母子家庭の母親が知っておきたい17個の手当の種類と受給方法

配偶者との離婚や死別などにより母子家庭になってしまった場合には経済的に困るケースがあるでしょう。

実は、国や地方自治体単位で母子家庭における手当が手厚くサポートされています。
手当の種類や受給方法を理解して、賢く利用していくべきです。

本記事では、
・母子家庭が受けられる手当の種類と概要
・母子家庭が受けられる可能性のある手当の種類
・母子家庭の手当が受給できるケースとできないケース
についてご紹介していきます。

手当について正しく理解し、子どもとの豊かな生活のために受給を検討しましょう。

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目次

母子家庭が受けられる手当の種類と概要

父子家庭、母子家庭が受けられる手当の種類

母子家庭は、多くの種類の手当を受けることができます。

同じ母子家庭でも、対象となる場合とならない場合があるので、自分がどの手当の対象なのかをきちんと把握しておきましょう。

児童扶養手当

児童扶養手当は、母子家庭や父子家庭がもらえる手当で国が定める助成金です。
ですから、地方自治体で対応や金額が異なるものではありません。

1 対象

  1. 父母が婚姻を解消した児童
  2. 父又は母が死亡した児童
  3. 父又は母が政令で定める程度の障害の状態にある児童
  4. 父又は母の生死が明らかでない児童
  5. 父又は母から1年以上遺棄されている児童
  6. 父又は母が裁判所からDV保護命令を受けている児童
  7. 父又は母が1年以上拘禁されている児童
  8. 婚姻によらないで生まれた児童
  9. 父・母ともに不明である児童

上記の場合支給対象となりますが、以下に当てはまる場合には受給できませんので注意が必要です。

・母子家庭でも、婚姻関係にない内縁関係の夫(妻)がいる
・所得制限がある(下記表を参考ください)

児童扶養手当には所得制限がありますので、必ずしも母子家庭の方が全員もらえるわけではありません

もしも実家で暮らす母子家庭のひとり親なら、実家の祖父母それぞれの収入が制限を超えていなければ支給の対象となります。

また、離婚した配偶者から養育費をもらっていたなら、その養育費の8割がひとり親の収入として加算されます

児童扶養手当は、2019年度の金額は、42,910円/1人です。
2人目は、10,140円が加算されます。
3人目以降では、6,080円の加算です。

詳細は下記表をご覧ください。

区分 児童一人 児童二人目の加算額 児童三人目以降の加算額
全部支給 42,910円 10,140円 6,080円
一部支給 42,900円〜10,120円 10,130円〜5,070円 6,070円〜3,040円

※一部支給とは所得額に応じて支給される金額のことです。

子どもを一人扶養している時、母親の収入が87万円未満なら全部支給対象です

ですが、87万円を超えて230万円未満の収入なら一部支給となります。

230万円以上の場合には所得制限がかかり支給対象外です。

また、実家暮らしの場合には、祖父母いずれかの収入が274万円を超えてしまうと受給されません

所得制限に関しては下記表をご覧ください。

     
扶養する子どもの数 請求者(受給者)の所得 同居の扶養義務者
(祖父母などのどちらか所得の高い方)
全部支給対象 一部支給対象
1人 87万円未満 230万円未満 274万円未満
2人 125万円未満 268万円未満 312万円未満
3人 163万円未満 306万円未満 350万円未満
4人 201万円未満 344万円未満 388万円未満
5人 一人につき38万円加算

※2019年4月1日時点の情報

児童扶養手当の申請は地方自治体の役所の窓口で行います。必要書類は下記の通りです。

・請求者と対象児童の戸籍謄本または抄本
・請求者と対象児童が含まれる世帯全員の住民票の写し(続柄・本籍のわかるもの)
・請求者、対象児童、配偶者及び扶養義務者のマイナンバーがわかるもの
・請求者本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
・請求者の印鑑
・その他自治体窓口指定のものがあれば持参
・所得証明

戸籍謄本や抄本、住民票の写しは1ヶ月以内に発行されたものに限ります。

また、児童扶養手当は申請をした翌月から支給開始となりますが、過去の遡っての請求はできませんので注意が必要です。

母子家庭になったら速やかに申請するようにしましょう。

児童扶養手当は奇数月が支給日となります。(年に6回あります)

また、児童扶養手当は子どもが18歳の誕生日から最初に迎える3月までは支給の対象です。
なお、子どもに中程度以上の障害がある場合には、20歳未満までが支給の対象になります。

児童育成手当

「児童扶養手当」が国の制度なら、「児童育成手当」は自治体が支給する母子手当のことをいいます。

例えば東京都の場合には、児童一人当たりにつき、月額13,500円の手当が支給されます

児童育成手当にも所得制限がありますので、各地方自治体に確認してみるといいでしょう。
児童扶養手当と同じく、子どもが18歳を迎えた後の最初の3月までが支給対象です。

児童扶養手当と同様に、事実婚関係の配偶者がいる場合には支給対象外になりますのでご注意ください。

ひとり親家庭の住宅手当

各地方自治体では、ひとり親家庭に対する住宅補助金や住宅手当を支給しているケースが多くあります。

1万円程度の補助金や手当が支給されるケースが多いので、自治体の窓口に問い合わせてみてください。

母子家庭(父子家庭)における医療費助成制度

母子家庭(父子家庭)には、地方自治体から医療費助成が受けられる制度があります。

ほとんどの地方自治体で実施している制度なので一度確認してみるといいでしょう。

医療費や薬剤費が無料になる制度や、入院費用手当が支給される制度などがありますので、確認してみてください。
これは、子どもに対するものだけではなく子どもの父母も対象です

例えば東京都の場合には、住民税非課税世帯なら医療費・薬剤費の自己負担はありません。住民税課税世帯でも自己負担金は1割です。

そして1ヶ月あたりの通院負担上限金額は18,000円ですから、急な病気や怪我の際にも安心して通院できます。

医療費助成制度を申請する場合には、地方自治体の役所窓口へ問合せましょう。

母子家庭(父子家庭)自立支援給付金

厚生労働省が実施している事業の一つで、自立支援の一環として自立支援給付金が支給されます。

手に職をつけるために教育訓練機関に通い、資格取得をした場合にはかかった費用の60%を給付してくれる制度です。
ただし上限金額があり、80万円までとなっています。

また、看護師や社会福祉などの高等職業訓練を1年以上(上限4年間)受けた場合には、その間の生活費の助成金も給付されます。

住民税非課税世帯なら一月に10万円が支給され、課税世帯なら70,500円が支給されることになります。

養成機関の修了過程における最後の12ヶ月は非課税世帯では14万円が支給され、課税世帯でも110,500円が支給されます。

さらには、入学金などの負担軽減のために教育課程修了後に非課税世帯なら5万円が支給され、課税世帯は25,000円が支給されるのです。

これを受講するためには事前に申請する必要があり、また給付金を受けるために審査を受ける必要があります

「受講対象講座指定申請書」を地方自治体の役所に提出してください。
各地方自治体によって申請書の様式が異なるため、事前に窓口で問合せましょう。

サンプル:鹿児島県薩摩川内市

申請後、審査のために戸籍謄本や抄本、児童扶養手当受給証明書などを添付する必要がありますので事前に準備しておきましょう。

交通機関の割引

地方自治体によっては、母子家庭・父子家庭では電車やバスの割引や無料制度を受けられることがあります。

例えば、東京都なら児童扶養手当を受給している方を対象に、都営の公共交通機関の料金は無料という制度があります。

気になった方は各地方自治体に制度の有無を確認してみるといいでしょう。

粗大ゴミ手数料の免除

粗大ゴミを廃棄する際の手数料が減免される制度です。

児童扶養手当の受給証明書を持って粗大ゴミ処理センターに直接持参するか、電話で受付してください。

「処理手数料免除申請書」に記入し、児童扶養手当受給証明書を添付し返送しましょう。
後日、粗大ゴミの減免処理券が送られてきます。

申請方法は自治体で異なりますが、大まかな流れは同じです。

サンプル: 東京都江戸川区

上下水道の減免

母子家庭(父子家庭)は、上下水道料金が減免される制度が受けられます。

この減免制度は地方自治体固有のものなので、詳しい内容などは自治体に問い合わせてみましょう。

基本料金が無料になったり、利用料金の何割負担・決められた水道利用量までは無料など、制度はさまざまです。

シングルマザーにとって、光熱費節約は大切なポイントとなりますのでぜひ制度を利用していきましょう。

寡婦(寡夫)控除

寡婦控除とは所得税の控除のことで、死別の他に離婚での寡婦でも適用されます。

一般の寡婦控除と特別な寡婦控除に分かれていて、それぞれ控除金額が異なります。

一般の寡婦は、以下どちらかに当てはまる人を指します。

また、特別の寡婦(寡夫)控除の要件を、
(1) 夫と死別し又は夫と離婚した後婚姻をしていない人や夫の生死が明らかでない一定の人
(2) 扶養親族である子がいる人
(3) 合計所得金額が500万円以下であること。
としています。

一般の寡婦の控除金額は27万円、特別な寡婦の控除金額は35万円です。

一般の寡婦
(寡夫)         
・夫と死別または離婚したケースで、その年の12月31日までに婚姻(再婚)していない人
→扶養親族がいるまたは生計を同じくする子どもがいる 。
(ただし、親と子合わせて総所得金額などが48万円以下の方に限ります。)  

・夫と死別した、または生死が明らかでなく、その年の12月31日までに婚姻(再婚)していない人で、合計年間所得が500万円以下の人
→扶養親族などの条件はありません。  
左記のいずれかに該当する人    
特別の寡婦
(寡夫)
・夫と死別または生死が明らかではない人や離婚をしてその年の12月31日までに再婚していない人
・子どもを扶養している
・年収が500万円以下の人
左記の全てに該当する人

※ここでいう婚姻とは民法上の婚姻関係のことを指しています

寡婦控除を申告する方法は、会社員なら年末調整の際に扶養控除の申請を会社に提出します。

個人事業主などの場合には、確定申告の際に税務署に申告してください。

母子父子寡婦福祉資金

母子父子寡婦福祉資金とは、母子家庭や父子家庭の方が、無利子や低金利でお金を借りられる制度のことです。

子どもの進学などで利用できる制度で各地自体の管轄です。

貸付条件や返済については各地方自治体で確認するといいでしょう。

母子家庭が受けられる可能性のある手当の種類と概要

母子家庭が売れられる可能性のある手当

母子家庭だけが対象ではなく、所得や障害の有無などで受けられる手当があります。

今回は、母子家庭なら受けられる可能性が高い手当についてご紹介します。
受給条件などをしっかりチェックし、申請しましょう。

児童手当

児童手当は、国の制度で中学生までの児童を持つ監護者を対象にした手当です。児童手当の金額は下記表をご覧ください。

児童の年齢 月額
0歳から3歳未満(一律) 15,000円
3歳以上小学校修了前(第一子、第二子) 10,000円
3歳以上小学校修了前(第三子以降一律) 15,000円
中学生一律 10,000円
特例給付 0歳から中学生(一律) 5,000円

※18歳に達する日以降の最初の3月31日までの間にある児童で年齢の高い順番に第一子と数えます。

ただし、児童手当には所得制限があります。

所得制限にかかっていたとしても、2020年の時点では、特例給付として子ども一人につき一律5,000円が手当として支給されています。

給付日は2/12・6/12・10/12です。

所得制限は下記の表をご参考ください。

扶養人数 所得制限限度額
0人 622万円
1人 660万円
2人 698万円
3人 736万円
4人 774万円
5人 812万円

※6人目以降は一人につき38万円の所得制限額が加算されます。

児童手当の申請は、公務員の場合は所属庁から支給されます。

その他の場合には、自治体の役所に申請してください。その際、必要な書類は下記の通りです。

・請求者の印鑑
・請求者名義の預金通帳かキャッシュカード
・請求者本人の年金加入証明書または健康保険証の写し(ただし、厚生年金加入者の場合)
・マイナンバーの確認に必要な書類
・その他、自治体が必要とする書類

遺族年金

配偶者と死別して母子家庭になってしまった場合、加入していた年金の種類によって遺族年金が受給されます。

亡くなった方の配偶者や子どもが受給の対象ですので、一度年金事務所に確認してみるといいでしょう。

遺族年金には受け取れる期間(5年以内)がありますから、忘れずに請求してください。

生活保護

生活保護とは、何らかの事情で働けない、働いても収入が極端に少ないなどの事情がある場合に国から支給されるお金です。

国民全員に最低限の生活を補償するための制度で、生活保護法に従って受給できます。
生活保護の申請は各自治体の役所窓口です。

ただし、養育費なども収入として換算されますので、理由があって働けない、収入が少ないと感じても生活保護が受けられないケースもあるでしょう。

生活保護は最低限の生活を国民に補償する制度ですから、贅沢品は禁止ですし、所有している資産があるなら売却する必要があります。

安易に母子家庭だからと受給できる制度ではありませんので、注意してください。

国民年金・国民健康保険の免除

母子家庭になり所得が減少した場合には、国民年金保険料や国民健康保険料が減免されるケースがあります。

これは前年度の世帯収入に応じて金額が定められているからです。

国の制度と各自治体で行っている制度がそれぞれありますので、チェックしてみてください。

特別児童扶養手当

もしも、扶養する子どもに障害等級1級ないし2級の障害があった場合には、特別児童扶養手当が支給されます。

精神の障害及び身体の障害どちらでも支給されます。
子どもが20歳未満で監護・養育している方に支給される手当です。

障害等級1級なら52,200円、2級なら34,770円が支給されます。
支給日は4月8月12月の3回です。

ただし所得制限がありますので、ご注意ください。
申請は自治体の役所窓口から行えます。

障害児福祉手当

子どもに重度の障害があり、日常生活でも常に介助が必要な20歳未満の子どもに支給される手当です。

児童扶養手当が監護者に支給されるのに対して、障害児童福祉手当は子どもに対して支給されます
支給額は14,790円です。

ただし、所得制限があることは特別児童扶養手当と同様です。
支給月は2月5月8月11月となり、申請は自治体の役所窓口から行えます。

保育料の減免

2019年10月からは、国の制度で幼稚園や保育園、こども園などの無償化が実施されています。

住民税非課税世帯の場合には、0歳から2歳児の保育料が無償です
認可保育園や認可こども園が対象です。

母子家庭の場合には住民税非課税世帯が多いので、0歳から保育園が無償で利用できる可能性が高いでしょう。
認可外施設の場合には月に4万2千円までは利用料金が無料になります。

就学支援金制度

地方自治体によって制度は違いますが、義務教育が終わり高等学校や大学に進学する際に支援金や助成金が支給されるケースがあります。

所得によって支給額は異なりますが、母子家庭なら支給される可能性が高いでしょう。
気になる方は自治体の窓口に問い合わせてください。

母子家庭の手当が受給できるケースとできないケース

母子家庭だからといって全ての手当が受けられるわけではありません。

ほとんどの手当には所得制限があるので注意しましょう。

また、母子家庭とは民法上の婚姻関係だけで判断されるものではありません

内縁関係でも条件に加味されてしまうので、事実婚関係の方は注意する必要があります。

似たようなケースで、離婚後、実家に身を寄せている方は祖父母の収入も加味されてしまう手当もあるので注意しておきましょう。

母子家庭の手当は自動的に給付されるものではなく、申請が必要です

中には審査があり、支給されるまでに時間がかかるものもありますので、母子家庭になったらできるだけ早めに申請しておきましょう。

財産分与や養育費は大丈夫?離婚の際には弁護士に相談

母子家庭の公的支援・手当は大切ですが、その前に離婚の際にはきちんと財産分与や養育費の請求をしていきましょう

それだけでも生活の糧にはなります。

婚姻生活中に夫婦で築いた財産は分与の対象です。
預貯金や家財道具も分与されますので漏れなく財産を分けていきましょう。

そして養育費は子どもを養育するために当然受け取るべきお金です。

離婚を急ぐからと養育費の請求をしていない場合には後から後悔することになるでしょう。

離婚の際には金銭面でも不利にならないように弁護士に相談するべきです。
適切な財産分与や慰謝料・養育費の請求を弁護士が代理で行ってくれます。

あなたが泣き寝入りしないために

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*1 件数は2023年3月現在  *2  2013年~2022年。単独型弁護士保険として。2023年3月当社調べ。*3 99プランの場合 *4 初期相談‥事案が法律問題かどうかの判断や一般的な法制度上のアドバイス 募集文書番号 M2022営推00409

まとめ

母子家庭の手当は種類が多く、申請方法もまちまちです。

国の制度であっても、基本的に申請窓口は地方自治体の役所の窓口になるでしょう。

離婚したからと自動的に手当が受給されるものでもありませんので、申請はもれなく行ってください。

母子家庭は収入も少ないケースが多く、できるだけ利用できる公的援助は受けていった方が子どものためにも安心です。

母子家庭の環境でも幸せに生活することはできますので、できるだけ金銭面でも豊かになれることをお祈りします。

弁護士保険で事前に今後のトラブルを予防するのもオススメします。

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