3組に1組は離婚する時代といわれています。
ですが、この数字は適正な数字ではありません。
実際の離婚率の統計データは分析が難しく、本当に一般離婚率が30%程度なのかは疑問が残ります。
とはいえ、周囲を見渡してもわかるように離婚のハードルは年々下がり気味で珍しいことではなくなっていることは事実です。
ですから、あなたの両親が離婚をするということも現実味があるでしょう。
決して不思議なことではなく、そのくらい日本人は離婚に対して前向きになってきています。
本記事では、親が離婚した場合子どもの戸籍はどうなるのか?
を疑問に感じている方に向けて親が離婚した場合の子どもの戸籍と苗字(名字)についてを解説していきます。
もしもあなたが婚約中だった場合の影響についても言及していますので、参考にしてみてください。
記事に入る前に・・・
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親が離婚をした場合『自分の苗字(名字・氏)』はどのようになるのか
親が離婚した場合、自分の苗字(氏)はどうなるのかをまずは解説していきます。
親の離婚で子どもが成人している場合と未成年の場合に分けて見ていきましょう。
成人している場合
子どもの年齢に関わらずに、何もしなければ親が離婚した場合に子どもの苗字は、離婚前の苗字のままです。
ただし、親の離婚前に父親の苗字を名乗っていた場合に母親の苗字に変更したい場合は、「子の氏の変更許可申立」を家庭裁判所に申立てることで母親の苗字を名乗ることは可能。
親の離婚前に母親の苗字を名乗っていて父親の苗字に変えたい場合も対処は同様です。
子の氏の変更許可申立書が裁判所に受理されて、許可が得られれば役所に入籍届を提出しましょう。
入籍届を提出することで親の離婚前の苗字から母親もしくは父親の苗字に変更することができます。
「子の氏の変更許可申立書」は15歳以上であれば、自分が申立人になれます。 成人していなくても自分の意思で苗字を決めることができますので安心してください。
従って、子どもが成人しているケースでの親の離婚では、苗字(氏)を父母どちらの苗字を名乗るのかは、子どもが自由に選ぶことができると考えればいいでしょう。
ただし、何もしなければ子どもの苗字は親が離婚する前の苗字になりますのでご注意ください。
未成年者の場合
親が離婚した際に子どもが未成年だった場合も、成人していた場合と同様に、親権者に関わらず親が離婚するまで使用していた苗字のままです。
例えば、親権者が母親で、離婚後母親が旧姓に戻ったとしても子どもの苗字は親が離婚前の父親の苗字になってしまいます。
なので、母親と同居していても、親子で苗字が違うというケースが発生してしまいますが、日本においては親権者の苗字に子どもの氏(苗字)を合わせることが一般的です。
母親と子どもの氏(苗字)を合わせるために、親権者は家庭裁判所に「子の氏の変更許可申立」を申立てて子どもの苗字を親権者の苗字に変更することになります。
子どもが15歳未満であれば親権者が法定代理人になり申立てを行うことになるのですが、子どもが20歳になった暁には21歳になるまでの1年間で自分の苗字を生まれたときのものに戻すことも可能。
もしも苗字を親が離婚前のものに戻したい場合には、特に裁判所への申立ては必要なく役所に変更届を提出するだけですぐに苗字を変更することができます。
子の苗字(氏)の変更許可申立てに必要な書類・時間・費用
子の氏の変更許可申立てに必要になる書類は下記の3つです。
- 子の氏の変更許可申立書
- 申立人(子ども)の戸籍謄本
- 親の離婚の記載がある父・母の戸籍謄本
書類を取り揃えて、住所地の家庭裁判所に申立てます。
必要な費用は収入印紙800円(子ども一人に付き)と連絡用の郵便切手が必要です。
なお、子の氏の変更許可申立ては郵送でも受理されます。
もしも郵送で申立てた場合に許可を得るまでには2週間ほどの時間を要しますのでご注意ください。
もしも家庭裁判所に出向いて申立てを行なった場合には、即日審判の対象になる可能性も。
即日審判の条件は親の離婚後1年以内で子どもが30歳未満且つ婚姻していない場合に限られます。
即日審判の制度を利用すれば申立てたその日のうちに子ども氏(苗字)は変更され、戸籍も即日反映です。
ただし、家庭裁判所や役所の営業時間にも左右されますので、受付時間はチェックしておきましょう。
家庭裁判所の受付時間は9:00〜16:00です。
役所の受付時間は一般的には17:00までですが、お近くの役所に問い合わせてみるといいでしょう。
急いでいる場合には、即日審判の制度の利用を検討してください。
親が離婚をした場合『戸籍』はどのようになるのか
次に親が離婚した場合の戸籍の扱いについてです。
戸籍についても氏(苗字)と同様の扱いになります。
基本的には、親が離婚しても、戸籍から除籍されるのは、片方の親だけ。
戸籍の筆頭者が父親の場合、戸籍から抜けるのは母親の方です。
反対に戸籍の筆頭者が母親の場合は抜けるのは父親になります。
成人している場合
子どもが成人している場合で未婚なら、戸籍は父親・母親どちらかの戸籍に入ることになります。
何もしない場合には、親が離婚する前の戸籍に残ることに。
もしも、離婚をして戸籍を抜けた方の親の戸籍に入りたいなら戸籍を抜けた方の親が筆頭者の戸籍を新たに作成し、そこに子どもは入籍届を提出して入ることになります。
例を挙げると、親が離婚し、母親が戸籍を抜けて、母親が筆頭者の戸籍を新たに作成します。
この場合母親は婚姻前の元の戸籍(母親の両親の記載がある戸籍)に戻ると子どもの戸籍は母親の戸籍には移動できなくなってしまいますのでご注意を。
3世代は同じ戸籍には入れないからです。
先に「子の氏の変更許可申立」を行い、子の氏の変更の許可をもらいます。
審判書謄本を持って入籍届を市区町村役場に提出してください。これによって子どもの戸籍は親と同じ戸籍に入れます。
子どもが婚姻している場合にはすでに子どもは新たな戸籍に入っていますから何も心配はありません。親が離婚したところで子どもの戸籍には何一つ影響がありませんので安心してください。
親が離婚をして何もしなければ、未婚の子どもの戸籍は親が離婚しても元の戸籍に残ることに。
例え苗字の違う方の親と暮らしていたとしても戸籍は別々になります。
ですが、同居している親と戸籍が違うことにあまり不便はありません。
むしろ苗字が違うことの方が不便を感じますので、どうするべきかは、親とよく相談しましょう。
親は婚氏続称制度を利用して離婚後も婚姻中と同じ苗字(氏)を名乗ることも認められています。
苗字を変えることに抵抗のある方や周囲や仕事への配慮でそのままの苗字でいたい方は婚氏族称制度を利用して苗字を変えずに戸籍だけ新たに作成する方法が取れます。
これにより子どもと親との苗字の不一致を回避することもできるでしょう。
ただし、子どもが父親と同じ戸籍に残っていたなら父親が再婚した場合に再婚相手の女性と子どもは同じ戸籍に入ることになり、あまり好ましい状態ではありません。
こういった複雑な事情を回避するために、成人した子どもには自分の戸籍を作る方法があります。
自分の戸籍を作る(分籍)
親の離婚を契機に、戸籍を分籍して自分の戸籍を作る(分籍)という方法もあります。
ただし、分籍は成人でないとできませんのでご注意ください。
子の氏の変更許可申立ては15歳以上でできますが、分籍は成人だけの権利になります。
親が離婚した場合に分籍するメリットは、以下の3点です。
- 親の離婚や再婚に左右されずに苗字(氏)を名乗ることができる
- 親が離れて暮らしている場合に本籍地を自分が住んでいる場所に移動することができる
- 分籍することで今後自分の婚姻や離婚・養子縁組など戸籍にまつわる事象を自分の戸籍内だけに留めることができる
なお、分籍したからといって、好きな苗字(氏)を名乗れるわけではありません。
分籍した当時の苗字のままです。
例外として、やむを得ない事情がある場合だけ好きな苗字に変更することは可能ですが、基本的には変えられないので注意しましょう。
やむを得ない事情とは、その苗字が社会生活上大きな支障をきたしている場合に限られますので、基本的には変えられないと考えてください。
また、変更するためには別途家庭裁判所に「氏の変更許可申立」を行う必要があります。 (戸籍法107条1項)
未成年者の場合
親が離婚したときに子どもが未成年だった場合には、何もしなければ戸籍は元の戸籍のまま。
もしも親が離婚し、親権を母親が持っていて、母親と同居し同じ戸籍に入りたければ、「子の氏の変更許可申立」を行い、母親の戸籍に入籍しなければいけません。
その場合、離婚しても母親は婚姻前の親の戸籍に戻ってはいけません。
もしも婚姻前の戸籍に戻った場合には分籍し、母親を筆頭者にした新たな戸籍を作る必要があります。
最初から子どもも一緒の戸籍に入る予定であれば、離婚時に新たな戸籍を作っておきましょう。
子どもは苗字の観点からも、日本では親権者の戸籍に入ることが一般的です。
自分が結婚している場合の苗字と戸籍
自分が結婚している場合は親が離婚をしたとしても苗字にも戸籍にも何ら影響はありません。
苗字は結婚した相手の苗字(もしくは自分の苗字)になっていますし、戸籍も婚姻した相手と同じ戸籍に入っているからです。
ただし、自分自身も離婚する場合には少々厄介です。
離婚後は親の戸籍に戻るか、自分を筆頭者にした新たな戸籍を作るかどちらかです。
このケースで親が離婚した後に再婚していた場合に親の戸籍に戻る選択肢はほぼないと考えていいでしょう。
新たな家族の中にあなたが入り込んで行くのは心情的にも無理があります。
親に新たに子どもがいた場合にはなおさらでしょう。
親が離婚してさらに自分も離婚する場合には、新たに戸籍を作成する方が無難です。
親の離婚を契機にあなた自身が自分を筆頭者にした新たな戸籍を作成していた場合(分籍)は、元のあなたが筆頭者の戸籍に戻るだけ。
厄介なこともありませんし、すっきり離婚もできるでしょう。
苗字(氏)は婚姻前の苗字に戻るか、「婚氏続称制度」を利用し婚氏続称の届を提出することで婚姻時の苗字を名乗ることもできます。
婚約中に親の離婚はどんな影響があるのか?
もしもあなたが婚約中に親が離婚する場合には、どのような影響があるのでしょうか。
婚約中にあなたの苗字が変わる可能性があるということと、戸籍が変更になる可能性があることが法的な影響です。
しかし、これらの影響は婚約にはさほどの影響は与えません。
結婚を控えているなら戸籍はすぐに移動しますので、親の離婚で自分の戸籍を移動しない方が手続きの面倒は少なく済むでしょう。
ですが、婚約中の両親の離婚は結婚相手の親族に心理的な不安を与える可能性を否めません。
両家顔合わせが実現しにくい
婚約中に親が離婚問題を抱えていた場合は、両家の顔合わせが実現しにくいという影響があります。
婚約したなら当然お互いの両親との顔合わせがあるはずです。ですが、険悪になっている両親が揃って顔合わせには出席してくれない可能性があります。
愛する我が子のためなら一時休戦し出席してくれる両親もいるかもしれません。
ですが、いくら仲の良い夫婦仲を演じてもらったところで顔合わせでは微妙な空気が流れることでしょう。
すでに両親が離婚するかも?と先方に伝えていたなら余計に場がおかしな空気になってしまいます。
もしも親が離婚問題を抱えているなら、両家の顔合わせは無理に実現せずに父親、母親別々に顔合わせをしていきましょう。その方が相手方に不安を与えません。
もしくは一緒に顔合わせをするなら離婚する・したことをその場ではっきり相手の両親に伝えてしまいましょう。
親の離婚をはっきり伝えて親は離婚するけれど親子関係は良好であることを相手に伝えられればあなたの婚姻には悪影響が出ない可能性が高まります。
結婚は当人同士の問題ではありますが、両家のつながりも大切な要素です。
親の離婚にあまり不安にならずに、正直に自分の思いを結婚相手と自分の両親に伝えてみましょう。
親族はどう招待すればいいのか?
もしも婚約が順調に進み、結婚式を迎えることになった場合には、離婚した・する両親の親族をどの程度招待すればいいのかも悩ましいところです。
出席の有無にかかわらず、両親ともに事前に話しておく必要があります。
その上で「父親が出席するなら母親は出席したくない」など両親の問題もでてくるかと思います。
このケースの場合には、あなたが出席してほしい方の親だけを招待するようにしましょう。
あなたの門出ですから変に両親にばかり気を遣う必要はありません。
もしもバージンロードを父親と歩みたいなら父親に出席してもらった方がいいでしょう。
また親族に関しては、気まずいなら無理に招待する必要はありません。
あなたが個人的に来て欲しいと感じる親族を招待するようにしましょう。兄弟に関しては何の問題もなく招待できるはずです。
あなたが泣き寝入りしないために
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*1 件数は2023年3月現在 *2 2013年~2022年。単独型弁護士保険として。2023年3月当社調べ。*3 99プランの場合 *4 初期相談‥事案が法律問題かどうかの判断や一般的な法制度上のアドバイス 募集文書番号 M2022営推00409
まとめ
親が離婚してもあなたの戸籍は元のままです。
もしも親が離婚し、除籍される方の親の戸籍に入りたいなら、子の氏の変更申立を行い、入りたい方の戸籍に入籍しましょう。その際には同じ戸籍の親とあなたの苗字(氏)は同じになります。
各種手続きが難しいと感じるなら弁護士に相談し手続きを代理でしてもらうこともできます。
あなたが結婚を控えているならなおさら煩雑な手続きは弁護士に任せた方が無難です。
婚約中に親の離婚で法的にあなたが被る被害は特にありません。とはいえ、精神的な苦痛や不安を与えられる可能性はあります。
また婚約者の相手方の親族に不安を与えかねないとうこともあるでしょう。
相手方には真摯に説明し理解を得られればあなたの結婚に支障をきたしません。
親の離婚はあなたの幸せの門出とは無関係ですので安心してください。
3組に1組は離婚するといわれている時代です。
もしも親が離婚をしたとしても珍しいケースではありません。当然悩むことはあるかもしれませんが、親の離婚を乗り越えてあなたが幸せを掴むことを祈ります。
あらかじめ弁護士保険などで、今後の様々なリスクに備えておくことをおすすめします。
東 拓治 弁護士
福岡県弁護士会所属
あずま綜合法律事務所
福岡県福岡市中央区赤坂1丁目16番13号上ノ橋ビル3階
電話 092-711-1822
【弁護士活動20年】
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