっちにこっちにと引っ張り回すのだけは絶対にやめましょう

もしも、子どもを取り返そうと、再度連れ去った場合は、刑法224条の未成年者略取等罪に該当し、あなた自身が刑事処罰を受ける可能性もあることをよく覚えておいて下さい。

別居をして配偶者が子どもを継続的に監護し、育てているのであれば、温かい目で子どものために見守る姿勢も大切です。

理不尽に感じてしまうかもしれませんが、冷静に話し合いを重ねていきましょう。

もしも子どもが連れ去られてしまったら

もしも子どもが配偶者や元配偶者に連れ去られてしまったら、冷静に行動しなければいけません。

焦ったり怒ったりしても良い結果には繋がりませんので、冷静に対処しましょう。

配偶者/元配偶者と子どもの所在を確認する

まずは、配偶者や元配偶者に連絡を取り、子どもの所在と健康状態を確認しましょう。

どこにいるのか見当もつかない場合はすぐに警察に相談しても問題ありません。まずは子どもの無事と所在を確認することが先決です。

配偶者や元配偶者による連れ去りではなく、子どもが誘拐などの事件や事故に巻き込まれている可能性も考えられますので、見つからない場合は躊躇わずに警察に相談してください。

ただし、警察は配偶者や子どもを見つけることには協力してくれますが、民事不介入(=民事事件には関与できない)というルールがあるため、親権争いには関与しませんので覚えておきましょう。

相手方と冷静に話し合いをする

配偶者や元配偶者と子どもの所在と無事を確認できたなら、冷静に話し合いを持ちましょう。

どうして子どもを連れ去ったのか?子どもを帰してくれないのか?そして、離婚前なら、離婚までは同居してくれないか?を話し合ってください。

もしも、相手が話し合いに応じない場合や、話し合いを持っても平行線の場合には、子の引き渡し調停と子の監護者の指定調停を申し立てましょう。

調停を申し立てる(子の引渡し調停・子の監護者の指定調停)

話し合いが整わなかった場合は家庭裁判所に子の引渡し調停と子の監護者の指定調停を申し立てます。手続きに必要なものは以下の通りです。

①収入印紙1,200円(子ども1人に付き)

②申立書とその写し

③標準的な添付書類

 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)

④連絡用の郵便切手(各家庭裁判所に要確認)

申し立ては相手方の住所地の家庭裁判所か、又は当事者の合意で定める家庭裁判所で行います。

子の引渡し調停や子の監護者の指定調停では、離婚前の監護者が定まらない場合に、裁判所を通して話し合いを行うことができます。

調停では、子どもの年齢に応じて、子どもの意思も確認しながら話し合いを進めることになるでしょう。

当事者同士が直接話合いを行うのではなく、当事者がそれぞれ個別に調停委員という第三者を介して話し合うことになるため、冷静に話し合うことができます。

監護者の指定調停においては、これまでの監護状況や、子どもの福祉の観点から子どもの年齢や性別、性格などを加味して監護権をどちらが担うのが適切なのかを話し合うことになります。

また、双方の経済状況や家庭環境なども考慮しながら話し合いが進みますので、母親だけが特に有利というわけではありません。

ちなみに、親権と監護権は別物ですので、親権を持てなくても監護権だけ確保することもできるでしょう。

もしも調停で話し合いが決着しなかった場合は、自動的に審判に移行します。

審判では、裁判官が審判を下してくれるため、話し合いが整わなかったとしても、安心できます。

審判内容に不服がある場合には、高等裁判所に対して不服申立てを行うことも可能です。

DVなどで子どもの身が危険な場合は人身保護請求をする

相手方のDVなどが心配で子どもの身が危険な場合には、人身保護請求を行うこともできます。

人身保護請求は子どもを危険から回避するためにある手続きですので、短期間で迅速に行われることが特徴です。

人身保護請求は請求から1週間以内を目処に審問が行われ、子どもの連れ去りに顕著な違法性がある場合は、速やかに請求者への子どもの引き渡しの判決が下ります。もしも相手が応じない場合は強制執行も可能です。

子の安全を優先しますので、DVの危険性から子どもを守りたい場合には、人身保護請求を行いましょう。

ただし、人身保護請求は弁護士を代理人に立てなければいけません。

そのため、まずは弁護士に相談しましょう。

子どもの連れ去り別居の対処には、できる限り早い段階で弁護士に相談することが大事

子どもの連れ去り、別居の対処にはできるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

DVなどから子どもを守りたい場合は、弁護士が代理で人身保護を請求してくれますし、配偶者や元配偶者の所在の確認でも適切な行動をアドバイスしてくれるでしょう

また、弁護士に依頼すれば、子の引渡し調停や子の監護者の指定調停についても速やかに代理人として手続きしてもらえます。

親権・監護権確保に向けたアドバイスももらえるため、弁護士に相談しておくと安心です。

突然、離婚前に配偶者が子どもを連れ去り別居になってしまった場合は、1人で悩んでも解決方法が見つかるまでに時間がかかる、あるいは解決方法が見つからないということになりかねませんので、まずは弁護士に相談するとよいでしょう。

子どもの連れ去りは親権獲得にどの程度影響するのか

子どもの連れ去りは、違法のケースもありますが、実際に子どもの監護の実績になってしまうことは事実です。

しかし、親権争いの最中での子どもの連れ去りは、違法だと考えられるケースもあり、その場合には子どもを連れ去った配偶者の親権獲得に有利に働くわけではありませんので、安心してください。。

また、子どもの親権・監護権をどちらの親が持つのが適切かについては総合的に判断されますので、連れ去った方が親権を獲得できるとは限りません。

子どもへの愛情度合い

何よりも大切なのは子どもに対する愛情が豊富かどうかです。

離婚協議で相手への対抗心から親権を欲しがっていたとしても、普段から子どもへの愛情がなければ親権は認められません。

これまで子どもに対してどのような愛情を注いできたのかが重要です。

例えば、これまで子どもの誕生日には、仕事を休んで時間を共にし、お祝いしてきた実績などが加味されることになります。

そして離婚後も、子どもの生活に自分の仕事を合わせられるのか?

なども大切な要因になりますので、子どものために自らの今後のライフプランについてよく考えておきましょう。

経済環境や家庭環境

子どもを育てるための収入は十分か?これまでと同じような環境で子どもを育てられるのか?

なども親権者の適格性を判断するに当たり重要な考慮事項とされています。

無職では、親権を確保できませんので、確かな収入を確保しておくことが大切になるでしょう。

親権者の健康状態や性格など

また、親権者は心身ともに健康であることも必要です。病気がちで入退院を繰り返していたり、精神的な病を抱えている場合は親権者には不向きと判断される可能性が高いでしょう。

また、怒りっぽい性格で子どもにDVなどをする恐れがある場合には、親権者には認められません。

ギャンブル依存やアルコール依存なども親権者には不向きと判断されるケースが多いでしょう。

育児を手伝ってくれる人の有無

育児を手伝ってくれる人の有無も親権確保では重視されます。

男性の場合は、親などが近くに住んでいて、子どものお迎えなどを手伝ってくれる場合は有利になるでしょう。

子どもが病気の場合に看病をしてくれる人が日中いることも重要です。

男性が親権を確保したいと考えるなら、まずは育児を手伝ってくれる人を確保しておきましょう。

子どもの意思

また、年齢によっては子どもの意思も尊重されます。おおよそ10歳から子どもの意思が尊重されるでしょう。

法律では15歳以上の子どもは子どもの意思を聴取して親権を検討していく必要があると定められています。

普段からの子どもとの信頼関係や注ぐ愛情が重視されますので、子どもへは十分な愛情を注いで育てていくことが大切です。

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まとめ

突然子どもが連れ去られ、別居に至ったとしても慌ててはいけません。

まずは弁護士に相談して、どのように対処していくべきかを冷静に相談しましょう。

もしかすると連れ去りには違法性があるかもしれませんし、すぐに子どもを取り戻すことができる可能性もあるでしょう。

大切なことは子どもの安全を確保し、健全な養育ができる環境を整えることです。

焦って子どもを強制的に取り戻そうとせずに、弁護士に相談し親権確保に向けて冷静に行動していきましょう。

事前に弁護士保険へご加入いただくこともオススメします‼

弁護士

山田康平 弁護士 

神奈川県弁護士会所属

谷法律事務所
神奈川県横浜市中区尾上町3-35 有楽ビル8階
TEL 045-641-0901

依頼者の考えと状況に応じて,依頼者と共に最良の方策を練って対応することを目標に, 不動産・相続問題を中心として個人・企業を問わず幅広く事件を扱う。

 

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