未婚でも養育費の請求はできる!養育費を受け取るための 3ステップを詳しく解説!

「付き合っている彼氏との間に子どもができてしまった。」

「子どもが生まれたら籍を入れる予定だったが、連絡が取れなくなってしまった。」

事情は様々ですが、日本国内の未婚のシングルマザーは年々増えています。

総務省によれば、シングルマザーの総数は約110万人、そのうち他の家族と同居していない「母子のみにより構成される母子世帯」の数は約75万世帯で、世帯平均年間収入は243万円となっています。

子どもを育てていくにはお金がかかります。

しかし、母親一馬力のみで子育てをするにはどうしても収入が限られてしまうケースが多くなります。

児童手当等の補助もありますが、まずは子どもの父親から養育費を受け取りましょう

子どもには、父親から扶養を受ける権利があり、母親は子どもに代わってそれを請求することが可能なのです。

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丸山弁護士

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目次

未婚(相手と婚姻していない状態)でも養育費を請求できる

夫婦の関係と親子の関係は別物です。

子どもの父が、たとえ母と結婚していなくても子どもの父親として扶養義務があります。したがって子どもの養育費を支払う義務も生じます。

ただし、法律上で父親と子どもの親子関係を成立させる必要があります。

その上で、法的拘束力をもって養育費の支払いをさせなければなりません。

そのためには、下記の3つが必要となります。

(1)父親が子どもを認知する
(2)養育費を請求する(金額を取り決める)
(3)養育費について公正証書を作成する

認知とは?

認知とは結婚していない男女の間に生まれた子どもを、「自分の子どもである」と法的に認めることです。

母と子の関係については、原則として認知の手続きをする必要がありません。それは出産の事実があるため当然に親子関係が生じるものとされているからです。

しかし、父と子の関係については、出産の事実が得られない以上、認知によって法律上の親子関係を発生させなければなりません。

未婚の男女では、年齢に関わらず、「認知をする」「認知しない」で問題になるケースが少なくありません。

認知していれば養育費の請求可能

母親が未婚の場合、生まれた子どもは母親の戸籍に入ることとなり、父親の欄は空白となります。

この状態では、子どもの法律上の父が確定しないので養育費を請求することができません。ま

ずは子どもの父親から認知を受ける必要があります。認知によって法律上の父子関係が成立すれば、法律上の父に対して養育費を請求することが可能となります。

逆に言えば、認知を受けていない場合は養育費の請求が困難となってしまいます。

認知の種類

認知には、主に任意認知と強制認知の2種類があります。

① 任意認知

父親である男性が、自らの意思で子どもの父親であることを認めることをいいます。
子どもの父親であることに同意して役所に認知届を出すことで、任意認知が成立します。

② 強制認知

父親である男性が認知を拒否する場合、裁判所を通じて強制的に認知させる制度です。

家庭裁判所で調停が開かれ、調停委員を交えて当事者同士で話し合い、任意認知をするか否かの交渉が行われます。

調停で男性が任意認知を拒否し、合意に至らない場合は、裁判を起こすことが可能となります。

裁判の場で、子どもの父親が間違いなくその男性であるという証拠(DNA鑑定等)を提出できれば、男性が認知を拒否しても強制的に認知させることができます。

任意認知・強制認知のどちらであっても、認知を受けることができれば子どもは父親の扶養義務と相続権を得ることができます。

認知までの手順

任意認知の手続き

役所へ父親本人が認知届を提出します
届出先は、①認知する父親の本籍地、②認知する父親の所在地、③認知される子の本籍地、④認知される子の所在地のいずれかになります。
※胎児を認知する場合は、届出先は母親の本籍地のみ

必要書類は以下になります。

・認知届
・印鑑
・本人確認書類
・(本籍地以外で提出する場合)父親と子それぞれの戸籍謄本
・(胎児認知の場合)母親の承諾書

強制認知の手続き

男性の住所を管轄する家庭裁判所に、認知を求める子または法定代理人(母親)が申し立てを行います。

必要な費用
・収入印紙1200円分
・連絡用の郵便切手(申立を行う家庭裁判所へ確認が必要)
 必要な書類
・申立書とその写し1通(裁判所のWEBページからダウンロード可能)
・子の戸籍謄本(全部事項証明書)
・相手方(男性)の戸籍謄本(全部事項証明書)
(申立前に入手が不可能な場合は、申立後に追加提出も可能)

申立後、約1ヶ月程度で初回の期日の連絡が来ます。

調停で合意が得られず裁判へ移行した場合、民事訴訟と同様に訴状や証拠を準備する必要があります。

親子関係を立証するために主張すべきこと、証明力の有無等、法的知識が不可欠となります。

もちろん、自分自身で行えば費用は抑えられますが、最終的に認知が得られなければ徒労に終わってしまうでしょう。

認知を得られる可能性を最大限上げられるよう、裁判までもつれた場合は必ず弁護士へ相談しましょう。

もちろん調停の段階で相談すれば、調停の段階で認知を受けられる可能性がぐっと上がります。

裁判所で認知が認められたら、裁判の確定日から10日以内に認知届を役場へ提出します。

基本的には任意認知と同じですが、強制認知の場合は、認知を認めた審判調書または判決の謄本と、確定証明書(裁判所で交付申請する)も必要となります。

認知をもっと詳しく

慰謝料は請求できない?!

女性の立場からすると、妊娠させておいて逃げる男性に対しては慰謝料を請求したくなるでしょう。

しかし、妊娠の事実のみを理由に慰謝料を請求することは基本的に難しいといえます。

性交渉に合意があれば、妊娠は双方に責任があるといえるからです。

ただし、婚約を一方的に破棄された場合等、事情によっては慰謝料請求が認められる場合があります。

子どものための養育費はもちろん、あなた自身への慰謝料を得られる場合もありますので、迷ったら弁護士へ相談してみましょう。

養育費を請求する方法

養育費を請求する手段

当人同士で話し合う

任意認知で認知が得られた場合、最も多くとられる方法です。

養育費は子どものために必要なお金であり、子どもが自立するまで継続して支払ってもらうものですので、相手方ではなく自身の経済状況と将来を考えて金額を決める必要があります。後述の「養育費の相場とは」を参考にしてください。

養育費請求調停を申し立てる

話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に調停の申立をして、養育費の支払いを求めることができます。

必要な費用
・収入印紙1200円分(子ども1人につき)
・連絡用の郵便切手(申立を行う家庭裁判所へ確認が必要)
 必要な書類
・申立書とその写し1通(裁判所のWEBページからダウンロード可能)
・子の戸籍謄本(全部事項証明書)
・申立人の収入に関する資料(源泉徴収票写し、給与明細写し等)

申立後、約1ヶ月程度で初回の期日の連絡が来ます。

なお調停での話し合いがまとまらない場合は審判へと移行します。

養育費の相場とは

養育費の額は、法律上いくらと金額が決まっているものではありません。父母双方の合意があれば金額はいくらでも構いません。

双方の金銭状況によって合意できる金額は変わりますし、支払う側は少なく、受け取る側は多くと考えます。

目安として、家庭裁判所が養育費算定表というものを作成しています。

親権者(権利者)と非親権者(義務者)の年収をもとに養育費の目安として確認できます。

相手方の提示する額をそのまま受け入れた場合、本来もらえるはずの適正額をもらえずに損をしてしまう可能性があります。

算定表を確認して、適正額か否かの判断材料にしましょう。

養育費の金額が決まったら公正証書に残す

養育費の支払いについて話し合いがまとまったら、必ず公正証書を作成しましょう。

公正証書とは、法務大臣に任命された公証人が作成する公文書です。

私的に作成した文書とは違い、信頼性が高いため、公正証書に強制執行を認める文言を入れておけば、養育費の支払いが滞った場合は裁判無しですぐに強制執行が可能となります。

また、作成された公正証書の原本は、公証役場で20年間保管されるため、改ざんや捏造、破棄や紛失のおそれもありません。

公正証書にしてその効力を相手方にも認識させることで、支払いの遅れや未払いを防ぐことができます。

子どもの生活と将来の為に、手間がかかるとしても必ず作成しましょう。

なお、口約束は絶対にしてはいけません。養育費支払いの内容と双方の署名のみといった私的な文書はできれば避けた方がよいでしょう。

口約束では、相手方が「そもそもいくら払うか決めてない」などと開き直った場合に証明することが困難ですし、私的文書の場合は、強制執行をするためには裁判を起こす必要があり、迅速性に欠けることになります。

また、場合によっては、私的な合意書について改ざん等の疑いをかけられ文書の成立を争われる可能性もあります。

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さいごに

養育費は子どものために必要なお金であり、また母親を助けるお金でもあります。

また、生まれたばかりの子育ては負担が大きいものです。

できるだけ早く確実に決着をつけるには、調停や審判・裁判を避けることがポイントです。

最短での決着の道筋を、可能であれば弁護士と相談し、しっかりと準備してのぞみましょう。

あらかじめ弁護士保険などで、今後のリスクに備えておくことをおすすめします。

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