厚生労働省によると、2018年の婚姻総数は59万件近くとなりました。
この中で、夫婦の一方が外国人(いわゆる国際結婚)の方は2万人ほどとなっており、外国人との結婚は珍しいものではなくなってきています。
しかし、異なる文化で育った2人が結婚生活を維持する、ということは苦労や困難が少なくありません。
乗り越えるべき壁を乗り越えられず、離婚を選択する夫婦も多くいるでしょう。
そんな夫婦に向けて、今回の記事では「国際離婚」について、弁護士が詳しく解説します。
記事に入る前に・・・
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日本でも少なくない?国際離婚の現状
「国際離婚」と聞くと、すごく特別な手続きのように聞こえるかもしれません。
しかし、日本における国際結婚(夫婦の一方が外国人である夫婦)の離婚率は、日本人同士の離婚率よりもむしろ割合が高いと言われています。
離婚件数も、ここ10数年の間は、日本人同士の離婚件数が20~25万件、国際離婚はそのうち1万~2万件となっており、決して少ない数ではありません。
日本でも、「国際離婚」は珍しくない手続きになってきたようですね。
日本における離婚の手続きは、離婚届を役所に提出する「協議離婚」のほか、家庭裁判所の調停(話し合い)による「調停離婚」、家庭裁判所が審判を下す「審判離婚」、裁判所で離婚を争う「裁判離婚」、離婚裁判中に和解が成立する「和解離婚」等があり、全体の8.5~9割程度は「協議離婚」と言われています。
国際離婚は、日本人同士の離婚の場合と同様に簡単な手続きで離婚ができるかというと、実はそうではなく、非常に複雑な問題もはらんでいます。
国際離婚の場合には、日本人同士の離婚と違って、特にどのようなことに注意せねばならないかを、以下見ていきましょう。
国際離婚の場合、どこの国の法律が適用される?
そもそも、国際離婚の場合は、どこの国の法律にしたがって判断されるのでしょうか。
例えば、あなたが日本人の妻で、夫がカナダ人である、という場合には、日本の法律が適用されるのか、カナダの法律が適用されるのか。この問題を「準拠法(どこの法律が適用されるのか)の問題」などと呼んでいます。
準拠法の問題は、実はとても難しい問題で、長年、日本でも大議論が展開されてきました。
例えば、フィリピンではそもそも離婚が認められていません。(似た制度はあります)
日本人妻、フィリピン人夫が結婚した場合、準拠法がフィリピン法となってしまうと、一生離婚ができないのでは?!という問題さえ生じうるわけです。
また、上記とは逆に一方の意思表示のみで離婚ができてしまう国や、行政機関や裁判所の許可をもらわないと離婚ができない国まで、離婚に関する法制度は各国様々であり、準拠法がどこの国の法律になるかは、とても重要な問題です。
準拠法の決め方は、「法の適用に関する通則法(通則法)」という法律によって決定されます。
そして、離婚については、(通則法25条、27条により)
- 夫婦の本国法が同一であるときはその法
- その法がない場合において夫婦の常居所地法が同一であるときはその法
- そのいずれの法もないときは夫婦に最も密接な関係がある地の法
- 夫婦の一方が日本に常居所を有する日本人であるときは日本法
と定められています。
例えば、日本に住んでいる日本人妻と、カナダ人の夫では、④により基本的に日本法が適用されることになりますが、カナダ人同士が日本で離婚するような場合は、①によりカナダ国の法律になる、ということになります。
また、子どもに関すること(親権・面会交流・養育費など)については、通則法32条によって、
「親子間の法律関係は、子の本国法が父又は母の本国法(父母の一方が死亡し、又は知れない場合にあっては、他の一方の本国法)と同じ場合には子の本国法により、その他の場合には子の常居所地法による。」
とされています。
したがって、日本人妻とカナダ人との間の子どもが日本国籍の場合は日本法、その子どもがカナダ国籍の場合は、カナダ国の法律に従う、ということになります。
国際離婚の場合、どこの裁判所を使うことになる?
先ほどの準拠法の問題は、「どこの国の法律を使うのか」の問題でしたが、「どこの国の裁判所を使えるのか」は実はまた別の問題です。
例えば、カナダ国の法律にしたがって、日本の裁判所で離婚に関する判断をしてもらう、ということもあり得るわけです。
この、「どこの裁判所が使えるのか」の問題を、「国際裁判管轄の問題」などと言います。
夫婦の一方が外国籍であるなど、国際的な要素を有する事件について、どのような場合に日本の裁判所が審理・裁判をすることができるかについては、実ははっきりとした明文が従来ありませんでした。
しかしながら、平成31年4月より、「どのような場合に日本の裁判所が使えるか」について、人事訴訟法等の一部を改正する法律(平成30年4月18日成立)が施行され、明文化されました。
この法律によれば、
- 被告(相手方)の住所(居所)が日本国内にあるとき(同法第3条の2第1号)
- 夫婦双方が日本国籍を有するとき(同条第5号)
- 夫婦の最後の共通の住所が日本国内で、原告の住所が日本国内にあるとき(同条第6号)
- 原告の住所が日本国内で、被告が行方不明など、当事者の衡平や適切迅速な審理のための特別の事情があるとき(同条第7号)
上記の場合には、日本の裁判所を利用することができるとされました。
これにより、およそ日本で暮らしている夫婦であれば①によって(仮に夫が海外に逃亡した場合等であっても③や④によって)日本の裁判所で審理してもらえる途は大きく開けていると言えるでしょう。
外国の法律を使って日本で裁判を行う場合
外国の法律を使って日本で裁判を行う場合、必ず外国の法律がそのまま適用されるかというと、必ずしもそうではない点に注意が必要です。
通則法42条では、「外国法によるべき場合において、その規定の適用が公の秩序又は善良の風俗に反するときは、これを適用しない。」と定められています。
つまり、日本の裁判所で、「この国の法律を日本で使ってしまうと、日本の道徳観念に反する」などと判断した場合には、その法律の適用を排除することができるわけです。
例えば、東京家庭裁判所平成31年1月17日判決は、ミャンマー国籍を有するイスラム教徒の夫婦(日本の永住者資格あり)について、通則法によればイスラム法が適用され、イスラム法の下では、「夫が一方的に離婚を宣言すれば離婚できる」とされているところ、日本の公序に反するとの理由で、日本法を適用し、「そのような離婚は無効である。」と判断しています。
イスラム法によれば、夫が妻に対し、「タラーク」と一方的に3回唱えることによって離婚が成立すると定められているので、この法律に基づけば離婚が成立する事案のはずでした。
しかし、日本の裁判所は「夫の一方的な宣言で離婚を成立させることは日本では許されない。」として、裁判所の判断でイスラム法を排斥し、日本法を適用したことになります。
このように、必ずしも通則法にしたがって、準拠法がそのまま適用されるわけではないことも注意が必要です。
国際離婚する場合の手続きは?
国際離婚をする場合の手続きで気をつけねばならないのは、「日本国内で離婚した」ことになっても、当然に、「外国でも離婚した」ということにはならない点です。
例えば、日本の役所に離婚届を提出したとしても、日本で離婚という効果が生じるにすぎません。
この後、外国でも離婚の効果を生じさせるためには、相手国の在日大使館に、離婚の届出手続を行わねばならないわけです。
さらに難しいのは、国によっては「協議離婚(当事者の話し合いで離婚を決める)制度」を認めていない国があるということです。
例えば、カナダでは、当事者の話し合いによる離婚は原則として認められず、裁判所の関与が必要とされています。
日本の離婚裁判に似たような「裁判所が離婚原因を判断する」ことや、「裁判所が当事者の作成した書面を確認して離婚を認める」ことなどが必要となってきますので、カナダにおいて離婚の効果を生じさせるためには、カナダの裁判所での手続きを踏まねばなりません。
日本で離婚をした場合に、外国でも離婚の効果を生じさせるためにはどのような手続きが必要かについては、各国の制度により様々です。
悩んだ場合には、該当国の在日大使館に問い合わせをして確認することをお勧めします。
子どもに関すること(親権・養育費・面会交流)はどうなる?
子どもに関することをどの国の法律で決めていくかについては、先ほどの通則法によることになりますが、離婚後の子どもに関する取り決めについては、国によってその考え方は様々です。
例えば、日本では、離婚後は単独親権(夫婦のどちらかが親権者となる)制度がとられていますが、世界の情勢はむしろ、「離婚後も共同親権となる(親権のあり方は様々である)」制度の方が主流と言えます。
日本では、母親が親権者となることが多いため、離婚後には完全に音信普通になったり、養育費さえ払わなかったりといった父親も少なくありません。
一方で、海外では原則としてそのような事態は想定しておらず、「子どもの立場」を尊重する見地から法制度が充実されています。
離婚後も共同親権となったり、養育費を取り決めないと離婚ができなかったり、面会交流に関する取り決めを必ずする必要があったり、同居親が非同居親から遠くに転居することに制限が課せられたりと、日本とは違った制度が多数定められています。
通則法により、日本法が適用される場合には、原則として日本の法律にしたがって親権・養育費・面会交流などを定めればよいことになりますが、仮に準拠法が外国の法律となる場合には、大使館に問い合わせをしたり、弁護士に相談したりする等して、適用される国の法律をしっかり確認する必要があります。
また、準拠法が日本の法律であったとしても、国が違うことにより、文化や考え方が大きく異なる可能性はありますので、十分に夫婦で話し合って納得のいく内容にすることが大事だといえます。
ハーグ条約
国際離婚の場合に、海外に子どもが連れ去られたりしてしまうと、距離も遠く離れていることから、その返還は相当難しくなることが危惧されます。
ここで、皆さんも聞いたことがあるかもしれませんが、国をまたいだ子の奪い合いに関しては、ハーグ条約といわれる条約が存在します。
正式名称は、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」といいます。
これを受けて、日本では、「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律(実施法)」が成立し、平成26年4月1日から施行されています。
令和元年5月10日には、「民事執行法及び国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の実施に関する法律の一部を改正する法律」が成立し、国際的な子の返還の強制執行に関する実施法の規定が改正され、こちらは令和2年4月1日から施行されています。
このように、国をまたいだ子どもの奪い合いについては、条約や法律がその保護を手厚く保障してくれていますので、海外に子どもを連れ去られてしまった、等の場合には、ハーグ条約に締約している国であれば、子を返還するよう外務省に助けを求めることができます。
ハーグ条約は、日本が締約国となって歴史はまだ浅いですが、外務省(日本の中央当局)では、このハーグ条約締約を受けて、子どもの返還援助申請、面会交流援助申請の受付・審査、当事者間の連絡の仲介、外務省の費用負担による裁判外紛争解決手続機関(ADR)の紹介、弁護士紹介制度の案内、面会交流支援機関の紹介等の支援を行っています。
海外に子どもを連れ去られてしまった等の問題でお困りの場合は、外務省に連絡をして、手続きのサポートを受けることも有益です。
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国際離婚については、特に、
(1)どこの法律が適用になるか、
(2)どの裁判所で判断すべきか、
(3)どのような手続きをとるべきか、
などをしっかり確認しましょう。
そして、離婚制度や親子の関係については、考え方や法制度が国によって大きく異なりますので、準拠法が外国法になる場合にはもちろん、準拠法が日本法であったとしても、その国の法律や考え方をしっかり確認することはとても重要です。
最近では、国際離婚を多数扱う弁護士も増えているので、不安や悩みがあるようでしたら、弁護士に相談するようにしてください。
何より、離婚やお子様の事を考える際、当事者間で感情がもつれると、視野が狭くなってしまったり、冷静な判断ができなかったりすることも少なくありません。
離婚に関して悩むこと自体、とても心労のかかることなので、本当に離婚すべきなのかどうか、離婚するとしてどのタイミングや手続きで行うべきなのか、お子様の事をどのように取り決めるべきなのか、財産に関することをどう決めるべきか等、第三者から客観的な意見を聞くこともとても有益です。
離婚に際し、不安があるようでしたら、弁護士を頼っていただき、少しでも安心材料を増やすようにしてくださいね。
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男女問題、交通事故を中心に、幅広い分野を扱う。
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