交通事故で罰金になるケースは?納付までの流れも解説

交通事故を起こすと心配なことの1つに

「罰金を払わないといけないのか?」「払うとしたらいくら払わないといけないのか?」
ということがあります。

本記事では、交通事故で罰金になるケース、罰金を科された場合の納付までの流れなどについて解説します。

記事に入る前に・・・

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目次

交通事故で罰金が規定されている罪

交通事故を起こした際に最も問われることが多い罪が「過失運転致死傷罪」です。

以前、自動車事故は、「業務上過失致死傷罪」(刑法211条1項)が適用されておりましたが、平成19年に改正があり、「過失運転致死傷罪」という独立した犯罪類型となりました(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律5条)。

交通事故で罪が成立するのは運転上の注意を怠ったとき

まずは条文を見てみましょう。

(過失運転致死傷)
自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、7年以下の懲役若しくは禁錮又は100万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

(1)過失運転致傷罪が成立する条件

過失運転致傷罪が成立する条件(構成要件)は、

①自動車の運転中に、
②自動車の運転上必要な注意を怠り(過失)、
③人に怪我(傷害)を負わせ、
④②の結果③が発生したといえること(②と③との間の因果関係が認められること)
です。

(2)過失運転致死罪が成立する条件

過失運転致死罪が成立する条件(構成要件)は、

①自動車の運転中に、
②自動車の運転上必要な注意を怠り(過失)、
③人を死亡させ、
④②の結果③が発生したといえること(②と③との間の因果関係が認められること)
です。

いずれの罪にも罰金刑(100万円以下の罰金)が設けられています。

交通事故で罰金を科されるケース

(1)傷害事故(過失運転致傷)

傷害事故の場合は罰金になることがあります。

ケースによっては、懲役刑(執行猶予がつく場合を含む)になることもあります。

そして、傷害事故で罰金を科されるケースは、基本的に、「過失の態様(責任の重さ)」、「被害者の怪我の程度(加療期間)」が軽微な場合です。

例えば、単なる前方不注視(過失の態様)によって前方に停止していた車に追突し、被害者に加療約2週間以上から1か月程度の怪我を負わせた、
というケースでは罰金を科されることが多いでしょう。

なお、加療期間2週間未満の交通事故は原則、不起訴です。

もっとも、単なる前方不注視であっても、被害者の怪我の程度が大きければ大きくなるほど罰金は高くなり、さらに、罰金ではなく懲役を科される可能性もあります。

また、被害者の怪我の程度が軽微でも、過失の態様が悪質であれば罰金は高くなり、場合によっては罰金ではなく懲役が科される可能性もあります。

例えば、同じ前方不注視でも「スマートフォンを使用していたため前方注視が疎かになった結果、追突した」というような交通事故では、単なる前方不注視よりも悪質だと判断され、罰金は高くなり、被害者の怪我の程度等によっては懲役を科される可能性も否定はできません。

傷害事故で被害者を救護せずにひき逃げしてしまったような場合は、懲役刑(執行猶予がつく場合を含む)になる可能性が高いです。

(2)死亡事故(過失運転致死)

他方で、死亡事故の場合は、結果が重大であることから、罰金刑ではなく懲役刑(執行猶予がつく場合を含む)が基本です。

もっとも、「被害者の落ち度」が著しい場合には、罰金刑にとどまることもあります。

例えば、上記の前方不注視のケースでも、被害者が赤信号を無視して横断歩道を横断した場合や歩行者横断禁止の道路を横断した場合などは罰金刑にとどまる可能性も十分にありえます。

なお、「交通三悪」と呼ばれる

①「無免許運転」
②「酒気帯び運転」
③「酒酔い運転」

の際に交通事故を起こした場合は、過失の態様、被害者の怪我の程度が軽かったとしても罰金刑ではなく懲役刑(執行猶予がつく場合を含む)になる可能性が高いです。

交通事故による罰金の額を決める要素

前記のとおり、交通事故で罰金かどうかを決める要素はまず「過失の態様(責任の重さ)です。

「過失の態様」とは、車を運転する上での不注意の内容及び程度のことです。

例えば、同じ前方不注視でも、悪質な順に、スマートフォン、カーナビゲーションの使用による前方不注視、脇見(車の運転とは関係のない方向に一定時間、目を背ける行為)による前方不注視、単なる前方不注視があります。

また、「過失の態様」には、前方不注視のほかに、信号無視、速度超過、対向車線進出などがあります。

当然ながら、信号無視では黄色(点滅)信号無視よりも赤色(点滅)信号無視の方が悪質と判断されます。

また、「過失の態様」、「結果の大きさ、程度(傷害か死亡か、傷害の場合は加療何日かなど)」のほか、「交通事故の場所」、「被害者の落ち度」、「交通事故時の時間帯・天候」なども罰金の額を決める大きな要素となります。

「交通事故の場所」については、例えば、対歩行者の交通事故が起きやすい場所は、横断歩道、あるいはその付近の道路、歩道が挙げられます。

また、自動車、バイク、自転車等の交通事故が起きやすい場所としては、交差点や見通しのきかないカーブ等が挙げられます。

「被害者の落ち度」とは被害者の過失のことです。交通事故では加害者だけに過失が認められるわけではありません。

加害者と同様に、被害者にも過失が認められる場合は罰金の額は過失の程度に応じて減額されます。

なお、交通事故で被害者の過失がないとされるケースは、主に、追突、センターラインオーバー、赤信号無視です。

「交通事故の時間帯」とは昼間か夜間か、「天候」とは降雨時か積雪時かなどです。

交通事故による罰金の決め方

まず、検察官が検察庁で独自に作成した「求刑基準」という表を基に罰金の求刑額を決めます。

「求刑基準」とは、前記でご紹介した「過失の態様」、「交通事故の場所」などにつき1点、2点・・・、「被疑者の落ち度」につき-1点、-2点などと点数が割り振られ、割り出した点数に、「結果の大きさ、程度(傷害か死亡か、傷害の場合は加療何日かなど)」、「被害者の数」を掛け合わせて罰金額を決めるための表です。

仮にこうした基準がなければ、罰金の求刑額は検察官の個性や感覚に頼らざるをえなくなり、同じ事故態様であっても個々人によって罰金額にばらつきが生じ不公平や不平等が生じることから、このような求刑基準が設けられているのです。

例えば、単なる前方不注視の追突事故の場合で、被害者(1名)が加療約3週間の怪我を負ったという場合は、前方不注視「+1」、被害者に落ち度なし「0」で合計の評点は「1」となり、これに加療約3週間という被害者の怪我の程度を加味して罰金(10万円~15万円)が決めます。

また、横断歩道上の交通事故で、被害者に加療約1か月の怪我を負わせたものの、被害者が赤信号に変わる直前で横断歩道を渡り始めたという場合は、横断歩道上の事故「+3」、被害者の落ち度「-1」で合計の評点を「2」とし、これに加療約1か月という被害者の怪我の程度を加味して罰金(15万円~25万円)を決めます。

なお、評点「3」、被害者の怪我の程度1ヶ月の場合であれば20万円~30万円が相場だと考えられますから、被害者の落ち度の分、罰金額は減額されていることが分かります。

なお、下記のとおり、最終的に罰金を決めるのは裁判官ですが、裁判官も上記の求刑基準を基に罰金を決めます。したがって、検察官の求刑した罰金の額と裁判官が略式命令で出した罰金の額は一致することがほとんどです。

交通事故による罰金を納付するまでの流れ

(1)手続の流れ

以下のとおりです。

① 略式裁判を受けることへの同意

② 略式起訴

③ 略式裁判、略式命令

④ 裁判所から略式命令謄本送達

⑤ 仮納付(正式裁判申立て)期間(14日)開始

⑥ 検察庁から納付書送達

⑥ 略式裁判確定

⑦ 正式納付期間開始

(2)1つ1つの手続の説明

多くの場合、略式裁判によって罰金刑を科されます。

もっとも、略式裁判は裁判官の書面審理という、通常の刑事裁判の手続きを省いた裁判ですから、略式裁判を開くには、①本人の同意が必要です。

検察庁での取調べの際、検察官から「略式裁判を受けることへの同意書」にサインを求められますので、同意するのであればサインをします。

同意した後は②略式起訴をされることになります。

同意から略式起訴までの期間の決まりはありませんが、通常、2週間~4週間程度です。

略式起訴されると、起訴状、検察官の罰金の求刑額を書いた紙、検察官が選別した書類が裁判所へ送られます。

その後、③略式裁判(裁判官による書面審理)が行われ、略式命令が発せられます
なお、略式起訴から略式裁判までの期間の決まりもありません。

裁判官が発した略式命令の内容は、④略式命令謄本という書類の送達によってあなたに知らされます。

略式命令謄本には罰金の金額や納付できなかった場合にどうなるかなどについて記載されていますので、細部までよく目を通しましょう。

略式命令謄本を受け取った後、⑤仮の納付期間が始まります

この期間は同時に、正式裁判申立て期間でもあります。

納付期間が始まると同時に、検察庁から納付書が送られてきますので、納付書とお金をもってお近くの金融機関で罰金を納付します(あるいは、検察庁の徴収係の窓口でも納付できます)。

仮納付期間は14日間ですが、この期間内に納付できなくてもかまいません。

なお、この期間内に正式裁判申立てをすると、略式裁判という手続を省略した裁判ではなく、通常の裁判によって審理されることになります。

事実関係に争いがある場合には正式裁判申立ても検討するのがよいでしょう。

ただし、この14日間が経過すると⑥略式裁判が確定し、仮ではなく⑦正式な納付期間が始まります。


納付期間は、通常、14日ごとに区切られ、14日以内に納付できないと労役場(刑務所)収容されてしまう可能性もあります。

ただし、1回目の14日が経過したからといって、直ちに収容手続きが取られるのは稀です。

なお、罰金は一括納付が原則です。

交通事故を起こしてしまったら【罰金を考える前に】

交通事故を起こしてしまったら罰金を考える前に動かなければなりません。

というのも、交通事故を起こしたまま逃げ去ってしまえば、ひき逃げとなってしまい(正確には道路交通法の救護義務違反や報告義務違反の罪に該当)重大な刑罰を受けることになります。

そのため、交通事故を起こしてしまったらすぐに負傷者の救護から対応するようにしましょう。

具体的な順番をお伝えすると次のとおりです。

  1. 負傷者の保護
  2. 二次被害を防ぐ
  3. 警察への報告
  4. 被害者への謝罪と賠償
  5. 保険会社等への連絡

負傷者の保護

交通事故を引き起こしてしまったらまずは負傷者の保護から行いましょう。

必要であれば必ず救急車を呼びます。

このように負傷者の保護を行うことで、人命救助ができ大切な命をつなぎとめることも可能です。

二次被害を防ぐ

また二次被害を防ぐことも大切です。

道路上に車を放置したままにしてしまうと、玉突き事故などを引き起こし二次被害を起こしてしまうでしょう。

二次被害が重なれば重なるほど賠償金の支払いも生じてしまうので注意してください。

警察への報告

ある程度のことが終わったらすぐに警察への報告も行います。

事件を起こしてしまったのはあなたですが、警察への報告義務もあることを忘れてはいけません。

警察に報告し事故現場の保存を行い、今後の裁判や賠償に備えて調書を作成していきます。

被害者への謝罪と賠償

事件が処理され被害者が入院になった場合には、被害者家族に対して謝罪や賠償をおこなっていきます。

ただ、自身でおこなっても効果的にはならないので弁護士などの法曹に依頼するのが適切でしょう。

もちろん被害者のキズがすぐに癒えることはありませんが、反省の意思を示すのが大切です。

保険会社等への連絡

損害賠償請求などが発生した場合には、保険会社等に連絡し支払い金額を用意していきます。

交通事故かつ人身事故となると多額の賠償金が発生する恐れもありますが、相手に迷惑をかけていることに違いはないので、必ず保険適用を受けるようにしてください。

なお、弁護士費用に対する保険もあるため、必要だと感じる方は以下を参考にしてみるといいでしょう。

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交通事故による罰金のまとめ

いかがでしたでしょうか。

交通事故では、まず、過失の態様(責任の重さ)、被害者の怪我の加療期間(怪我の程度)を加味して罰金にするかどうかを決め、罰金をするか決めた場合にも細かい基準によって金額を決めていきます。

この記事を通じてみなさんに少しでも罰金刑についてのイメージを持っていただけたら幸いです。

弁護士
松本隆弁護士

弁護士 松本隆

神奈川県 弁護士会所属
横浜二幸法律事務所
所在地 神奈川県横浜市中区山下町70土居ビル4階
TEL 045-651-5115

労働紛争・離婚問題を中心に、相続・交通事故などの家事事件から少年の事件を含む刑事事件まで幅広く事件を扱う

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