交通事故における過失割合の決まり方~9対1や8対2の過失割合に不満があるときの対処方法 ~

交通事故の損害賠償額を決める際には、それぞれの当事者の落ち度の程度によってその交通事故に対する過失割合を決定する必要があります。

交通事故によって生じた損害は、事故発生に寄与した程度に応じて負担することが公平といえるからです。

しかし、交通事故の示談交渉においては、過失割合についての当事者間の認識が一致しない場合も多く、交渉がもめてしまう原因にもなりやすいものです。

また、相手方(の保険会社)が提示した過失割合を安易に認めてしまえば、想像とは異なる賠償額となってしまうこともあります。

そこで、今回は、過失割合の決まり方や、典型的な交通事故での基本的な過失割合、(相手方が主張する)過失割合に不満があるときの対処方法などについて解説していきます。

記事に入る前に・・・

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目次

過失割合とは?

交通事故

過失割合というのは、実際に発生した交通事故におけるそれぞれの当事者の過失の程度(の軽重)を合計100%の割合に換算して示したものです。

交通事故のほとんどは、車両の運転手の前方不注意や、速度超過、いわゆる「ながら運転」といったように、何かしらの不注意や問題のある行為(=過失)を原因として発生します。

また、交通事故の多くは、事故車両(当事者)の双方に過失がある場合が多いといえるでしょう。

たとえば、交差点における車両同士の出合い頭の衝突事故のようなケースでは、双方の車両の運転手に交差点進入時の前方不注意などの落ち度があることがほとんどといえます。

過失割合の決まり方

過失割合は、損害賠償について示談においては、当事者同士の話し合い(示談交渉)で決める(お互いの合意で決定する)ことになります。

警察が実況見分などに基づいて過失割合を決めてくれるというようなことはありません。

とはいえ、基準が全くないというわけではなく、類似の交通事故における過去の裁判例で決められた過失割合を参考に決められるのが一般的です。

裁判所では、

  • 交通事故の種類(例えば車対車・車対バイクなどの当事者の種類)、
  • 交通事故の発生状況(例えば出合い頭事故・左折巻き込みなどの事故の形態や信号機・優先道路の有無)

に基づいて決められた基本割合をベースに、それぞれの当事者が抱える個別の事情(速度超過・脇見運転の有無など)による修正を加えて過失割合が判断されます。

これらの裁判例の結果は、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍にまとめられています(一般の人でも専門書店やAmazonなどで購入可能です)。

なお、この本は、判例タイムズという法律の専門雑誌(定期雑誌)の別冊として発刊されていることから単に「(別冊)判例タイムズ」と呼ばれることもあります。

過失割合と損害賠償との関係(過失相殺)

過失割合は、交通事故によって生じた損害の分配(それぞれの当事者が負担しなければならない損害賠償額)にも影響を与えます。

交通事故では、当事者の双方に何かしらの損害が発生することが多いといえますが、双方の当事者に過失がある場合には、それぞれの損害に対して、過失割合に応じた賠償責任を負うことになるからです(過失相殺)。

たとえば、XとYとの交通事故で、Xには80万円、Yには40万円の損害が発生していて、過失割合がX:70%、Y:30%となった場合では、XとYが(相手方に対して)負担すべき賠償額は次のようになります。

XがYに支払うべき損害賠償額=Yの損害額(40万円)×Xの過失割合70%=28万円

YがXに支払うべき損害賠償額=Xの損害額(80万円)×Yの過失割合30%=24万円

過失割合は示談交渉時にもめる原因になりやすい

交通事故における過失割合は、「どちらがより悪いのか」という判定だけでなく、最終的に負担する損害賠償額にも直接の影響を与えるため、示談時にもめる原因になりやすい傾向があります。

たとえば、上の説明で利用したケースのように、発生した損害額に開きがあるようなケースでは、過失割合によっては、事故に対する過失の大きさと実際に負担する損害賠償額が釣り合わなくなることもあります

上のケースでも、Xの損害額が80万円ではなく120万円だったという場合や、過失割合がX:Y=6;4になった場合には、過失割合が少ないはずのYがXに対して支払う損害賠償額の方が、XがYに対して支払うべき損害賠償額を上回ってしまうことになります。

昔から「ベンツなどの高級車との交通事故には注意しなさい」といわれるようなことがあるのは、このようなことが起こりうるからといえます。

実際の賠償額のことを念頭におかず、過失割合だけにこだわってしまう(自分の過失が少ないからといって安心しきってしまう)と、示談成立後に「こんなはずではなかった」ということになってしまうこともあるので注意したいものです。

典型的な交通事故における過失割合

次に、主な交通事故のパターンにおける過失割合の認定例について確認しておきたいと思います。

※この記事で紹介する過失割合の基準などは、すべて上で紹介した別冊判例タイムズで示されている内容に依拠するものです。

いわゆる「出合い頭事故」の場合

同程度の幅員の道路の交差点におけるいわゆる出合い頭の衝突事故(いわゆる出合い頭事故)の場合の過失割合は、それぞれの車両の位置と交差点進入時の減速の有無によって決まります。

下の表は、自動車同士(左方車A対右方車B)の出合い頭事故における過失割合の基準です。

交差点進入時の速度  双方同程度A:減速なしで進入
B:減速して進入
A:減速して進入
B:減速なしで進入
基本の過失割合 A:B=40:60A:B=60:40A:B=20:80

修正要素

Aの著しい過失 +10     +10     +10     
Aの重過失 +20 +20 +20
見通しがきく交差点 -10 -10 -10
夜間 -5 -5 -5
Bの著しい過失 -10 -10 -10
Bの重過失 -20 -20 -20

「修正要素」による過失割合の調整

信号機などによる指示のない交差点においては、「左方車優先」となるので、基本の過失割合は、A(左方車)40%:B(右方車)60%となります。

最終的な過失割合は、これに交差点進入時の減速の有無や、個別の運転手が抱える事情などの「修正要素」によって調整された上で決まります。

修正要素は、それぞれの事故類型によって個別に定められているものですが、最も基本的なものとしては、当事者の著しい過失当事者の重過失を挙げることができます。

著しい過失の例としては、脇見運転(著しい前方不注意)、ハンドルやブレーキの著しい操作ミス、いわゆる「ながら運転」が該当します。また、酒酔い運転、居眠り運転、無免許運転、著しい速度超過(一般道路では30km/h以上)は重過失の典型例となります。

交通弱者との交通事故の場合の調整

車対バイク、車(バイク)対自転車、車(バイク)対歩行者といったケースのように、交通事故の当事者間の種類(車両の危険性の大小)に違いがあるときには、その種類に応じた調整が図られます。

つまり、交通弱者が相手となる交通事故では、危険性の強い当事者(車両)の過失が加重されることになるということです。

上で紹介した(同幅員道路・信号機なしの)交差点における出合い頭事故(双方が同程度速度のケース)の場合には、交通事故の当事者の違いによって、過失割合も次のように変わります。

左方車(A) 右方車(B) 基本過失割合
自動車 自動車 A:B=40:60
自動車 バイク A:B=50 : 50
バイク 自動車 A:B=30 : 70
自転車 自動車 A:B=10:90

信号機のある交差点における直進車と対向車線からの右折車との衝突事故

信号機のある交差点における直進車(A)と対向車線からの右折車(B)との衝突事故の場合には、交差点進入時・右折時の信号の状況によって過失の基本割合がかわってきます。

直進車(A)の進入状況右折車(B)の進入状況基本過失割合
青信号で交差点進入青信号で交差点進入(右折) A:B=20:80
黄色信号で進入青信号進入・黄信号右折A:B=70:30
黄信号で交差点進入 黄信号で交差点進入 A:B=40:60
赤信号で交差点進入 赤信号で交差点進入 A:B=50:50
赤信号で交差点進入 青信号で進入後、
赤信号で右折
A:B=90:10
赤信号で交差点進入 黄信号で進入後、
赤信号で右折
A:B=70:30
赤信号で交差点進入 青信号(矢印信号)で進入、右折 A:B=100:0

左折自動車による後方二輪車の巻き込み事故

左折時の巻き込み事故は、自動車とバイクとの交通事故の典型例のひとつといえます。左折巻き込み事故の場合には、巻き込まれたバイク(A)と左折自動車(B)の位置関係によって過失の基本割合が変わってきます。

巻き込みの態様 基本過失割合
先行する自動車(B)が左折した際に後方から直進してきたバイク(A)と
衝突(巻き込み)した場合
A:B=20:80
先行で直進するバイク(A)を後方の自動車(B)が追い越した上で
左折した際にバイク(A)を巻き込んだ場合
A:B=10:90

修正要素

Aの著しい前方不注意 +10
Aの15km/h以上の速度違反 +10
Aの30km/h以上の速度違反 +20
Aのそのほかの著しい過失 +10
Aのそのほかの重過失 +20
Bの大回り旋回・進入路脱角 -10
Bの合図遅れ -5
Bの合図なし -10
Bのそのほかの著しい過失 -10
Bの重過失 -20

過失割合に不満があるときの対処方法

すでに解説したように、交通事故の示談交渉においては、当事者双方の合意がなければ、過失割合を決めることはできません。

したがって、「相手方(の保険会社)が主張してきた過失割合に不満がある」ときには、示談に応じない(相手が主張する過失割合を認めない)ことが基本的な対応となります。

相手方との間で一度決まった過失割合を、後に変更することは(絶対に不可能というわけではありませんが)、訴訟などの対応を前提にしなければならない場合が多く、かなり難しいといえるからです。

相手方が主張している過失割合に不満がある(自分の考える過失割合で示談をしたい)というときには、次のような対応をとることが考えられます。

保険会社には任せずに自分自身で相手方と交渉を行う

双方に過失のある交通事故の場合の示談の多くは、双方の当事者が加入している自動車保険会社の担当者同士での話し合いとなります。

事故当事者本人にとっても、相手方との交渉は負担が大きく、交通事故についての専門知識のある保険会社に任せておけば安心と考えがちだからです。

たしかに、自動車保険の担当者であれば、この記事で紹介してきたような過失割合の認定基準についての知識もあるので、公平な過失割合で示談をしてもらえる可能性が高いといえます。

しかし、ケースによっては、保険会社(や担当者自身の都合(他の業務で忙しいなど))の事情が原因で、「相手方と熱心に交渉してもらえない」場合や、「保険会社同士のなれ合い」で過失割合が決められてしまうことがないわけではありません。

実際にも、事故現場を直接確認することなく過失割合を決められてしまうケースもあるようです。

このようなケースであれば、自動車保険会社による示談代行ではなく、交通事故の当事者自身が現場検証の結果やドライブレコーダーの画像などの「客観的な証拠に基づいて」相手方と話し合いをすることで、こちらの言い分が通る可能性もあるといえるでしょう。

片側賠償を提案してみる

過失割合が8対2、もしくは、9対1という過失割合は、過失の少ない側の当事者にとって不満が残る可能性の高いケースといえます。

なぜなら、これらのケースでは、被害車両側の当事者にとっては、「急に左折してきた(飛び出してきた)相手が100%悪い」と感じていることも多いからです。

とはいえ、8対2(9対1)の過失割合を「10対0にしてほしい」というような交渉にこだわることは、示談交渉をいたずらに長期化させるだけになってしまうことが多いといえます。

基本割合を変更させられるだけの客観的な証拠がない場合には、裁判の基準と明らかに異なる過失割合を主張したところで、相手方(の保険会社)が簡単に折れてくれる可能性は低いといえるからです。

このような場合には、片側賠償と呼ばれる方法で示談を進めることもひとつの方法です。

片側賠償というのは、8対2や9対1の過失割合を「8対0(9対0)」という過失にして、片方の当事者のみが損害賠償を支払うという形で処理をする方法(過失の少ない当事者が、自分にも過失があることを認める代わりに、相手方から自分への損害賠償請求を放棄してもらう示談の方法)のことをいいます。

片側賠償は、示談交渉が9対1か10対0かというゼロサム的な話し合いになった場合の中間的な解決方法といえ、その分だけ示談がまとまりやすくなるといえるでしょう。

片側賠償は、10対0にこだわった場合に比べて、被害者側が受け取れる賠償額が減ってしまう点ではデメリットがありますが、次のようなメリットもあるので、実際にはデメリットを相対化できる(メリットの方が大きい)ケースも少なくありません。

  • 被害者側から相手方への損害賠償の支払いがなくなるので保険を使わずに済む(保険料の値上がりを回避できる)
  • 保険会社による示談代行を維持したまま、自分の負担を減らすことができる(過失が10対0になった場合には、保険会社の示談代行を利用できなくなります)

弁護士に示談の代理を依頼する

どうしても「10対0の過失割合」にこだわりたいという場合や、すでに示談を成立させてしまってから過失割合を変更したいというケースでは、示談交渉を弁護士に行ってもらうことがもっとも良い対処方法といえます。

裁判所の基準において基本割合が8対2や9対1となっている交通事故において、過失割合を10対0にしてもらうためには、その交通事故が基本割合10対0の事故であること、もしくは、「相手方に(大幅に)過失を加重すべき修正要素がある」ことを、客観的な証拠に基づいて示す必要があるからです。

これらの主張を正しく行うためには、交通事故示談の実務についての専門的な知識・経験だけでなく、相手方と上手に交渉をできるだけのスキルも持ち合わせている必要もありますから、法律の専門家ではない一般の人が自分だけで行うことは難しい場合が多いといえるでしょう。

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まとめ

交通事故の過失割合は、交通事故の当事者の合意によって決めることが原則ですが、実際には、それぞれの事故の種類・状況ごとに定められている基準に沿って決まることが一般的です。

これらの実務上の基準は、裁判になった場合の結果に準拠しているので、それにしたがって事案処理をすることが最も公平で効率的といえるからです。

しかし、このような過失割合の決め方は、実際の事故当事者にとって不満の原因となる場合も少なくありません。

交通事故の過失割合に不満があるときには、さまざまな方法で対処することが可能ですが、実際の当事者にとっては「どれが最善の方法であるかわからない」という場合も多いでしょう。

そのような場合には、弁護士に相談してみることが一番よい方法といえます。弁護士であれば確実にその相談者の味方の立場でアドバイスしてくれるからです。

しかし、弁護士に示談を依頼すれば、弁護士費用を負担しなければなりません。

物損事故や軽症に過ぎない人身事故では、弁護士費用の方が得られる賠償額よりも高額になってしまうこともあり得ます。

弁護士保険に加入していれば、このような場合にも弁護士費用を気にすることなく、弁護士に相談・依頼できるので、万が一の場合にも安心して対応することができます。

あらかじめ弁護士保険などで備え、リスクに備えておくことをおすすめします。

弁護士
黒田弁護士

弁護士 黒田悦男 

大阪弁護士会所属
弁護士法人 茨木太陽 代表
住所:大阪府茨木市双葉町10-1
電話:0120-932-981

事務所として、大阪府茨木市の他、京都市、堺市にて、交通事故被害者側に特化。後遺障害認定分野については、注力分野とし、医学的研鑽も重ねています。

また法人の顧問をはじめ事業上のトラブルにも対応をしています。

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