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夫の親族と縁を切りたい!「姻族関係終了届」について知っておきたい5つのことを弁護士が解説!

「姑の面倒なんて見たくない!」

このように嫁姑関係で悩んでいる方は少なくありません。

特に、夫と死別したならもう夫の親族とは縁を切りたいと感じることでしょう。夫の生前は我慢ができても夫が他界してしまえば我慢も限界です。

ですが、離婚もしていない夫の親族と夫が死んだからと縁を切ることなどできるのでしょうか?

本記事では、夫の親族と縁を切りたい方に向けて、以下の内容をご紹介します。

・夫の親族と縁を切る方法
・姻族関係終了届とは何か?
・姻族関係終了届の書き方や提出方法
・姻族関係終了届を出すメリット・デメリット

本記事を参考に、必要なら手続きを進めていきましょう。

目次

夫の親族と縁を切ることができないケース

どんなに義理の両親と折り合いが悪かったとしても、夫が健在な場合には夫と離婚をしない限り縁を切ることはできません。

夫は自分の実の両親と縁を切ることはできませんし、配偶者であるあなたも夫と夫婦関係である限り縁を切ることはできないのです。

したがって、あなたが夫が生前に夫とので夫婦関係を解消していない限りあなたと義理の両親の縁は繋がったままです。

夫の親族と縁を切ることができるケース

夫の親族と縁を切ることができるケースとは夫と死別した場合です。

夫とは夫婦関係を解消することなく夫の義理の両親と縁を切れますので、縁を切ったらもう義理の両親の介護に悩むことはなくなります。

死別した夫の義理の両親と縁を切る方法とは「姻族関係終了届」を提出するだけ

姻族関係終了届を役所に提出するだけで一方的に夫の両親とは縁を切ることができるようになっています。相手の許可も必要ありません。

姻族関係終了届とは

では姻族関係終了届について一体どんなものなのかをご紹介します。提出すれば全ての悩みが解決できるのでしょうか。

効力

そもそも夫の両親の介護や扶養の義務は義理の子どもであるあなたにはありません。

なぜなら血縁では無いからです。

ですが、日本の風潮として義理の両親の面倒を嫁が見るのは当然のように感じられがち。また、人情としても面倒を見ようかな?と感じても不思議はありません。

さらに義理の子どもに扶養義務は無いといっても、特別な事情がある場合には、裁判所から両親の介護や扶養を命令されるケースもあります。

特別な事情とは、長期間に渡り、義理の両親に亡くなった夫とともに扶養されていたケースです。また、「義理の両親を介護をすること」を条件に、あなたの夫が死亡した際の相続分をあなたに譲渡していた場合も特別な事情に入るでしょう。

夫が長男だった場合には、祭祀承継者だったケースもあります。

夫が死亡した後は妻であるあなたが祭祀承継者を引き継いでいる可能性もあるでしょう。姻族関係終了届を役所に提出することでこれらの夫の親族との縁を切ることができます。

それによって、亡くなった夫の親族を扶養する必要がなくなり、夫の両親と同居している場合の互助義務がなくなることに。

また、祭祀承継者になることもありません。すなわち、親族と縁を切ることで祭祀承継者を辞退することができるということです。


また夫が死亡した後あなたが夫の親族のお墓に入らなければいけないということはありません。

姻族終了届とは別物です。あなたは自由に入るお墓を選択できます。

夫と二人きりで同じお墓に入りたいなら、夫の親族の祭祀承継者に相談しお墓を分けてもらいましょう。

提出期限

姻族関係終了届の提出期限は特にありません。夫が死亡したならすぐさま提出できますし、あなたが生きている限りいつでも提出が可能です。

例えば、裁判所から義理の両親の扶養を命じられた場合にその後姻族関係終了届を提出することもできます。

その場合には、裁判所の命令は失効しますので、あなたは義理の両親を扶養する必要はありません。

提出方法や必要書類など

姻族関係終了届は本籍地またはお住いの市町村区の住民課に提出します。姻族関係終了届は役所の住民課から入手するかインターネットからダウンロードすることも可能です。

姻族関係終了届ダウンロード(札幌市) 

※こちらは札幌の役所のダウンロードページです。全国で利用できますが、念の為お住いの地域や本籍地の役所に事前に利用できるかを確認してください。

姻族関係終了届を提出する際の必要書類は下記の通りです。

・姻族関係終了届
・亡くなった配偶者の死亡が確認できる戸籍謄本(除籍謄本)全部事項証明書
・印鑑
・身分証明書(不要な場合もある)

これらの書類を役所の住民課に提出することで夫の親族と縁を切ることができます。夫の親族にバレる心配もありませんので安心してください。

姻族関係終了届の書き方

姻族関係終了届を入手したら必要事項を記入していきましょう。

氏名

あなた(姻族関係を終了させたい人)の名前を記入します。ふりがなもしっかり記入しましょう。姻族関係終了届は死亡した配偶者の親族が提出することはできません。

生年月日

あなた(姻族関係を終了させたい人)の生年月日を記入してください。

住所

住民票で確認できる住所を記入してください。世帯主の欄を記入します。ふりがなも記入しましょう。

本籍

入手した戸籍謄本を参考に戸籍上の本籍と筆頭者を記入しましょう。筆頭者とは戸籍謄本に最初に書いてある人です。

死亡した配偶者

死亡したあなたの配偶者の氏名を間違えずに記入しましょう。ふりがなも忘れないでください。死亡した配偶者の本籍地と筆頭者も記入しましょう。

その他

特筆することがなければ空欄で構いません。

署名・押印

姻族関係を終了したい本人が署名押印しましょう。もしも復氏届が受理された後なら、復氏届通りの姓で署名します。

姻族関係終了届の提出方法

姻族関係終了届は本籍地またはお住いの地域の役所の住民課に本人(残された配偶者)が提出します。委任状なしで代理人が提出することも可能です。また郵送でも受理されます。

ただし、姻族関係終了届を提出しても旧姓に戻るわけではありません。

もしもけじめをつけるために旧姓に戻したい場合には、別途復氏届の提出が必要です。

さらに子どもの戸籍を旧姓に変えた方に入れる場合には、家庭裁判所に子の氏の変更許可申立書を提出する必要があります。

子どもも姻族関係終了届を提出すれば夫の親族と縁を切れる?

あなたが姻族関係終了届を提出してもあなたの子どもは祖父母との縁を切ることはできません。

血縁者ですので縁は切れないのです。

稀なケースではありますが、同居の祖父母から孫が虐待される場合もあります。このような特別な事情があるなら別居を検討し、児童相談所に相談しましょう。

姻族関係終了届を提出することよるメリット、デメリット

姻族関係終了届を提出することで何かデメリットがあるのでは?と不安に感じる方もいることでしょう。

姻族関係終了届のメリット・デメリットをご紹介します。

姻族関係終了届を提出するメリット

姻族関係終了届を提出することのメリットは下記の通りです。

・夫との関係はそのままに夫の親族とだけ縁が切れる
・裁判所から義両親の扶養を命じられる心配がない
・祭祀承継者にならずに済む
・例え義理の両親と同居していても互助義務がなくなる
・夫の親族と縁を切っても相続や遺族年金はもらえる

夫との関係はそのままに夫の親族とだけ縁が切れる

姻族関係終了届は俗に「死後離婚」などといわれるケースもあります。

ですが、その表現には違和感を感じる方も多いのではないでしょうか。

夫のことが嫌いなわけでもなく、死んだとしても夫は永遠にあなたの愛する夫です。姻族関係終了届は夫との婚姻関係はそのままに夫の親族とだけ縁が切れるという制度。ですから愛していた夫との縁が切れるわけではありませんので安心してください。

裁判所から義両親の扶養を命じられる心配がない

夫の親族と縁が切れてしまえば、あなたの中で「義理の両親の面倒を見なければいけない」という固定観念がなくなることがメリットです。

実際に法律上もあなたには血縁関係にない義両親を扶養する義務はありません。

ですが、特別な事情があれば裁判所から夫の親族の扶養を命じられるケースもあるのです。その心配がなくなりますし、例え命じられてもその後姻族関係終了届を提出すれば命令の効力は失われます。

祭祀承継者にならずに済む

もしも祭祀承継者になっている場合には、法事のたびに忙しく動き回ることになります。

また、お墓や祭壇の管理などやるべきことは山積みです。ですが、姻族終了届を提出することで祭祀承継者にはならずに済みます。長男の嫁だった場合には大きなメリットになるでしょう。

例え義理の両親と同居していても互助義務がなくなる

義理の両親と同居の場合には、縁を切ることで互助義務がなくなります。

とはいえ同居していてお互いに助け合わないで生活することは難しいかもしれません。ですが、法的には義務がなくなりますから精神的な苦痛は緩和されるというメリットがあるでしょう。

夫の親族と縁を切っても相続や遺族年金はもらえる

夫の親族と縁を切ったとしても夫の遺産の相続権はそのままです

また遺族年金も問題なく受給できます。夫の親族と縁を切ることで夫との縁も切れてしまうように感じられますがそんなことはありません。

夫の親族とは縁を切って、お金の面では安心できることはメリットになるでしょう。

姻族関係終了届を提出するデメリット

熟考した上で夫の親族と縁を切った場合には、姻族関係終了届を提出することでのデメリットはあまりありません。

ですが、子どもとの間で揉める心配はあるでしょう。具体的なデメリットは下記の通りです。

・子どもに負担がかかることも
・万が一縁を切ったことがバレた場合に気まずい可能性も
・縁を切った親族との関係を復活させることはできない
・縁を切った親族を頼ることができなくなる

子どもに負担がかかることも

折り合いの悪い義理の両親や夫の親族と縁を切れたとしても、縁を切れるのはあなただけ。

あなたの子どもから見たら義理の両親は祖父母になり、血縁者です。ですから、あなたの一存で縁を切った場合に子どもに負担がかかるケースが想定されます。

親族の集まりに血縁者の子どもが参加しないわけにもいきませんし、もしも義理の両親が亡くなった場合には子どもには相続権が発生するケースも。そもそも嫁のあなたには相続権はありません。

ですが、子どもに相続権が発生してしまえば、子どもには親族と話し合ったり交渉する負担がかかります。親が縁を切っていることで子どもが気を遣い、親族から中傷されてしまう可能性があるでしょう。

ですから、姻族関係終了届を提出する際には子どもにもしっかり相談してから今後のあり方を決めるようにしてください。

万が一縁を切ったことがバレた場合に気まずい可能性も

姻族関係終了届を提出した後に親族と顔を合わせる機会があり、縁を切ったことがバレているケースでは気まずく感じることがあるでしょう。

例えば、縁を切った親族に不幸があり不参加を伝えるケースです。

バレていなかった縁切りをこのとき初めて説明し、バレてしまえばあなたは誹謗中傷されるケースもあるでしょう。葬儀に参列した場合でも関係を絶ったあなたに非難が集中するケースがあります。

縁を切った姻族との関係を復活させることはできない

デメリットにならないケースが大半ですが、姻族関係を終了した後に復活させることはできません。

もしも一時的な親族とも関係の悪化の末に勢いで姻族関係を終了していた場合には、復活させたくてもできないということです。

ですから、姻族関係終了届を提出する前には冷静に判断しなければいけません。子どもとも話し合い決めていくといいでしょう。

縁を切った親族を頼ることができなくなる

考えて欲しいことは、あなたの子どもにとっては義理の両親はいつまでたっても祖父母だということ。

あなたが義理の両親と縁を切ってせいせいしたとしても子どもの心理は複雑です。

進学・就職などのたびに祖父母に報告して祝福されたいと感じるかもしれません。もちろん子どもは祖父母と縁が切れるわけではありませんが、親が縁を切った後に会いに行くのは勇気がいるもの。

また、子どもに何かあってもあなたから祖父母を頼ることはできないでしょう。大きなデメリットになる可能性があります。

まとめ

折り合いの悪い義理の両親や親族と縁を切りたいなら姻族関係終了届を提出しましょう。

夫が亡くなった後なら縁を切ることができます。もちろん夫との夫婦関係はそのままですので安心してください。心理的に義両親の介護や扶養が苦痛だという場合には堂々と介護をせずに済みます。

ただし、姻族関係の終了とお墓問題は別物です。

お墓は縁が繋がっていたとしても別にすることは可能。心理的な苦痛を抱えて夫の死後も夫の親族と付き合っていくよりも、割り切って夫の親族とは縁を切った方が精神的な苦痛は解消されるでしょう。

ただし、子どもへの負担も考えて夫の親族とは縁を切ってください。あなたが夫の親族に苦しむことなく夫の死後も幸せに生活できることを心よりお祈りします。

弁護士

木下慎也 弁護士

大阪弁護士会所属
弁護士法人ONE 代表弁護士
大阪市北区梅田1丁目1-3 大阪駅前第3ビル12階
06-4797-0905

弁護士として依頼者と十分に協議をしたうえで、可能な限り各人の希望、社会的立場、その依頼者らしい生き方などをしっかりと反映した柔軟な解決を図ることを心掛けている。

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