もし、夫から離婚を切り出されたら、どうすればいいのでしょうか。
突然のことで、頭が混乱している方や今後の不安をもっている方が多くいると思いますが、まずは、深呼吸して落ち着きましょう。
相手から離婚を切り出された場合、そのあとの対応が、今後の人生を左右しかねますので安易な判断は禁物です。
そこで、本日は夫から離婚を切り出された場合のするべきこと、離婚したくない場合の対処法について考えていきたいと思います。
記事に入る前に・・・
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夫から離婚を切り出されたら
相手が本気であればあるほど、『すぐに回答をしない。』
あなたが離婚をするにしても、離婚をしたくないとしても、とりあえずすぐ返事をするのはやめましょう。
だれでも、夫から急に離婚を切り出されたら、パニック状態になります。自分は大丈夫と思っていても、なかなか正常な判断がとれないものです。
よって、いま一番必要なのは、冷静になる時間なのです。 離婚は、お互いの合意さえあれば、成立します。 逆に言うと、合意さえなければ、簡単に離婚することができません。
つまり、双方の合意がないと簡単には離婚できませんので、離婚したいといわれても、すぐに応じる必要が全くないのです。
仮に、「離婚をしてもいいな」と思っていても、すぐに離婚することは、合理的な判断ではありません。
それはあなたが離婚の準備ができていないからです。
離婚を切り出す方は、次のステップを見据えているのに、こちらはなにも準備していないなんて、不平等ですよね。
よって、こちらからの返事はただひとつ
「離婚は、少し考えさせて。」
・気持ちを落ちつかせる
・すぐに決断しない
離婚には、離婚届による場合(夫婦の話し合い)のほか、『調停や審判による離婚』、『裁判による離婚』もあります。
ただ、裁判をしたいと思っても、先に家庭裁判所に離婚調停をしないと裁判ができないというルールがあります。
調停とは、裁判官と民間の良識のある人から選ばれた調停委員で構成される調停委員会が、当事者双方の事情や意見を聴くなどして、双方が納得して問題を解決できるよう、助言やあっせんをし、調停の場で合意が成立すれば、合意事項を書面にすることによって解決する手続です。
調停で、合意ができない場合に、家庭裁判所の判断で、審判(当事者から提出された書類等種々資料により判断すること)をすることがあります。
その上で、調停が不成立の場合には裁判をすることができ、審判に納得しない場合には、裁判をすることになります。裁判による場合、裁判上で夫と妻が合意し、和解することによって解決することもあります(人事訴訟法37条)。
夫の言い分と離婚理由
相手の離婚したい理由を確認しましょう。
特に、離婚したくない場合は、思いとどまらせるためにも、相手の言い分をよく聞く必要があります。
ポイントとしては、冷静に話を聞くことと、感情を相手にぶつけないということです。
感情をぶつけないというのは相手を責めることはもちろん、どうにか離婚をさけるために、へりくだったりすることも含みます。
話を聞いていると、正直、口を挟みたくなることもあるでしょう。
しかし、話を遮ると、夫の言い分を全て聞くことができなくなりますので、嫌なことがあっても、ぐっとこらえましょう。
夫の離婚理由は大きく分けて3つあります。
- 夫自身の問題
- あなた(妻)の問題
- 価値観の違い
1. 夫側の問題
夫の問題で離婚を切り出す理由として圧倒的に多いのが、不倫です。
- 不倫相手と暮らしたい
- 不倫相手と籍をいれたい。
- 不倫相手に子供ができた。
夫が不倫をしている場合は、あなたには、その事実を言わず、「性格的にあわない」「あなたといるのが窮屈」などといって不倫の事実を隠すことが多いです。
当然不倫している場合は、慰謝料の問題と、離婚時に夫側が不利になるといった問題が絡んでくるので、いくら問い詰めたとしても不倫しているという回答は得られないでしょう。
女性のカンは鋭いので、夫が不倫しているなと思ったら、ほとんどの場合当たっていることが多いのも事実です。ただ、カンというのは、なんの根拠にもなりませんので、夫が不倫している事実を、調べる必要があります。
2. 妻自身の問題
- 家庭で感情的に、またイライラした態度で接してないですか?
- 相手を思いやることがなく、日常的に威圧発言やヒステリーを起こしていなかったですか?
- 夫のすることは当然だと思い、感謝の気持ちを忘れていないですか?
- 子供の前で夫のことを悪くいっていないですか?
このような場合、夫は、あなたからの愛情や思いやりを感じられないことに大きな疑問を抱いていたのではないでしょうか。また家庭に対し、居心地が悪く、精神的に辛い思いをさせていた可能性があります。
また、
- あなたは不倫をしていないですか? また過去にしたことはないですか?
- モラハラ的な傲慢な態度をとっていなかったですか?
- DVをしてないですか?
このようなことがあると、立派な離婚理由になりますので、注意が必要です。
離婚は合意が必要と冒頭で伝えましたが、この場合は、合意がなくとも、相手が裁判などに持ち込んだら、強制的に離婚しなければいけないどころか、慰謝料請求される事態になります。
特に、モラハラが理由の場合は、自分では気づかないことが多いです。
モラハラだと直接言われなくても相手がモラハラと思っていることがあるので、心当たりがある場合は自分の行動 をよく振り返ってみましょう。
3. 価値観の違い
価値観とは、人生において何に価値があるかを考えるときの「判断基準」や「評価基準」のことを指します。
もっとわかりやすく言うと、生活していく中で、その人にとって、何が優先度(重要度)が高いか、低いかの考え方のことを指します。
これは、どちらが悪いということではなく、お互いの考え方が合わないという、一言でいうと、性格の不一致ともいえます。
価値観の違いはごく普通のことで、価値観が全く一緒という夫婦はほぼいないでしょう。
それは、元々生まれも育ちも違う他人ですので、多少なりとも違いがあるのが当たり前のことだからです。
この価値観の違いは、初めは相手のことが好きなので、価値観が違うなと思っていても、そのことを否定せずに、違いを前向きにとらえたり、多少目をつぶったりすることもあったと思います。
ところが、愛情がなくなると、価値観の違いが一気に、許しがたく感じる程度になる傾向にあります。
・金銭感覚のズレ・・・現在を楽しみたいor老後のために今は節約など
・理想の家庭に対するイメージの違い・・・女性は働く or 働かない
・子供がほしい or 自然に任せる
・いつまでも男と女の関係でいたい or 家族の一員としか見られなくて恋愛対象として見れない
・笑える感覚のズレ・・・冗談の範囲が理解できない or 理解されない
・男性は、家事をする or しない
・子供の教育方針の違い
価値観の違いにより、夫が離婚を切り出したのであれば、コミュニケーション不足と、日頃の不満が爆発したということが原因の根底にあることが多いです。
基本的なことですが、根気強くコミュニケーションをとることが改善の一手となりますので、少しずつ会話をするなど努力をするとよいでしょう。
なお法律的には、価値観の違いを離婚要件とすることは、3年程度の別居などの事情がない限り、 一般的には難しいといわれています。
ただ、長年この状態が続くと、お互いにとって良好な関係であるといえないですし、先送りにすればするほど、問題は悪化することが多いので、相手が何を不満に思っているのかをしっかり聴くようにしましょう。
離婚をしたくない場合は、相手がなぜ離婚をしたいかを考える。
夫の気持ちを考え、解決できることがないか熟考する。
自分の結論をだす
「自分は離婚したいのか」 それとも、「離婚をせずに、結婚生活を続けたいのか」
まずは、自分がどうしたいのかを一度考えましょう。
そのあとから、アクションを起こしても遅くありません。
一度今までの結婚生活を振り返ってみるとよいでしょう。
また、夫から結論を求められても、考えている間は、
「今考えている。大事なことだから、すぐには決められない」と伝えましょう。
これは①あなたの結論を出すための時間という意味合いもありますが、②夫の考え直す時間にもなります。
急いでもなにもいいことはありません。
しっかり考えて結論を出すことが必要です。
もし迷った場合は、ひとまず復縁をする方で動いたほうがよいでしょう。
離婚は後からでもできますが、復縁は自分が、さじを投げたら終わりです。
あなたの気持ちを固める
離婚をしたくない場合 5つの対策について
離婚を回避したいと結論づいた場合は、離婚をしたくないという意思を相手にきちんと伝えましょう。
ここからは、離婚を回避し、復縁する対策をお伝えします。
1. 自分から離婚の話をしない
離婚をしたくない場合、「自分から離婚の話をすすめない」ことが重要です。
一般的に、結婚も離婚も、話を進める主導権を持つのは女性が多い傾向にあります。
夫が精神的苦痛で耐えられない、また不倫相手から迫られているなどよっぽどのことがない限り、夫から手際よく離婚を進めることは稀です。
よって、あなたは、離婚の話においては、放置する(触れない)のが一番です。
名づけて「だんまり作戦」です。
こちらから 「離婚したら養育費は払ってくれるの?」「親権は私だからね」 など
離婚の話をすすめると、夫は水を得た魚のように話を進めてくることがあるので、 離婚の話は出さない方がいいでしょう。
離婚の話題をされても、いちいち応対しないというのが得策でしょう。
2. 復縁のための説得をやめる
- 「私が悪かったから考え直して」
- 「あなたの言うとおりにするから」
言葉で相手を説得したり、へりくだったりすることは、むしろ逆効果になることが多いです。
その理由として、人は、追いかけられると、逃げたくなる傾向(心理的抵抗)があるため、好意的に思うどころか、引いてしまう恐れがあります。
(特に男性に多い傾向ですが、相手の説得に屈したくないという反発心が芽生えることもあります)
自分の非を認めて説得したり自分の非を認める行動をすることは、後に離婚調停や裁判になった際に、逆効果だけでなく、録音等されていれば、調停等で不利な事情と扱われることもあるので、注意すべきでしょう。
それでは、どうしたらいいのでしょうか。
それは、相手との復縁を望むなら、行動で表すことが重要になります。
説得よりも行動で示す。
新婚当初は当たり前にしていたことを思い出してください。
行動で示すとは
- 「ありがとう」など感謝の気持ちを伝える
- 朝、「おはよう」と気持ちよく挨拶する
- 相手の目を見て話す
- 家事をする
- 毎日小言を言わない
- すぐに否定しない
- ヒステリーをやめる
時間はかかるかもしれませんが、夫につっこまれようのない、また悪いといわれたところを変えていく、そんな努力が必要になってきます。
3. 離婚不受理届
自分の意図しない離婚が成立しないための制度として、「離婚不受理届」という、離婚届が勝手に提出されても受理されないための制度があります。
もし自分の意思に反して、夫に離婚届を渡してしまったとしても、夫に勝手に離婚届を偽造されたとしても、離婚不受理届を事前に提出しておくことで、自分の意思に反する離婚を成立させないようにしましょう。
仮に意図していなくとも、一度提出された離婚届を無効にするのは、非常に労力と手間がかかります。
無断で離婚届を出すことは、あまりないかとは思いますが、念のため、離婚不受理届を出しておくと安心です。
離婚不受理届について
申請先
住所地の市区町村役場(本籍地がよりよい)
提出書類
不受理申出書 (各市区町村役場でもらえます)
身分証明書(運転免許証や保険証)
印鑑(シャチハタ以外)
なお、裁判や調停で離婚が決定した場合を除き、取り下げ申請するまで有効となります。
離婚不受理届は年間2~3万件利用されています。もしもということがありますので、早めに離婚不受理届を出しておくことをお勧めします。
4. 別居を避ける
もし、修復を考えているのであれば、別居は絶対に避けるべきです。
別居をすることにより、修復する可能性が低くなります。
別居は、話し合いする機会が減るため、心理的な距離もでき、また再度同居するのが難しいということがあります。
別居が免れない場合もあるでしょう。その時は、少なくとも、あなたが家から出ていくことは絶対に避けるべきです
裁判でも、別居期間が長いほど離婚が認められやすくなると考えられます。
5. 円満調停を検討する
調停といったら、離婚のイメージですが、円満調停といって夫婦仲を修復するための調停もあります。
家庭裁判所にて、第三者で中立である調停委員が双方から話しを聞き取り、
夫婦関係が円満になるために、解決案を提示や助言等をしてくれる制度で、夫婦関係を修復することを目的としています。
司法統計(H30年)によると、円満調停を申立した、3組に1組以上が、夫婦関係を修復したという結果がでています。
費用も安価で、3000円以下でできますので、気になる方は、住所地の家庭裁判所に問い合わせてみることをおすすめします。
直接話をするより、第三者をいれた方がうまくいくこともありますので、状況に応じて、利用を検討するとよいでしょう
夫の不倫が原因だが、離婚をしたくない
浮気(不倫)はするけど、家族が大事だという男はたくさんいます。
しかし、夫の不倫が原因で、離婚を切りだされた場合、あなたからの愛情が感じられず、よそに出て行った可能性が高いです。
では、夫の関係を修復するには、どうすればいいのでしょうか。
一緒にいたい気持ちを伝える
「あなたのことが好きなので離婚をしない」(子供のための場合も含む)ということをきちんと伝えることです。
不倫した夫にそんなことを伝えたくないと思う方もいると思いますが、気持ちをきちんと伝えないと、そのまま夫の心は、よそから戻ってくることがないので、きちんと「愛情があるから離婚したくないこと」は伝えておきましょう。
※何度も、しつこく伝えると逆効果になります。
復縁を考えている時に、特にしてはいけないことが以下の3つです。
・浮気相手と直接話し合いをする
・夫の両親に相談する
・共通の友人に相談する
特に、浮気相手に直接話をつける方法を考える方が多くいますが、話がこじれて後戻りできなくなる可能性が高まりますので、絶対にやめましょう。
ただこのケースは、離婚をしたくない。完全に不倫を許すから、一緒にいることを優先するという場合のみ有効かもしれません。
不倫した側からの離婚は、合意しない限りできない
婚姻期間中、違法行為をした側 (代表的なパターンとして不貞)のことを有責配偶者と呼びます。
夫が有責配偶者の場合、原則として、この有責配偶者からの離婚の申し出に関しては、以下のようなルールがあります。
① 妻から離婚請求する場合に、離婚原因となる。
② 夫(有責配偶者)からの離婚は、妻は応じない場合認めない。
※調停や裁判をした場合。協議離婚(お互いの合意の離婚)は除く
しかし、例外として、
- 長期期間別居(別居期間が6年で認められたものがある)。
- 未成年の子供がいない。
- 十分な経済的支援を行っている(婚姻費用の支払い等滞りなくしている)
上記のことを全ての条件に当てはまる場合は、有責配偶者でも離婚を認められるケースもありますが、現段階では、有責配偶者が離婚を申し出ても、双方の合意がない限り、離婚は認められないと考えてよいでしょう。
【参考】不倫の場合は証拠集めを
もし、夫が不倫している場合は、全力で証拠を集めましょう。
この証拠集めは、「離婚する」、「離婚しない」に関わらず、持っておいた方がいいでしょう。
もしかしたら、離婚しないきっかけにもなるかもしれませんし、離婚した場合、慰謝料請求につながる重要な証拠になるかもしれません。
当然、離婚する場合は、慰謝料請求の証拠になります。
もう離婚の話が出ているので遅いのでは?と思うかもしれませんが、遅すぎることはありません。
証拠がないと、不貞の事実すら証明できなくなりますので必ず集めましょう。
また、可能であれば同居中に証拠を集めた方がいいです。
もし別居した後だと、夫側は、すでに夫婦関係が破綻しているという理由付けしてくる恐れがあるので、できるのであれば、同居中の証拠が望ましいです。
離婚をしたくないのに離婚する方向になったら
離婚のタイミングの主導権はあなたがもっています。
よって、相手のタイミングで離婚するわけではなく、ご自身のタイミングで離婚をしましょう。
別居することになっても、婚姻費用分担義務といって、夫(収入が多い方)が、妻(収入が低い方)に、生活費を分担する義務がありますので、別居時の生活費が確保できるか、事前に調べましょう。
(妻の方が収入が多い場合は、逆に婚姻費用を負担する義務が発生するので、別居せずに早めに離婚をしたほうがよいでしょう)
なお、多くの場合、離婚後の養育費より婚姻費用の方がもらえる金額が高いので、急いで離婚するより、婚姻期間を継続する方が、経済的メリットがあります。
離婚の際には、財産分与についても話し合い、2分の1で合意するようにしましょう。
また、慰謝料や養育費が分割になる場合は、公正証書を作成した上で離婚するなど、離婚の際には、しっかりと準備するべきです。
婚姻費用を払わない、離婚協議書を公正証書で作らない夫であれば、「離婚しないこと」と駆け引きをするのもひとつの手です。
あなたが「離婚に応じる」というカードをもっているので、自分自身が納得した上で離婚しましょう。
また、子供がいる場合は子供のことも考える必要があります。
別居するにしても子供の環境ことを考え、子供に負担のないよう離婚準備をすすめていきましょう。
あなたが泣き寝入りしないために
だけど費用的に無理・・・という時代は終わりました。
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さいごに
夫から離婚を切り出された場合、復縁したとしても「離婚するなんて俺が悪かった」などと言って、円満に解決する(終了する)ということは、残念ながらありません。
いつの間にか、離婚の話題がでることもなく、通常の夫婦に戻っている。それが復縁完了となります。
面倒くさいな、と思ったらそれまでですが、夫はそのようなものです。
今は頑張って修復してみてください。
離婚を切り出されたら
・冷静に対処
・離婚をするといわない
・離婚の話題を出さない
・修復をがんばる
人によっては、修復ができない場合もあると思いますが、やれることをやってみましょう。
幸運をお祈りいたします。
是非、今後の備えとして「弁護士保険」をご検討ください‼
弁護士 松本隆
神奈川県 弁護士会所属
横浜二幸法律事務所
所在地 神奈川県横浜市中区山下町70土居ビル4階
TEL 045-651-5115
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