「離婚」には、様々な方式があります。
一番有名なのは、お互いが離婚に同意して離婚届を役所に提出する「協議離婚」だと思います。
協議離婚の場合でも、
- 公正証書を作成して離婚するケース
- お互いで書面を作成して離婚合意書を交わして離婚するケース
- 口約束だけで離婚するケース
- 何も取り決めずにそのまま離婚届だけ出すケース
など、離婚の仕方は様々です。
裁判所を利用して離婚する方法も、実は色々あります。
- 離婚調停を申し立てて、調停のお話し合いで離婚を成立させる「調停離婚」、
- 調停でお話し合いがまとまらずにそのまま裁判所に「調停に代わる審判」というかたちで離婚の判断をしてもらう「審判離婚」
などが挙げられます。
これらの 「調停離婚」 と 「審判離婚」 は、あくまで裁判所での「話し合い」をベースにした離婚の方式です。
一歩進んで、離婚裁判を起こして、裁判所から「離婚しなさい」と判決をもらう方法は、「裁判離婚」といいます。
仮に、離婚裁判になった場合、「離婚をしてください」請求され、訴えられた側が、そのままその請求を受け容れて、「分かりました。離婚します。」と請求に応じる方法の離婚を、「認諾離婚」といいます。
裁判所である程度戦い合った後に、「判決までいかないで和解で離婚をしましょう」と判決の手前で離婚に同意する方法を、「和解離婚」といいます。
このように、一度離婚裁判まで進んでも、その解決方法は、裁判離婚、認諾離婚、和解離婚と3種類あることになります。
記事に入る前に・・・
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離婚の方式を分類すると?
改めて、離婚の種類を細かく見ていくと、離婚には、
- 協議離婚
- 調停離婚
- 審判離婚
- 裁判離婚
- 認諾離婚
- 和解離婚
と6種類もの方法があることになります。
少し分かりづらいかもしれませんが、あえて分類すると、
①協議離婚は裁判所を全く利用しない離婚の方法、
②調停離婚 ③審判離婚は、裁判所での話し合い(調停手続き)を利用した離婚の方法、
④裁判離婚 ⑤認諾離婚 ⑥和解離婚は、裁判所での離婚裁判を利用した離婚の方法
このように区別することができます。
そして、④~⑥については、「裁判上の離婚」などと表現することもあります。
離婚裁判を起こし、最後の判決まで行ったものが(4)「裁判離婚」、判決までいかない間に「離婚しましょう」と解決ができたものが(5)認諾離婚、(6)和解離婚ということになります。
各種離婚の件数について
日本の法律では、離婚の方法は上記の6種類ということになりますが、離婚の件数で圧倒的に割合を占めるのは、やはり協議離婚となっています。
その割合は、徐々に減少傾向にはあるものの、いまだ9割近くとなっているのが現状です。
実際の、各種離婚の件数・割合は以下のとおりです。
認諾離婚とは?
認諾和解とは、離婚裁判において「離婚してほしい」という原告の請求を被告がそのまま「分かりました」と受け入れる(これを「認諾」といいます。)ことにより離婚が成立する方法です。
この方法による離婚の件数は、先ほどの表でも分かるとおり、年間あたり約10件~20件程度と、非常に少ない件数となっています。
なぜこのように件数が少ないかというと、日本の離婚裁判では「調停前置主義」という仕組みがとられていることや、離婚の場合は離婚するかどうか以外にも、色々決めなければならない条件があることが大きく影響していると思われます。
調停前置主義との関係
日本の離婚裁判は簡単に言うと、離婚すべきかどうかを裁判所の判決により決めてもらうための手続きです。
日本では、離婚裁判は調停前置主義といって、「裁判より前に必ず調停をしなければならない」という仕組みがとられています。
離婚というのはあくまで「夫婦関係をどうすべきか」の判断ですから、いきなり裁判所の判断というよりは、しっかりお話し合いを尽くしてからの方が良い、という考え方に基づき、このような仕組みとなっています。
したがって、調停をせずにいきなり「離婚裁判をさせてください」と裁判所に裁判を起こしても、「はじめは調停からやってくださいね」といって、受け容れてもらえないことになるのです。
そうすると、離婚裁判の前には、調停=家庭裁判所で離婚に関するお話し合いを行う、ということを通常は何回もの期日をかけて行っているわけです。
このお話し合いにおいて、「それでは離婚しましょう」ということにならなかったわけですから、離婚裁判の段階に進んでも、そう簡単に「分かりました。離婚しましょう。」とはならないわけです。
ただそれでも、もう裁判の段階では疲れてしまったとか、これ以上争いを続けることは双方にとって時間のロスが大きい、と思った一方が、「認諾」というかたちで離婚することもないわけではなく、ごく少数ではありますが、日本でも認諾和解が成立することがあります。
離婚の諸条件との関係
夫婦が離婚する際には、親権や養育費、面会交流、慰謝料や財産分与、年金分割など、離婚するかどうかという争点以外にも、通常は沢山決めなければならないことがあります。
この点、認諾和解の場合は、 夫「離婚してほしい」→ 妻「分かりました」の、離婚に関する争点のみに決着をつける方法となるので、その他の条件を柔軟に取り決めることができません。 (もちろん妻から夫というケースもあります)
お子様がいれば、通常は親権や養育費を決めなければなりませんし、お子様がいない場合であっても、通常は、慰謝料や財産分与、年金分割等の諸条件をしっかり取り決めて離婚したいと思うのが一般的でしょう。
したがって、「もう何も決めなくていいから離婚しましょう」となる認諾離婚は、なかなか成立しない現状があります。
それでも、お子様がおらず、慰謝料や財産分与なども全ていらない、離婚だけできればいい、と決心した場合には、このような認諾離婚を選択する方もいると思われます。
特に婚姻年数が短い場合はそのようなケースも少なくないと思われます。
長時間裁判を続けた上で、その結果離婚となるのであれば、解決は早い方がいいという判断もあり得ると思われます。
和解離婚とは?
和解離婚とは、離婚裁判が進んでいく中で、お互いが和解により離婚をするという方法です。先ほどの認諾和解と違う点は、「色々な条件をお互いが裁判において合意できる」という点です。
離婚裁判はもちろん、入り口では、「離婚するかどうかの判決をください」というかたちで始まります。
そして、裁判と聞くと、皆さんは、とことん戦って最終的には裁判の勝ち負けが決まる、というイメージをお持ちかと思います。
しかし、実際には、裁判離婚で裁判が終わるよりも、むしろ和解で終わることのほうが圧倒的に多いのが実情です。先ほどの表を見ても、裁判離婚の件数より、和解離婚の件数が多いことが分かるかと思います。
特に、離婚裁判の場合は、夫婦関係をどうするかの判断ですから、裁判まで進んだとしても、裁判所が一方的に判断を下すよりは、やはりお互いが合意して離婚することのほうが望ましいと考えられています。
そのような理由から、なかなか和解が成立しなさそうな場合でも、裁判所が積極的に和解を勧めることは多いです。
場合によっては、裁判所が和解勧告(裁判所が打倒と考える和解案を提案するので、応じるかどうか検討するよう当事者に勧告する方法)をすることも少なくありません。
実際に、当事者となった場合でも、判決の勝ち負けにより勝負を決するのは、特に離婚の場合は気持ちの良いものではない印象があります。
それよりは、諸条件をしっかり検討して合意し、和解により離婚が成立した方が、気持ち的にも後腐れなくすみそうです。
認諾離婚・和解離婚成立後の手続き
認諾離婚、和解離婚のいずれも、裁判所で離婚が成立した=法的は離婚成立、ということになります。
ただ、これにより完全に離婚の手続きが完了、とはならないので、注意が必要です。離婚が成立したことを正式に戸籍に反映させるためには、役所への届け出が必要となります。
具体的には、認諾離婚、和解離婚が成立した日から10日以内に、和解や認諾の調書の謄本とともに、離婚届(本籍以外の提出先の場合は戸籍謄本)を、役所に提出する必要があります。
これにより、正式に、離婚の事実が戸籍にも反映されることになります。
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離婚の手続きを悩まれている方へ
離婚の話し合いや調停、裁判などの手続きに悩まれている方は、どのように進めたらよいか手探り状態で、気がつけば2年や3年があっという間に過ぎてしまった、などということも少なくありません。
特に、認諾離婚や和解離婚が視野に入る段階では、調停を経て裁判に至っている状況ですから、裁判の終焉をどのようにすべきかは、非常に悩むところだと思います。
間違いなく言えることは、離婚の泥沼の話し合いは短ければ短いほど良い、離婚後はお互いが恨み辛みを残さない解決が良い、ということです。
その意味では、本来は調停に進む前に話し合いで協議離婚、少なくとも調停の話し合いで調停離婚が成立するに越したことはないでしょう。
私も、依頼者さんには、「離婚で悩んだ場合はなるべく早く相談してくださいね。」と伝えていますが、これはご相談が早ければ早いほど、当事者間での不毛な言い争いなどが極力省け、早期解決に資するからです。
仮に裁判まで進んだ段階であっても、認諾離婚や和解離婚でなるべく早く、お互いが納得して離婚できた方がよく、判決まで進まない解決が望ましいと言えるでしょう。
どの段階であっても、離婚の諸条件や離婚の方法について悩まれた場合は、きっと弁護士のアドバイスが役に立つと思います。
お気持ちを軽くする意味でも、悩まれたら是非弁護士を頼ってくださいね。
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