「離婚したい」
そう決意しても、すぐに、簡単に、離婚できるわけではありません。
離婚は結婚以上に準備が必要で、とても大きなパワーが必要です。
「離婚したい」という思いが先行して何の準備もなく行動してしまうと、第二の人生が明るくなるどころか最初の一歩でつまづいてしまう可能性もあります。
逆に、衝動的に行動するのではなく冷静に準備し行動すれば、離婚後の生活は良いスタートを切れるということです。
当記事では「離婚したい」と思ったらまずどう行動するべきか、どんな準備が必要かをまとめています。
記事に入る前に・・・
だけど費用的に無理・・・という時代は終わりました。
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離婚相談前に。なぜ離婚したいのかを書きだす
離婚の理由は人によって様々ですが、まず「何故離婚したいのか」を書き出してみましょう。
離婚を拒否している相手と離婚するには、相手に納得してもらうために明確な理由が必要になります。
場合によっては話し合いの場で言いくるめられたり、離婚の意思が揺らいでしまう可能性もあります。
まずは自分の意思を明確にしてみましょう。
離婚準備に必要なものや手順をノート等にまとめる際に一番初めに書いておくと、何度でも自分の意思を確認できますし、それに従って行動ができます。
怒りや苛立ちが溜まって不用意に行動しそうになったとしても、読み返すことで冷静な自分を取り戻すことができます。
また、夫婦双方が合意の上であればどんな理由であれ離婚はできますが、片方が離婚を拒否し裁判までもつれてしまった場合には法律で認められた離婚理由が必要になります。
・不貞行為
・悪意の遺棄
・失踪(3年以上の生死不明)
・精神疾患(重度の精神病にかかり、回復が見込めない場合)
・その他婚姻を継続し難い重大な事由(暴力・借金等)
よくある「性格の不一致」は含まれていません。
相手方ともつれる可能性がある場合は、書き出した理由が上記のどれに当てはまるかを前もって確認しておきましょう。
DV被害や不倫の場合には証拠を集めておく
DVや過度なモラハラ、不倫等の不貞行為がある場合には、第三者から見てそれが行われたと判断するに足る客観的な証拠が必要となります。
これは慰謝料の額に直結するものなので、必ず用意しましょう。
DV等は病院の診断書、不貞行為は密会現場の写真等が有力です。
何が証拠になるかわからないという場合は、小さなものであっても保存しておき、弁護士へ相談する際に持参するようにしましょう。
離婚時の条件についてある程度考えておく
離婚後の生活は、それまで通りの生活とはいきません。子どもがいる場合には子育ての負担は大きくなりますし、経済的にも結婚していた時と同じとはいかないでしょう。
特に子育て世代の女性は、給料や労働時間をある程度制限した仕事を選択している場合も多く、離婚後の生活に大きな制限がかかってくる可能性があります。
「慰謝料がもらえるから安心」「養育費があるから安心」と漠然と考えないようにしましょう。
ただ離婚することのみを求めて手続きを進めてしまっては、本来得られるはずの金額を大きく下回る可能性があります。
さらに、養育費などは最初は支払われていたとしても数カ月後には払われなくなるケースも少なくありません(養育費未払いに対する罰則が無いため)。
財産分与、親権、面会交流等、離婚によって決めなければならないことは様々ありますが、条件の優先順位はある程度決めておきましょう。
配偶者へ離婚を切り出す前に
夫婦の問題だからと、自分ひとりで解決しようと焦って離婚を切り出したりしないようにしましょう。
たとえ自分で調べる限りのことを調べたとしても、用意した文書が法律的には有効でなかったり、逆に法律的にNGな行動を自分がとってしまう可能性もあります。
頭を冷やして冷静な行動を取るためにも、誰かしらに相談しましょう。
ただし、相談できれば誰でも良いというわけではありませんので注意が必要です。
離婚の相談は誰にすべき?
プライベートな問題を相談するわけですから、大前提として「信頼できる人」でなければなりません。
注意しておかなければならないのは、相談相手を間違えると周囲へ吹聴されたりして、噂や陰口などで心身に負担をかけることになったり、夫に離婚の意思が伝わってしまう可能性があるということです。
離婚前に相談する相手は慎重に選ばなければなりません。
両親や友人、会社の同僚に相談
人生の先輩である両親の他、親しい友人に相談したくなるかもしれません。
過去に相談に乗ってもらって物事が解決したり気持ちが楽になったりしたこともあるかもしれません。
しかし、離婚にあたっては必ずしもよい相談相手とは限らないので注意しましょう。
仮に離婚歴のある友人に相談したとしても、その人と自分とでは、離婚理由・財産状況・家族構成等、条件が全く同じということはありません。
そうなると、離婚時の条件も当然変わりますし、対策も異なる可能性が高くなります。慰謝料その他の額なども同じということはほぼないでしょう。
専門家でない人の不確かな情報や憶測は、却って問題をややこしく認識させ、結果誤った行動をとってしまうことになりかねません。
また、離婚について両親に相談したら、「娘が離婚を考えている。お互いによく話し合いなさい」と夫に電話で伝えてしまい、離婚の意思がバレてしまったという事例もあります。
親が子どものために良かれと思ってとった行動が、離婚に向けて障害になることもありえます。
離婚の理由が夫の不貞行為だった場合には逆上して事件に発展する可能性もあります。両親に相談する場合は、離婚まで夫と接触しないよう伝えるとともに注意を払いましょう。
逆に冷静な両親であれば、離婚準備にあたって協力を得ることができる可能性があります。
弁護士に相談
離婚の理由は人によって様々ですが、どのケースにも対応できるノウハウを持ち、妥当な解決へと導けるのが弁護士です。
法律のプロであり、年間に何件もの離婚問題を実際に取り扱う弁護士への相談が、最も早く、適切な選択と言えます。
あなたに対して精神的な味方になると同時に、客観的な視点から対応策を打ち出していくことができます。
一番のメリットは、今後の方向性が明確になることです。
身内や友人に相談しただけでは、多少気持ちが楽になることはあっても、離婚を前に何をすればいいか、どう行動するべきかという具体的な方法は曖昧なままで、焦りや不安は解消されません。
弁護士へ相談することで自分が今後どうすればよいかが具体的にわかり、離婚への道筋がはっきりと見えてきます。
弁護士への離婚相談時のポイント
事前準備や予備知識が全く無い状態で相談に行っても説明に時間がかかり、その分相談費用等が余計にかかってしまいます。円滑に進めるために相談前のポイントを押さえておきましょう。
質問したいことをメモにまとめる
相談時間は限られていますので、あらかじめ疑問点を書き出し、まとめておきましょう。
離婚するにあたって慰謝料・財産分与等の譲れない条件等をまとめておくことで、どのような対応が必要か、的確なアドバイスをもらえます。
また、現在対処法がわからない悩みを相談することも可能です。
例えば、離婚が成立するまで一つ屋根の下で同居することに耐えられない場合、離婚前に別居することは可能か、そのことで先に挙げた条件に対して不利に働かないか等、これからの行動についても適切な回答を得ることができるでしょう。
今後の対応について聞いておく
悩みとは別に、今後自身がどう行動するか、またはどのような行動をしてはいけないかを聞いておきましょう。
NG行動として実際にあるのが、心身に負担がかかり、それを軽減したくてSNSやBBSなどで現状をアップすることです。これは不利になりこそすれ有利になることはありません。
また、離婚を切り出すタイミングは特に重要です。証拠等が揃う前に勢いに任せて相手に離婚を切り出してしまったら、その分相手に対処する猶予を与えてしまいます。
そうなれば望みの条件はおろか、離婚成立自体が予定より延びてしまい、心身への負担が大きくなってしまう可能性があります。
場合によっては弁護士を窓口として対応し、相手と連絡を断つことも可能です。自身の状況を鑑みて弁護士と相談しましょう。
実際に依頼した時にどのくらいの費用が掛かるかを確認しておく
弁護士に相談・依頼した場合、下記の5つの費用がかかります。
(1)相談料
1時間5,000〜10,000円が相場です。近年は初回相談や相談内容によって無料とする事務所もあります。
(2)着手金
依頼をする際に支払う費用です。結果に関わらず支払うものですので、希望通りの結果にならなかったとしても返金を求めることは原則としてできません。
相場は20万円〜50万円ですが、調停か訴訟か、親権・財産分与について等、内容によって金額が変わりますので、依頼前に確認しましょう。
(3)報酬金
解決後に支払う費用です。一口に報酬金といっても、離婚問題は複数の案件(離婚の合意・慰謝料・財産分与・親権・養育費等)がひとつになっているため、項目ごとの報酬金を算出する事務所が多いようです。
離婚成立自体の相場は20〜50万円程ですが、「慰謝料・財産分与といった経済的利益を得た場合はその10%」、「親権を得た場合は20万円」等、事務所によって算出方法は異なりますので、こちらも依頼前に確認するようにしましょう。
(4)日当
弁護士が解決のために事務所を離れ活動する際にかかる費用です。
相手方との交渉のために出張した場合や、離婚手続のために出頭しなければならない裁判所が遠い場合等が該当します。
相場は1日5万円程です。宿泊を伴う出張が頻繁に考えられる場合はその分日当がかかりますので、別居等で相手方が遠方に住んでいる場合にはあらかじめ確認が必要でしょう。
(5)実費
交通費や書類の郵送費用、印紙代等が該当します。
協議では解決せず、調停・裁判になった場合は裁判所に手数料を収めなければならないので実費も増えてしまいます。
どの段階でどの程度かかるか予め確認しましょう。
弁護士への離婚相談の流れ
前日まで:電話やWEBで予約を取る
弁護士は裁判等で外出していることが多く、予約なしで行っても不在で対応ができないことがほとんどです。電話か、事務所のWEBページから必ず予約を取りましょう。
相談日当日:上記で準備した資料と相談時のポイントを押さえ相談する
希望の条件が可能か否か、可能な場合は何が必要か等、内容に合わせて弁護士から具体的なアドバイスがもらえます。見積等も当日に提示してもらえることがほとんどです。
そのまま依頼する場合は委任契約書を作成し正式な代理人として契約する形になります。
検討して後日再度相談または依頼というのももちろん可能です。
相談日以降:必要があれば再度相談に行く、または依頼する
相談後直ちに依頼せず、他の意見も聞いてみたいという場合は別の事務所へ相談するのもよいでしょう。
- 打ち合わせは土日や夜間が可能か
- 日程の調整はつきやすいか
- 電話での対応が可能か
等、料金以外の点でも自身の状況と併せて検討してみましょう。
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まとめ
離婚問題に際して、焦りや感情的な行動は禁物です。
冷静な自分を取り戻すためにも、しっかりと準備しましょう。
弁護士への相談内容について要点をまとめておくことで、スムーズに依頼につなげることができます。その際にどのくらい費用がかかるのかを合わせて確認しておくと安心かと思います。
離婚後の生活をより良いものにするため、まずは気軽に弁護士へ相談できるように自分の気持ちをまとめましょう。
様々なリスクに備え、事前に弁護士保険へご加入いただくこともおすすめします。
木下慎也 弁護士
大阪弁護士会所属
弁護士法人ONE 代表弁護士
大阪市北区梅田1丁目1-3 大阪駅前第3ビル12階
06-4797-0905
弁護士として依頼者と十分に協議をしたうえで、可能な限り各人の希望、社会的立場、その依頼者らしい生き方などをしっかりと反映した柔軟な解決を図ることを心掛けている。
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