再婚を機に養育費を減額・打ち切りにしたい!4つの条件を徹底解説

  • 元配偶者が親権者で自分が養育費を支払っている
  • 再婚を視野に入れている
  • 再婚相手に子どもがおり、養子縁組を検討している
  • 生活のために支出を減らしたい(養育費の支払いを減額もしくは打ち切りにしてもらいたい)

離婚して新たな人生を歩み始め、素敵な女性との出会いがあり結婚が視野に入ってきた頃。

再婚するとなれば、新たな結婚生活にお金がかかることが予想されます。

支出を可能な限り減らしたいあなたは、元配偶者へ支払う養育費を減らせないかと検討する可能性もあるでしょう。

しかし、一度取り決めた養育費を減額することは可能なのでしょうか。

今回は養育費の減額・打ち切りについて、その可否と条件を非親権者の視点から紹介します。

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目次

自身が再婚をした場合、支払いの打ち切り・減額は可能になるのか

再婚による養育費支払いの打ち切り・減額は可能な場合とそうでない場合があります。

どちらの場合になるかは、まず養育費とは

”誰が”、”誰のために”、”誰に”支払うのか

を理解すると、よりわかりやすくなります。

養育費とは

養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用のことをいいます。一般的には、子どもが経済的・社会的に自立するまでに要する費用を意味し、衣食住に必要な経費、教育費、医療費などがこれに当たります。
子どもを監護している親は、他方の親から養育費を受け取ることができます。
なお、離婚によって親権者でなくなった親であっても、子どもの親であることに変わりはありませんので、親として養育費の支払義務を負います。(法務省

つまり、養育費は”非親権者(子どもを監護していない親)が”、”その子どものために”、”親権者(子どもを監護している親)に”支払う義務があるということです。

非親権者(子どもを監護していない親)は養育費の支払いの義務者であり、親権者(子どもを監護している親)は養育費を請求する権利を持つ権利者となります。

養育費が減額・停止になる条件

養育費が減額もしくは停止になる条件は4つあり、どれか1つでもあてはまれば認められる可能性があります。

  1. 義務者の再婚や子どもの誕生
  2. 権利者の再婚
  3. 義務者の収入の減少
  4. 権利者の収入の増加

この条件をもとに、養育費が減額される可能性が高い場合とそうでない場合をみてみましょう。

養育費が減額される可能性が高いケース

(1)自身(義務者)が再婚し、再婚相手との間に新たに子どもが生まれた

再婚によって新たに生まれた子どもにも養育費が与えられる権利があり、親は養育する義務があります。

再婚によって生まれた子どもに対する扶養義務と 元配偶者との子どもに対する扶養義務は同等と考えられているため、養育費の減額が認められる可能性が高くなります。

これは、再婚相手の子どもを養子縁組したときも同様です。

(2)親権者(権利者)が再婚し、子どもが再婚相手と養子縁組をした

権利者が再婚し、再婚相手と子どもの養子縁組がされた場合、子どもの扶養義務は第1次的には養親(再婚相手)であり、実親は2次的扶養義務者となります。

そのため、養育費の減額が認められる可能性が高くなり、収入状況によっては養育費の免除の可能性もあります。

ただし、再婚相手の収入が低く、十分な養育費が確保できないと判断される場合は、実親が1次的な扶養義務を負うこともありますので注意が必要です。

(3)自身(義務者)の収入が離婚時と比べて著しく減少した

会社の業績悪化による倒産やリストラに遭い失業して無収入になった・長期の入院を余儀なくされて収入が著しく減少した等の場合、養育費の減額が認められる可能性があります。

しかし、この場合は減額が認められても「再就職先が決まるまで」、「職場復帰するまで」と但し書きがつくケースが少なくありません。

(4)親権者(権利者)の収入が離婚時と比べて増加した

親権者(子どもを監護している側)が昇給・転職等によって年収が上がった場合、養育費の減額が認められる可能性があります。

一般的な養育費の相場は両親それぞれの収入によって、裁判所が公開している養育費算定表をもとに決められるため、収入に大きな変動があれば、そこを根拠として養育費の減額が認められる可能性があります。(裁判所 養育費算定表)

養育費が減額される可能性が低いケース

先の条件にあてはまるように思えても、下記のように養育費の減額が認められない(可能性が低い)場合があります。

(1)自身が再婚し、再婚相手が共働きしている場合

養育費を支払う側が再婚した場合、再婚相手を扶養しないといけなくなりますが、再婚相手が共働きしている場合、家庭単位でみた収入は上がる形になりますので、養育費の減額は難しくなります。

(2)自身が再婚し、再婚相手の子どもとの養子縁組をしない場合

再婚相手に子どもがおり、その子との養子縁組をしない場合、その子の扶養義務は再婚相手の元配偶者にあります。

その子に対する養育費が正常に支払われているのであれば、元配偶者との子どもの養育費が減額される可能性は低くなります。

(3)自己都合による退職に伴う収入低下や転居によって生活に必要な費用が離婚時より上がった場合

やむを得ない事情が特に無く、自身の判断によって生活が苦しくなってしまったのであれば、その事態を招いた責任は自身にあるのが当然と判断されますので、養育費の減額は認められない可能性が高くなります。

養子縁組とは

血縁関係が無くても、法律上親子と同様の関係を生じさせることをいいます。

養親にとって養子は法律上ほぼ実子と同じ扱いになるため、養親は養子に対して扶養義務を負い、養親が死亡した場合、実子と同じように養子にも遺産相続の権利が発生します。

養育費が減額される可能性が高いケース(1)のように、自身が再婚相手の子供と養子縁組をした場合、養子に対する扶養義務は元配偶者との子と同等と考えられるため、養育費の減額が認められる可能性が高くなります。

減額・打ち切りを申請し断られた時の対処法

減額・打ち切り申請の流れ

実際に養育費の減額を請求する場合、下記のようになります

交渉・話し合い

まずは養育費減額について、権利者と義務者で話し合います。

当事者間で減額の合意が成立する場合、口約束や簡単な手書きの書類等で済ませずに公正証書を作成することで後々のトラブルを防げます。

当事者同士が理性的に落ち着いて話し合いができる状況が望ましいですが、場合によっては連絡を取ること自体がストレスとなり話し合いにすらならないこともあります。

減額については慎重に、相手に対して理由をきちんと述べて理解してもらうようにしましょう。

話し合いがまとまらない場合は調停の申し立てに移ります。

なお、話し合いでの言動は調停の際の参考となりますので、悪い印象を与えないように注意しましょう。

書面を送る

権利者(親権者)の住所地にある家庭裁判所に対して調停の申し立てを行います。

必要書類は下記になります。

  • 申立書 裁判所用、相手方用、申立人(自分)用の控えの3通を作成
  • 事情説明書  調停に至った事情を説明する
  • 連絡先等の届出書
  • 進行に関する照会回答書 話し合いの状況や調停期日の希望日、裁判所に求める配慮を記入
  • 子どもの戸籍謄本(全部事項証明書/3か月以内に発行されたもの)
  • 申立人の収入関係の資料
  • 源泉徴収票、給料明細、確定申告書等の写し

申立書、事情説明書、進行に関する照会回答書は裁判所のサイトからダウンロードできます。

調停

当事者同士が直接顔を合わせ話し合うのではなく、調停委員が当事者それぞれから事情を聞き、互いの主張をもとに妥当な解決方法を提案します。

お互いが合意に至れば調停成立となり、確定事項を書面で発行して終了します。

合意に至らない場合は調停不成立となり、審判へ自動的に移行します。

有利に交渉をするポイントは

養育費の相場を把握しておく

養育費算定表を参照し、相場を把握しておきましょう。

「今まで払いすぎていないか」「減額しても払いすぎてないか」を確認することができます。

調停委員の心証を良くする

養育費を払いたくないからと、調停委員に対して強い言葉を使ったり高圧的な態度をとったりなどはもってのほかです。調停委員は敵ではありません。

あくまで中立な立場から、双方にとって妥当な結論に至れるように客観的な視点から話を聞きます。

しかし、調停委員も人間ですから、感情的に話す人間よりも、冷静に自身の状況を伝える人間のほうが信頼できます。

弁護士に依頼する

調停を進めるうえで、法律に精通したプロの力は大きな助けになります。

調停を進めていく上でのアドバイスはもちろん、書類作成や調停委員とのやりとりの代行等、煩雑な手続きや知識が及ばないところもカバーしてくれます。

申立人の代理人として調停に代理出席してくれるので、調停委員との直接のやり取りを有利に進めてくれることが期待できます。

話がまとまらなかったとき

調停でも双方の合意が成立しない場合は、自動的に審判へと移行します。

裁判官が調停でのやり取り、調停委員の意見をふまえて判断を下します。

審判で決まった金額は守らなければならず、支払いが滞った場合は強制執行による差し押さえもありえます。

審判までいく場合は弁護士に依頼しておかないとかえって良くない判断が下される場合もありえますので、それまでに相談しておきましょう。

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最後に

養育費の支払いに関して、手続きを踏まず一方的に減額したり支払いをやめたりしてはいけません。

公正証書のような債務名義がある場合には強制執行により財産を差し押さえられる可能性がありますし、養育費の未払いによって、権利者から調停を申し立てられる可能性があります。

養育費の支払いは保護されるべきですから、その場合、一方的な減額や未払いの事実は不利に働きます。

まずは元配偶者と真摯に話し合うことが必要です。話し合いが難しくても調停、審判と養育費の減額の可能性はあります。

弁護士に相談し、適切な対応がとれるよう準備しましょう

あらかじめ弁護士保険などで、今後のリスクに備えておくことをおすすめします。

弁護士
東拓治弁護士

東 拓治 弁護士
 
福岡県弁護士会所属
あずま綜合法律事務所
福岡県福岡市中央区赤坂1丁目16番13号上ノ橋ビル3階
電話 092-711-1822

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