ある日家庭裁判所から通知が!
中を見てみると「離婚調停の呼び出し状」・・・。
離婚調停を申し立てられた場合、離婚調停期日に応じて裁判所にいくこと、照会書の照会事項に対する回答を期限までに提出することが求められます。
離婚調停の日時は、呼び出し状が届いた約一ヶ月後の平日。
仕事のスケジュールや取引先の都合でうまく予定を合わせることができなかったり、当日になって体調不良になって外出が困難になったり、そもそも離婚を考えていなかったり等様々な事情があり得ます。
まったく予想もしないタイミングで届いた場合などは出席することも億劫になってしまうでしょう。
離婚調停には必ず出席しなければならないのでしょうか。また、欠席した場合にはどんな不利益があるのでしょうか。
記事に入る前に・・・
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離婚調停を欠席するとどうなるのか
欠席した場合の離婚調停の進み方
離婚調停は当事者双方が揃って話し合うことが目的ですので、どちらか一方が欠席した場合は離婚調停を行うことができません。
この際、直ちに離婚を認めるといった判断は下されません。
次回の離婚調停に向けて、申立人からの依頼により裁判所から出頭勧告が出されます。
しかし、無断欠席(離婚調停の呼び出しを無視)した場合、婚姻費用の分担請求離婚調停が併せて行われている場合は、自動的に審判手続きが開始され、裁判官が婚姻費用として支払うべき額を決定します。
つまり、あなたの言い分を聞かぬまま、申立人の言い分のみで裁判官が婚姻費用分担請求の判断をすることになります。
欠席した場合のリスク
離婚調停員の心証が悪くなる
出席する義務があるにも関わらず、無断で欠席をした場合、「裁判所の手続きを無視し、社会のルールを守ることのできない人間」という印象を持たれることになります。
仮に申立人が離婚調停の場においてあなたのことを「何事にもルーズ」「約束を守れない」「自己中心的で他者を顧みない」などと話していた場合、無断欠席していることでその発言に大きな説得力を持たせ、信憑性が高くなってしまいます。
離婚調停委員は第三者として夫婦間に適切な助言をして問題を解決することを目指しているので、可能な限り公正な立場で両者から話を聞こうとします。
しかし、離婚調停委員も人間である以上、無断欠席する人間に対して有利になるよう助言する可能性は低くなってしまいます。
また、未成年の子がいる場合は、子どものことについて話し合おうとしない態度は親権者としての適格性を疑われる理由の一つともなり得ます。
罰金がある場合がある
正当な理由がなく欠席を続けると、裁判所から出頭勧告を受けることになります。
その出頭勧告を無視してさらに欠席を続けると、5万円以下の過料に処せられる可能性があります。
実際に過料制裁が課されるか否かは、欠席の理由や離婚調停に関する意向調査(電話または書面で行われる)によって判断されますが、実際に過料制裁が課されることはほとんどありません。
すべて欠席すると離婚調停不成立となる
裁判所から出頭勧告を出されてもなお欠席を繰り返した場合、話し合いを継続することは不可能と判断され、離婚調停不成立となり、相手が離婚裁判(離婚訴訟)を起こすことが可能となります。
離婚調停はあくまで話し合いの場であるため、片方が出席しないまま全てを判断し確定することはありません。
しかし、裁判となると全く話が異なります。
裁判において欠席することは「争う意思がない」、「相手の主張を全て認める」と判断され、ほとんどの場合、申立人の主張が丸々通ってしまいます。
裁判の手順は離婚調停と異なり、訴え提起となる訴状が申立人から送達され、期日までに答弁書を提出しなければなりません。
訴状が送達された以上、あなたが内容に目を通したか否かは事実に関わらず「内容を確認した」と認識されます。
これらを無視した場合、いわゆる欠席裁判となり、申立人の主張通りに判決がくだされます。
また、「じゃあ裁判になったら出席すればいいや」と考えるのも危険です。
離婚裁判の場合は、裁判前の離婚調停の内容も大事な資料となりえます。
あなたが欠席をし、裁判所の出頭勧告も無視したという事実は消せないのです。
離婚調停を欠席する場合の2つの対処法
裁判所に連絡する
欠席する正当な理由を伝える
やむを得ず欠席することになった場合には、家庭裁判所へ電話し離婚調停の事件番号と氏名を伝え欠席する旨を連絡しましょう。
欠席の理由を詳細に聞かれることはほとんどありませんが、休む理由をきちんと伝えることで、あなたの心証が悪くなる可能性はかなり低くなります。
「仕事の都合で出席ができない」というのは十分な理由ではありますが、ただ単に「行きたくない」と拒否したり、呼び出しを無視したりと、「本来出席できれば出席していた」という意思が全く見られない場合は、裁判所から出頭勧告が出されてしまいます。
休む理由を伝える際に、次回出席できる日程の候補をいくつか挙げるのが良いでしょう。あなたの希望も考慮した上で次回の期日が決定されます。
出席する意思を示す
電話連絡の他に、前もって出席できないことがわかっていれば、期日変更申請書を提出することによって期日変更(延期)が可能です。
ただし、離婚調停委員や離婚調停室のスケジュールの都合上、必ず認められるわけではありません。
場合によっては「申立人の話だけでも聞くので期日の変更は不可能。次回以降で都合がつく日時を連絡するように」というケースもあり得ます。
こうなってはどうすることもできませんので、裁判所の指示に従うようにしましょう。
いずれにせよ、事前連絡をして欠席する旨を伝える・出席の意思はあると示しておくことが、離婚調停において著しく不利にならない手段と言えます。
代理人を立てる
離婚調停は平日昼間(午前・午後)に行われるため、土日や夜間には行われません。
職業等によっては、離婚調停に応じる意思があるにも関わらずどうしても出席できない場合もあります。
そのような場合には、代理人を立て代理人に出席してもらい、話を進めることも可能です。
しかし、離婚調停は本人同士の話し合いが本質ですので、代理人が出席しても本人がいなければ、原則として進展は見込めません。
双方の事情によっては代理人のみ出席によって話が進展することはあり得ますが、離婚調停成立の際には本人の出席が必要となります。
なお、代理人を立てる場合はあなたの意思を代弁することになるので綿密な打ち合わせを心がけましょう。
離婚したくないなら離婚調停に出席すべき?
突然離婚調停を申し立てられたものの、「子どものことを考えて」、「相手に対してまだ好意を抱いているので」等、離婚したくないと考えることもあるかと思います。
離婚調停は、正式には「夫婦関係調整離婚調停」といって、字のごとく夫婦関係を調整するための離婚調停になります。
申立人の主張を一方的に通すのではなく、夫婦双方からの主張をもとに解決を目指すための場であり、申立人が離婚を望んで申し立てているものを一般に離婚調停と呼んでいるのです。
第三者である離婚調停委員は夫婦にとって適切な助言をできるよう心がけているため、たとえ申立人が離婚を望んでいても、相手方が離婚を望まず、また、夫婦関係に改善の可能性があると判断すれば、離婚しないという解決に向けて助言をしてくれる可能性があります。
しかし、あなたが欠席を続けた場合、「離婚したくない」という意思は口だけのものと判断されかねません。
「本当に夫婦仲を改善しようと考えていればなんとしても都合をつけ、真摯に話し合う姿勢が見られるはず」
離婚調停委員が必ずしもこう考えるわけではありませんが、申立人が離婚の意思を示しているにもかかわらず、それに応じず出席しないというのは心証として良い方には転ばないと考えられます。
最終的に離婚をしたくないと考えるのであれば、離婚調停には出席した方が結果的には良いと言えます。
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まとめ
離婚調停を欠席することは可能ですが、無断欠席や連続して欠席するとリスクがかなり大きくなってしまいます。
「やむを得ない理由があり事前に連絡を入れて一回欠席してしまった」程度であれば大きく不利になる可能性は高くはないでしょう。
しかし、離婚調停を欠席することはマイナスになりこそすれ、プラスになることはありません。
離婚する・しないに関わらず、その協議の場である離婚調停を当事者本人が軽視してしまうことは社会性の欠如や非常識と捉えられてしまいます。
自分の望む結果を得るためにも、離婚調停の無断欠席を避け、自身で把握して臨むことが賢明であると言えるでしょう。
是非、今後の備えとして「弁護士保険」へのご加入をオススメします!
小林義典 弁護士
東京弁護士会
袖ヶ浦総合法律事務所
住所:千葉県袖ケ浦市神納2-5-18 SKYCITY13-A
電話番号: 0438-42-1247
2009年弁護士登録。
交通事故、労働事件(労働者、使用者)から、家事事件等の一般民事事件を手広く行っています。
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